IS  復讐のデウス・マキナ   作:ぷらもん

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お久しぶりです。

前回の続きで騒動の締めです。



変態と闘神たちの乱舞

第1アリーナは混迷の渦まっただ中だった!

 

「うーん、これは酷い」

 

「社長、次はこちらの書類にサインを」

 

「あ、はい。にしても、お兄さんも随分と逞しくなられましたね」

 

アリーナの観客席に腰掛けて、ノートPCと自作端末による空中ディスプレイを複数展開させて社長としての仕事を片付けながら。真季奈はその惨事を面白おかしく眺めていた。

 

「………まぁこの状況ですから」

 

「いやぁ……ホントこの学園は飽きさせませんねぇ」

 

眼下のフィールド内では。

 

 

「不審者ーーーっ!! いや、変質者ダーーっ!!!」

 

「風紀員の名にかけて捕縛してくれる!!!」

 

「フハハハハ!! ちょこざいな! 見よ、この紳士ファントムを!!」

 

「!? 変態が変態しただと!?」

 

「いや、高速移動で分身!? 生身でだと!?」

 

「そう生身だ! 見るがいい、この私の股間のユニコーンをぉおおおおおおおおおおお!!!」

 

「「きゃぁあああああああああああああああああああああああああ!!!!」」

 

「死ねやこらぁああああああああああああああああああああ!!!!!!」

 

「止めろシャル! それはマズイ!! 生身相手にパイルバンカーは!!!」

 

「離して一夏! アイツはこの手で始末しないと気が済まないんだぁああああああああああああああああ!!!!」

 

変態と風紀委員とその娘とこれまた変態予備軍の騒動と。

 

 

 

「「「死ねやデウスーーーーーーーーーーッ!!!!!」」」

 

『ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』

 

「ちょっ、この子達なんで暴走して!?」

 

「というか、パワーアップしてる!? これ程とは!!」

 

「なんという恨みの波動、ダメよ簪ちゃん! 暗黒面に堕ちちゃ引き返せなくなる!!」

 

「「「「四闘神ユニゾンプラズマ!!!」」」」

 

『おま、ソレはぁあああああああああああああああああああッ!!!!』

 

「デウスーーーーーーーーーーーッ!?」

 

デウスへの恨みつらみをぶつける進化を果たした四闘神と、それを纏めて受けるデウス。止めようと参戦するお姉さま方たち。

 

この二つの騒乱。事の始まりは前回の変態出現まで遡ることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「織斑一夏くん! 君に眠る可能性、その獣を呼び起こす手伝いをしてあげよう!」

 

「あ、貴方は?!」

 

第1アリーナの開かれた天井。その上部に立つ変態が一人。そいつは、正に『変態』と呼ぶにふさわしい姿をしていた。

 

顔に女性用下着を……いや、よそう。

 

「へ、変質者よーーーっ!?」

 

「誰か警備員を!!」

 

「「「「イヤーーーーっ!!!」」」」

 

観客席にいた生徒達は騒然とし、我先へと外へ駆け始めた。そりゃそうだ。

 

そうしてアリーナの観客席は無人となり、残されたのはフィールド内にいた織斑一夏、志波真季奈、篠ノ之箒に織斑マドカ、柴女黒ノ子ことデウスにスコール、ナターシャ、織斑千冬たちとなった。

 

「なんだあの変態は!?」

 

「すぐに取り押さえるぞ!!」

 

「え? あ、……が、頑張ってください」

 

箒とマドカの風紀委員二人は風紀を乱す変質者を捉えようと動き出すが、真季奈はどこか戸惑っている様子だった。というか、あの変態の正体に気づいてしまったのだ。正直、関わりたくない。いや、関わりがあると露見して欲しくなかった。

 

「ふむ、鞭と蝋燭の扱いも知らぬ生娘達よ! 紳士たる私を縛り上げることができるかな!? トォッ!!」

 

「飛んだ!?」

 

「変態が飛んだぞ!!!」

 

変態が飛ぶ。字面にするとなんと酷い言葉だが、本当に、変態が飛んだのだ。アリーナの屋上から。生身で。

 

「ッ、紅椿!」

 

「サイレント・ゼフィルス!!」

 

箒とマドカがISを展開して変態に向かう。空に駆け上がった二人は目標へと接近し確保にかかる。生身では身動きの取れない宙においてISを纏った操縦者に逆らえる者などいない。

 

その筈だった。

 

「紳士ファントム!」

 

「なにぃ!?」

 

「空中で方向転換した!?」

 

全身の筋肉、バネを使って変態が落下起動を強引にねじ曲げる。それによって、変態へと向かっていた箒とマドカは空中で行き場を見失ってしまった。

 

変態がフィールドに着地する。

 

「長年、女王様からの愛の鞭で鍛え上げたこの体ならば造作もないこと! これぞ紳士道の極地!」

 

「し、紳士道……」

 

「!? 一夏ッ!? しっかりしろ! 何を見惚れている!!」

 

変態が一夏を見て高らかに叫ぶ。というか、無駄に偉そうなのが実にムカツク。

 

しかし、織斑一夏はその変態の動きに目を奪われていた。

 

変態の動きを熱心に見つめる若者。なにこれ恐い。

 

たまらずデウスも、メッちゃんのブリッ子口調を忘れて一夏に声をかける。

 

が、

 

「デウスくん逃げてぇ!!!」

 

そうも言ってられなくなった。

 

 

「え?」

 

 

チュドーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!

 

 

 

「えぇえええええええええええええええええええ!?』

 

空から攻撃が四つ降り注いだ。

 

それを受けたのはデウスだ。メッちゃんの姿だったが、閃光が視界の端に映った瞬間に『デウス EXリペア』に姿を変えて盾で防ぐ。

 

『な、何事だ!?』

 

「デウスくんが悪いんだからね!!」

 

『て、楯無か?! 何があった!?』

 

攻撃の間際、デウスに向かって叫んだのはISを纏った更識楯無だった。

 

彼女の専用機が進化していることに周りが驚愕するが、それと同じくらいの驚きが空から降ってきた。

 

「「「デウス死ねぇーーーーーーーーーー!!!」」」

 

『お前らかあああああああああああああ!!!』

 

現れたのはブッド・キャリアーに放り込まれていた四人。

 

セシリア、鈴、ラウラ、簪たちである。

 

どのくらい放り込まれていたかというと、朝の七時~現在十七時までの十時間である。つまり、現実世界の一時間は一日になるブッド・キャリアーの中では十日過ごしたことになる。

 

あ、そりゃぁ狂うわ。

 

「お腹すいたお腹空いたオナカスイタタタタタタタ全弾発射ァッ!!」

 

「ラウラ!? なんて重武装!?」

 

『シュヴァルツェア・レーゲン』の武装に更なる(ヘビ)(ーア)(ームズ)を施す進化に至った彼女の機体。両肩に装備していたレールカノン「ブリッツ」を両腕にトンファーのように装備し、代わりに両肩、両腕、胸にミサイルポットを装備。機体色も黒に暗青緑が加えられている。

 

「アニメが……特撮が………観たい、ミタァァァアアアアアアアアアアアアアアイ!!!! (マグア)(ナック)!!!!」

 

簪がマルチロックオン・システムを備えたミサイルポッドを出現させる。そこから放たれたのは四十発の人型ミサイル。茶色のそれらはそれぞれが銃や大型クローを装備しており対象へと襲いかかる。

 

『な、自立行動する小型ビットだと!? えぇいチマチマと!!』

 

自分に群がり攻撃を加える小型兵器。それを振り払っている隙に、

 

「でぇえええええええええい!!!」

 

近接武器である対複合装甲用の超振動薙刀「夢現」を進化させた巨大なショーテルを両腕に装備して簪が突進し切り掛ってくる。

 

「デウスさん!」

 

ナターシャが『銀の福音』で簪を攻撃する。「銀の鐘」から放たれたエネルギー弾。だがそれは、進化した『打鉄弐式』の厚い装甲に弾かれた。

 

『なんて硬い装甲だがはぁあああああああああ!!!』

 

「「デウスーーーっ!!」」

 

デウスが吹き飛ばされ、それを見た者たちが叫ぶ。

 

ひき逃げの要領で吹き飛ばされたデウスは、その衝撃で着ていた鎧を弾き飛ばされた。

 

『ば、馬鹿な……俺の勇者の鎧が、グフッ!』

 

鎧を剥ぎ取られ、軽装の姿となった彼は地面に転がった。そこへ、

 

「冥府に落ちなさあああああい!!!」

 

「お前が悪だ!」

 

『待ってくんないかな!?』

 

死神と龍が来た。

 

セシリアの『ブルー・ティアーズ』。六基のビット。その内の四基がファンネルとなりビームの膜を発生させるシールド、アクティブクロークとなり。二基のミサイルビットはクローを備えたバスターシールドに。そして、巨大なスナイパーライフル「ブルー・ピアス」を振りかぶる!

 

『銃で殴る気、じゃねぇ!? (サイズ)だと!?』

 

ライフルの砲身を手に持ち、グリップからビームサイズを発生させた巨大な(デス)(サイズ)でデウスに斬りかかる。

 

「アタシにもやらせなさい!!」

 

そこにドラゴンハングが二つ加わる。巨大な龍が首を伸ばして大顎を開き噛み付きデウスを拘束する。

 

『これは蓮花のと同じ!?』

 

中国の代表候補生、劉蓮花の使用していた専用機。それに装備されていたドラゴンハングと同じものが『甲龍』の両腕に装備されていた。双天牙月はビームトライデントになり、背中には「崩山」が翼と竜尾の砲塔に形状変化を果たした。そして、機体色が赤み掛かった黒から緑へと変わっていた。

 

ラウラは機闘神。簪は斬闘神。セシリアは冥闘神。鈴は龍闘神。それぞれがデウスに渡されたアルガスの神器によってパワーアップした姿である。

 

「「くたばれぇやぁあああああああああああああああ!!!!」」

 

『お前ら本気で殺る気か!?』

 

サイズとトライデントが突き刺さる、という時に。

 

その声が聞こえてきた。

 

「確認します。フィールド・バリアーは張ってますか?」

 

「なんだこの声は?!」

 

「どこから!?」

 

騒ぎの中、突如割り込んできた声に一同の動きが止まる。

 

「バリアーは万全だ! それがどうした!?」

 

箒が代表で答える。その声は、その返答に。

 

「そう……なら、お前をコロス!!」

 

「!? ダメですシャルロットさん!!!」

 

アリーナの上空に、機甲神の力を込めてサテライトキャノンを構えるシャルロットの姿があった。

 

引き金が引かれる。

 

そして、ちゃっかり真季奈は観客席に避難済みだった。

 

巨大な閃光が光の柱となって降り注ぐ。ソレはフィールド・バリアーを飴細工のように簡単に砕き、フィールド内の全てを焼き払った。

 

「死ねやクソ親父ぃいいいいいいいいいいいいいいい!!!」

 

「「「ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」」」

 

周りは完全にとばっちりである。

 

 

 

 

 

「いやぁ本当に酷い光景ですね」

 

「楽しそうですね社長」

 

会話は冒頭に戻る。

 

騒ぎから早々に避難した真季奈は、傍らにシャルロットの兄を侍らせて仕事をしていた。社長業は多忙なのだ。自分が大変な思いをしているのだ。周りは無様を晒して自分を楽しませる肴になればいい。真季奈はそう考えていた。

 

「そういえばお兄さんはIS学園は初めてですよね? どうですか? 好みの女の子とかいたんじゃないです?」

 

「ははは。そんな目で生徒を見ていたら犯罪ですよ……ただ、そうですね……」

 

「はい? なんでしょう?」

 

真季奈の問いかけに初めは笑って冗談で答えるシャルロットの兄。しかし、すぐに真面目な顔になり、

 

「強いてあげるなら……制服、ですかね」

 

「え? あ、あぁ……そうですか。制服、ですか」

 

制服が気になるとかおっしゃいましたよ?

 

「この学園は制服改造が自由と規約にはありましたが……まさかこうも大胆に、おおっぴらに手を加えているとは……」

 

「あっ! そっちですか! ですよね! うん!」

 

制服を自由に改造しても良い校則が気になっていた様子。もしや制服フェチか!? と一瞬でも疑ってしまった自分が恥ずかしいと真季奈は思った。

 

「まさか制服を改造するどころかゴスロリ服を着ている生徒もいるとは……」

 

「あれは違いますからね!?」

 

アレは学園の生徒でもないし女でもない。女装趣味のあるショタに変身できる犬型ロボットに搭載された人口知能AIだ。あれ? 自分で言ってて訳が分からん存在になってる。しかも造ったのはわたし、あ、黙っとこ。

 

「ご、ゴスロリ服に興味でもありますでせうか?」

 

「? 口調がおかしいですよ? いえ、ただ……社長に似合いそうだと思いまして」

 

「え?」

 

それはとても朗らかな笑みだったという。

 

「社長にゴスロリ服……うん、いいな。色はもちろん黒に白いフリルで……もちろん靴はブーツではなくリボンの付いたパンプスタイプにしてハイソックスは白、いや白と黒の縞模様か? あと頭にはリボン……も捨てがたいがミニハットも……どうでしょう社長! 他社への取引ではこれで!」

 

「却下です!!!」

 

とんだ藪蛇でした。この人はこっち方面での『紳士』なんですね。

 

デュノア家の人間はやはりみ皆どこかおかしいみたいです。

 

………どうやら、デュノア社の舵取りは唯一の真人間であるわたしがしっかり行わないといけないようですね………ん? なにやら物凄くツッコまれているような……うん、気のせい気のせい。

 

なんて考えてたら。

 

 

チュドーーーーーーーン!!

 

 

大きな爆発音の後に。

 

 

『ギャフ!』

 

 

何やら黒い塊が飛んできました。

 

 

「おや、デウスじゃないですか。楽しそうですね」

 

『それマジで言ってるのがお前の怖いところだよ!!』

 

ウチのバカ犬兼馬鹿息子が飛んできました。やーい。

 

にしてもボロボロです。

 

改めて見ると、左腕は無く、右目は潰れて体のあちこちが傷だらけ。一体何をしてきたんでしょう? 

 

もう一つ疑問があります。それは会長以下四名の専用機持ち達の異常なパワーアップです。ISがこんな短期間で、しかも大勢が同時に進化する? 明らかに何者かの仕込みを感じます。

 

デウスの大怪我と彼女たちのパワーアップ。これら二つに関係があるとすれば………。

 

わたしのISも更なるパワーアップが可能なのではないでしょうか?

 

これは、聞き出す必要がありますねぇ。

 

「何時もみたいに不思議パワーでその傷治さないんですか?」

 

『ちょっと諸事情があって『復活』するためのエネルギーが足りないんだよ。くそぅ、太陽の光さえもっとあれば……』

 

ふむ。諸事情、ですか。そこのところをわたしに詳しく話すつもりはない? というか、デウスの不思議パワーの源は太陽ですかそうですか。

 

「にしても会長とかもの凄く強くなっていますね。あの四人も、ナターシャさんと保健医?さんのISを完全い押さえ込んでいますし、どうやって鍛えたんです?」

 

直球で切り込んだ。これはおかしくないはずだ。

 

見るからにあの四人、オルコットさんと鈴とラウラちゃんにカッシーは強くなっている。四人がかりで会長と互角。あの夏の海で苦戦した『銀の福音』を圧倒し、金色のIS……『ゴールデン・ドーン』ですか? も纏めて相手にしている。というか、ISが進化している時点で大問題だ。

 

これに『何をした?』と聞くのは当たり前だろう。

 

『何って……美味い食事に適度な運動、それだけだよ』

 

「ほう、それはうらやま「「「何が美味い飯と適度な運動か―ーーーーーーッ!!!!」」」うわっ!? 攻撃がこっちに来た!!」

 

慌てて『暮桜 天マキナ』のシールドのみを部分展開させて防ぎます。デウス、貴方そうとう恨まれてますよ!? 何したんですか!! しかも四人がかりとはいえフィールド・バリアーをやすやすと突破してくるとは……。

 

『……ハッ! そうか! 暮桜には今(クリス)(タルフ)(ェニッ)(クス)が……太陽の力があったか!』

 

「え? いきなり何を言ってるんで……」

 

『ちょっとIS借りるぞ真季奈!!!』

 

「あ! こら!!」

 

何に気づいたのか。デウスは突然わたしに飛びかかり左手の薬指にはめた金色の指輪、『暮桜 天マキナ』の待機状態のそれをもぎ取って行きました。痛いじゃないですか。

 

そして、

 

『天帝よ! 光の化身たる鳳凰よ! 我に力を与えたまえーーーーッ!!!』

 

なにやら訳の分からない言葉を発し、指輪を握り締めてフィールドに飛び込んでいきました。

 

すると。デウスから金色の光の柱が立ち上り、そこに一人のシルエットが浮かび上がります。それは、『デウス EX ソーラレイカー』と同じ四枚羽根の……いえ、違う!?

 

 

『出世変化! (マー)(クス)(リー)大将軍見参!!!!』

 

 

現れたのは背中に二門の大砲と四枚の赤い翼、両肩と頭部の鳳凰の意匠を取り込んだ白い鎧を来た存在。デウスの、竜の要素の多い『EX』の姿の鳳凰版、といった姿がそこにあった。

 

というか、本当に復活している。左腕も、潰れた右目も治ってるんですけど!? わたしのISって一体何なんです?!

 

『お前ら好き勝手やってくれたな!! 覚悟しろ!!』

 

「「「好き勝手やったなのはどっちだ!!!」」」

 

多分彼女たちの言い分が正しいのだと思います。

 

『五月蝿い! ()()()()()(スター)!!』

 

「「きゃぁ!!」」

 

背中の大砲を九十度前方に倒し、発射させます。その大砲から放たれた巨大なエネルギーはオルコットさんとカッシーの頑強な装甲とシールドをたやすく突破し二人を一撃で戦闘不能にしてしまいました。

 

「よくもやったわね!!」

 

鈴がビームトライデントを振りかざしてデウスに向かっていきます。

 

(ダブル)(ハー)(ケン)!!』

 

それを迎え撃つ為にデウスが取り出したもの。それは先端に両刃の鎌のようなものが付いた槍です。いえ、本人がハーケンと言っているのでそうなんでしょけど。

 

トライデントとハーケンの柄と柄が合わさり拮抗します。ですが、やはり鈴の方が徐々に押されています。

 

「こ、のぉ!! なんて馬鹿力ッ!!」

 

『光の竜と鳳凰! 二つの太陽が合わさればこれくらいぃぃ!!!』

 

なにかデウスが言っていますが、鳳凰? それってわたしの暮桜のことですか? そういえば……そんなものもいたような?

 

『纏めて片付けてやる!! おりゃぁ!!!』

 

「ちょっ!?」

 

デウスがハーケンを押し込み、鈴を推進力の力押しで吹き飛ばします。彼女の向かう先には、ラウラちゃんと先に脱落した二名がいて、

 

『斬鳳剣!!』

 

デウスが鳳凰の意匠を施した剣を鞘から引き抜きます。

 

『津波斬りぃ!!』

 

デウスの放った技。それは刀身に青い光の力が宿り、放たれたときには地面を津波のように走って目的の相手へとぶつかりました。

 

それは文字通り斬撃の津波。面となって敵を包み込む斬撃は全てを切り裂き、倒します。

 

「「「きゃぁあああああああああああああ!!!」」」

 

あの四人を一撃ですか………凄まじい力です。

 

「大将軍………あの力、欲しいですね」

 

「社長、悪い笑みがこぼれてますよ?」

 

「おや、失敬」

 

いけないいけない。頬が緩んでいましたか……。でも、

 

「大将軍……クク、ふふふふふッ!!」

 

わたしのISがデウスに力を与えたことには変わりない。ならば必ずあの力は手に入る。いえ、手に入れてみせる。

 

なぜならば、

 

「全ての力、天は……ワレノモノダ………」

 

真季奈の背後、その影に。

 

邪悪な存在がその目を光らせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうした一夏君! そして少女たちよ! 大勢で私を囲んでいるというのにその程度なのかね?!」

 

「くっ、こいつ……なんて変態なんだ!!」

 

「サテライトキャノンの直撃を食らったはずなのに、なんで!?」

 

「というか、シャル……」

 

「何? 一夏!?」

 

サテライトキャノンの直撃を食らったはずの変態を取り囲み、一夏やシャル、風紀委員の二人が疲れた顔で戦っていた。

 

しかし一夏が、

 

「さっきクソ親父って……まさかあの変態……」

 

「グッバイ一夏!」

 

「ぎゃふんっ!?」

 

パイルバンカーが一夏を容赦なく襲う。シャルの口封じは恐ろしい。

 

「しゃ、シャルロット!? 何を!!」

 

「ねぇ箒、マドカちゃん? さっきのサテライトキャノンは出力十パーセント位なんだよ?」

 

「え、あれで!?」

 

全力の十分の一の力でフィールドバリアーを一撃で粉砕。百パーセントで撃ったらどうなるのだろう?

 

「……なんだか、無性に撃ちたくなってきたなぁ、………全力で」

 

「「私達は何も聞いておりません!!」」

 

「だよね☆!」

 

こうして後暗い取引が成立したという。

 

「ふふふ、いいぞシャルロット! ますますお前の母さんに似てきたではないか!!」

 

「それ以上喋るなぁ!!」

 

発砲。シャルロットがアサルトカノン「ガルム」を容赦なく変態に叩き込む。……生身の相手に。

 

しかし。

 

「温い! 責めが足らんぞシャルロット!!」

 

「……うわぁ」

 

シャルが撃った弾丸は、確かに全弾命中した。なのに、この変態はサイドトライセップスのポーズのまま耐えきっていた。色々とオカシイ。

 

「こ、これがSHINSHI-DOUの力なのか……!?」

 

「ふっ、そのとおりだ一夏君。そして、君にもその可能性があるのだよ」

 

一夏がその光景に目を奪われている中、変態、いや、SHINSHIはサイドチェストのポーズのまま近づいてくる。

 

「何がSHINSHIだ!! ただのHENTAIじゃないか!!」

 

「いや箒!? 弾丸を弾いている時点で普通じゃないぞ!?」

 

箒がたまらずツッコムが、その箒にすらマドカがツッコんでいた。ボケがボケを生んでいく。今この空間は、深刻なシリアス不足だった。

 

「一夏君。君のことはシャルロットの報告から聞いていた。なかなかの逸材だと」

 

「え、やっぱりアンタシャルの」

 

「オラァッ!!!」

 

「ケツソバット!」

 

余計なことに気づきそうな奴にはシャルからのキックがお尻に叩き込まれます。

 

「それだよ、一夏君」

 

「な、なに?」

 

「君はそうして、身体にご褒美を受けることを快感とする術を持っている。しかし!! 君はまだまだ己の欲望を出し切っていない!! 周りの目を気にして、内に秘めたリビドーをさらけ出していない!!!」

 

「馬鹿な!? 俺の真季奈に攻められたいと言う気持ちが不十分だって!?」

 

「「「いえ、既に十分変態です」」」

 

変態同士の語り合いを冷めた目で見る少女たち。誰か、ここに病院持ってきて。

 

「攻められたい気持ちだと? 笑止!! 足りん、足りんぞ一夏君!!」

 

「なっ!?」

 

「紳士たるもの、女王様が攻められる快感を得られるように動かなくてどうする!?」

 

「そ、そうかーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!!!」

 

「え、何言ってるのこの人たち?」

 

織斑一夏に天啓が落ちる!!!

 

変態はこう言ったのだ!

 

女王様に、真季奈に、快感を与えよと!!!

 

「そ、そうだ……俺は真季奈に攻められて喜ぶばかりで、彼女を悦ばせることをしてなかった! そんな独りよがりな関係でしかなかったんだ!!」

 

地面に突っ伏し、己のこれまでのことを思い直し後悔する一夏。そこには、自分が真季奈からの攻めをただ喜ぶだけだった男だったという事実しかなかった。

 

「そう悲観にくれるな、若人よ」

 

「お、お師さん!」

 

「おいバカやめろ」

 

おめでとう。変態は師匠にランクアップしたよ!

 

「ただ攻めれるのでなく、こちらから攻めればいいのだよ。攻められながらな」

 

「なっ!? 攻められながら相手を攻める!? そんな高度な方法、俺にはどうすれば……教えてください!! お師さん!」

 

「総員、この変態共をこれ以上接触させるな!!!」

 

「「了解!!」」

 

変態が一夏に余計な知識を与えないよう、箒が号令をかける。それに答えて動こうとするマドカとシャルだが、

 

「簡単だよ! 私を見たまえ!! この、娘のパンツを被ったこの姿をーーーーーッ!!!!」

 

「今すぐ死ねぇええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!」

 

シャルの殺意が跳ね上がり、その手に持つ火器類が一斉に火を吹いた。『高速切替』を駆使し、ありとあらゆる搭載武器を弾切れするまで次々と撃ち尽くす。

 

「「ハーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」」

 

変態共、いや。紳士達が奇声を上げながら跳躍して躱す。それは三メートルに達する程の高さで、空中で三回転半捻りを加える余裕すらあった。

 

「「「なんなのアイツら!?」」」

 

なんなんだろう?

 

「素晴らしい! 悟ったか一夏君!」

 

「あぁ! 真季奈が俺を悦ばせてくれるんじゃない! 俺が真季奈も悦ばせなければならなかったんだ!!」

 

「そうだ! 攻め、受ける! その関係は片方だけが悦ぶものではない! 互いが昇華し高め合うものなのだよ!!」

 

「じゃぁお師さん! 貴方もッ!?」

 

「フッ、その結晶がシャルロットさ」

 

紳士達が空中でSHINSHIワールドを展開させて語り合う。お前ら滞空時間どうなってんの? とツッコミを入れたい。

 

「それでは行け、一夏君! 君の女王様のところへ!!」

 

「はい! お師さん!」

 

紳士達が空中で別れる。片方はフィールドへ。もう片方、一夏は観客席にいる真季奈の元へと飛ぶ。

 

「真ッ季、奈ーーーーーーー!!!!」

 

「アレは!?」

 

「ル●ンダイブだとぉッ!??」

 

一夏が真季奈に向かって一直線に飛んでいく(生身で)。

 

真季奈は書類にサインを書いている。一夏のことなど一瞥もしていない。

 

このままではぶつかるのでは? と思ったのはシャルロットの兄だけだった。

 

「ぶべっ!?」

 

「この、変態がぁああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

織斑一夏のダイブは、真季奈が上げた片足に顔面を突っ込むことで止まった。

 

ボキリ、と骨が逝く音がする。

 

「黙って聞いていれば好き勝手言いやがって!! 身の程を知れこの虫けらが!!!」

 

「ありがとうございます! ありがとうございます!!」

 

真季奈の蹴りを顔面に貼り付けたまま一夏は歓喜の声を上げる。しかしここまではいつも通り、何も変わらない。

 

ここからが織斑一夏の紳士たるところの見せ所!!

 

「真季奈ーーーっ!!! そのスカートの中に埋もれさせてくれーーーーッ!!」

 

「…………死ね!!!」

 

真季奈の肢体を求めて、織斑一夏は飛びかかる。それを殴り、蹴る飛ばすことで躱す真季奈。だがこの男、よくも悪くも進化していた!!!

 

「くっ、速い!? 馬鹿な!!」

 

真季奈の迎撃を避けつつ距離を詰める一夏。その動きは先ほどの変態紳士が見せた紳士ファントムだった。

 

「ッ! そこだぁっ!!」

 

「きゃぁん!?」

 

とうとう真季奈の動きを凌駕して一夏はその体を捉える。小さな真季奈の下腹部に抱きつく姿は犯罪臭の塊だった。

 

「こ、この柔らかさに甘い香り! まさに現代の桃源郷やーーーッ!!」

 

「こ、こら! 止めなさっ、あっ! んっ、ダメぇぇッ!!」

 

真季奈に抱きついてその感触を全身で愉しむ織斑一夏。その思いがけない行動に対処できず、顔を真っ赤に染めて涙目になる真季奈の姿もまた新鮮だった。

 

「こ、のッ! いい加減にしなさい!!!」

 

「げふぅっ!!!」

 

一夏の体を足で挟んで固定し、その脳天へと両手を組み合わせたトールハンマーを放つ。

 

動きが止まったところで一夏の体を蹴り上げて観客席に転がし、踏み付ける。

 

「調子に乗るなよこの盛りの付いた豚が! 去勢して出荷してやるこの家畜がぁっ!!!」

 

「ありがとうございます! あぁッ! この感触! 久しぶりにイイ!!」

 

「ッ! つ、つくづく見下げ果てた変態だなぁああああああああああああああ!!!!」

 

「はぁああああああああああああああああああああああん!!!」

 

げしげしと、何度も一夏を踏み付ける真季奈。それに一夏は大層お悦びのようである。

 

その間、真季奈の顔は終始真っ赤だったという。

 

そして一夏は一つ大きな見落としをしていた。

 

この場には、デウスと織斑千冬がいるということを!

 

「『一夏ぁああああああああああああああああああああ!!!!!』」

 

真季奈の悲鳴を聞いて、二人の真季奈スキーが怒りのままに突撃する。

 

「パス!」

 

「ぎゃん!」

 

それに合わせて一夏を蹴り飛ばす真季奈。哀れ一夏は一瞬、空中を泳いだ後にデウスに捕縛された。

 

『貴様は一度性根から鍛え直さんといけないようだなあぁああああ!!!』

 

白き大将軍が怒りの炎を立ち上らせて発情猿を締め上げる。

 

「デウス! やるなら半殺しだ! 残り半分は私がコロス!!!」

 

それって二人合わせて全殺しですよね? 姉の容赦ない怒りが弟を追い詰める。

 

頭に角を生やす勢いで鬼になる二人に引きづられて一夏はお仕置きコースへと誘われていく。

 

それでも、

 

「真季奈ーーっ!! 大好きだぞーーー!!!」

 

「なっ、にゃっ、…………ば、ばーか」

 

最後まで織斑一夏は、織斑一夏だった。

 

 

 

「…………手を出さないでくれてありがとうございます」

 

「いえ、あの少年からは父と同じ雰囲気を感じたので」

 

織斑一夏の真季奈への変態行為を、シャルロットの兄は黙って見ていた。直ぐ様殴り飛ばしたい衝動を抑えてまでそうした理由。

 

それは真季奈が楽しそうだったから。

 

真季奈が社長になってから彼女は激務の連続だった。不敵な笑を浮かべることも多かったが、常に会社のトップとしての顔を見せていた。

 

つまり、本当の意味で笑顔を見せていなかった。

 

それがこの学園に来てから、いや。織斑一夏と関わり始めてからは常にイキイキとしていた。笑い、怒り、楽しむ。全てを屈託なく歳相応の表情を見せる彼女をどうして邪魔できるものか。

 

だが、

 

「社長に抱きついたのだけは許さん」

 

「はい?」

 

それだけは部下として、男として引き下がるつもりはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さて千冬。この馬鹿をどうしてくれようか?』

 

「ただ痛めつけるだけでは割に合わん。地獄の特訓コース ~エクストリームモード~ の刑に処してやる!!」

 

「ひぃぃぃ!! お助けええええええ!!」

 

慈悲はない。

 

大将軍と鬼軍曹のスペシャル特訓コースである。というか、デウス? いい加減真季奈にISを返しなさいよ。

 

『それにしても一夏』

 

「なんだよデウス~~? 俺頑張ったほうじゃんかよ~~~?」

 

『情けない声を出すなバカモンが。そんなことより』

 

「? なんだよ?」

 

『あそこまで押したのなら、『大好き』ではなく『愛している』くらい言ってみせんか情けない』

 

「「!? あああ愛!?」」

 

デウスの言葉に、織斑姉弟が揃って狼狽えた。愛ですって愛。

 

『……全く、お前ら揃いも揃って先が思いやられるな』

 

それはそれとして。

 

『(上手いこと、あいつ等の機体も進化したようだな)』

 

これでブッド・ドキャリアーに放り込んだ面々達は全て特訓が終わったことになる。

 

『これから』に備えての戦力は整った。それはいい。

 

しかし、別の問題も一つ持ち上がった。

 

真季奈に探りを入れられた件だ。彼女にブッド・キャリアーのことを知られるわけにはいかない。

 

アレは心を鍛える場所。内部で仕様者のトラウマ、弱い心に反応して自分の影を生み出し戦う修行場。心に巣食った影が大きければ大きいほど、生み出される分身たる影も強くなる。

 

そんな場所に、真季奈のような特大の闇を抱えた者を放り込めば………?

 

『考えたくねー』

 

覇界神と一戦やらかす前に、別の魔神が誕生しそうである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へーい! カッシー! どうやってそんなに強くなったのー?」

 

「あ、マッキー久しぶり。あのね……」

 

あ、こら!

 

 




おめでとう! 織斑一夏の変態レベルがあがりました!

めでたくねー。


今回で四闘神にパワーアップ! ということで、専用機持ちたちのパワーアップ素材となったナイトガンダム達を紹介していきたいと思います。


更識楯無: (武闘神) ・機体はデュエルカイザーですが、性能はファルコガンダムやゼロガンダム等の雷龍剣の方々。最強の方々から。

更識簪:  (斬闘神) ・サンドロックと騎士アレックス。騎士団長と生徒会長から。

ラウラ:  (機闘神) ・ヘビーアームズと闘士ダブルゼータ。人造人間繋がり。

セシリア: (冥闘神) ・デスサイズと法術師ニュー。厨房に立ったら死神になるし。

鈴:    (龍闘神) ・シェンロンと剣士ゼータ。機体名がまんまシェンロン(甲龍)だから。

シャル:  (機甲神) ・アルテイヤー。単身、デラーズでスパイ活動していたルナガンダムから。


箒:    (鎧闘神) ・エピオン。だけど出番はまたいつか。


パワーアップした機体はカードダスのイラストに似るように考えています。ただ、冥闘神と龍闘神だけはガンダムAで連載中の「敗者たちの栄光」に登場のデスサイズヘルとアルトロンに似せています。


デウス:(黄金神/大将軍)・スペリオルドラゴン=真悪参。漫画版より。プラモの説明書マンガだと設定は違うよ!


ちなみに、デウスは度々女装しますが……ガンダム作品において女装はむしろ当たり前! ヒロインよりも可愛い主人公もいるんだよ!? 御曹司も大喜びな!

それと、ガンダムA公式四コマで「スペリオ~ルなと・き・め・き♥」ってポエムを書いて女装趣味のある新生アルガス騎士団長もいるんですよ! 完全にネタだけど。


それでは次回、「神になれなかったもの」でお会いしましょう。
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