IS  復讐のデウス・マキナ   作:ぷらもん

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どうも。

このお話は真季奈が第二アリーナを崩壊させて謹慎中だった頃のお話です。

なので真季奈は記憶喪失でもなく、デウスも犬にしかなれず、留学組もいます。

それではどうぞ。


恐怖! IS学園のイベント開催!

はぁ、はぁ、はぁ。ど、どうやら撒いたようだ。

 

俺は今追われている。それもかなりの人数に。捕まったら最後、身ぐるみを剥がされたうえにどんな屈辱と辛酸を舐めさせられるかわからない。

 

「ねぇどっちに行った!?」

 

「分からない! 向こうの教室を確認してくる!」

 

「了解! じゃぁあたしはこっちを……足跡よ!!」

 

ちっ、ここも時間の問題か!? どうやら靴についた泥に気づかないまま歩いていたらしい。ドジ踏んじまったぜ。

 

「白式!!」

 

俺の専用機。『白式』を展開して飛ぶ。そのままグラウンドまでひとっ飛びだ!

 

「見つけたぁ!」

 

ヤバイ!?

 

何人かの生徒たちが練習用ISの『打鉄』を纏って追いかけてきた。

 

『さっさと脱げぇぇええええええええええ!!!!』

 

「嫌だぁああああああああああああああ!!!!!」

 

もう、どうしてこうなった!?

 

 

 

 

 

 

 

 

「織斑一夏を合法的にけちょんけちょんにする手はないですかねぇ…」

 

『のっけから何言っとるんだ真季奈』

 

もうすぐ謹慎が解ける予定の真季奈ちゃんです。今日もお昼から部屋でゴロゴロしています。羨ましかろう。

 

『いつもみたいにアニメでも見てればいいだろう』

 

「えー? DVDは全部見ちゃったしぃ、見たいテレビは深夜番組ばっかりだしぃ、動画サイトは巡回しまくっててマンネリ気味だしー」

 

『満喫しすぎだろコラ』

 

む、主人に向かってなんたる暴言。最近デウスのやつわたしに対して反抗的すぎやしませんか? この間だってわたしの許可なしに出歩いてたし。ちょっと問題ですね。

 

「おやつ抜きにしますよ?」

 

『俺はそんな子供じゃないぞ』

 

くっ、二歳のくせに! ちなみにデウスは電池が大好物です。単三電池をかじってるところなんてまるで犬がジャーキーを食べてるみたいです。

 

「とにかく暇ですね。なにか面白いことでも飛んできませんでしょうか?」

 

ドタドタドタドタ!!!!

 

おや? 廊下が騒がしいような……。

 

バン!!!!! 部屋の戸が吹き飛んだと思うほどの勢いで開きました。何事!?

 

 

「それだったら手伝って貰いましょうか!!!!」

 

 

……生徒会長。もっと静かに入ってきてくださいよ。あと今は授業中では?

 

「こまけぇことはいいのよ!!」

 

先生ー! こいつ補修送りにしてー!

 

「イベントやるわよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

それから何日か過ぎた月末。

 

 

「さぁさぁ皆さんお待ちかねぇ!! IS学園主催! 全学年借り物競走、はっじめっるよーー!!!」

 

「「「なんじゃそりゃぁああああああああああああああああ!!!?」」」

 

織斑一夏です。俺たちは今体育館にいる。それも一年から三年生までの全学年、つまり全校生徒が集合していたりする。体育館の中はカーテンが全て閉じられ真っ暗になっていた。そこへスポットライトの光が眩しく点灯していて、前方の壇上とそこへ立つ生徒会長だけを照らしていた。

 

朝のSHRで千冬姉ぇがものすっごく! 嫌そうな顔して体育館に集合しろって言ってきてさ。それで山田先生の引率でクラス全員が移動することになって。廊下に出たら他のクラスも同じようにして教室から移動していた。

 

それで訳もわからないまま整列して、そのまま待ってたら生徒会長が壇上に上がってさっきの言葉を高らかに叫んだんだ。わけわからん。そりゃみんな叫ぶよな。

 

「前回のクラス対抗戦。そして先日の学年別トーナメント! どっちも皆が楽しみにしていた行事だけど、残念なことに予想外のトラブルでどちらも中止となりました。この件については生徒会やIS学園並びにスポンサーの企業、スポンサーの企業! の方々も大変遺憾に思っているわ!!」

 

二回言った! 今たしかに二回言ったよな!? なに!? スポンサー怒ってんの!?

 

「そこで! 今回、皆へのお詫びも兼ねた生徒会主催のイベントとして、全生徒強制参加の借り物競走を行いたいと思いまぁす!」

 

なんで!?

 

「予算が掛からないからよ!!」

 

『『『最低だなおい!!』』』

 

「うっさいわね! それじゃぁルールを説明します。よーく聞いてね?」

 

嫌な予感しかしない!

 

「コースはIS学園全部よ。スタートはこの体育館。そしてまずは自分の教室に戻って自分の机の中を確認すること。そこには借りてくるものを書いた用紙がランダムで入れられてるわ」

 

そういや千冬姉ぇ、山田先生が俺たちを連れて教室から出ていったのに一人だけ残ってたな。今頃その用紙とやらを机の中に仕込んでいる最中なんだろうか? 一人で。……うんそら嫌だわ。

 

「用紙を確認したら書かれてあるモノをカリてくるの! ちなみにちゃんと人から借りないとダメだからね? 置いてあるものを勝手に持ってくるのは失格だから注意してね」

 

予想以上に厳しいものになりそうだ。

 

全生徒が参加者である以上、自分以外はライバルと思ったほうがいい。それだとほかの生徒から借りるのは難しいだろう。だとすると後は教職員か用務員等の大人たちから借りる必要がある。

 

「目当てのモノをカリてくることができればグラウンドを目指して走ってね! そこがゴールよ!」

 

ふむふむ。

 

「そしてなんと! ISの使用も許可しちゃいます! 専用機を持ってる子はもちろん、一般の生徒もレンタルでの使用を許可します! ただし早い者勝ちね」

 

ちょっと待て!? 危なくないですかそれ!

 

「ただし、火器の使用は厳禁だからね! と・く・に!! 再建中のアリーナとかアリーナとかアリーナの近くで乱闘なんか起こしたら、……ヒネるわよ?」

 

なにを!?

 

「それでは最後のルールをこの方に発表してもらいましょう! どうぞ!」

 

「どうもお久しぶりです。ただいマッキー」

 

『『『マッキーーーー!??』』』

 

え? 皆、ただいマッキーにはスルー? ていうか志波さんが関わってるの!? うわぁ、嫌な予感。

 

「それでは最後に特別ルールをお伝えします。皆さんこれをご覧ください」

 

志波さんの後ろの壁にスクリーンが降りてくる。何かを映し出すようだ。

 

「それでは、ルーレットを行いたいと思います」

 

ルーレット? 何の?

 

「これは、皆さんがカリてくる品物に、ある共通の『ワード』を決めるためのものです。このルーレットで決まったある『一言』を用紙に書かれたモノに付け足して探してください。例えば、このルーレットで『アニメ』というワードが出ていたならば皆さんの借りてくる品物はそれに類するものになります」

 

つまり、その場合だとアニメに関係する品物ってことになるのか? アニメのキャラのストラップとか、アニメの曲のCDって感じで。

 

「それではルーレットスタート!!」

 

志波さんの後ろのスクリーンでは映し出された円筒形の物体が高速で回っていた。何か文字が書いているようだけど、早すぎて全然見えん! あ、ゆっくりになってきた。

 

 

『使用済みの』『織斑先生の』『代表候補生の』『マッキー商店の』

 

 

なんか不穏なワードがあるんだけど……。ていうかマッキー商店!? 志波さん何やってんの!

 

あ、ルーレットが止まる。

 

……………げ。

 

『織斑一夏の』

 

逃げろォオオおおおおおおおおおおおおおおお!!

 

「それでは、『狩り者狂争』スタート!!!」

 

字が違う!!! ハメられた!?

 

 

 

 

 

ククク、ハーハッハッハ!!!!

 

愉快愉快! 随分と面白可笑しく踊ってくれますねぇ、織斑一夏は。

 

「あの、真季奈ちゃん? その黒い笑顔止めて。ホント止めてお願いだから」

 

「何をおっしゃるか。これを笑わずしていられますでしょうか。ぷぷっ」

 

「やだこの子外道」

 

わたしと生徒会長、更識楯無さんは現在ゴールであるグラウンドで待機しています。

 

地面にパイプ椅子と長机を設置し、延長コードで伸ばした配線を引っ張ってきて複数台のテレビで競技中継を観戦しながらゴール者を待っています。

 

まだ誰もゴールできていませんけどね。

 

もちろん、カメラはずっと織斑一夏だけを追っています。何せ、彼は全校生徒の『ターゲット』ですからね。やーい。

 

「いやー。自分で持ちかけておいてなんだけど、真季奈ちゃんマジ外道よねー。ある意味尊敬するわ」

 

「失礼な。企画の時に、一夏くんにも何らの責任をとらせてね☆ て言ったのは会長ではないですか」

 

「でもまさか、ここまで仕組んじゃうとわねー……」

 

そうです。あのルーレットは全部 ヤ ラ セ です。当たり前じゃないですか。

 

ちなみに、モニターの映像では、

 

『織斑君! 鉛筆貸して!』

 

『おりむー、歯ブラシちょーだい』

 

『お、織斑君、あの……い、言えない! こんなの借りるの無理~!!』

 

『ゴメン! 勘弁してくれ! ていうか最後の子なんて書いてあったんだおい!?』

 

『お~~り~~む~~ら~~く~~ん~~』

 

『助けてくれーーーー!!』

 

うんカオス(笑)

 

もう織斑一夏に群がる手、手、手。これなんてホラー?

 

「あの、真季奈ちゃんホントにあれやるの?」

 

「当たり前だのクラッカーです」

 

ポチっとな。

 

 

 

 

 

ピーンポーンパーンポーン!

 

『競技に参加中の皆様にご連絡します』

 

志波さんの声!? なんだ、何が始まるんだ!?

 

俺は今体育倉庫も跳び箱の中に隠れている。それでも放送が聞こえるのはこれが学園全域に流れている証拠だ。

 

『一位から三位までにゴールした方には商品が送られます。三位、食堂のデザート半年フリーパス券。二位、織斑一夏のマッサージ券。一位、織斑一夏抱き枕。皆さん奮ってのご活躍をご期待しております』

 

一位と二位待てこらぁああああ!!! 聞いてないぞおい!?

 

 

『ウオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!』

 

 

怖っ!! なんか雄叫びが聞こえてきたよ!? なんで皆そんなにやる気なんだ!? 

 

「マッサージも嫌だが抱き枕なんてもっと嫌だ!! 主に精神的に!!」

 

優勝しないとヤバイ! でもそれでもマッサージ券が誰かのものになっちまう!

 

『困っているようだな』

 

「デウス!? なぜここが!」

 

黒い柴犬の姿をした口の達者なコンチクショウがそこに居た。

 

まさか志波さんの刺客なのか!?

 

『この学園の監視カメラの映像をハッキングしている。誰がどこを歩いているかなど俺には簡単に把握できるからなぁ』

 

「うんそのことは深く聞かない。怖いから」

 

ま、まさか俺の居場所を志波さんに報告するつもりなんじゃぁ……?

 

『安心しろ。むしろ助けてやってもいいそ?』

 

「え、なんでだよ?」

 

『簡単に捕まったらつまらんだろう?』

 

ですよねー。

 

『というか、いい加減そこから出てこい』

 

「えー。だ、大丈夫なのか?」

 

『………跳び箱と話してるとマヌケみたいだぞ?』

 

「自分で言うかおい。分かったよ出るよ」

 

そう、ここはIS学園体育館内の体育倉庫。織斑一夏はその中の跳び箱の中に隠れていた。灯台もと暗しと言おうか、一度外に逃げ出した織斑一夏は全員が外に飛び出したのを確認すると再びこの体育館に舞い戻り潜伏していたのだ。

 

『早くしろ。というかお前、こんな逃げ場のないところに隠れるなんて馬鹿だろ。ほんと馬鹿だなぁ』

 

「二回も言うなよ!」

 

一番上の段を持ち上げそれをずらしながら中から這い出でる。早くしないとここにも女子の追ってが迫ってくるだろう。というかホント、なんでこんな袋小路に自分から隠れるかなぁ?

 

「馬鹿だからじゃない?」

 

『だよなぁ……む?』

 

「ん?」

 

いつの間にか声が増えていた。この声は………、

 

「『鈴!?』」

 

二組の代表候補生、鈴だった。貴様! いつからそこに!?

 

「鈴!? どうしてここが!!」

 

「馬鹿ね。アンタ昔っから学校でかくれんぼするときはここに隠れてたじゃない」

 

「あ」

 

幼馴染の経験マジ怖い。というかいつも跳び箱に隠れるのかお前は。

 

『俺がISコアの接近に気付かなかっただと!? 馬鹿な、何をした鈴!?』

 

デウスはISコアネットワークに干渉できる特別なISコア『天蓋王』と密接にリンクしている。つまり彼にはこの学園にある全てのISコアの所在地が把握できる能力があるのだ。なのにそれを掻い潜って背後を取るなど通常では考えられなかった。

 

「IS? 『甲龍』ならこの間の真季奈とラウラの一件で変な影響受けてないか心配だったからメンテ中で持ってないけど?」

 

『なにぃいい!? げ、マジだこいつ持ってない!!』

 

実に単純なオチ。発信源がなければ察知などできない。自分の能力を過信したデウスのミスだった。

 

「さーて、一夏? あたしがここに来た訳は分かっているでしょうね?」

 

「………何が欲しいんだ?」

 

彼女がここに、織斑一夏を訪ねてきた理由。それは当然、彼の所有物を借り受けるためであって……。

 

「………………ボン」

 

「え? なんだって?」

 

声が小さくて聞き取れない。いや、聞かれたくないのかもしれない。それほどのつぶやく程度の音量だった。

 

「だから、その、えっと」

 

『このスキに逃げるぞ一夏!』

 

「あぁ!!」

 

「ちょっ!? 待ちなさいよ!!」

 

しかし回り込まれてしまった! 体育倉庫の入口は大戸のある一箇所だけ。そこを塞がれてはどうしようもない。

 

「なんだよ鈴! 貸すものがないならどいてくれ!」

 

「……ボンよ」

 

「だからなん」

 

「ズボンよ!!!!」

 

『あー』

 

ズボン。衣服。主に下半身に着ることを用途とした衣類。つまり、

 

「………大人しく脱ぎなさいよ!!」

 

「嫌じゃボケェエエエエエエエエエエ!!!」

 

『強行突破だ一夏!!』

 

「キャッ!」

 

ドン! とデウスが鈴にタックルする。彼女を押し倒す形で道を開き、その脇を織斑一夏が駆け抜ける。

 

「ちょ、待ちなさいよ! 一夏ぁああああああああああああああああああ!!!」

 

「脱いでたまるかぁああああ!!!」

 

『前途多難だなぁおい』

 

 

鈴の狩り者:『織斑一夏の』ズボン。

 

 

体育館から飛び出す織斑一夏とデウス。目指すは自分達の一年一組の教室。こうとなっては自分たちが生き残る道は一つしかない。自分の机の中にある『借りる物』を確認してそれを持ってゴールする。自分が優勝すれば『抱き枕』だの『マッサージ券』などを無効にできるはずだ!

 

そんな淡い期待を抱いて走る彼ら。

 

しかし、

 

「一夏ぁ!!」

 

「一夏さん!!」

 

「一夏!」

 

「織斑一夏!!」

 

なんで纏めてくるんだよ!!

 

箒、セシリア、シャルロット、ラウラの四人が教室前の廊下にて待ち構えていた。まさか動きを読まれたのか!?

 

『くっ、だから言っただろう!! こいつらのIS反応が集まってるから今はダメだと!!』

 

「でもひょっとしたら別の階にいる可能性もあるって言ったじゃん!!」

 

ここに来るまでの間にあったことなのか、彼らは己の行いで口論を始めた。だがそんな余裕はない。

 

教室は目の前。脇の扉を開けて踏み込めばすぐの位置だというのに四人の猛者が道を塞ぐ。ここを突破しなくては自分たちに明日はない!!

 

『一夏……スキを作る。突入しろ』

 

「わかった。でもその後逃げ場はないぜ?」

 

口論しながらも小声で作戦を練る二人。方針は決まった。先ほど鈴を相手に見せたようにデウスが陽動、一夏が突入だ。しかし教室に入ればそこは逃げ場のない空間と化す。確実に教室の二つの扉を塞がれるからだ。

 

『大丈夫だ。道はある!』

 

「よし、任せたぞ!」

 

「「「!?」」」

 

ダン! 口論を止めた彼らは走り出す。それに一瞬驚き動きが止まる四人。

 

しかし本当に一瞬だけだった。

 

「逃がすな! 捕まえろ!!」

 

「「「了解!!!」」」

 

『やらせん!』

 

一夏に飛びかかる四人。その前に立ちはだかるは小さなデウスだった。

 

『喰らえ! デウスフラーーーーーーーーーッシュ!!!』

 

ピカァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

 

デウスの目から強烈な閃光、フラッシュが照射される!! え? そんな機能あったの?

 

「「「きゃぁあああああああああああああああああああ!!!!」」」

 

突然の閃光に目が眩む四人。あまりの眩しさに動きが止まっている。

 

『よし、いいぞ一夏!』

 

「おぉ! サンキュー、デウス!」

 

ガラッ、と教室の戸を開けて中に入る。目指すは自分の机。

 

急げ急げ!!

 

「ま、待て織斑一夏!!」

 

ターーーン!! 一発の銃声音が教室に響く。

 

「危ねぇ!?」

 

『一夏ふせっ……グハァ!!!』

 

「デウスーーーーーーーーーーー!!!」

 

ラウラが咄嗟に放った銃弾が一夏を狙い、それをデウスが庇った。目を回し床に倒れる。

 

「さぁ織斑一夏! お前の着ているシャツを寄越せ!!」

 

「また脱げと!?」

 

デウスが放った強烈な閃光を受けているにもかかわらずこの動き。何故? それは彼女の左目。常に眼帯に覆われたその目はデウスの攻撃を逃れたのだ。

 

というか、

 

『ラウラちゃん、アウトーーーーーーーーーーーーー!!! 重火器の使用は禁止!!』

 

『校内で発砲しないでよ! 備品に傷が付いちゃうでしょうが!!!』

 

放送で主催者からの注意が流れた。いや当然ですよね。

 

「し、しまっ……待ってください姐さん!! もう一度チャンスを!!」

 

『駄目です! 織斑先生! 殺っちゃってください!!』

 

「おうともさ」

 

スッ、と音も無くラウラの背後に現れる影がひとつ。

 

織斑千冬が気配もなくそこにいた。

 

「きょ、教官ぐぺっ!?」

 

「ふんぬ!」

 

コキリ、という軽い音とともにラウラの首が回る。おい。

 

「じゃ、コレは回収していくから頑張れよ一夏」

 

グッタリとしてピクリとも動かないラウラを脇に抱えて立ち去ろうとする担任教師にして実姉。

 

「それラウラ大丈夫なの!? ねぇ!?」

 

「あぁ、毎度のことだし大丈夫だろう」

 

「毎度!? 頼むから犯罪者にだけはならないでくれよ千冬姉ぇ!!」

 

「? お前は何を言っているんだ?」

 

『そ、その言葉……のしつけて返してや、る……』

 

「デウス!? 大丈夫か! 傷は深いぞしっかりしろ!! あぁ……なんでこんなことに……」

 

「いや、そいつロボだろ。撃たれたくらいでそんな」

 

「やかましいわこの恐姉!!」

 

くっ、ようやく目がぁ……。一夏ぁぁぁ。一夏さぁぁん……。

 

教室の外、廊下の方からゾンビの、いや箒たちの声が聞こえてくる。どうやらもうすぐ視力が回復するようだ。

 

「ヤバイ、逃げるぞデウス!」

 

『お、おう。俺を抱えて窓から逃げろ。あ、待てその前に机の中を確認しろ』

 

「あ、そうだった」

 

ラウラのことが衝撃的すぎて忘れていた。そもそも俺、このためにこの教室のきたんじゃん。

 

「えーと……あった。何が書いてるんだ?」

 

『じゃぁ俺は真季奈の机を…』

 

それぞれが机の中の『借り物』が書かれた用紙を確認する。

 

「『ん?』」

 

そこには、

 

「「「一夏ぁぁああああああ!!!」」」

 

「もう復活しやがった!!」

 

『急いで窓から飛び出せ!!!』

 

デウスを抱えて教室の窓に足をかける。あれ? ここって何階だっけ?

 

「来い白式!」

 

窓から飛び出し、宙に舞う男と犬。それらを輝きが一瞬包むと数瞬のうちに『白式』を纏った姿をさらす。

 

そのままグラウンドへ向かって飛ぶ。しかし、

 

「リヴァイブ!」

 

「ティアーズ!」

 

追う者が二人。

 

一夏と同じように教室の窓から飛び出してISを纏ったセシリアとシャルロットだ。

 

「マズイ!? どうするデウス!」

 

『そのままグラウンドまで振り切れ! 単純な加速力なら白式の方が性能は上

 

「でもグラウンドまで着いたらどうする!?」

 

『大丈夫だ!』

 

自信たっぷりに言うデウス。

 

『………………ゴールにいるのはあの真季奈だぞ?』

 

「………………………………………………あー」

 

 

 

ラウラの狩り者:『織斑一夏の』シャツ。

 

 

 

 

さて、中継を戻しましょう。グラウンドの真季奈サーン?

 

「はーい! こちらゴールの真季奈でーす! いやぁ盛り上がってきましたねぇ! キャハ!」

 

「真季奈ちゃん……そのキャラ止めて恐い」

 

「あ、そうですか」

 

「……もう何も言わないわ」

 

てへ。

 

「というか今中継してたの誰です?」

 

「虚ちゃん」

 

「あぁ、あのオパーイ眼鏡」

 

「やめて真季奈ちゃんマジやめて!! あとで怒られるの私なんだから!!」

 

「そんなことよりも」

 

「虚ちゃんは老けてません虚ちゃんは老けてません虚ちゃんは老けてません虚ちゃんは老けてません」

 

あれ、なんかトリップしてません?

 

「しっかりしなさい」

 

パァン! 特に理由ない張り手!

 

「ありがとうございます! ていうか痛い! ぶつならもっと愛をこめて!」

 

「気持ち悪いですありがとうございます。それより、来ましたよ?」

 

「え? なにが?」

 

「イジりがいのあるオモチャ」

 

真季奈が指を指すその先に、デッドヒートを繰り広げる三機のISの姿があった。

 

織斑一夏の『白式』、セシリア・オルコットの『ブルー・ティアーズ』、シャルロット・デュノアの『ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ』。

 

その三機がゴールを目指して競い合う。

 

しかし、

 

「一夏! 上着をもらうよ!」

 

「一夏さん! ベルトをよこしなさい!!」

 

「なんでお前ら俺の服ばっかりなんだよ!!」

 

それは織斑一夏から借り(狩り)なければ意味がない。手ぶらでゴールするなど論外なのが『狩り者』レースなのだ。

 

「ダメですね。ここまで来て目的を達成していないとは……失格です」

 

「あ、あの真季奈ちゃん? まさかアレを!?」

 

ウィーーンと真季奈の座る机の前から何かがせり出してくる。

 

真っ赤な真っ赤な丸いボタンだ。縁には黄色と黒のシマシマ模様がぐるっと。

 

見るからに怪しい。

 

「じょ、冗談よね!? ソレ、本当に押さないわよね!?」

 

「フリですねわかります」

 

これはあれですね。押すなよ? 押すなよ? と言いながら背を押してもらいたいという定番ネタですねわかります。

 

「違うから!!」

 

「はい、ポチっとな」

 

「やめてーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

その瞬間。

 

チュドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!

 

ドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!

 

ボン!! ボン!! ボン!!

 

グラウンドが爆発した。それも何度も。

 

 

「「「なんで(ですの)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!?」」」

 

 

「あっはっはっはっはっはっはっは!!! 見てください楯無さん! まるで人がゴミのようですよ!!」

 

「グラウンドがぁああああああああ!!! 修繕費ーーーーー!!」

 

爆発のたびに吹き飛ぶグラウンド。それに巻き込まれる三機のIS。笑う真季奈に泣く更識。

 

なにこれ酷い。

 

これぞ志波真季奈が仕込んだ唯一にして最後のトラップ。

 

学園のグラウンドに埋没させた地雷原である。あ、爆発で吹き飛ばされるだけで命の危険はありませんよ?

 

 

「くっ、まさかここまでするなんて……そこまで商品を渡したくないのか志波さん!?」

 

「いや、多分真季奈は一夏をイジメたいだけどだと思う……」

 

「とんだとばっちりですわ……」

 

真っ黒になった三人が地面に倒れ不満を言う。

 

そんな余裕があるとでも思っているのか!?

 

「撃ちなさい!!」

 

『ラージャ!』

 

無線を取り出し、真季奈が指示を出す。すると遠く、学校の屋上から光るものが……。

 

ドオゥン!! ドオゥン!!

 

「「「ウワァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!?」」」

 

再度吹き飛ぶグラウンド。それに巻き込まれて一夏らも吹き飛んだ。

 

「な、なんだ!?」

 

「狙撃ですわ! 直接地雷を打ち抜いて爆発を!!?」

 

「誰が!?」

 

当たりを見回す。しかし狙撃手の姿は見つから無かった。

 

『いやー悪いなぁお前ら』

 

しかし、ISのプライベート・チャンネルでの声が聞こえてくる。

 

「お前は…レベッカ!?」

 

真季奈と同様、謹慎組のアメリカ代表候補生、レベッカ・パープルトンの声だった。姿が見えないと思ったらこんなところにいた。

 

『アタシも妨害組なんだよ。まぁ諦めてそこで吹き飛んでてくれ』

 

「アタシ『も』!?」

 

つまり、

 

『こっちにもいますよってからに』

 

ドオゥン!! ドオゥン!! ドオゥン!! ドオゥン!!

 

四発の衝撃砲が襲い来る。

 

「この武装、『応龍』か!?」

 

劉蓮花のISの仕業だ。彼女もどこからか撃ってくる。

 

「ていうかもうやめて!! グラウンドが使えなくなる!!」

 

「え? 何を言っているんですか楯無さん!! まだ織斑一夏の泣き顔が録れてません!!」

 

「この外道!!」

 

更に、彼らがまとっていたISも解除され待機状態となった。

 

「!? なにしたの真季奈ちゃん!?」

 

「んー、織斑一夏を痛ぶるのにISが邪魔だなーと思って」

 

「お、思って?」

 

「造っちゃいました。強制解除装置(笑)」

 

この娘はさらっと恐ろしいことを言う。

 

「お願いだから公表しないで! 量産しないで! 販売しないで!! 戦争になるからぁあああああああああああ!!!!」

 

ISの強制解除装置!? そんなん出回ったら国際規模のテロが起きるわ!! これ絶対に外部に漏らせない!!!

 

「……ダメ? 儲かると思ったのになぁ?」

 

「世界平和と財布の中身どっちが大事なの!!!」

 

「え? わたしの心の安寧です☆」

 

「」

 

泣いた。顔を絶望に染めて静かに楯無は泣いていた。私の平穏も考えて、お願いだから、と。

 

もう駄目だこいつ。そう誰もが思ったとき。

 

戦士が立ち上がるッ!

 

「一夏の抱き枕ぁッ!」

 

「一夏さんのマッサージ!!」

 

「そんなもんやらねぇよ!!」

 

まぁ動機は不純だが。

 

「「一夏(さん)覚悟!!」」

 

『やらせん!』

 

あ、犬も起き上がってた。

 

「デウス! 生きてたのか!?」

 

『勝手に殺すな!! 任せろ一夏! 奥の手を使うぞ!!』

 

「奥の手?!?」

 

そう言ってデウスはスゥーーーっと息を溜める。

 

「「服を脱げぇえええええ!!」」

 

ドォン!! ドォン!!!

 

襲い来る手と手。そして爆発。それに目もくれず、

 

『先生ーーーーーーーーーーーー!!! 謹慎中の生徒がIS使ってるーーーーーーーーー!!!!』

 

「まさかの告げ口!?」

 

デウスの遠吠え? に驚くが、もっと驚くことが起きた。

 

『くぺ!?』

 

『きゃぷ!』

 

プライベート・チャンネル越しに二人の悲鳴が耳に届く。

 

何があった!?

 

『さすが千冬。見事な手際だ』

 

「ヤッパリうちの姉かい!! てかどうやった!? レベッカは屋上で蓮花はこの辺りにいるんだぞ?!」

 

『縮地とかじゃないか? ほら、格闘漫画とかによく出てくるあれ』

 

「それができると思ってるお前と実行した姉にびっくりだわ!!」

 

「「一夏ぁぁぁ」」

 

「こいつらもゾンビみたいだし! そもそもなんでこんなに必死なんだよ! 俺の抱き枕とか欲しいか!?」

 

『もうやだこの鈍感!!』

 

殴っちゃえよもう。

 

そんな阿呆をやっている間にもセシリアとシャルロットの手が迫る。そしてゴールまで後、数十メートル。

 

「頑張りますねー」

 

「そうねー」

 

その光景をのほほんと見つめる諸悪の根源の二人。一人は涙の跡が残っているが。

 

「負けたくねぇ! 負けたくねぇよデウス!」

 

『あぁ! ここまでコケにされて黙ってられるか!!』

 

決意を新たにする男(雄)二人。ここに譲れない意地があった。

 

「行くぞ!」

 

『おぉ!!』

 

走る! 脇目も振らず必死に!!

 

蹴った大地が爆発し、爆風で体を吹き飛ばそうとする。しかし、それよりも早く走る、走る! 走る!

 

「『おぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』」

 

ドォン!! ドォン!! ドォン!! ドォン!! ドォン!! ドォン!!

 

次々と起こる爆発。一夏とデウスの足跡の後から追うようにして迫る! まるで彼らの背を押し出す加速装置のようである。

 

「「きゃぁああああああああああああ!!」」

 

ドン!! ドン!!

 

二人の追撃も弾き飛ばして進む! 哀れセシリア、シャルロット! 

 

 

セシリアの狩り者  :『織斑一夏の』ベルト。

 

シャルロットの狩り者:『織斑一夏の』上着。

 

 

ゴールまで、後わずか!!

 

 

「待てぃ!!!」

 

そこに立ちふさがる一人の影!

 

「天が呼ぶ! 地が呼ぶ! 読者が呼ぶ! 一夏を叩けと私を呼ぶ!」

 

『誰だ!?』

 

「お前たちに名乗る名などない!!!」

 

真剣を握った黒髪ポニーテールが立ちふさがった!!

 

「って、箒じゃねぇーーーか!!!」

 

うん、クラスメイトの箒ちゃんだね。

 

「五月蝿い! 大人しく、大人しくパンツを脱げぇええええええええええええええええええええええ!!!!」

 

「とんでもない奴来たぁぁあ!!?」

 

『さすがにそれは不味いぞ真季奈ぁ!?』

 

織斑一夏、いろんな意味で危機だった! 主に下半身を生まれたままの姿で晒すという意味で!

 

「ちぇいさーーーーー!!」

 

「うおっ!? あぶねぇ!!」

 

手に持った真剣を振り回す箒。狙うは腰、ベルトだ。

 

『箒! お前まさか!?』

 

「おうともよ! 脱がすなどまだるっこしい!! 衣服を切って丸裸にしてやる!!」

 

「いやぁあああああああああああ!! 犯されるぅううううううううううう!!?」

 

『洒落にならん!!』

 

正面から真剣を振り下ろし、続いて横薙ぎ、そして三段突きと技を繰り出し襲い来る。それを躱す一夏もいい動きをしていた。

 

「えぇい! ちょこまかと!!」

 

「むしろなんでそんなに必死なんだよ!?」

 

「!? そ、それは、その!!」

 

一夏に指摘され言い淀む箒。

 

「やっぱりデザート狙いか!?」

 

「死ねえええええええええええええええ!!!」

 

『お前もう喋るなよ!!!』

 

さらに激しくなる箒の攻撃。

 

『一夏! 死中に活路を見い出せ!!』

 

「!? でもどうやって!?」

 

 

 

 

 

 

 

「ところで。なんで皆、一夏君の衣服狙いばかりなの?」

 

「いい機会なので丸裸にして全国放送してやろうと」

 

「仕込んだんですね分かります」

 

真季奈、恐ろしい子!!

 

『一夏! 正面から突っ込め!』

 

「……やってやる! やってやるぅ!!」

 

「ふふっ、愚かな……」

 

もはや数メートルしかない距離でこの騒ぎの差。真季奈達の座るゴールと一夏達の間には距離では計り知れない隔たりがあった。

 

『いいか!? 俺の指示通りにしろ!』

 

「おぉ!!」

 

「パンツを、寄越せぇええええええええええ!!」

 

真剣を構えて迫る箒。それを迎え撃つため一夏等も走る。

 

デウスの指示が飛ぶ。

 

『まず腰だめにタックルだ!』

 

腰を落とし、箒に向かって一夏が飛ぶ。

 

「こんなもの!」

 

箒がそれを迎撃せんと真剣を振り落とそうとし、

 

『一夏を斬るのか!? 箒ぃ!!!』

 

「うっ!?」

 

そこでデウスの牽制の一言。

 

動きを一瞬止めてしまう。それが命取りだった。

 

ドン! 

 

「ぐふっ!?」

 

一夏が箒の腰へとしがみつき、そのままグラウンドへと押し倒した。

 

『そのまま箒の腹に顔をグリグリしろぉおおおおおおおおおおおおお!!!』

 

「よっしゃぁあああああ………あ」

 

グリグリグリグーリグリッ!!! 織斑一夏の頭が! 顔が! 箒の腹部を蹂躙する!!

 

………………………………………………………………?

 

………………………………………………………………!?

 

………………………………………………………………!!?

 

キョトンとした顔から徐々に自体を把握し、顔をどんどん紅潮させていく箒。

 

そして。

 

「あ、あ、あ、あぁああああああああああああああああああああ!!!!」

 

爆発した。

 

「うわ、わわわわわわわ!!? スマン箒! デウスが、デウスがぁああ!!!」

 

「ぎにゃぁああああ!!! みぎゃぁぁぁぁぁ!!! いにゃぁああああああああああ!!!!!!?」

 

「壊れてる!?」

 

羞恥が許容範囲を超えたのか、箒は顔を真っ赤にさせてグラウンドをゴロゴロと転がり始めた。

 

完全に一夏のことなど眼中にない。

 

『よし一夏! 今のうちだ!』

 

「お前を信じた俺が馬鹿だった!! 畜生!!!」

 

そうして勝手に転がって離れていく箒を放って走り出す男共。ゴールはすぐそこだ。

 

 

箒の狩り者: 『織斑一夏の』パンツ

 

 

「『真季奈ぁぁああああああ!!!』」

 

「わたしの目の前でなんということを! この強姦魔!!!」

 

「否定したいけど出来ねぇ!! 箒には後で土下座します!!」

 

『だけど今は!』

 

椅子から立ち上がり臨戦態勢の真季奈に一夏とデウスが迫る。おや?

 

「『お前が狙いじゃぁああああああああああああああ!!!』」

 

「な!?」

 

真季奈に向かって伸ばされる手と前足。

 

それを真季奈は手で叩き、足で蹴り飛ばす。一夏は伸ばした手を叩かれたことで若干出足を止められたが、再度走り出す。デウスは腹部から蹴り飛ばされた。動物虐待ダメ絶対!

 

『ま、だまだぁ!!』

 

「!? なんなんですかもう!?」

 

それでも追いすがるデウス。自らのIS、相棒の反乱に驚き戸惑いを隠せない。その隙に一夏も近づく。

 

「志波さんぁああああああん!」

 

両手を広げて真季奈に飛びかかる一夏。それを迎撃しようと、

 

「っらぁっ!!!」

 

顎にアッパーを入れて吹き飛ばす。

 

「ぐへっ!」

 

「オラオラオラオラァァッ!!!!」

 

「ぐへ! がは! ぼげ! げふ!!」

 

顔面に二発、腹部に一発、首筋にチョップが一つ。ラッシュが次々と入ると一夏が踊るように回る。哀れ。

 

『頑張れ一夏ぁぁぁ!!』

 

ガシッ、と真季奈の足にしがみつく犬、デウス。一夏のため、真季奈の足の動きを封じた。

 

「デウス! どういうつもりですか!?」

 

『男の尊厳のためだぁあああ!!!』

 

「訳の分からないことを!!」

 

足をブンブンと振ってしがみついた犬を振りほどこうとする真季奈。しかしデウスは意地でも離れない!

 

「し、志波さぁァン!!」

 

「くっ、織斑一夏の分際で!」

 

ボロボロになりながらも真季奈に一歩一歩と近づく一夏。それを睨みつける真季奈の目は、完全に変質者を見る目だ。

 

「志波さんはやりすぎたんだ! 男のプライドと、女の欲望を食物にして!」

 

「ちっ、変態の言う言葉か!!」

 

「だけど、俺を見世物にして、景品にするのも! このイベントを盛り上げる為なんだ! 俺にはそんなことはできない! それは尊敬する!!」

 

「はっ、だから!?」

 

一夏は言う。真季奈は酷いと。真季奈は凄いと。

 

でも。

 

「だからって俺を脱がす必要はあったんですかねぇええええええええええええええええ!!!??」

 

「ふん、そんなの! あるわけないじゃないですか!! わたしが面白ければいいんですよ!!」

 

「『やっぱりかぁああああああああああああああああああ!!!!』」

 

「真季奈ちゃんマジ外道」

 

ウガーーーーー!!! と更に真季奈に飛びつく一夏。それをまた真季奈が迎撃しようとして……、

 

「えい」

 

後ろから更識楯無に後頭部で纏め上げている髪の毛を掴まれ引っ張られた。

 

「きゃ!?」

 

「うお!?」

 

体制を崩して後ろに転ぶ。そこへ反撃がこず、前に突っ込む形で倒れ込んだ織斑一夏が上から覆い被さるようにして押し倒す。

 

「わーお! 一夏くん、だいたーん!!」

 

「うううう裏切りましたね!? この変態生徒会長!!!」

 

「ふふっ、私だって色々と思うところがあるのよ!!! 主に修繕費とか始末書とか虚ちゃんの説教とか!!!! 一夏くん! 好きにしちゃいなさい!!」

 

「キャァァァ!!! 犯されるーーー!!」

 

自分に覆いかぶさる織斑一夏を押しのけようと抵抗する真季奈。しかし普段は圧倒的戦力差を見せつける彼女も焦りからか思うようにいかない。

 

「……………………………………」

 

「え? あ、あれ? 織斑一夏?」

 

「フッフッフッ、志波さん」

 

「な、なんです? ま、まさか本当に!!?」

 

身の危険を感じ始める真季奈。女の子ですもの。

 

「捕まえたーーーーーーーーーーー!! 会長! これを!」

 

『俺のも見ろ!』

 

一夏とデウスが自分達の『狩り者』の書かれた用紙を楯無に見せる。それを彼女は確認すると。

 

「……ふーん、成程ねぇ」

 

ニヤァァと不敵に笑う。

 

「か、会長! 何が書いてあるんですか!?」

 

「教えてあーげない! じゃ、結果発表ーーーー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『一位は織斑一夏くん! 二位はデウスくん! 三位は真季奈ちゃんでーーす!! これにて全学年借り物競走終了ーーーーー!!!』

 

そう全校放送で全生徒へとこのイベントの勝者の名前と終了が告げられる。

 

それは学園で一夏を探してさまよっていた鈴に。生徒指導室で泣いていたラウラに。グラウンドでゴミのように転がっていたセシリアやシャルロットに。同じくグラウンドで悶えていた箒にも伝わっていた。

 

そして思った。

 

「「「なんで参加者じゃない真季奈が三位なの!?」」」

 

それは。

 

 

織斑一夏の狩り者    :『織斑一夏の』尊敬する人。

 

デウス(真季奈)の狩り者:『織斑一夏の』守りたい人。

 

 

 

 

 

 

 

 

ふくしゅ~、ばんがいへん☆ : 織斑一夏狩り者狂争!

 

けっか           : デザート食べ放題券を手に入れました。

 

びこう           : 釈然としません!!!

 

 

 

 

おまけ。

 

『千冬姉ぇ! 一緒に来てくれ! 俺の尊敬する人は千冬姉ぇしかいねぇ!!』

 

『ははは、仕方ないなぁ。まったく手の掛かる弟だ』

 

などと妄想する教師が一人。

 

「ふふふ、一夏の奴め。早く私のところに来るがいい! この尊敬する姉のところにな!!」

 

素行不良な生徒たちを何人か独房に送ったのちに、職員室の自分の席で弟を待つ織斑千冬の姿があった。

 

残念。

 

 




うん、なんかごめん。

一夏を虐めてたら自分でも途中から訳が分からなくなった。

この話を書いた動機なんですが。

IS学園ってイベント中止になりすぎだろう、と思いまして。

しかもそのたんびに集まった研究社やスカウトマンとかスポンサーにお引き取り願っているわけで。

いいのかおい? 生徒も不満だろう? と。

なので息抜きのバカ騒ぎを書いてみました。

だけど書いてて思った。

これ、この作品じゃぁいつもの光景じゃないか。

あと久しぶりでギャグが滑ってる様な気がする(笑)

感想が欲しいです。

それではまた次回。
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