IS  復讐のデウス・マキナ   作:ぷらもん

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ちょっと短いよ。でもこれくらいの方がサクサク書けるから逆に進めやすいという。


大体片道13時間弱

IS学園保健室。

 

お昼休みのこの時間。来客というか、特に誰も利用者がいないこの場所で。

 

『う~ん、う~ん、痛いよー。全身くまなく痛いよー』

 

「はいはい。ごめんねデウス君。お姉ちゃんやりすぎちゃったわ。………マジで」

 

ベッドで苦しむ柴犬、デウスの姿があった。全身包帯グルグル巻きで。その傍で看病する加害者、更識楯無。

 

デウスの破損箇所。右目カメラ破損。左前足欠損。全身裂傷。

 

初めて使う力に、彼女が加減できなかった結果である。

 

「会長さん。あとはこっちでやっておくから、貴方も授業に出るなり生徒会に行くなりしなさい」

 

「……はい、ミューゼル先生」

 

保健医、スコール・ミューゼルが楯無に戻るように言う。

 

スコール・ミューゼルは文化祭の後にやってきた。長い金髪の女性で、保健医でありながら診察をしない、保健室にいないというとんでもない女性である。

 

「ところで先生」

 

「なにかしら?」

 

保健室を出る間際、楯無が保健医に言う。

 

「貴方、亡国機業の人間よね?」

 

「元、よ?」

 

今はデウスの雇われ社員、部下である。彼女がこの学園で保健医をやっているのも、ほとんどがデウスの都合からである。

 

それだけ聞くと楯無は出ていった。

 

「さて、邪魔者は居なくなったことだし………」

 

『うぅ……死ぬほど痛い……あぁデュナメスが手を振っているのが見える……て、ん?』

 

痛みに苦しむデウスのベッドに、スコールが入ってくる。

 

「フフフ、大怪我ですねボス」

 

ニコニコと笑顔で怪我をしたデウスを抱いてベッドに座る。傍目から見ればペットを可愛がる飼い主だが、見た目ゴージャスな美女と喋る犬である。

 

『………まぁいいか。どうだ? シャバの暮らしは』

 

「私は刑務所から出てきた犯罪者ですか。まぁ似たようなものですけど……悪くはありません」

 

彼女はデウスの部下になったことで『亡国機業』とは完全に手を切った。追っ手もない。むしろ来い。来たら返り討ちで情報ゲットで相手の戦力も削れるなぁ、というウエルカ~ム姿勢である。発案者はデウス。

 

『オータムは?』

 

「現地で調査中です。あと、御札と清めの塩と数珠が欲しいと」

 

『知り合いの和尚から魔除けのお守りでも作ってもらうか』

 

効果は絶大である。というか、オータムはどこにいるんだろう?

 

『姪っ子には会ったか?』

 

「とても面白い顔をしてました。あと、もうスパイはしなくていいと伝えたら喜んでましたよ」

 

『彼女がいるからなぁ』

 

この学園には亡国機業のスパイが生徒として潜入している。しかも、スコールの姪っ子だ。

 

それが誰かは、まぁここでは語ることもあるまい。

 

「あのお嬢さんは使えそうです?」

 

『あぁ。俺たちがこの学園を離れても大丈夫だろう』

 

デウスはキャノンボール・ファストの前に仕事を入れていた。内容は、スコール、オータムを引き連れての出張である。

 

「なら、他の四人は?」

 

『んー? どれ』

 

ブッド・キャリアーで特訓中の彼女たちの様子を見る。空中ディスプレイが四つ出現し、そこには……。

 

『お前が()()か! アタシが()()だ!!』

 

巨乳の鈴(シャドウ)と血涙を流しながら戦う鈴が。

 

『死にますわよ? わたくしに関わったら、お父様、お母様みたいに、みぃぃんな死んでしまいますわよぉぉぉ!!!!』

 

母と父に囲まれて幸せいっぱいなセシリア(シャドウ)と戦うセシリアが。

 

『怖いんだね? 負けるのが・・・だったら・・・戦わなければいいんだよ!!』

 

姉に怯え本音にも見放され、失意のどん底に堕ちた簪(シャドウ)と戦う簪が。

 

『私はラウラじゃない。物心ついた時から戦場にいる、名も無い兵士だ』

 

織斑千冬に盲信し、部下たちとの距離感が微妙だった頃のラウラ(シャドウ)と戦うラウラが。

 

………………アカン、なんかオカシクナッテル。

 

「か、彼女達は大丈夫なんです?」

 

『何日も閉じ込められれてトリップしてやがる……』

 

ブッド・キャリアーの内部では自己のトラウマ、心の弱さと向き合うことができる。それは、自分の影と戦うということ。更識楯無はデウスが代わりに面倒を見たが、鈴、セシリア、簪、ラウラの四人は今、まさしく自分の心のしこりと戦っている最中だった。

 

恐ろしく迷走しているようだが。

 

「アレを克服しないと出られないんですよね?」

 

『うん』

 

先は長そうである。

 

そこに、

 

「おいデウス。怪我をしたと聞いたが本当か?」

 

保健室の扉を開けて織斑千冬が。

 

「デウスさん! 怪我をしたのなら看病を!」

 

校舎の外から窓越しにナターシャ・ファイルスが。

 

保健室のベッドの上で。エロい保健医に抱きしめられているデウスを見た。

 

「「『…………………………………』」」

 

「あら? 邪魔されちゃったわね」

 

おほほと笑うスコールが怖かった。いや、他二人のデウスを見る目の方がもっと恐い。

 

「「殺す!!」」

 

「あら、やる気?」

 

『お願い動いて俺の体ーーーーッ!!』

 

逃げろ!

 

 

 

 

その頃の一夏。

 

ここは第1アリーナ。そこで、

 

「これより! 織斑一夏の公開裁判を行う!!」

 

「罪状は、女子の部屋に忍び込んでの下着泥棒だ!!!」

 

「「「織斑一夏に裁きを!!!」」」

 

満員の観客席の眼下。広いフィールドの中心に立つ男子学生。

 

織斑一夏が衆人環視の中、裁判を受けようとしていた。

 

「お前らノリノリか!? というか、いつのまにこんなもん作りやがった!!!」

 

フィールドにテレビで見るような裁判所の法廷のようなセットが設置されていた。

 

「風紀委員の備品として作らせたのだ!」

 

風紀員、篠ノ之箒が胸を張って言う。彼女は、裁判官側の席に座っている。

 

「嘘だろ!?」

 

「予算は下りている!!」

 

風紀員、織斑マドカもだ。

 

「あの会長!!」

 

勿論。織斑一夏は被告人席である。

 

「有罪となれば、貴様は学園寮を退寮処分となる!」

 

マジっすか箒裁判長。

 

「明日からの貴様の寝床はテントだ!!」

 

勘弁してくだせぇマドカさんよぉ。

 

「…………ちなみに弁護士は?」

 

「「この学園にお前を弁護する者などいるわけないだろう!!」」

 

「ホント最低だなこの学園! 助けて真季奈ーーーッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

その頃のフランス。真季奈は。

 

「む!? 今たしかに織斑一夏の助けを求める声が!」

 

「幻聴だよ真季奈!?」

 

書類にサインをする手を止めて、真季奈が明後日の方向を向いて叫ぶ。その先は、なんの偶然か日本だ。

 

「………? ッ! いいえ、今のは間違いなく織斑一夏です! わたしの直感がそう告げています!」

 

「………その根拠は? 直感以外で」

 

断言する真季奈にシャルロットが尋ねる。真季奈には仕事が山積みだ。不容易な時間のロスになりそうな事態はなるべく解消していきたい。

 

「いえ、織斑一夏にマークしている監視カメラの映像に慌てふためく彼の姿が」

 

「えらく物理的な直感だね!」

 

真季奈の手には、織斑一夏の姿が映った映像端末が。遥かお空の上から衛星カメラが常に彼をロックオンしております。

 

「しかしこれは一大事です」

 

「うん。一夏に何があったんだろう? 学園でなにか事件でも?」

 

まさか学園でトラブルが!? そう心配するシャルロットだが、

 

「は? 何を言っているんです?」

 

「え?」

 

真季奈は。

 

「学園なんてどうでもいいんです! 織斑一夏がわたし以外の輩にいじめられているんですよ!?」

 

「問題なのはそこなの!?」

 

真季奈にとって、IS学園<織斑一夏の所有権である。主に、ちょっかいを出す権利についてだが。

 

「こうしてはいれません! カモン! お爺ちゃんたち!」

 

「「「呼んだか真季奈ちゃん!?」」」

 

「うわっ!? ほんとに来た!?」

 

真季奈が指をパチンと鳴らすと、デュノア社特別顧問のお爺ちゃん達が五人現れた。ジジイのくせに素早い。

 

「さらにもう一人! ハワードお爺ちゃん! 準備はいいですか!?」

 

「無論じゃ真季奈ちゃん!」

 

「まだいる!? 今度は誰!?」

 

五人の他にまだいる。それはシャルロットも知らないジジイで。アロハシャツにサングラスといったイケイケジジイだった。

 

彼の名はマイク・ハワード。真季奈が呼んだ、バーニア開発の専門家である。

 

「それでは皆さん! ただいまより我々はIS学園に向かいます! 発進用意!!」

 

「「「よっしゃ!」」」

 

「え、いや、ちょっ! 発進!? ねぇ、ちゃんと説明して……」

 

「社長室トランスフォーム開始!」

 

「隔壁閉鎖!」

 

「下の階層との分離オッケー!」

 

「航空会社と周辺国に航路の通達!」

 

「ちょっと待て! 話聞け!!!」

 

マズイ。なんだかもの凄くマズイ!! 

 

社長室全体がゴゴゴ!と揺れている。グォングォン!と謎のモーター音が轟いている。窓は半端なく頑丈そうなシャッターが降りてきて機密性もバッチリさ! 逃げたい! でももう出られない!!

 

「社長! 何やらこのビルに異変が!! 今すぐ避難を!」

 

「あ、お兄さん」

 

「兄さん!? 早く逃げてぇえええええええええええええええ!!!!」

 

なんという不運。

 

真面目に仕事をしていたシャルロットの腹違いの兄は、出来上がった書類を真季奈に提出しようと社長室に訪れていた。

 

つまり、巻き込まれた。

 

「な、なんだこれは!? 一体何が起こっているんだ……?」

 

「あぁ……うん、モウオソイカー」

 

身体を襲う浮遊感と加速音。にも関わらず襲ってこない衝撃。外で何が起こっているのか想像できるが、それでも内部であるこの社長室に異変が一切ないのがもうおかしい。

 

「ふっふっふ、ISの色んな技術の詰め合わせの効果です」

 

「あ、はい。そうですか」

 

どや顔で説明する真季奈にもうツッコム気も失せたシャルロット。

 

ノリノリで計器をいじるジジイ共が恨めしい。状況が理解できないシャルロットの兄がもう不憫でしょうがなかった。

 

「それではデュノア社社長室改め、飛行型社長室ピースミリオン! IS学園に向けて発進!!」

 

「「「ヒャッホォーーーーーーーーー!!」」」

 

「なぁシャルロット? 今、社長がおかしなことを言わなかったか?」

 

「慣れて」

 

真季奈に付き合う方法、それは常識をバットでフルスイングして吹き飛ばす必要があります。

 

「あ、仕事があるので日帰りです」

 

「無茶だ!」

 

片道一時間が望ましいという。

 

おかしい。

 

 

 




フランスと東京まで直線距離で約9800kmぐらいらしいです。

ちなみにぷらもんは飛行機に乗ったことがありません! 乗る機会もありません! というか、高いところが嫌いなので乗りたくもない!

でも高いところから飛び降りるのは楽しいです。

夏は川で飛び込みして遊ぶのが楽しかった小学生の思ひ出。………あの頃は輝いていた……。

という訳で、皆さん夏場は水の事故にお気を付けください。いやホント。(本編に一切関係ありません)

次回、織斑一夏に衝撃の出会いが待っている!?

お楽しみに。

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