今回はちょっと詰め込んでいます。
元ネタありきのストーリーがやや多いですので、元ネタ原作を知らないという方、申し訳ございません。
そういうストーリーなんだなーと流しちゃってください。
ちなみに、ややシリアスでっす!(精一杯のボケ)
それではどうぞ。
これは昔々の物語。
とある世界の、世界が始まる前の創世の時代。
そこに存在した十二神の一柱、黄金神の操主を選出する戦いがあった。
『聖杯』の導きにより、操主の座をかけた戦いは熾烈を極め、二人の男が最後に争うこととなりました。
一人は、ある一族から勇者と称された男。名は『 』。
一人は、黄金神と同じ竜の一族の出でありながら野心を備えた男。名はマスター。
青い霞のような鎧に身を包み、十字の星を象った邪悪な魔法も弾き返す盾と炎の剣を携えた勇者『 』に黒と赤の鎧に身を包んだマスターはその目に狂気を宿しながら襲い掛かります。
『うぅぇぁああああ!!!!』
「うぅおおおおおお!!!!」
両者は互いに激突しあい、何度も争います。
「私は純粋に戦いを望む!!」
『戦うだけの人生!』
「貴様との戦いを!」
『俺もそうだ』
「そして神をも超える! それが私の……」
『だが今は……』
「生きる証だ!!」
『そうでない自分がいる!!』
戦いを求め、神の座に固執するマスターと、自分もかつてそうだったが、今は違うと言う勇者『 』。
戦いの果て、『聖杯』が黄金神の操主に選んだのは勇者『 』でした。
『聖杯』の選定を終えた勇者『 』はその後、神の力を得るための最終試練を受けます。
竜の体に背からランスを携え仮面を付けた人の上半身を生やした黄金の双頭竜、アルヴァトーレとの戦い。それに勇者『 』は『聖杯』の力を得たことで赤く染まった新たなを鎧を身に纏い挑みます。
結果、双頭竜は勇者を認めました。アルヴァトーレの背にいた人物が仮面を外します。なんと、アルヴァトーレ自身が黄金神の
こうして、黄金神に選ばれた勇者は自身を神と融合させました。
地上で神が活動するためには、神の魂である核と、それを宿す操主(生体ユニット)。そして神の肉体である守護獣が必要なのです。三位一体の
しかし、黄金神が世界を創造しようとする時、ひとつの驚異が迫ります。
『聖杯』に選ばれなかったマスターが、神の座を諦めきれずに襲いかかってきたのです。
『なに!? あの機体……?』
黄金神の前に現れたのはマスターが駆る緑色の騎兵でした。(騎兵とは乗り込んで操縦する人型のロボット)
「この暗黒騎兵クーロンで、貴様を殺す!!」
『それほどまでに神の座が欲しいか!』
「無論だ! 私はそのために生きてきたのだ! 例え覇界神の傀儡に成り下がり
『貴様は歪んでいる!!』
「そうさせたのは貴様だ! 『聖杯』に選ばれ、神となった……勇者という、存在だっ!!!」
黄金神と暗黒卿。神ではないとはいえ相反する光と闇の戦いは拮抗し、互いを消耗させていきました。それでも、勝利したのは黄金神でした。しかし、暗黒卿を倒しきることはできず生きたまま自身の象徴である太陽の中に封印することとなりました。
「おのれ黄金神!! この恨み、例えどれだけかかろうとも必ず晴らしてくれる!! 必ずぅぅぅぅ!!!!」
『…………………………』
太陽に封印されようとも、暗黒卿の恨み憎しみは消えることはありませんでした。彼は必ず復活し、再度黄金神に挑むことになるでしょう。
暗黒卿との戦いを終えた黄金神は、傷ついた身体を癒す間も無く新たな侵略者が現れました。
黄金神の世界創出を狙い、別の十二神の一柱、覇界神バロックガンがその配下を引き連れて侵略を始めたのです。
「君のその力! 黄金神の恩恵があればこそだ! 渡してもらうぞ、この世界を!!」
『誰が!!』
「そうさ、そうでなくては僕の生きる意義がない、存在する意味も!!」
覇界神とは世界の破壊と創造を司る神。彼は黄金神の作り出す新たな世界を破壊し、自分の世界を創造しようとしたのです。
『違う! 神が世界を創るのではなく、そこに生きる人々と共に生きる。それが俺達『神』の、生きる道だ!!』
「っ!! 下等な人類などと一緒に!!」
『そうやって他人を見下し続けるから、分かり合えない!!』
「その気はないよ!!」
『リボンズ!!』
「『 』!!!」
黄金神と覇界神。その核となった生体ユニット同士ですら対立し争った。戦いは二柱の神同士だけのものではなく、彼らに協力するほかの部族や騎士たちも巻き込み大きな大戦となっていきました。
覇界神の配下である
しかし決着は、神同士の相打ちという形で終わりました。
互いの操主を失った黄金神と覇界神。これによって神の姿を維持できなくなった両者は核と肉体を分離させてしまいます。
しかし、黄金神の核は残った力で覇界神をその配下と共に封印することに成功しました。
こうして、黄金神は神の姿を失いながらも勝利を収め、新たな世界を誕生させることができたのです。
ですが、覇界神の野望は潰えてませんでした。
新たな操主を選定し、神の姿に復活しようとする黄金神にまたも邪魔をし、復活を遅らせたのです。
二柱の神の対立は後の時代にも残ることとなったのです。
・
・
・
・
・
・
・
・
『なにこれ?』
「僕の
『あんた誰!?』
「やぁ、ボクはスペリオルドラゴン。君に新しい力を与えに来たよ。デウスくん」
デウスが目を覚ましたとき、そこには左手でVサインピースをしている黄金の神様が幽霊のごとく現れていた。随分とフランクな登場っすね。
「プラモの説明書だと大体こんなもんだよボク」
『プラモの説明書って何!?』
「気にしない気にしない。で、思い出した?」
『? 何を? ……あっ! 俺に変な記憶を植えつけたのはアンタか!? 最近頭痛ひどいんだぞ!』
「違うよ。
『…………なに?』
「はやく思い出してね。君と同様、覇界神の操主は『こっちの世界』に来ているんだから」
「それって……?」
「じゃっ! がんばってね」
ぱっ!
『意味深なこと言って消えるなーーーーーー!!』
『………データ再点検クリア。自動メンテを終了します。バックアップデータを再インストール………………………………………完了。デウス、再起動』
それは一夜の夢。
自身の定期点検をしていた志波真季奈が作った人工AI、デウスがスリープ中に見た幻。
なので、そろそろ彼も以前のように、「は!? ドリーム!?」と目を覚ますことだろう。
『………………チョリーーーッス』
ギュポーーン! デウスの瞳が怪しく光る。
あれ?
「えっ!? 一夏の誕生日って今月なの!?」
「そうですよ? 今月の二十七日です」
「なるほど! ありがとう真季奈!」
「ちょっと待とうか君たちぃ!?」
授業前の朝のSHR。担任教師の織斑千冬が来てそれが始まるのを待つまでの休み時間。隣の席での会話に待ったをかける織斑一夏の姿があった。
「? なんです?」
「俺の誕生日をさも当然のように知っているのはなぜなんでせう?」
織斑一夏の誕生日は九月二十七日。それを話していたのは志波真季奈で、聞いていたのはシャルロット・デュノアだ。
「え? なんでわたしが織斑一夏の誕生日程度の知識がないとお思いですか? 舐めてんですかこの野郎」
スパーン! 真季奈の目にもとまらぬ平手打ち!
「理不尽! ありがとうございます!!」
頬をビンタされた織斑一夏。真季奈ちゃんはなんでも知っているんですよ?
「ふむ、面白そうですね……」
「え。真季奈?」
ツカツカツカと真季奈が教室の前、教壇へと歩いていく。そこへ立つと、
「皆さん! 今月の二十七日は織斑一夏の誕生日です!」
何か始めた。
「おー」「おりむーオメデトー」「へー織斑くん誕生日なんだー」「なんですって!? 一夏さんの誕生日!?」「ちょまっ、真季奈!? (せっかく黙っていたのに!?)」
クラスの一同がそれを聞いて戸惑いながらも織斑一夏の誕生日を祝ったり、何かしらを企てる。
「真季奈は何がしたいんだ?」
「えっと、一夏の誕生日をみんなで祝おうとか?」
一夏の疑問をシャルは優しい考えで答えた。
そんなはずないよね?
「そう! 彼女いない歴十六年が決定した記念すべき日です!!」
「余計なお世話です!!!」
「「「あ、彼女できたことないんだ………」」」
台無しだった。だよね。
「さらに付け加えるなら! モテるためにファッション雑誌を読み始めて三年目! 髪型を真剣に悩み始めたのも三年目! エロ本を飼い始めたのは四年目! やっぱり一人じゃ買えないから友達と一緒に買ったり共有し始めたのも四年目! そんな記念すべき誕生日ですよね!」
「アンタなんで知ってんだーーーーーー!!!」
知人友人から聞き込み済みです。
「「「でも彼女できないんだー」」」
「止めて!? そんな生暖かない目で見ないでぇ!!」
「さぁ! そんな彼の楽しい愉快な誕生日は日曜日です! 中学のころの彼の友人が自宅で祝ってくれるそうですよ! 盛大に面白可笑しく祝い笑ってあげようじゃありませんか!!」
「コケにする気満々ですよね!?」
「「「だがそれがいい!」」」
「敵ばかりかこのクラスはーーーー!!!」
はっはっは、何を今さら。今日も朝から大騒ぎである。
そこへ、
『チョリーーーーッス!! どうもー皆のボーフレンド、デウスでぇっす!』
「「「なにごと!?」」」
なんか来た。
一年一組の教室の戸を開けて入ってきたのは真季奈が造った人工AI搭載型IS、デウス。本日は朝から成人男性の人型で登場です。でも様子がおかしいよ?
「「「なにあのキャラ!?」」」
「ま、まさかアレは……!?」
どよめくクラス一同を余所に、焦る真季奈。なんか心当たりあるの?
「ちょり、す? なんですのそれは?」
「ちょっと前に流行った挨拶の一種?だよ。でもなんでまた……」
イギリス育ちのセシリアには分からない文化だった。クラスメイトからの補足が入るが、やはり理解はできていない。
『あー君らー? もしかしてー? 俺のこと噂しちゃってる? 感じ? みたいなー』
「え、あ、うん」
「ま、まぁ……」
様子のおかしいデウスは扉の近くの少女たち数名に話しかける。しかし、彼女達は引き気味だった。そのテンションに。
『ちょ、待てよ! そんなガン見すんなって! そんなん慣れてないってゆーか、俺は俺のままでいたいってゆーかぁ…』
「え、なにこれウザッ!」
「ないわー。イケメンでもこれはないわー」
見慣れたデウスの馴染みない行動。クラスの面々は戸惑いを隠せなかった。というか、ひたすらウザかった。
『なんかさぁ、出ちゃうんだよね! オーラ? みたいなの? 生まれついちゃってるぅ? スキル? ははっこれやぁべ』
「どうしよう! こいつ殴りたい!」
「いいよね! 私の拳が唸っても誰も文句言わないよね!?」
ダメである。クラスの我慢が限界を超えそうだった。それほどまでに、ウザイ。
「でででデウス!? 何をやってるんですか貴方!!」
「「「あ、やっぱあれデウスくんなんだ……」」」
それに見かねた真季奈ちゃんが慌てて駆け寄ります。珍しく取り乱す彼女に皆が目を奪われつつ後を追います。真季奈はデウスの前まで行くと、
「で、デウス……まさか貴方、あの人格が……」
『よぉーー! マーキナー!! 愛しのベストパートナー、デ、ウ、スだZE! オッハヨー!』
両手で指を突き出して真季奈に指さしながら高いテンションのまま真季奈を話すデウス?。これには真季奈も引きっぱなしであった。
「おはよう諸君。朝のSHRを始めるぞ」
「おはようござまーす」
間がいいのか悪いのか、クラスの担任教師、織斑千冬と副担任の山田真耶が教室に入ってきた。
「ん? なんだこの空気は? なぜ皆着席していない?」
「あれ? デウスくん? 今日もバイトなんじゃ……?」
いつもとは違う意味でおかしなクラスの雰囲気に戸惑い、いつもなら学園内のどこかで雑務をしている筈のデウスがいることに疑問を感じた。
『あれ? 千冬に真耶じゃん。なに? 俺? 俺にときめいちゃった?』
「わかった。死ね」
「ま、マズイ!! デウスーーー!!」
とりあえず血祭りに上げることにした。
デウスの胸ぐらを素早くつかみあげ、必殺の拳を繰り出す。弟の一夏には見慣れた光景。今まで姉である千冬に色恋沙汰で声をかけてきたナンパ野郎。その貴重であり愚かな男たちがたどってきた末路。姉の拳を躱すことも受けることもできず粉砕され潰れたトマトのように真っ赤なしぶきを上げてきた光景が脳裏に蘇る。あ、でもデウスなら……?
『あらよっと』
普通に躱してみせた。というか、片手で受け止めている。そのままつかんだ拳を引き込み、千冬の体を手繰りよせる。デウスの腕の中にすっぽりと収まる形になった彼女はそこから抜け出そうと抗うがびくともしなかった。
「なっ、馬鹿な!?」
『あ、ななな、なぁ千冬ぅ? お前彼氏とか居ないじゃん? だからさぁ、俺なんかどう?』
「は、はぁ!? 貴様何言って……願い下げだ馬鹿もん!!」
『はははっ! 言われちゃったよやっべぇ。あ、ひょっとしてそういう俺の気を引くテクぅ? 恋の百戦錬磨的な? 俺戦っちゃうよ?』
恋のリアルファイトを繰り広げ続けて無敗すぎて相手が軒並みノックアウトK.Oしているので確かに百戦錬磨な千冬ではあるが。しかし、ここまで踏み込まれたことのないのが彼女の限界であった。
『ほらさー、そんな顔真っ赤にさせちゃってー。もう俺に釘☆付☆け!じゃん。もうガッコなんか二人で抜け出しt』
「今です! 全員フルボッコー!!!!」
「「「へい! 姐さん!!!」」」
真季奈の号令。デウスに口説かれ、しかも抱きしめられて顔を真っ赤にさせて硬直している織斑千冬など無視して、クラスの専用機持ちがISを部分展開させて殺到する。一夏は雪片弍型を。セシリアとマドカはビットを。シャルはシールド・ピアスを。ラウラはワイヤーブレードを。箒は雨月と空裂を。そして真季奈は十拳剣を。
『うん? おいおいそんなに集まっちゃって。愛の告白なら一列に並んでボグェェ!?』
「うわっ!」
死ねぇい!!! と攻撃が始まる。それに巻き込まれかける千冬。が、狙いは全てデウスに集中していた。
シャルのシールド・ピアスがデウスの脇腹を突き刺し、
『ぐほっ!?』
ラウラがワイヤーをデウスの首に巻きつけて千冬から引きはがし、
『ぐえ』
セシリアとマドカがビットを突撃させてデウスを床に昏倒させて、
「止めじゃぶちかませーーーーー!!!」
『ぎゃあああああ!!!!』
ドカバキボゴベキ!!!!!!!!
一夏に箒、真季奈と。剣を持った者らがデウスを袋叩きにしていく。殴り続けること十分。とうとう動かなくなった。
「はぁっ、はぁっ、ここまでやれば」
「あぁ、もう動けないだろう」
一夏と箒が息を整えながら屍と化したデウスを見ていう。鬼か。
「いえ、止めはきちんと刺します。喰らえこの恥さらしぃいいいいいいいいいいい!!!!」
『ギィアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!
大小様々な十本に分割されたソードビットが既に死に体のデウスを襲い断末魔を上げる。
「……真季奈」
「……やりすぎだよぉ」
一夏とシャル、ドン引きであった。
昼休み、食堂にて。
「朝からひどい目にあいましたね」
「いやほんと。どうしたんだデウスの奴? 何か知ってるか真季奈?」
「チャラかったな」
「ウザかったね」
「見るに耐えん有様だった」
「というか、織斑先生が可愛かったですわ」
「風紀委員の初仕事だった(ドヤ」
などと、昼食をとりながら朝の騒動の話をする面々。真季奈、一夏、箒、シャル、ラウラ、セシリア、マドカである。皆で長テーブルに陣取り、三、四人で二組に分かれて対面に座って食事をしていた。なんと、織斑一夏が真季奈の椅子になっていないことに驚きだった。でもちゃっかり隣に座っているけどね。
デウスの公開私刑のあと、スクラップと化したデウスは教室の外へと撤去されてとりあえず授業は再開された。廊下で転がるデウスの残骸は見るに絶えなかったが、まぁ細かいとは気にしない一年一組の生徒たちである。随分とたくましくなったものだ。
『うぅ、最近俺の扱いひどくね? あぁ……パーツが足りねぇ』
チュィーンッ、ジジッ! パチパチパチ!!
愚痴をこぼしながらテーブルの下で自身の修理に励む機械犬、デウスがいた。姿は黒い柴犬そのものだがそれは上半身だけのこと。下半身は寸断され腰から下がなかった。腹の下から腰、後ろ足やチャーミングな尻尾などはバラバラになって床に引いたブルーシートの上に並べられていた。今は残った上半身の両前足にて工具と補修パーツを用いて奮闘中である。南無。
おかしくなった人格データは真季奈によって修復され元通りになった。あと、織斑千冬は顔を真っ赤にさせたまま気絶し保健室に搬送されて寝こんでいた。
「にしても、まさか『擬似人格タイプR35』が出てくるとは……デウスのOSを調整したほうがいいかもしれませんね」
「おいこら。やっぱり元凶はあんたか」
「元凶とはなんですか! ぷんすか!」
「可愛く怒ってもダメ! デウスのあのチャライ性格というかキャラはなんなのさってこと聞いてるの!」
真季奈の呟きに一夏が反応し、頬を膨らませて怒ったフリをする彼女を叱って追求する。結局どういうことなのさ?
「デウスのAIを作る際、様々な性格のパターンを組んだんですよ。その一つがあの『擬似人格タイプR35』ですよ」
「……R35ってことは、R1~34もあるの?」
「はいもちろん。暑苦しい体育教師のようなバーニングデウスからおしとやかな淑女デウス。ガリ勉真面目系男子デウスにアキバ系男子デウス。さらにはギャル系デウスにメイド仕様のご奉仕デウスなど、ぶっちゃけなんでもござれです」
「「「予想以上にカオス!!」」」
なにそれめっちゃ気になる! 特にご奉仕メイドってなに!?
「性格や感情というものを形作るのは生きてきた環境やその体験による積み重ねの結果です。その中で感じとった想いや思考を大まかに分類し喜怒哀楽、四つの感情で表そうとすればどうなるか? そして突出した人格同士が反発しあい、ときには合わさる。その連続をシミュレートし生まれるものは何か? 多重人格者は個人か、それとも複数人か? 感情の起伏の激しい者を無感情で表現に乏しい人物にするにはどうしたらいいか? 女性格、男性格で同じ事例をどう感じるか、その差異はなにか? 『個性』とはなんなのか? 等と、まぁ要するに、デウスを造るときに『色々』やったものの一つがアレです」
「ごめん、途中から意味わかんなくなった」
「奇遇ですね。わたしも当時そう思いました」
ならなんでやったし。そう呟いたら「若かったんですよ」と返ってきた。あんた何歳のときだおい。
「まぁ、確か七、八歳位の時に組んだデータですので。完っ全に忘れてましたよはははのは」
「…………えー」
棒読みで言う彼女を見て、………正直言おう。びびった。この子を、志波真季奈をまだ舐めてたのかもしれない。俺が、織斑一夏が子供の頃なんて、覚えているのは馬鹿やってた記憶しかない。箒と剣道してたことはきつかった記憶と一緒に楽しい思い出だ。弾や鈴と遊んでたときのは明日何して遊ぶ? なんて事しか考えてなかった。
でも、彼女は、志波真季奈は何を思って過ごしていたのだろう?
彼女に子供の時の話を聞いてみたことがある。たわいもない世間話のつもりで。そうしたら、「小さいときは学校にもいかずに引きこもってパソコン弄ってました(笑)」とドヤ顔で答えていた。なんでもない事のように話す真季奈に、その時はただの冗談、もしくは悪事の暴露をふざけて話しているだけだと思った。が、そうではない。本当にソレしかやってないいなかったのだと思う。だって、デウスという結果があるのだから。
「………真季奈がコンピュータを弄ってるところは見たくないなぁ」
「む、なんですかそれは? わたしから電子機器を奪うということは最大の侮辱ですよ? はっ!? まさかそういうイジメ!? とうとうSの世界に足を踏み入れるということですか!?」
「違います」
「むー、そう一言で否定されると面白くないです。もっと惨めに慌てればいいのに」
「日常会話で惨めになれってなかなか聞かないよ!?」
こんなやりとりなど何時ものこと。周りの面々も苦笑こそすれ忌避する者はいない。彼女に言わせればこれが真季奈の感情によって形成された個性なのだろう。……ずいぶん捻くれてるなー。
学校にも行かずに、引きこもっていたという真季奈。一人でパソコンや電子機器をいじっていたという彼女の姿は。ひとりぼっちの真季奈は見たくない、そう思ったから。
「さて、話は変わりますが。皆さん、キャノンボール・ファストに向けて機体の高機動調整を始めるそうですね?」
「本当に話し変わったね。ガラリと」
「でもキャノファかぁ。その日って一夏の誕生日よね? どうすんの?」
「どうって、どうもしないさ。出場して、終わったら弾とかと一緒に家で美味いもんでも喰うよ」
『キャノンボール・ファスト』。それは簡単に言えばIS同士のバトルレースである。会場は学外にある市のISアリーナで行われ、IS学園の専用機持ちを含めた一般生徒が参加し開催される。それも市の特別イベントとしてだ。会場となるISアリーナは二万人を収容できる広さがあり、近辺の住人はもちろん他県の来場者だってくる。
レースは訓練機部門と専用機部門に別れていて、当然ここにいるメンバーは全員専用機部門に参加の予定だ。
「言っておくが、私は出場できないからな」
「観察処分乙!」
「………ぐぬぬ」
マドカはIS委員会と日本・イギリス政府からの処分として、全ての公式試合の参加を禁止されていた。よって、大会中は一人IS学園でお留守番なのだった。
しかし真季奈ちゃん? あなたいい笑顔で「乙!」とか叫んじゃいけませんよ? 他人の不幸テラワラスメシウマザマァwwwwww!!! を地でいく真季奈。
それは酷くない? そうも思うがそれは真季奈も同じだった。
何故か? それは真季奈自身にもわからない。織斑マドカを見ていると、どうしても織斑一夏と被ってしょうがないのだ。それも条件反射のレベルで。顔が織斑千冬にそっくり? それで織斑一夏と間違えたことなどあるはずがない。なのに、似ているのだ。何かが。いや、それはもう核心に近い直感とも言えるほど、真季奈が見て、聞いて、喋って、肌で触った全てが『コレとアレは同じモノだ』という錯覚を起こしていた。
つまり、志波真季奈は織斑一夏/マドカに対する扱いを区別できないということである。
『…………………………』
デウスだけは、その答えを知っていた。
その悲しい現実を。
「ま、皆さんは機体の調整をするんですよね? 何か手伝いましょうか? 有料で」
「さらっと金取るアンタが怖いわ。でも、遠慮しとくわ。一応機密もあるし」
「そうですわね。………まぁ真季奈さんにかかれば機密なんてあってないようなものですけど……」
「あぁ……うん」
「高機動パッケージの性能とかすでに知ってそうだしなぁ」
真季奈が提案する。それをやんわりと断る鈴とセシリア、シャルロットに一夏。しかし、
「………え? 既に皆さん用に調整済みデータを作ってきたのをご存知だったんですか?」
とんでもないこと言い出したよこの子。
「「「おぉい!!!!?」」」
「特に鈴は今週末の休みに中国から候補生管理菅の方が新型の高機動パッケージ、『
「げぇっ!? データ取りに休みなくなるじゃない!! てかなんで知ってるのよ!!」
「だから今なら調整用データをお安くしておくと言っているのに………あ、もちろんハッキンGuuuuです」
この子恐ぇぇぇ!!! その場の全員が机に顔を俯かせて思った。なんで他国の最新鋭装備の情報とか、そのテスト用のデータ作成とか平然と扱ってるの? え? 調べたの? 既に性能とか把握済みですかそうですか。
この情報社会において志波真季奈に敵うものなし。その認識は持っていたはずだが実際にやられると危機感が出てくる。さすがに機密がこうも筒抜けだと常に監視されているのと同義だ。他国を出し抜くどころではない。こちらが利用されて終わりだ。
「箒ちゃんの『紅椿』は展開装甲の調整だけで大丈夫ですよ。『福音』戦の時のデータを参考にすればいいでしょう。『白式』は性能だけなら高機動型に引けを取らないのでスラスターを調整すればいいでしょうね。ラウラちゃんとシャルロットさんは………聞きたいですか?」
「「いえ、結構です。というか、勘弁してください」」
異口同音で答える二人。いや、だってねえ? どんなことを口走られるか分かったものじゃない。というか、知っている情報が出てきたら困る。例えばラウラは本国にある『シュヴァルツェア・レーゲン』の姉妹機、『シュヴァルツェア・ツヴァイク』の高機動型パッケージを調整して使おうと思っていたし、シャルロットは『リヴァイヴ』は増設ブースターで対応するつもりだった。
そのことを既に知られているとしたら? ありえないと言い切れないから志波真季奈は恐い。あ、でもさっき調整用データを売ると言っていなかっただろうか? ………よそう。考え出したら疑心暗鬼になりそうだ。
こうして、誰もが食事が喉を通らないという事態になった昼食が終わった。一人だけ悠々と食事を続ける志波真季奈を除いて。
「……このままにしてはいけませんよねぇ、やっぱり」
半壊したデウスや織斑一夏を見て誰とも知らず呟く真季奈だった。
放課後。
デウス(犬)はボディの修理を何とか終え、学生寮の廊下を歩いていた。
『あーなんとか直ってよかったぁぁぁ!! 普通にあれ、死ぬ一歩手前だよな? おい』
この作品がギャグでよかったですね。
『うっさいわ。でも正直、千冬や真季奈たちには迷惑をかけたからなぁ。自業自得ってことでいいか』
出来た犬、いやAIである。デウス自身、自分があんな薄っぺらい男になるなどと想像だにしていなかった。そういえば、以前にもオネェになっていたような………ちょっと自分の中にある無限の可能性とやらが怖くなってきたところであった。
「責任を感じているのなら、ちょっとわたしと付き合ってくれませんか?」
『ん? 真季奈? どうしたんだ?』
廊下を歩いていたデウスの前に現れたのは彼の製作者にして主人。志波真季奈その人だった。
「ちょっとアリーナまでツラ貸しな」
『やだこの子ガラ悪い』
それでも断る理由もないデウスは彼女について行った。向かった先は第4アリーナ。放課後、それも部活終わった時間。アリーナは無人で本来誰もいるはずも無く、施錠され立ち入ることもできないはずだった。しかし、デウスも真季奈もすんなりとアリーナの中に入ることができた。
アリーナに入り、競技用のフィールドまで歩く。円形の、観客席に囲まれたそこに立つと、自動的に証明が付いた。必要最低限、外部に漏れる光量も最小限に抑え、近くまで夜遊びするような輩がいなければ誰にも気づか程に。
「許可はとってますので」
真季奈がアリーナの管制塔を指さすと、そこには織斑千冬がいた。どうやら彼女がアリーナの鍵を開け設備の照明を点けたのだろう。
「じゃぁデウス。ちょっと憂さ晴らしに付き合ってくれません?」
『……………戦えと? 今からか』
真季奈が着ているのは学園の制服でも寝巻きでもない。ISスーツだった。しかも、髪を解いている。金色の髪が肩までかかっていて夜風に揺れていた。
彼女が髪を解いているのはこの学園では寝るとき以外では二度目。文化祭以来だ。その前はグレて荒れ放題だった14歳の頃。あの時は真季奈の髪はもっと長く、腰まで伸びていた。それをバッサリ切ったのはそれまでの不良行為へのケジメであると同時にIS学園で友達を作るために真面目な女の子ともいうキャラ作りの為のイメチェンであった。
その彼女が髪を解いた。つまり、
『(やべぇ………本気か!?)』
「来い、『
真季奈が自身の専用機を呼ぶ。左手の薬指に通した金のリングに緑色の宝石があしらった指輪が一瞬光り、即座に彼女のIS、『暮桜 天』が現れ装着される。白い装甲にサクラ色のライン。背部で浮遊する六基の大型スラスターは展開しサクラ色の光を放つビームの翼を広げる。手足の装甲もガチャガチャと展開していき、その形状を一回り大きくさせる。スライドして伸びた装甲。その隙間からもサクラ色の粒子が溢れる。それは漏れでたナノマシンの輝き。このフィールドそのものに充満し、制圧する為の最小にして最強の武装。両肩には一刀ずつの大剣が浮遊する。『
その眼光は、どこまでも鋭かった。
『これはこちらも本気でいかんとマズイか。EX!!!』
デウス(犬)が叫ぶ。その周りを黄金の光が柱となって包み、その場に一体の竜を呼び出した。黄金のボディに箱のような手足。頭部は緑のツインアイが光り、額にはV字の角と顔にはマスク。背中にはさらに大型化した真紅の翼と尻尾。しかし、両の肩がいつもと違う。その色は青。形状は大型化し、ドラゴンヘッドを模したショルダーの口の中には顔があった。右は赤い瞳を宿した魔の象徴、ドレッドショルダー。左は緑の瞳を宿した聖の象徴、ホーリーショルダー。
金、赤、それに青。三色となったカラーリングと新たな力。その名は、
『デウス EX ソーラレイカー!!!』
「……またも奇怪な変貌をっ!」
デウスの背の真紅の翼。そこにマウントされた二本の鞘に入ったソード。バーストスライサーを抜き放つ。両手にそれを構えて、真季奈の『天』と対峙した。
「
『あぁ! 生憎、ソレを背負っちまったんでな!』
真季奈がその背部スラスター『
「ああああああああ!!!」
『迎え撃つ!!』
大剣を持っていない片手、左手を固く握り締めて真季奈はそれを振りかぶる。加速と
それをデウスは迎え撃つ。真紅の翼を広げ、大地を蹴ると同時に浮遊し加速した。二本のソードは片方を投げ捨て、右拳を固く握り込む。
互いに加速したトップスピード。両機が正面から向かい合い、拳同士を突き合わせる。
「『オラアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』」
バキィィィィッッ!!! 拳同士の衝突音がアリーナに鳴り響く。その余波が大気を震わせ波紋となって広がった。
ベキベキベキィィッ!! 砕ける音がした。それは真季奈の、『天』の左腕の拳が砕ける音。黄金の力を宿した拳に機械の塊では耐えられなかったのだ。
「なんの!」
脚部のスラスターを全開にし、真季奈は突き合わせた拳、いや、拳が砕けた前腕部分を基部に体を跳ね上げ、そのまま上昇した。
それを追い、デウスも飛ぶ。
『昔の調子が戻ってきたじゃないか!!』
「はっ! 一度ぶん殴ってやらないと気が済まなかっただけだっ、この馬鹿息子!!」
そもそも志波真季奈という少女はこういう子だ。織斑千冬に言葉遣いを矯正され、立ち振る舞いも大人しくなったが、それも戦闘となると台無しになる。アリーナを倒壊させ、文化祭では敵機を蹂躙した。その時浮かべた表情は笑顔。まるで、破壊を楽しむ姿こそが彼女の本質のように。
『何をそんなに苛立っている!?』
「分かっていることを聞くな!!」
二メートル長ある大剣を片手で振り被ってくる真季奈。それをデウスは右肩のドラゴンショルダーの口で挟んで止めた。
『………親のことか! 一夏のことか!! 自分の間抜けさにかぁっ!!!』
「っ! 全部だ馬鹿野郎!!!!」
止められた大剣を分割し、ビットとする。もう一本もだ。十のソードビットに分割され、モード『十割剣』となってフィールドを駆け巡る。ソードビットはデウスを中心に旋回を始め、球形状にナノマシンを散布していく。当然、真季奈も距離をとって全身の装甲や光の翼からフィールド中にナノマシンを散布し始めた。
『突然だな!』
「突然なものか!! いつだって不満だった! 何が代表候補生だ! 好きでなったんじゃない! なんで親父が生きているんだ!! 死んだんだろ!? 殺されたんだろ!! 織斑一夏の代わりに!! これで生きていたら………わたしが馬鹿じゃないですか!! 今までのわたしは、なんだったんですか!!」
声に震えが混ざり始める。真季奈はフィールドを飛び回り、デウスに対してフェイントを入れながら接近し攻撃のスキを伺っていく。そうすると、散布されたナノマシンが真季奈の姿をフィールドに残していく。そこにエナジーウイングによる超高速移動の残像も加わり、フィールドには数十を超える真季奈の姿があった。大気中に散布されたナノマシンは当然、時間を置けば霧散してその効果を失う。媒介となる機体という入れ物がなければこぼれ落ちてしまうだけだからだ。そして、何故かデウスには侵入させたナノマシンは尽く無効化されていた。効かないのだ。まるで、体内に侵入したウイルスを除去するワクチンでも存在するかのように。
なので、真季奈の取れる戦術は高速移動を駆使した相手の翻弄と奇襲。なんの、問題ない。真季奈にとっては何時ものことだった。一つ問題なのは、デウスには『デウス EX ソーラレイカー』にはビーム系の武装がないこと。これでは『単一能力』を利用したエネルギーの吸収もできない。つまり、『天』のエネルギーの消耗を抑える回復手段はなく、速攻での格闘戦で勝敗を決めるしかない。
いや、勝利などどうでもいいのだ。
残像、全ての真季奈がデウスに襲いかかる。デウスに群がるように襲いかかる無数の志波真季奈。本物は一騎。真季奈が手に持つ剣は分割したビットの内二本を両手に一つずつ。つまり、八本のビットが残像にまぎれて攻撃してくるということ。
『そんなもの、自分で考えてみせろぉっ!!』
一喝。そして、デウスは巨大なシールドを出現させる。それは赤い、竜の頭部を模したモノ。名はそれを掴むと頭に被り、両肩の青いドラゴンショルダーを九十°回転させて正面に向ける。赤と青。二色の三首竜。その名は、トリニティドラゴン!
「っ!?」
三つの口が開け放たれる。中から閃光が放射され、大気中のナノマシンを吹き飛ばし、真季奈の幻影を全てかき消す。そして現れたのは本物の真季奈の姿と向かってくるビット。躱すことなど造作もなかった。
『いいか真季奈!! 俺はお前が泣けば傍で泣き止むまで慰めてやる! お前が怒れば静まるまで相手をしてやる!! お前が笑えば、一緒に笑おう!! だがな、お前が何かをなそうというのなら、それはお前自身が決めて行え!! 躓いたら自分で立ち上がれ! 自分で考え、自分で探せ!! どうしようもなくなれば俺は手を貸す! それでも、決めて行うのはお前の意思だ。魂だ!!』
「あ、あ」
『俺だけじゃない、この学園でお前が知り合い、友となった者達だって必ず助けとなってくれる! それを信じてみせろ! それなくして、なにが友か!!!』
「そんなの、わからない!!」
真季奈は独りぼっちだった。友達もいない。持っているのは知識と技術だけ。彼女が残像を多用した戦いをするのもそれが原因の一つ。自分の能力だけで戦い、それしか信じられない彼女が戦場で頼るのはやはり『自分自身』だけ。それが例え消え去る残像だったとしても。独りぼっちが嫌で、沢山の残像に囲まれていれば寂しさも……怖さもまぎれるから。
しかし、デウスはそれが気に入らない。真季奈の以前の愛機『天蓋王』に搭載されていた時から、デウスは彼女のサポートをしながら疑問に思っていた。自分の主人はそんなに弱い存在か?
いいや。違うはずだ。
『その無駄に賢い頭で、考えてみせろーーーーーー!!!』
デウスが吠える。ドラゴンからまた人型に戻り、その手に握っていたソードを構えた。
「デウス!!!」
『真季奈ーーーーっ!!!』
真季奈もそこまで言われては黙ってはいられない。ソードビットを集結させ、新たな
「『十拳剣』!! 最終モード!!」
『輝け!
デウスの身体が黄金の光に包まれる。その光が手にしたソード、バーストスライサーの刀身をも光に包み込む。
「モード『 』!!!」
『閃光斬!!!!』
真季奈が、デウスが自分たちの最高の技をぶつけ合う。だが、勝敗はデウスに上がった。
閃光斬。デウスのソード、バーストスライサーの刀身に集めた自身のエネルギーを斬撃と共に放つ技だ。それは天まで届く黄金の柱となり、振りおろせば全てを薙ぎ払う光の奔流だった。真季奈の攻撃は全て光に飲み込まれて吹き飛ばされていく。
「(……黄金の光……あったかいなぁ……)」
……貴方は、もう大丈夫ですね。
「(……え?)」
……受取りなさい。天帝の遺産を。
その時、真季奈は光の中に金色の鳳凰を見た。
「わたし、父と……パパと話してみます。殴りつけて、締め上げてでも。そうやって、分かり合ってみせます」
ボロボロになった『天』を纏いながらもしっかりと自分の足で立って話す真季奈の顔はとても晴れやかなものだった。デウスの放った閃光の斬撃。それは邪を払い魔を討つもの。よって、真季奈の命に別状はなく、アリーナへの被害も最低限に抑えられた。………うん、最低限。全損してないよ? ちょっと真っ二つになっただけ、だよ。
次の日、更識楯無生徒会長の絶叫が学園中に響いたという。
まぁそれはそれとして。
『あぁ、いいんじゃないか? それと、あいつはどうする? 一夏は』
「……謝ったほうが……いいかな?」
この話は二回目。一度目は織斑一夏が真季奈の復讐のきっかけとなった事件のことを何も知らないということで報復の手段をかなり優しい(?)悪戯にするということで落ち着いた話。しかし、あの事件が真季奈の父の自作自演だったとしたら話が違ってくる。
織斑一夏は何も悪くない。ただの被害者だった。ならば、真季奈のしてきたことはなんだったのか?
ただの茶番だ。それも、真季奈の父、志波蒔春の都合のいい。
だからこそ、真季奈が一夏にしなくてはいけないことは? 謝罪か?
いいや。
『ふっ、それじゃぁあいつだって戸惑っちまうだろうよ。少しばかり優しくなってやればどうだ?』
多分、織斑一夏にとってはそれが最上級の褒美だろう。
「できるかな?」
『なんだってできるさ。お前は、俺を造ったんだぞ?』
「…………うん!」
そう返事をした真季奈の顔にはこの学園に来てから一番の笑顔があった。もちろん、デウスはそれを自分のメモリーに永久保存した。
「………私いる意味なかったな」
あ、織斑先生! お疲れチョリッス!
翌日の教室。
「あ、あの、織斑一夏」
「ん? なに? どうしたんだ真季奈?」
「か、肩でも揉んであげましょうか?」
「!?」
クラスが恐怖に包まれた。
お疲れ様です。
今回、ちょっとテンポ上げて話を進めました。なので、途中から真季奈とデウスの戦闘がやや強引だっとと思います。なぜ進行が巻いているのか。……まぁそういうことです。
序盤の物語。あれは最近発表された黄金神の神話、そのカードダスのイラストと00のセリフを文字った作者なりの解釈です。公式じゃありません。えぇ公式じゃないんですよ。
チョリーッスは以前も00のドラマCDネタがありましたが、今回の前振りでした。すまんデウス! ぷらもんが土下座するからすまん!
真季奈の内心。あの子は基本外道ですが根っこは優しい寂しがりやです。一夏は嫌いだけど罪悪感もあったというお話。デレは来るのかな?
最後に出てきたあのお方。なにげにこのIS世界は恐ろしい存在に目を付けられています。いろんな意味で。
それではまた。
感想待ってます。