メリークリスマス!
さぁ今年も一人でケーキでも食べましょうかね………。
今回は特別編。時系列も完全に無視の、一種のパラレル世界と思ってください。
それではどうぞ。
12月24日。
IS学園家庭科室。
「えー、料理部の諸君。この素晴らしき日に部活動の参加ありがとう。しかし、顧問の先生は彼氏とデートでお休みです!!」
「「「ブー!ブー!ブー!!!!!」」」
開始早々、料理部は嫉妬の炎に包まれた! (*加熱しても食べられません)
料理部部長が本日の活動の前に部員達へと顧問の不在を連絡。内容はアレなので同じ女として祝福すべきかと思うが、正直言おう。羨ましいよね!?
「しかしご安心! 本日は特別講師をお呼びしたよ! デウスくんです!!」
『どうもこんにちは。デウスです』
呼ばれましたのは志波真季奈製作の人工AI搭載型機械犬。黒柴犬の姿に白いシェフ服を着込んだデウス(犬)の姿が家庭科室の正面の調理台の前にあった。
『えー、今日はクリスマスイブです。なので、クリスマスケーキを作ろうと思います。できたら持って帰って食べましょう。………誰かと、とは言いませんが』
「「「うぅ」」」
まぁ、こんな日に集まっている時点でお察しください。泣くなよ皆。
『作るケーキは苺のショートケーキです。まずはスポンジから焼いていきましょう』
「「「はーい!」」」
ちなみに、シャルロットもいたりします。織斑一夏との予定は立たなかったんですね。
「ほっといてよ!? なんで言うの!?」
『お? とうとうお前にも聞こえるようになったか』
「何が!?」
気にせずに皆さんでケーキを作りましょうね。
数時間後。上手に焼けましたー。
『さて。真季奈と食べる用にホールで二個確保できたし、帰るか』
料理部の全員が無事にケーキを焼き終わり、家庭科室の後片付けを終えたデウス(犬)は自分用に作ったケーキを持って帰宅する準備を始めていた。ケーキの数はホールで二つ。他にあと二、三人は呼べそうである。
『イブの夜にいきなり誘ってケーキ食いにいる奴もそうそういないだろう。うん』
そう思って帰宅。ケーキは安全の為にカートに乗せて犬ぞりのように首輪に紐付けて繋いで運搬しています。
そんな学生寮の廊下で、エンカウント発生です。
「日本のクリスマスって……なんでみんな恋人と過ごすのよ~~? 普通家族で祝う日でしょう~~?」
『ナターシャ、泣いちゃダメにゃ。わたしがいるにゃ』
『何やっとんじゃおのれら』
アメリカのIS操縦者兼、現在IS学園警備員のナターシャ・ファイルスが学園寮の廊下で泣き崩れていた。それを慰める子猫はベル。ナターシャのIS、『銀の福音』の待機状態にして、人工AIである女の子ベルを搭載した猫型ロボットである。
ナターシャが悲しみにくれる訳。それは国の、文化の違い。彼女の母国アメリカでは、クリスマスとは家族で過ごすもの。それが日本ではどうだ。街は恋人で溢れ、クリスマスと言えば男女があれやこれやと二人っきりで過ごすリア充の日。そんな性夜、じゃない聖夜を独り身の女にどうしろと? そう思って泣いていたのだった。
そこへ通りかかったのが運のつき。デウスくんのお節介発動です。
『…………ウチ、来るか?』
「………はい!」
『流石お兄ちゃんマジぱねぇ』
パーティー、一人と一匹追加です。
『ほんじゃ、真季奈の部屋行くぞ。着いてこい』
「? 真季奈さんの部屋でパーティーをするんです?」
『あぁ、自分の部屋でホームパーティーをするのがあいつの夢だからな』
『お兄ちゃん! これケーキ!? ケーキ!?』
ケーキを乗せたカートに並走するベルがぴょんぴょんと跳ねながらその周りをぐるぐると回る。大興奮であった。
『お兄ちゃんの手作りケーキだぞー?』
『わーい!』
え? ベルちゃん食べれるの?
という訳で宿直室。
『ケーキお届けに参りましたー』
「遅いですよデウス。もうこっちの料理は準備終わっているんですからね」
部屋に入ると真季奈がクリスマス用に作った料理が並べられていた。チキンにサラダ、グラタンにサンドイッチに温かいスープ。どれも真季奈の手作りだ。スープの入った鍋をテーブルに置き、ミトンを外してデウスを招く。口調は怒っているが声は弾んでいた。楽しいのだ。
そして部屋のスミには。
「……じんぐるべー………じんぐるべー……すずがー……なーらなーい……きょうはーかなしいー……ぶーちーころーすー」
織斑千冬が膝を抱えて座っていた。呪いの歌を呟きながら。
『………どうしたんだ?』
「山田先生に先を越されたそうです」
「なんですって!?」
真季奈の言葉にナターシャが驚く。
あの大人しい山田真耶に何が?! ま、まさか!!
「合コンで知り合った、あのブッチとかいう男とデートだと……クソゥ、まさか連絡先を交換していただとぉぉぉ…………」
「う、嘘よ……後輩に先越されるなんて……嘘よーーーーっ!!」
あはは! 二人ともゴメンなさーい!
そう言って笑う山田摩耶の姿が一瞬見えたような気がした。悲しいね。
『まぁ、いいか。さぁさ、飯にしよう。今日は真季奈の誕生日でもあるからな』
「そうだな。今日は盛大に祝うぞ!!」
「プレゼントはクリスマスと合わせて二倍ください。一緒なんて子供騙しは断固拒否します」
「ちょっ!? さらっと凄いこと言わなかった今?! 一応主要キャラの誕生日よね!?」
そうです今日は真季奈ちゃんの誕生日です。ケーキだって二つあるのは、一つはクリスマス用。もう一つはバースデーケーキなんですよ。
「なのにこんな大人二人と動物だけで祝うの!? 友達を呼びなさいよ!」
「え、いやぁ……クリスマスだし皆さん予定とかあるかなぁ、って感じで話してすらいないんですが」
「なんでこんなときだけ謙虚なの!? いつもみたいに強引に巻き込めばいいでしょ!? もういい! 私が呼び出してやるぅぅわぁぁぁ!!(巻き舌)」
そう言って、携帯電話を取り出して片っ端から代表候補生に連絡を取り付けていくナターシャ。その鬼気迫る様子に気圧されるばかりであった。
『なんであんなに必死なんだアイツ?』
「あれでアイツ、本国でも似たような経験をしているんじゃないか?」
「あぁ、確か友達がアメリカ代表のイーリスさんでしたっけ? あのクセのある人と付き合ってたらまともな方は離れていきそうですよね」
君ら人様のこと言えないでしょうが!
ということで。
「「「お邪魔しまーす!」」」
織斑一夏、凰鈴音、篠ノ之箒、シャルロット・デュノアの四名が集まった。ラウラ・ボーデヴィッヒは部隊でパーティー。セシリア・オルコットは家の用事でこれなかった模様。残念。
「というか貴方たち、こんな日に他に予定なかったんです? なんと可哀想な………」
「「「今すぐ帰ったろか!!」」」
ちなみに、一夏は今日、真季奈にデートを申し込んで玉砕。他の女子三名も一夏にデートに誘ったが真季奈に振られて落ち込んでいたため失敗という負の連鎖があったりする。なのに真季奈の誕生日会に呼ばれてノコノコ現れるって一体……。
「なんかすっごい失礼なこと言われた気がする!!」
「奇遇だな! 私もだ!!」
「相手が作者でも怒るときは怒るよ!!」
出番削るよ?
「「「さぁ楽しいパーティーの時間だ! イェーイ!!」」」
『お前らのそういうところ好きだわ俺』
《お約束ですね》
おやジャバちゃん。いたのですか。人工AI搭載型IS、カイザーワイバーンことジャバちゃん。お猿さんの姿でパーティーに参加です。
それでは料理が冷めてしまう前に始めましょう。しかし、二人部屋の宿直室。大人二人に若者五人。犬猫猿一匹ずつと少々手狭です。行儀は悪いが、何人かはベッドの上に腰掛けている。シーツの上に食べかすとか落とさないようお気を付けてください。
「なぁ真季奈。プレゼント持ってきたんだけど受け取ってくれるか?」
「? ありがとうございます。もちろん受取りますとも」
おずおずと遠慮がちに一夏が小さな手のひらに収まる大きさの包装済みの小箱を取り出す。それを受け取る真季奈を箒、鈴、シャルがぐぬぬと歯ぎしりして見ていた。怖いよ。
「……開けてもいいですか?」
「ど、どうぞ」
真季奈が受け取ったプレゼントを開ける。包装紙を剥がし、紙製の上下に開く箱を開ける。更に中から出てくるのはアクセサリーケース。肌触りのいい蒼い色をしたそれを開くと、入っていたのはネックレスだった。チェーンはゴールド。アクセントとして地球を模した青い宝石が一つ付いていた。
「………うわぁ」
「綺麗……」
「(こ、こいつ、ガチじゃないか!?)」
ちなみにお値段は大体2万円です。アルバイトとへそくりをやりくりして買った模様。本当ならデートに誘って告白、プレゼントと行きたかった織斑一夏だったが、デート自体を断られた以上、もはや形振りかまっていられなかったご様子。
しかし。
『(一夏、焦ったな。それでは……)』
「これはなかなか。素直にお礼を言うべきですね。ありがとうございます」
そう言って、真季奈はそのネックレスを
「「「うん?」」」
それを見て周りは疑問に思う。何故に首でなく腕に?
『なぁ一夏。相手に『首輪』を贈るのは相手を独占したいという気持ちの表れだと知っているか?』
「「「………………………………………………………………」」」
「え? え? え?」
「流石にわたしも首輪プレイを強要されるつもりはありませんので………この変態」
「「「アイツもう殺そうか?」」」
「誤解です! 俺はただ純粋な気持ちで」
『真季奈が欲しかったと?』
「そうそ、てその言い方はダメだろ?!」
「えーと、包丁包丁っと」
「ナイフは使えるよねー?」
「スプーンは眼球をくり出すのに使えるよね?」
あ、本気でまずいわこれ。
『すまん一夏。逃げたほうがいいぞ』
「頼む。一緒に逃げてくれぇぇ!!」
脇目も振らずに逃げ出した!
「おっとそうは問屋が下ろしません!」
しかし回り込まれた!!
一夏とデウス(犬)。揃って宿直室の扉の前で真季奈にとうせんぼされてしまいました。
「いい機会ですので今日は盛大に騒ぎましょう」
「『命の危機!?』」
含みのある言葉にしか聞こえない!?
「何言っているのですか。今日はおふざけ無しです。ほら、パーティーをしましょう?」
「あ、うん」
つい素直に頷いてしまった。だって。
そういった時に見せた真季奈の笑顔が、それほどまでに可愛かったから。
真季奈の誕生日パーティー兼、クリスマスパーティーも終わり、それぞれが帰路についた夜更け。
デウスは織斑一夏の部屋で寝て(スリープ)いた。
・
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・
・
・
「……デウス、デウスよ」
『……あーまたこれかー』
最近馴染みつつある夢の世界にデウスはまたも呼び出されていた。
時刻は零時零分。つまり12月25日。クリスマスであった。
『クリスマスになんだよ? もう何が来たって驚かねぇぞ?』
「………我が名はサタン」 ゴゴゴゴゴ!!!
『聖夜にとんでもないのキターーーー!!!!』
ものすっごく驚いた。
「あ、違った! サタンじゃなくてサンタ! サンタだから!」
『サンタはそんなに真っ黒じゃない!!』
デウスの前に現れた人(?)物。それは真っ黒いマントを着てドクロの付いた杖を持ち、つり上がった瞳と黒い帽子を突き破って二本の角を頭から生やした見るからーに怪しい男だった。
サタンというか、悪い魔法使い? 見たいだった。
「ううううるさーい! これならいいだろう!?」
サンタを名乗る黒い男が杖を振りかざす。すると、真っ黒い衣装が赤と白の衣装に染まっていった。うん、ちょっとサンタちっくになったね。
「さぁデウスよ! 今晩はお前がこの世界にサンタに任命してやろう!」
『遠慮します!』
「うるさい! さぁ、このなんでも出てくる魔法のプレゼント袋を持って行くのだ!」
そう言ってサタン、いやサンタは真っ白く大きな袋をデウスに渡した。中身は空だが、
「それは相手が心の底から欲しいと思っているプレゼントが出てくる魔法の袋。それさえあれば全世界の子供たちへプレゼントを渡せるだろう!」
『マジで!?』
「ちなみに赤ん坊から十代前半まで限定! 大きいお友達には無効です!」
『うわー』
「では任せたぞ! あ、時間が足りないと思うから世界を回るときは守護獣を使うようにね」
《では行きましょう》
『おおぅ……ジャバよ、お前もそっち側か』
それではお仕事の時間です。
その夜、雪の降るホワイトクリスマスの大空に。巨大な双頭の翼竜の背に乗ったサンタ服を着た黒い柴犬が世界中で目撃された、のかもしれない。
ハッピーメリークリスマス!
おまけ。
『うおっ!? サンタ狩りだーーッ!!?』
《デウスさん逃げてーーー!!》
「ヒャッハー! クリスマスは爆発だーーー!!」
「サンタクロース、オレと戦えーー!!」
「俺が正義だ!!」
なんか混ざってない?
プレゼントを配るのも命懸けみたいです。
はい、そういうわけで、12月24日は真季奈の誕生日です。
そしてクリスマスにサタン、じゃなかったサンタさん登場です。このIS世界ではデウスがサンタに選ばれてしまいました。きっと世界中にプレゼントを配っていることでしょう。
ちなみに、このサンタ、もといサタンはもちろん魔王サタンガンダムです。正直この話、このサンタガンダムを出したかっただけだったりします。ジムヘンソンJrくんが居なくとも、彼はやはりサンタをやっています。
それではまた。