IS  復讐のデウス・マキナ   作:ぷらもん

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まずい、自分でも続きがどうなるのか思い出せなくなってきた……!?

※大筋は大丈夫です。


決闘用IS

あの後、俺達はIS学園から飛んできた救助ヘリに回収された。

 

もちろん、そこに織斑マドカの姿はなく、世界最高性能のIS『赤椿』も失われていた。

 

なんでこんなことになったのだろう。

 

真季奈に会いたい。切実に。今すぐ。

 

 

「「「さぁ詳しく話せバカヤロウ」」」

 

 

助けて真季奈ぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺からの話は以上でございまする……」

 

IS学園の一年一組。その教室の真ん中にて。

 

パンツ一丁で土下座している織斑一夏の姿があったそうな。

 

この男、もはや女子の前で服を脱ぐことにためらいも羞恥心もないのである。というかなぜ脱いだ?

 

その周囲をクラスの面々がぐるっと囲んで見下ろしている。ここで気を付けないといけないのが、彼女たちの視線に侮蔑や嘲りの感情を乗せすぎないこと。それはこいつにとってご褒美だからである。

 

織斑千冬の暴走に端を発し、何がどうしてそうなったのかという風紀委員同士の戦闘。それによって暴走したという二機と『赤椿』と共に去っていった織斑マドカ。

 

「『ブルー・ティアーズ』損傷の責任を織斑先生にどう支払わせようか考えている間にそんなことが……」

 

「アタシの『甲龍』を半壊した事をお爺ちゃんにチクってやろうとしてる間にそんな不祥事が……」

 

「教官の暴走を本国に報告して機体損壊の件は私の責任じゃないように誤魔化している間にそんなことになっていたとは……」

 

「どんなことになっても全部織斑先生が悪いって言い訳する準備しててよかった」

 

「確かに千冬姉ぇが悪いんだけどさぁ!?」

 

事実であるが容赦がない。この四人、セシリアと鈴にラウラと簪は、真季奈に言い寄る野郎をぶちのめそうと暴走した千冬姉ぇに専用機を破壊され、その責任を本国から追求されていたのだ。身代わりにというか、原因に対して辛辣になっても仕方のないだろう。

 

「中国とドイツの方々はまだマシですわ。こちらは代表候補生が失踪したのですから。しかも札付きの」

 

「そっちは機体が残っているだけいい方。ウチは最新鋭機が持ち逃げされてる」

 

そう。今回の事件、被害が大きかったのはイギリスと日本だろう。

 

BT兵器のテストパイロットとしてわざわざ危ない橋を渡ってまで抱き込んだ元犯罪者の織斑マドカの逃走。これに頭を抱えるイギリス政府には同情しかないが、唯一救いなのは彼女の専用機である『サイレント・ぜフィルス』が無事に残っていること。機体さえあれば現状のデータを保存さえしておけば最悪操縦者の登録を抹消してしまえばいい。が、機体はそれでよくても操縦者が消えた件はどうしようもないわけで。

 

日本はというともっと悪い。世界最強、最新鋭の第四世代ISが盗まれたのだ。これ以上ない失態だろう。しかも犯人はイギリスの代表候補性で元犯罪者。イギリスの抗議する? それもいいだろう。しかしそもそも、その『赤椿』ですら曰くつきの品なのだ。国際的『指名手配犯』からの妹への誕生日プレゼントとという。つまり、冗談のような話であるが、『赤椿』は日本政府の物でもIS国際員会の物でもなく、篠ノ之箒個人の『私物』なのだ。取り上げようとすれば『天災』の怒りがどこに向くのか予想もできない。だからこそ、基本的なデータ取りは箒本人に『お願い』して許可をもらう必要があった。故に、今だに詳細なデータを取りきれていなかった。これは痛い。

 

……まぁもっとも。今だに第四世代どころか第三世代の開発に苦労しているレベルの技術しか持ち合わせていないのだ。それがいきなり第四世代の実機を見せられたところでどこまで再現できるのかわかったものでもないが……。

 

それはそれ。世界最先端の技術というせっかくのチャンスを失ったことに変わりなかった。

 

曲りにも日本が保有する技術を、イギリスの代表候補生が奪って逃走した。

 

この事実をどう扱うかで、事は日本とイギリス間の問題どころか世界情勢にすら影響を与える大問題であった。

 

 

「その件なら解決した!」

 

 

「「「織斑先生!!」」」

 

 

なんて悩んでいたらこれである。

 

教室の扉を開け放ち、堂々と、悪びれもなく入室してくる元凶の担任教師の姿を見て。

 

生徒は思った。

 

流石の織斑先生だぜぇ……、と。色々な意味で。

 

「………いや、でも……凄いけどさ……」

 

しかしそれでも不安は拭えない。なにせ今までの規模とは訳が違う。国家を巻き込んだ不祥事と学園で起こしてきたトラブルとは……。

 

「全部、束が仕組んだことだと報告した! だから私は何も悪くない!!」

 

「「「その手があったか!?」」」

 

「「「流石織斑先生! 私達にできないことを平然とやってのける! そこに痺れる憧れるーーー!!!」」」

 

「いや、なに姉さんの罪状を増やしてくれてるんですかアンタは?!」

 

伝家の宝刀、『なんかあったらあいつのせい』。中学・高校・社会人と、長く続いた腐れ縁で培った厄介事の押し付け合い。これこそが篠ノ之・織斑の幼馴染による友情の力である。

 

………友情?

 

この日より、篠ノ之束の国際指名手配犯としての危険度が更に広まったという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、篠ノ之束の懸賞金が上がってますよ?」

 

「え、なんで?」

 

フランス、デュノア社の社長室で真季奈とシャルロットがその事実に驚く。ニュースを見ていた真季奈からしたら「あぁそうだったのか」と納得すらしたが。

 

「なんでも、IS学園で新型ISの強奪、テストパイロットの誘拐、飛行中の旅客機を砲撃と……ずいぶんなことをやらかしたようですね」

 

「いや、あの……旅客機を砲撃って……」

 

「はっはっは! わたし達のことに決まってるじゃないですかぁ! もう、シャルロットさんったらとぼけちゃってぇ!」

 

「いや、そんな明るい話題じゃないよね!?」

 

とても楽しそうな笑顔で言う真季奈にドン引きするシャルロット。しかしながら、自分たちはあの時死にかけたのだ。それを楽しそうに語る少女に同調できるほど彼女はまだ壊れていなかった。

 

「さて、まぁそれでもブラフの匂いがしますけどねぇ」

 

何せ、今回の事件には篠ノ之束らしさがない。あれはもっと利己的で、派手好きだ。毛色が違うといってもいい。

 

あぁ、そうだ。彼女ならもっと人目の付く手段をとる。盗むのなら白昼堂々。撃ち落とすのなら大勢の前で。

 

なのに、この事件はどちらも夜間に、静かに終結している。まぁ現地は大混乱なんでしょうけど。

 

つまり、冤罪? 誰かのやらかしたことを擦り付けられた?

 

「真季奈?」

 

撃ってきた……のは殺意があった。と思う。避けなければ撃墜されていたし。狙っていたのはわたし? 誰が? 何故?

 

「シャルロットさん。わたしって誰かに恨まれるようなことしてましたっけ?」

 

「ごめん。心当たり多すぎてわかんない」

 

え、うそ?

 

「………真季奈ちゃんは人気者、ですよね?」

 

「………………………………………………………………………………うん、そうだね」

 

何故こっちを見ないのですか!? 

 

むぅ、やっぱり真季奈ちゃんは関係ないです! どうせ変態の存在を感じ取ったHENTAIによる親父バトルでもあったんですよ!! 真季奈ちゃんは悪くないもん!!

 

詳しい情報は秘匿されてますが、その辺は調べれば………面倒ですね。やめときましょう。

 

今は自分たちのことで精いっぱいです。

 

「ではシャルロットさん。些事は放っておいて、わたし達の仕事を進めましょう」

 

「些事って言いきったね。そういうところだよ真季奈」

 

だって、正直関わっていられるほど余裕もないし。

 

これからデュノア社の命運をかけたプロジェクトの第一歩を刻むのだ。その準備もあるし、もちろん実行だって日を置く気もない。しかも数日後にはキャンボールフィストだってある。スケジュールはカツカツだ。

 

「では。装備を大気圏単独離脱突入装備(ディープストライカー)に換装後、宇宙に上がります。急いでくださいね」

 

「テストが本番って……やだなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、話とはなんだ篠ノ之」

 

IS学園の秘密の地下室。知る者の少ないその場所に二人の影。

 

篠ノ之箒と織斑千冬である。

 

「織斑先生。お願いがあります」

 

「だから、それはなんだと聞いている」

 

箒が千冬を呼び出し、千冬が彼女をここに連れてきた。ここは、真季奈とデウス、そして自分以外では山田真耶しか知らないIS学園の秘奥の園。

 

カイザーワイバーンに驚愕し、『赤椿』の真のコアに仰天したあとに箒がこれ以上驚くものもなし。逆に覚悟も決まったというものだ。

 

「(だからこそ、連れてきたのだがな)」

 

この場所を篠ノ之箒に教えるメリットはまずない。むしろ、彼女にとって余計な知識であり将来にとっての害悪になるだろう。知らなくていいことを知るとはそういうことだ。

 

しかし彼女はすでに政府に囚われている身だ。篠ノ之束、彼女の姉のせいで。

 

つまり今更。いや、それはただの言い訳だろう。

 

だが彼女はすでに庇護者ではなく当事者だ。守られるためにいるのでなく、戦うための覚悟があると、千冬は判断したのだ。

 

「私に、私の専用機を作ってください。今度こそ本物の専用機を!!」

 

篠ノ之箒の専用機。それは『赤椿』か? 否。断じて否。

 

『赤椿』が篠ノ之箒の専用機であったことなど一度もない。あれは勝手に送られ、勝手に着せられた『おさがり』に過ぎない。機体仕様もちぐはぐで操縦者の要望に何一つ応えていない半端もの。なまじ性能が最強だっただけに手放せなかっただけのおべべだ。

 

だからこそ欲する。今こそ。その為の理由ができたのだから。

 

「……いいだろう」

 

その理由を織斑千冬は知っている。恐らく、この世の誰よりも。

 

守る、取り戻すという感情は、かつて自身も味わったものなのだから。

 

「しかし、新たに設計図を引く時間もない。あり合わせで継ぎ接ぎの機体になるが、いいな?」

 

「はい。問題ありません。必ず乗りこなして見せます」

 

用意できるのは劣悪品。それでもいいと、強い瞳で返して見せる。

 

強い子になった。教え子にして幼いころより知る少女に笑みを浮かべる教師にして姉は、しかし獰猛であった。

 

「安心しろ。『世界最強』の継ぎ接ぎを完成させてやる」

 

機体名(コードネーム)は『白椿(トールギスⅢ)』。

 

かつての自身と、弟の機体の余剰パーツで作り上げる決闘用IS。

 

まさしく、篠ノ之箒の専用機である。




IS学園はね入学式~夏休みまでの間は千冬お姉さまー! ってなるの。でもね、そこからぼろが出始めて、二年生になるころにはみんな現実を思い知るの。悲しいね。


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