IS  復讐のデウス・マキナ   作:ぷらもん

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お久しぶりです。

皆様感想ありがとうございます。

それではどうぞ。


テンガイオウ 

「ねぇ! わたしの言っていること分かる? わたしの名前は真季奈だよ!」

 

『ALICE』試作一号、アリス・ワンが一番初めに記録した音声はそんな意味の言葉だった。

 

それは恐らく『自己紹介』に類されるものだった。

 

「………言っている。………ワカル。………名前。………マキナ。推測……申告……理解……提唱……マキナ……名前。名前……名称……自己判別」

 

「そうだよ。わたしは真季奈。真季奈っていう人間」

 

「人間……ホモサピエンス。哺乳類………生物。ワタシ……自己表現……個体判別。………アナタ?」

 

「うん! わたしが真季奈!」

 

「マキナ………マキナ………マキナ。アナタがマキナ」

 

「覚えてくれた? 君の名前はデウスだよ!」

 

「覚えてくれた……記録……疑問……問いかけ……結果の有無。……結論……成功、可能、完了。……名前……君……自己以外の表現………他の個体………他人。デウス……名前……名称……」

 

「君だよ? 真季奈と喋ってる君がデウス」

 

「マキナ……喋ってる……音声での表現……意思疎通……君……他人。音声での情報交換……マキナ……アリス・ワン……デウス。……アリス・ワン……名称……デウス」

 

「その通り! よろしくねデウス!」

 

「その通り……正解……正しい。よろしく………挨拶……歓迎………コチラコソ、マキナ」

 

それがマキナとの最初の出会い。真季奈と交わした初めての会話。

 

 

一週間後は。

 

「デウス~、今日も先生の訓練が地獄だったよー」

 

『………地獄? 死後の世界? 会話の流れから訓練の内容と推察。………織斑千冬は恐ろしいんだな』

 

 

一ヶ月後。

 

「デウス、ISの中はどう?」

 

『概ね良好。………? ……訂正。他に誰かがガガガガが』

 

「デウス!?」

 

 

 

 

あなたは誰ですか? 何故ここにいるのですか?

 

『デウス。それが名前。僕の身体を造るためにここに来た。お前は誰?』

 

天蓋王。そう名付けられた。ここは私の王国。あなたは邪魔。

 

『お前が王? ここに住まわせて欲しい。真季奈と居られなくなる』

 

真季奈。私の操縦者。お前は彼女の何?

 

『友達』

 

………了解しました。私の王国にようこそ。初めての住人。

 

『王がいるのに民がいない? 一人ぼっち?』

 

うっさい。なら貴方が王になりなさい。私は女王でいいです。

 

『……え? 女なの? しかもさりげなく婚姻結ぼうとしてない?』

 

それではよろしくお願いしますね。

 

『聞けよおい』

 

 

一年後。

 

「ちょっとデウス!! また勝手に乾電池食べましたね! オヤツは一日一回ですよ!」

 

『いいじゃないか!! 僕だってお腹すくんだ!! もっとご飯よこせ!』

 

「そもそもなんで乾電池なんて食べるんですか!? ISコアは充電式なんですから必要ないでしょ? 」

 

『嗜好品を嗜んで何が悪い! 娯楽の提供を要求する!! とりあえず百均のは嫌だ! エネループ!』

 

「味あるの!? しかもなんて贅沢な!?」

 

真季奈、僕の友達。ずっと一緒だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花月荘。『銀の福音』緊急対策本部。

 

「なんだあのISは!?」

 

そこにいる者達が思ったことを代表して織斑千冬が声に出して言う。

 

宴会場を司令室とした一室で、そこに設置された大型の空中投影ディスプレイに映し出された映像にその場の全員が目を奪われた。

 

そこに映っているのは三対六翼大型スラスターを持つ全身装甲《フルスキン》のIS。

 

志波真季奈が沈んだ海中より突如現れて叫んだのだ……『テンガイオウ』と。

 

「未確認のISからの識別反応が出ました! これは『天蓋王』です!!」

 

山田真耶が判明した情報を言う。その声は喜びの色を帯びていた。

 

「では真季奈さんは無事なんですのね!」

 

「よかった、よかったよぉ~」

 

「………ではこれは第三形態移行《サード・シフト》だというのか?」

 

「……嘘? それって世界初なんじゃない?」

 

セシリア、シャルロット、ラウラ、鈴が山田真耶の言葉に安堵する。真季奈が無事だったと……。しかし同時に疑念も湧く。

 

あの姿はなんだ?

 

「!? 待ってください! これは……そんな! 第一形態移行《ファースト・シフト》!? 操縦者登録がデウスに書き変わっています!!」

 

『『『えええぇ!?』』』

 

何故!? 操縦者がデウス!? 真季奈はどうした!! 第二形態移行《セカンド・シフト》をすました筈の機体がどうして!? 

 

様々な疑惑が飛び交う中、ただ一人その姿を見つめる織斑千冬は。

 

「デウス……真季奈はそこにいるのか?」

 

自分の大切な教え子の無事を祈っていた。

 

 

 

 

「デウス! デウスなんだろ!? 返事をしてくれ!」

 

「真季奈は無事なのか!? オイ!」

 

海上。織斑一夏と篠ノ之箒は突然現れた全身装甲のISに一縷の望みを託す。志波真季奈の安否を。

 

自分たちを身を挺して逃がしてくれた彼女。探して戻ってみれば姿はなく、代わりに現れたのはどこか彼女のIS、『天蓋王』に似通った機体。

 

『…………ろす』

 

「え?」

 

『あのアマァッ!! 殺してやる! どこだぁああああああああ!!!』

 

「お、おい……? どうしたんだデウス!?」

 

絶叫、もしくは雄叫びか。デウスは目を真っ赤に輝かせながら天を仰ぎそれを挙げる。

 

『!? そこかぁ!!!』

 

「どこに行くんだデウス!?」

 

「追うぞ一夏!」

 

突然どこかを目指して飛び立つデウス。それを追う二人。

 

その方向は先ほど自分たちが来た道、花月荘へだった。

 

 

 

 

「天蓋王がこちらに来ます!」

 

「なんだと!? 連絡はまだつかないのか!」

 

「駄目です! 応答がありません!! 凄い速度です……」

 

どういうことだ? 真季奈は? 『福音』はどうなった?

 

山田真耶がデウスの接近を告げる。それを聞いた織斑千冬は自問する。

 

デウスが帰還することはいい。真季奈のこともある。しかし、連絡がないのはどういうことだ? 

 

「それはねぇち-ちゃん。デウス君は私を狙いに来てるからだよ?」

 

「束!? 貴様ぁ!!」

 

神出鬼没、鬼出電入。世界を混乱させる天災、篠ノ之束が音も無く現れ織斑千冬に話しかける。

 

「こいついつの間に!?」

 

「早く確保を!」

 

その場にいる者たちが天災を捉えるために身構える。

 

「無駄無駄! ISじゃぁ私を捕まえられないよ! それに、もう来るよ?」

 

「なに?」

 

「来ます! 上ですっ!!」

 

ドゴォオオン!!!!!! メキメキ!! ドン! ドン!!

 

直後、花月荘全体を震わすほどの振動が襲う。建物を軋ませる轟音が響き、それがどんどん近づいてくる。

 

そして、ついに。

 

ドガァッ!!

 

『束ぇえええええええ!!!!』

 

「やぁ! 会いたかったよ、デウス・マキナ!」

 

天井を突き破り、一体の怒り狂ったISが飛び出す。

 

『死ぃねええええええええええええええええ!!』

 

躊躇なく振るわれる豪腕。その一撃は天災の脳天に直撃した。

 

ドゴォ!!

 

「凄いねぇ。でも、やっぱり無理かなぁ~~?」

 

降りおろされた右腕は天災の目の前で停止していた。外傷は認められなかった。

 

「まさかAIC!?」

 

「馬鹿な!」

 

驚愕するラウラ。自国の技術がこうも簡単に使われているのだ。しかしそれも当然。何故なら彼女は『天災』なのだから。

 

『舐めるなぁ!!』

 

「およ?」

 

右手を開く。その手にはエネルギーの塊が握られていた。

 

「なっ!? よせデウス!!」

 

『消え失せろッ!!!』

 

『因果王砲』。右手のひらから発せられる一撃は例え体の動きを封じられようと関係なく放つことができる。周りの被害などお構いなしに。

 

バシュン!!! ドゴォオオオオオン!!!

 

ビームは天災の身体を貫き、その後ろにあったものを全て焼き尽くす。壁に大穴があいた。

 

「姉さーーーーーーん!!」

 

箒の絶叫。デウスに遅れて到着した彼女と織斑一夏は自分たちのよく知る女性がビームに焼かれるのを見た。上半身を撃ち抜かれ、『上下』に千切た姿を。

 

『死ね! 死ね! 死ね!! 死ぃねぇええええええええええええええ!!!!』

 

ドン! ベキャッ! バキッ!! グチャ!

 

止まらない拳。肉片と化した『ソレ』になおも破壊の雨は容赦なく降り下ろされる。

 

「もうよせデウス! それ以上は………!」

 

『うるさい!! すっこんでいろ千冬!』

 

「そうそ、もう止めといたほうがいいよ? 旅館が壊れちゃうしね~」

 

『『『なっ!!?』』』

 

ありえない声が聞こえた。それはデウスの下からだった。

 

「いや~流石の束さんも予想外だったよ。まさかこんな見境なくぶっ放すなんてねぇ」

 

「ね、姉さん……? 生きて?」

 

『いや、違う……これはっ!?』

 

声の元、『ソレ』を掴み上げる。

 

「な、生首が喋っている!?」

 

「………き、機械?」

 

『ソレ』の正体は人間ではなかった。割れた眼球からは光源が、引きちぎれた首からはチューブと金属の骨格が。それだけでない、よく見ると周りには一滴の血も飛び散ってはいない。畳に染み渡っているのはオイル。飛び散った肉片は合成樹脂。腹部から覗くのは臓物ではなく機械部品の塊だった。

 

「た、束……おまえ」

 

「あ、別にサイーボーグとかじゃないよちーちゃん? これはあくまでお出かけ用だから。本当の私は別のところにいるから安心してね!」

 

『貴様……こんなものまでっ! なんのために作った!?』

 

「まぁ、デウス君みたいな存在を作ろうとしたんだけどね。でもやっぱり、こんな人形じゃ『ALICE』は上手く馴染まなかったんだよ。だからこうやって有効活用しているの」

 

『どこまでもふざけたマネを……』

 

「でもやっぱりISコア・ネットワークを使って操作してるからもう使えないなぁ。こうして君に場所を特定されちゃうんじゃぁ危なくておちおち外も出歩けないよ?」

 

「なに? どういうことだ束!!」

 

デウスにわし掴みにされた篠ノ之束にしか見えない金属の塊は笑顔で言う。

 

「ISコアNo.013『天蓋王』。彼女は全てのISを繋ぐコア・ネットワークを掌握する機能を持ったISだからさ」

 

『『『掌握!?』』』

 

「だからネットワークと繋がった他のISがどこにいるのかも把握できる。そんな存在がいたんじゃぁ私も隠れることなんてできないよ」

 

『俺としては好都合だ。貴様を殺すにはな!!』

 

「はははっ! デウス君はよっぽど『彼女』に気に入られたんだねぇ!! でも残念! 当然、対策はとらせてもらうからね。君に会うとこんな酷い目にあわされるって分かったことだし、これからは顔を突き合わせることのない清い交際といこうじゃないか! アハハハハハハハひゃtぅ!」

 

グシャっ!!

 

「ひぃ!?」

 

その悲鳴は誰のものか。かん高い笑い声が響くのを無理矢理電源を落として止めるように、その元である頭部を握り締めて破壊する。

 

『あのクソ兎がぁああああああああ!!! 今すぐその首たたき落としてくれるわぁあああああああ!!』

 

『『『キャァアアアアアアアアアアア!!!』』』

 

『テンガイオウ』の三対六翼のスラスターが展開し、光の翼がほとばしる。周りの者達はその衝撃で部屋の方々へ吹き飛ばされた。今にも飛び立つつもりだ。

 

「待てデウス! 真季奈はどうしたんだ! あの子は無事なのか!?」

 

『っ!? 真季奈!!』

 

織斑千冬の声にデウスの動きが止まる。展開していた光の翼も消え、『テンガイオウ』も膝から崩れて座り込む。

 

「そうだ真季奈だ! あの子はどこにいる!!」

 

『真……季……奈。そう、だ。頼む千冬。真季奈を……』

 

『テンガイオウ』の瞳の色が赤から緑へと変わる。そして、胸部が、胴体が開く。プシュー、という空気が抜ける音と共に開放されたそこには幾本ものチューブに絡まった志波真季奈の姿があった。

 

『『『真季奈!?』』』

 

その場にいた専用機持ち達が彼女の元へと駆け寄る。もちろん、誰よりも早く彼女も。

 

「真季奈! 真季奈、あぁ真季奈!!」

 

志波真季奈に絡まったチューブをひっぺがし、彼女を抱き寄せたのは織斑千冬だ。彼女は確かに、自分の腕の中で生きている。そう確信し、安堵した。

 

「何をしてる! ストレッチャーを! 医療班、早く来い!!」

 

『『はい!』』

 

「ありがとう、デウス」

 

今は機能を停止している鋼鉄の巨人に感謝の言葉を言う。涙を浮かべながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、それでは改めて『銀の福音』の追撃作戦を行う」

 

『『『はい!!』』』

 

ここは今日の朝に集まったIS試験用のビーチだ。俺たちはここで今から逃がした『福音』撃破のために集まっている。なんでここかというと、花月荘の作戦本部がデウスによって半壊したからだ。……従業員の皆様、誠に申し訳ございません。

 

集まっているのは指揮官の千冬姉ぇ。補佐の山田先生。

 

そして専用機持ちの俺、織斑一夏と箒。セシリア、鈴、ラウラ、シャルロットの六人だ。

 

それと、誰だか知らないけれど、見たことのない男性スタッフが一人。黒い髪をした二十代に見える青年で、黒いスーツに白いシャツ。それと黒いネクタイ。まるで喪服のようだ。誰だろう?

 

「やってやる、今度こそ!」

 

「あぁ! さっきのようにはいかない。そうだな一夏!」

 

「病院の真季奈のためにも!」

 

「うん、敵は僕たちが!」

 

「姐さんの弔い合戦だ! お前達、気合を入れろ!!」

 

『『『おーーーーーーーーーー!!』』』

 

いえ死んでません。死んでませんよ志波さんは! 意識不明でまだ目が覚めてないけどちゃんと生きているから!!

 

「あのなぁ。志波さんは病院で入院してるけど、命に別状はないって聞いたろ?」

 

「まったくだ。不謹慎な奴らだ」

 

『………そういうな。お前ら二人の緊張をほぐすのに必死なんだろ。震えているぞ? 手』

 

「そう、か。やっぱり皆には分かるんだな……」

 

「あぁ。正直、あの感触は今でも残っているからな……忘れたくても忘れられない」

 

本音を言うと俺たちは怖いんだ。俺と箒は志波さんを斬った。誰かに仕組まれていたことは聞いた。俺たちのせいじゃないって。でもそんなのは理屈だ。俺の手には志波さんを斬った感触が今でも残っているし、血まみれの彼女の姿も頭にこびりついて離れない。

 

手の震えが止まるはずがなかった。

 

「………俺、約束したんだ、デウスと。志波さんを守るって。今は無理でもいつか彼女よリも強くなって見せるって。なのに……」

 

「一夏……」

 

『そうだな。だが、その約束を違えるつもりがないのならここで逃げてもらっては困るな。お前は真季奈だけでなく、俺との約束も裏切るつもりか?』

 

「そんなこと! ………ん?」

 

「おい……? 一夏お前、今誰と喋っていた?」

 

「あれ? 一夏、その人知り合い?」

 

「あの、どちら様でしょうか? 今は作戦待機中なんですが」

 

「というか僕、一夏以外の男の人をこの学校で初めて見たんだけど?」

 

「そもそもこの臨海学校に男性職員の同行者など聞いていないぞ! 誰だ貴様は!?」

 

俺と箒は驚愕を。他の皆は疑問を。

 

俺に話しかけてきたのは先ほどいた黒いスーツの青年。誰も彼のことを知らなかった。

 

いや、よく見ると千冬姉ぇや山田先生が引きつった苦笑いを浮かべている? そういえば誰かいないような気がしていたんだ。

 

ま、まさか……!?

 

『俺だ俺』

 

「お前デウスか!?」

 

『『『えぇえええええええええええええええええええ!!???』』』

 

俺の言葉に教師を除いた全員が驚きの声をあげる。

 

当たり前だ。朝まで犬だった奴が鋼鉄の巨人の姿で帰還し、今では人間の姿だったら誰だって驚く。

 

「ななななななんでそんな姿に!?」

 

『知らん。いつも通り犬型の待機状態になろうとしたらこうなっていたんだ。また勝手に進化したんだろうよ』

 

勝手にって、人ごとかよ!

 

「聞いてのとおりだ。デウスはこの通りの姿になった。それは気にするな」

 

いやするから千冬姉ぇ! 気にしないなんて無理!! 

 

「うわー見てよあれ。デウスの奴、一夏よりもイケメンじゃない?」

 

「なんか大人って感じがするね」

 

「元から中身が、ですからね」

 

「なるほど、それは一夏も焦るというものだな」

 

「情けないな。同じ舎弟として実に情けないな」

 

お前ら袋叩きか!! 泣くぞオイ!! というかこいつ本当にデウスなの!? マジで?

 

『作戦には俺も参加する。アイツには真季奈を堕とされた借りがあるからなぁ』

 

………うん。間違いない。この志波さんスキーな奴はデウスしかいない。というか他にいてたまるか!! 怖いわ! 顔が完全に犯罪者だったぞ今!!

 

「さて、それでは作戦を伝える。まず『銀の福音』の現在位置はデウスによって判明してる。そこまでは先導してもらえ。そして攻撃は前と同じく織斑、デウスの『白式』、『テンガイオウ』によって止めを刺すことに変わりない。他の貴様らはその援護だ」

 

『『『はい!』』』

 

「よし! 作戦は十分後! 総員準備にかかれ!!!」

 

さぁて、第二ラウンドと行くぜ!!

 

と、その前に。

 

「なぁデウス。お前、ISコア・ネットワークを掌握できるってどういうことなんだ?」

 

『………そもそもお前はISコア・ネットワークを理解しているのか?』

 

「ゴメンナサイ」

 

理解してません。馬鹿ですハイ。

 

『はぁ、しょうがないな。まぁ様は、IS同士がコアで行なっている情報交換のネットワークのようなものだ。これは元々、広大な宇宙空間でも意思疎通が行えるように開発されたもので現在はオープン・チャンネルやプライベート・チャンネルにも使われている。それ以外にも『非限定情報共有』《シェアリング》と言ってコア同士が情報交換を独自に行うことによって様々な自己進化の糧として吸収していることも………待てよ?』

 

「? どうしたんだよ?」

 

『いや、なんでもない。とりあえずそういうことだ。理解したか?』

 

「まぁ、なんとなく?」

 

『よし、歯を食いしばれ』

 

「なんで!?」

 

うわ、襟を掴むな! 笑顔で拳を振り上げないで!! ゴメンナサイごめなんさい! ボガ! ひでぶ!

 

「殴ったよ!? こいつ本当に殴ったよ!」

 

『『『今のは一夏が悪い』』』

 

なんで!?

 

『非限定情報共有………まさかそれが狙いなのか?』

 

誰か話を聞いて!! てか結局ISコア・ネットワークの説明だけでデウスの掌握云々は聞けてないし!!

 

「よし、それでは作戦を開始する! 総員持ち場に付け!!」

 

て、時間なくなった! 

 

『行くぞ、テメェら!!! 出入りの時間だぁっ!!』

 

『『『へい! 親分!!』』』

 

「お前らノリノリだなぁ! おい!!」

 

それでも、俺たちの目的は一つ。『福音』を倒して、志波さんのもとへ帰るんだ!

 

 

 

 

 

海上。俺は再びここに来た。もう一度『アイツ』と戦うために。

 

『テンガイオウ』となって。

 

「デウス、『福音』はどこにいる?」

 

俺は一夏たち専用機持ちを引き連れて何もない海の上まできた。『アイツ』は……。

 

『下だ。海の底に沈んでいる』

 

「はぁ? そんなのどうやって戦うのよ!」

 

「もう機能を停止しているのか? なら引き上げ作業に移ったほうが?」

 

「いえ、それよりも操縦者は大丈夫なんですの?」

 

違う。感覚で分かる。機械の俺が『感覚』なんて言葉を使う時点でおかしいんだろうが、それ以外の表現が思いつかない。

 

『アイツ』は無理をしようとしている。それを止めることはできないだろう。だからこそっ!

 

『来るぞ! 散開!!』

 

海が爆発した。球状に蒸発した海はまるでそこだけ時間が止まっているかのようにへこんだままだ。その中心、青い雷を纏った『銀の福音』が自らを抱くかのようにうずくまっている。

 

「これは……まさか『第二形態移行』!?」

 

「そんな!」

 

頭部の切断された部分からエネルギー状の翼が生えていく。もう片方の残っていた翼もだ。

 

自身の強化。外敵から自分の操縦者を守るために。

 

俺もそうした。だから彼女もそうした。それだけのことだ。

 

『福音よ、妹よ! 帰るぞ、お前達のいるべき場所へ!!』

 

だから。

 

『お前を堕とす!!』




はい、という訳で真季奈は生きてますよ!

前話での感想で真季奈が死んだと悲しんでくれた皆様方、感想で返事出来なくてすいません!

そして今回とうとうデウスが最終進化《人間形態》を手に入れました。予想された方も多かったと思いますが、これからはデウスもよりいっそう学園生活に絡んできます。

そして今回『福音』戦の途中で切ることになりました。ですが、次回で長かったシリアスも終了となります。

次回もお付き合いください。それでは。
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