IS  復讐のデウス・マキナ   作:ぷらもん

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お久しぶりです。

前回の更新からなんとまる二年と大変お待たせしました。

なんでこんなに空いたかというと……欝って怖いですね。


シンデレラ(後編)

皆さん、教えてください。

 

 

『撃てー!! 撃って撃って撃ちまくれー!!』

 

「ちょこざいな! 全部隊突撃!! 国庫を空にするつもりで応戦しなさい!!」

 

飛び交う砲弾。吹き飛ぶ城壁。

 

「フハハハハハハハハハハハッ!!!」

 

「なんだあの変態は!?」

 

「パンツ一丁で向かってくるぞ!!」

 

「くたばれ国の恥!!」

 

闇夜に輝く裸の王様が白の城壁にその影を映すナイトショー。BGMは爆撃音。

 

 

シンデレラって、どんなお話でしたっけ?

 

 

 

 

 

シンデレラ/織斑一夏の場合。

 

『よーっし! 城に乗り込むぞ! 戦闘準備!!』

 

「「イエス、ボス!!」」

 

「待たんかい!」

 

デュノア城を見上げることのできる森の中に装甲馬車オーキスを止めたシンデレラと魔女一行。彼らは各々武器を手にして臨戦態勢に入る。

 

事態についていけないシンデレラを除いて。

 

「アンタら戦争でも起こす気か!!」

 

『これが俺たちのパーティーへの招待状だ!!』

 

「ただの宣戦布告状じゃねぇか!! 魔法使えや!!」

 

なんといことでしょう。魔法使いデウスの用意したパーティーへの招待状はお城へのテロリズムでした。さすが魔王さまです。

 

「アンタらもなんとか言ってくださいよ!!」

 

嫉妬に駆られたデウスでは埒があかないと、シンデレラは従者の二人、ISを纏ったスコールとオータムに仲裁を願って叫ぶ。

 

しかし。

 

「ヒャッホー! 暴れてOK! 番外編最高ーーーッ!!」

 

「フフフ、あの城をボスの魔王城に……」

 

「ダメだこいつら!!」

 

何がダメかって言うと、目がやばい。完全にイっている。特にオータムなんかは酷い。まるで平日に日付が変わるギリギリまでサービス残業を繰り返した挙句、休日出勤を上司に命じられた金曜日のサラリーマンのような濁った目をしている。

 

スコールはとてもイイ笑顔です。

 

『クケケケ!!! 真季奈がバツイチで既婚で子連れでさらに王家乗っ取り狙いとか天が許しても()が許さん!! こんな展開は世界ごとデストローイ!!!』

 

「デウス! なんか黒い! いや、元から黒いけどなんか青っぽい黒さがにじみ出てるけどナニそれ!?」

 

それは暗黒神に堕ちかけているんですよ。

 

「というわけでファイヤーーーー!!」

 

「え」

 

『お?』

 

「あらまぁ」

 

装甲馬車の荷台、ミサイル満載のコンテナから砲弾が発射される。その轟音は静かな森林の中で大きく響き、一発の砲弾をお城へとお届けします。

 

「ちょっとーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」

 

シンデレラは思った。アカン、この人たちは話聞いてくれない奴らばっかりだ、と。自分を虐める継母たちとは違うベクトルで面倒くさい連中に関わってしまった時点で既に道を踏みは持していたことに今更ながら気づいた。

 

 

た、頼る人たち間違えた!!!

 

 

それが『シンデレラ』という物語の筋書き通りだったとしても配役に無理があった。

 

魔法使いはどっかの世界の迷惑神モドキ。

 

従者はテロリスト。

 

馬車は戦場帰りの荒馬。

 

ドレスは戦装束。

 

こんな硝煙の香りが漂う『シンデレラ』があっていいのだろうか!?

 

……ドーーーーーン!!!!!

 

「ってもう当たっとるーーーー!?」

 

「っしゃあ! 命中!」

 

『いい腕じゃないかオータム』

 

「たーまやー」

 

呑気に鑑賞してんなよ!!

 

砲弾はお城へ見事命中していた。大きく穴の空いた城壁。ガラガラと大きな音を立てて崩れる石の音。静かな森にまで聞こえてくる阿鼻叫喚の声。

 

テロ、確定である。

 

『よーし、この混乱に乗じて突入! 王子のタマ取ったらーーーー!!』

 

「「おぉーーーー!!」」

 

「ちょっ、誰かー! この人たち止めてーーー!!!」

 

さぁ、愉しい舞踏会の始まりです。

 

 

 

 

 

そのちょっと前の真季奈 /継母たちは。

 

「さぁさぁ王様、王子様方!! 今すぐわたしの婿となるか娘たちの男になりなさい!! もしくは国を寄越しなさい!!」

 

「いきなり物凄い要求きた!?」

 

お城に文字通り、勝負服(ドレス)で突入してきた真季奈こと継母とその娘たち。IS(ドレス)を身に纏い、千冬とマドカも完全武装である。

 

そして突きつけるは大胆すぎるプロポーズ。そして事実上の国家転覆、クーデター。

 

「待ってよ真季奈! 何言ってるの?!」

 

シャルル王子ことシャルロットはいきなりの来訪者に驚きつつも応対する。これが王族か、それとも大企業の営業の力か……いや、単に真季奈の奇行に慣れてきただけか。

 

「わたしは真季奈という美少女ではない! シンデレラの意地悪な継母です!!」

 

「そして私は意地悪な姉その一!」

 

「同じく姉その二だ!!」

 

「君たちホントに正気ないの!? 演技じゃなく!?」

 

演技でも演戯でもない真季奈たちの役への入り込みっぷりにシャルロットは彼女たちも『物語』の一部なのだと理解する。まぁ、しかし、かなりのアドリブが入っているようだがそれは『真季奈だから』という理由で納得できた。

 

「演戯というのなら見せてあげましょう! 貴方とわたしの幸せな結婚生活、仮面舞踏会を!」

 

「いきなり仮面夫婦宣言!?」

 

「重火器携え世界一周新婚旅行!」

 

「世界征服!?」

 

「一緒に歩こう我が覇道(ヴァージンロード)!」

 

「警備員ー! 逮捕! この人たち今すぐ拘束してーッ!!」

 

駄目だ、真季奈はどこの世界でも真季奈だった。なんで王道ラブストーリーが世界征服物語になるの!? 応えちゃいけない愛の告白だよ!!

 

そんな真季奈の求愛なのか宣戦布告なのか判断に苦しむ宣言にどうしたらいいか悩んでいると、城の兵士が駆け寄ってきた。

 

「大変です王子! 襲撃です」

 

「犯行グループなら目の前にいるけど?」

 

「いえ、外から砲撃が!」

 

「……は?」

 

ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!

 

「「「きゃぁああああああああああああああああああああああああ!!!!」」」

 

鼓膜を震わす轟音。揺れる城内。集まった女たちの悲鳴が響く中、シャルロットは見た。

 

『シンデレラのお通りよ! 道を空けなさい小娘ども!! ウチの娘達に手を出したらただじゃおかないわよ王子様!!』

 

「なんでオネェ言葉!? あと、王子に罪はねぇから許してやれよ!?」

 

ISを纏った織斑一夏と、黒い魔法使いの扮装をした黒い柴犬デウスの姿を。

 

そして一夏も見た。煌びやかなドレスを纏った少女たちの中で、一人男装の少年、いや、よく知る少女がいることを。

 

「…………シンデレラ?」

 

「………王子様?」

 

「「…………………」」

 

 

 

「「真面目に『シンデレラ』を演じ(やっ)て(くれ)よ!!」」

 

 

 

女装男子と男装女子。どっちも見慣れたその姿に、むしろ納得の配役だと思う二人。というか予想通りだよこんちくしょー。どうせなら逆の配役が欲しかったですと思ってます。

 

性別逆転、完全武装での殴り込みパーティー。これでいいのか『シンデレラ』。

 

『……なんだ。もう既に『玉無し』じゃないかこの王子』

 

「む、ウチのペットが大所帯で……タッパーを持って来てないとは何事ですか!」

 

そんな主役(?)な二人を見ての感想がコレな本編の主役達です。特に片方、料理をテイクアウトする気ですかそうですか。

 

「……理不尽だ」

 

「ねぇ一夏。この人達は何しに来たのかな? ちなみにもう普通の『シンデレラ』は諦めたよ」

 

多くの肉食系女子(クラスメイト)と友人の親御さんに囲まれた一夏ことシンデレラは、王子様ことシャルロットに尋ねられてこう答えました。

 

「婚活」

 

「………そうだね、『シンデレラ』って大雑把にいえばそういうお話だよね……」

 

なんということでしょう。実はここまで滅茶苦茶な進行ではありますが、お話の流れは大筋から離れていないのです。

 

 

つまり、王子目当てで集まった国中の女性が王家のパーティーで運命的な出会いを果たす王子様とシンデレラを目撃する、という場面が繰り広げられているということなのです。

 

 

「「「あいつ消そうか」」」

 

 

「唐突な殺意!?」

 

「そうだよそういう人達だった!!」

 

恋敵死すべし慈悲はない。目の前でイチャつく男女がいればとりあえずデストロイ。このイカれた状況に対する愚痴の言い合いでも男女が喋っていればギルティなのだ。

 

それが彼氏居ない女生徒の集まりIS学園クオリティ。

 

リア充は許せん。何故自分のリアルは充実しないのか。だってここ女子校だもの。百合の花は咲かないの? そんなのファンタジーです。

 

「アイツ殺すアイツ殺すアイツ殺すアイツ殺すアイツ殺すアイツ殺すアイツ殺すアイツ殺すアイツ殺すアイツ殺すアイツ殺すアイツ殺すアイツ殺すアイツ殺すアイツ殺すアイツ殺すアイツ殺すアイツ殺すアイツ殺すアイツ殺すアイツ殺す」

 

「ひぃ!?」

 

「やばい! 織斑先生が冗談抜きでヤバイ!!」

 

何がやばいって、女子高生の集団の中にガチな大人の女性がいることだろうか。それとも、目の前で婚活のチャンスを掻っ攫おうとする相手を○そうとしているその目付きか。

 

どちらにせよ。

 

王子に近づく女は敵だ! 敵は倒せ! 殲滅だ!!

 

「それでは皆さん! 武闘会の始まりです!!!」

 

「「「ヒャーーーーッハーーーーーーーーーーーー!!!」」」

 

「やはりお前か真季奈ーーーーーーーーッ!!!!」

 

「結局いつも通りじゃないかーーーーーッ!!!!」

 

『それと舞踏会違い……いや合ってるか』

 

そして何気に空気だった魔法使いデウス。今まで何してたって?

 

『参加者にIS(ドレス)配ってた』

 

「「余計なことを!!?」」

 

なんということでしょう。王城は玉の輿を狙う武装集団に占拠されてしまいました。さぁ、パーティーの始まりです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇい! 何をしている!? 早く鎮圧せんか!!」

 

「駄目です! 彼女達は妙に手馴れており……畜生! 本当に唯の街娘なのかコイツら!??」

 

「逃げてください陛下! て、陛下ーーーッ!?」

 

「フハハハハ! どうした! もっと撃ってこい!! 私のこの体の火照りを静めてみせろぉぉぉ!!!」

 

「ご乱心! 陛下ご乱心!! 誰か女王陛下を呼んで来い!!」

 

「殿中でござる! 殿中でござる!!」

 

飛び交う銃弾。響く銃声と人の怒号。げに恐ろしきは男を求める女の性か男の性癖か。

 

国中から集った女たちは戦う。理想の王子様を手に入れるために。

 

王様はその争いの只中に飛び込む。変態故に。

 

頑張れ兵士。負けるな兵士諸君。君達が国の良心であり希望なのだ。

 

流石は頭のおかしな国世界三位のデュノア王国。皆元気だ、国の未来は暗いのだ。

 

「何をしているの貴方たち!?」

 

「陛下! 女王陛下!!」

 

そんな混沌渦巻く会場に現れた希望の星。デュノア王国第一王妃(名前はまだない)が威風堂々と参上する。その高貴な姿に城の兵士たちは膝を付き礼の構えをとった。

 

「さっさとあの国王(バカ)を撃ちなさい!!」

 

「「ハッ! 直ちに!!」」

 

いいのかおい。

 

「お義母さん! あの馬鹿は銃で撃ったくらいじゃ死なないよ!?」

 

「いやそういう問題なのかシャルさんよ!?」

 

国主に対してあんまりすぎる親娘会話にシンデレラは流石に一言物申します。しかし大丈夫。多分死にません。

 

今も銃弾が頭上をかすめ、直撃コースはシールド・バリアが防ぐ中。唯一残った常識人の三人。口説いようですが、これは『シンデレラ』です。

 

「いいことシャルロット。今重要なのは国王の生死ではありません。分かりますね?」

 

「すげぇこと言い出したぞこの女王」

 

「はい。この騒ぎをおさえて国民を無事に帰す。それが第一であり、あとあの変態を騒ぎに乗じて消せれば万々歳です」

 

「俺の心の師匠を消すなんてとんでもない!!」

 

……常識、人?

 

国王よりも国民をとる。言葉だけなら聞こえは良いが、二人にとってはただ変態が目障りなだけであるようだ。

 

「それにあの変態を始末すれば次の王は兄さんが…「それはダメよ」……え?」

 

「シャルル。次の王は貴方がなるのよ」

 

なんということでしょう。王妃様は実子である第一王子はなく、側室の子供であるシャルル王子を次の王に指名したではありませんか。

 

「……あれは駄目です」

 

 

「お嬢さん! どうか私と着せ替えごっこをしましょうぶへっ!?」

 

「ノー! サン! キューッッ!」

 

 

二児の母である継母こと真季奈に蹴り飛ばされるメイド服(ミニスカ)を持った第一王子の姿。それを見た王子とシンデレラは、「「……あぁ、うん。そうですね」」と目をそらした。ダメだこの国、早く何とかしないと。

 

「そう、国を建て直し、変態たちの魔の手から解き放つのは今が好機なのです」

 

「魔の手って言ったよこの人」

 

「すごく同意するけどね」

 

目が座ってますよ王妃様。え? 我慢の限界? そうですか、そうでしょうね。

 

「聞きなさいシャルル、いえシャルロット。私が今まで貴方に厳しく接し教育してきたのも全ては貴方を真人間にするため……変態の一族の血に目覚めさせないため!」

 

「どうしよう一夏。凄く嬉しい」

 

「良かったね」

 

他所様の家庭の事情ってだけで気まずいんですよ?

 

「例え貴方が……国の半分の男の手玉をとった……手玉にとった夜の女王の娘であっても、変態のサラブレットであったとしても私は頑張った!」

 

「僕の実母の綺麗な思い出が音を立てて崩れていくんですけど」

 

「俺の実姉見てみ?」

 

 

 

「オノレ貴様らぁぁぁッ!!! 若さか!? 若さがいいのか!! このロリコン共がぁあああああああああああ!!!」

 

「なんだこの女は!?」

 

「近づくな!! 婚期を逃しかけて見境がなくなっているぞ!?」

 

「独身の男はいねぇえがぁああああああああああああ!!!?!?」

 

 

 

 

「僕が悪かったよ」

 

「誰か貰ってくれねぇかなぁ……」

 

高校の同級生から送られてくる『結婚しました』という写真付き葉書。それが届く度に目が死んでいく姉。最近、ナカーマだと思っていた幼馴染も男と子供を作った。出会いが欲しい、彼氏が欲しい、幸せな家庭が欲しい。弟? リア充は敵だ。ぶん殴りたい。だから出席簿で殴るときは殆どが私情だ。文句あるか。

 

そんな彼女は今や沢山の男たちに囲まれてモテモテである。……鎮圧対象として。

 

彼らは彼女を抱きしめたくてしょうがない。……取り押さえる的な意味で。

 

愛? いいえ、哀である。 頑張れ兵士。男を見せろ兵士たち。弟は高みの見物である。だって自分は恋愛対象でないから安全ですしおすし。

 

「シャルロット。女の子である貴方を男として育てたのも、全ては夜の女王と国民から称されたあの第二王妃の再来を防ぐ為! 徹底的な紳士教育も、コスプレ幼女萌な愚息の二の舞にさせないため! 何より、あの変態ドM野郎から引き離すため!!」

 

「どうしよう一夏。僕んちヤバイ」

 

「お母さん苦労しすぎだろ……」

 

完全に目が座っている女王陛下。国のためなら変態共なんて家族でも処す。というか○す。そう言い出しかねないその迫力に二人はドン引きででした。事実、彼女は本気である。

 

「何を手こずっているの!? 早く変態共を駆逐しなさい! 暗殺部隊を投入し背後から囲み「なんだか美味しそうな権力の香り!!」ペぎゃッ?!」

 

「「「……あ」」」

 

女王を突如襲った銃弾(ゴム製)。それは国王を葬らんと一心不乱に指揮をとる彼女の脳天に綺麗に吸い込まれ、

 

「………てへ?」

 

………………。

 

「きゅう……」

 

騒がしかった銃撃戦の喧騒が嘘のように静まり返った中、ドサッという肉体が倒れ込む音だけを響かせた。

 

犯人はもちろん、真季奈である。

 

「何やってんのーーーーーーーーーーーーーー!?」

 

「お義母さーーーーーーーン!!!!」

 

なんでこんなことを?

 

「頑張っている人を邪魔してみたくてやりました。とても清々しい気分です」

 

とのことです。

 

「「アンタ最低だよマジで!?」」

 

だって真季奈ちゃんですし。

 

「さぁ邪魔者はいなくなりました! パーティーを愉しみましょう!!」

 

「『「ヨッシャ!!!」』」

 

「「「陛下ーーーーーーーーーーー!!!!」」」

 

嬉々として乱闘と再開する婚活の猛者たちとトップを屠られて動揺する兵士たち。

 

その時彼らの均衡は瓦解した。暴れる者たちと取り押さえる者たち。調子づく勢いを動揺を隠せない者達に止められるはずも無く、会場はまさに血で血を洗う阿鼻叫喚の地獄絵図………というほどでもないが、まぁ何時も通りで滅茶苦茶だった。

 

「お義母さんしっかりして!!」

 

「……う、うぅ、シャ、シャルロット、よくお聞きなさい……」

 

「……はい…」

 

頭に大きなたんこぶが出来た女王陛下は王子の手を取ります。それは彼女の、王子への最後の言葉となるのでしょう。王子も厳かな雰囲気に気を引き締めます。

 

「受取りなさい。貴方に、王家に伝わるこのドレスを授けます。これで、この馬鹿騒ぎを治めるのです………」

 

「これは……このISは……!?」

 

それはデュノア王家の象徴たるドレス。世界でとてもよく普及したインフィニット・ストラトスにして王子の、シャルロット・デュノアの専用機。

 

 

『ラファール・リヴァイブ・アルテイヤー』

 

 

「お願いシャルロット、あの変態共のようにならないで……過ちは……繰り返さな……」

 

「お、お義母さーーーーーーーーーーーーん!!」

 

倒れ伏せる女王。悲しみに嘆く王子はすぐさま兵士を手配し、彼女を安全で、清潔なベッドに運ばせた。

 

「お義母さん! 敵は必ずとるよ!!」

 

「結構余裕だなオイ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところ変わって月面。

 

そこでは人工大地でぺったんぺったんと餅を突く黒ウサギ達に囲まれるかぐや姫ことラウラ姫がおりました。

 

「隊長! 大変です隊長!!」

 

「隊長ではない! かぐや姫と呼べクラリッサ!」

 

まるで満月のような金目と銀に輝く長髪をもった十二単を纏うラウラ姫。地上より帰還したラウラ姫は突きたてのお餅が美味しい毎日です。彼女を取り囲むお世話係は黒い軍服を着たウサ耳少女たちである。

 

そんなウサ耳達が血相を変えて慌てる理由とはなんぞ?

 

「『D.O.M.E』が! 月面の『D.O.M.E』が起動し始めました!!」

 

「なにぃぃ!? 『D.O.M.E』がだとぉおおおおおおおおおおおお!?」

 

『D.O.M.E』。それは………それは………?

 

「おいクラリッサ。『D.O.M.E』とはなんだ?」

 

「さぁ?」

 

おいこら。ちゃんと管理しろ月のお姫様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月面の『D.O.M.E』に設置されたマイクロウェーブ照射装置。その光圧エネルギーを展開した光の翼で受信する『アルテイヤー』は夜空に輝く星でありました。

 

「充填率百%……エネルギー全開!!!」

 

巨大な砲塔、サテライトキャノンを構えたシャルロットは、その照準を迷うことなく王城、そのパーティー会場へと向けた。

 

「ちょ、シャルさん!? それはやりすぎぃいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」

 

「お前ら纏めて吹きとべぇええええええええええええええ!!!!」

 

光のエネルギーが球体となって輝く。それは砲口より溢れた破壊の力が放たれる刹那の光景。夜空に二つ目の満月が現れた瞬間であった。

 

その夜景を見上げるパーティーの参加者達は「あ、やっべ」と遅まきながらに気付く。しかし、『死』が頭をよぎったその光景に一瞬の空白がおき身体を硬直させる。

 

 

「サテライトキャノン! 行っけぇええええええええええええええええええええええええ!!!!」

 

 

「緊急退避! デウスシールド!!!」

 

『え!? 嘘、ぎゃぁあああああああああああああああああ!!!!』

 

「デウスぅううううううううううううううううううう!!!」

 

誰よりも早く動いたのは継母こと真季奈だった。彼女は飼い犬の首輪を掴むと落ちてくる光へと思い切り投げつけた。

 

 

犬爆発。誤字ではない。

 

 

光の竜こと魔法使いに内包された膨大なエネルギーがもう一つの巨大なエネルギーとぶつかり合い誘爆する。黒犬の内なるエネルギーの爆発が壁となり天から降りかかる破壊エネルギーを四散させ、飛び散らせながら霧散していく。

 

「デウスは犠牲となったのです」

 

「悪魔かおのれは」

 

もはや残骸すら残っていないデウスこと魔法使い。彼は夜空に消えたのである。

 

つまり。

 

「きゃっ! 私のドレスが……!?」

 

「消えていく!? なんで!?」

 

その場にいた少女達の身に纏うドレスことISが消えていく。彼女たちだけでなく、シンデレラの物も。

 

魔法が切れたのだ。

 

 

「こりゃ……騒ぎが収まってくれる、か?」

 

シンデレラは武装解除をしていく婚活女性達を見て安堵しました。しかし、一夏のそれはとても、大きな、大間違いなのです。

 

 

………シンデレラ。シンデレラ。俺の声が聞こえていますか?

 

 

「こ、これはデウスの声!? 一体どこから?」

 

 

……シンデレラ。夜空に消えた俺は思念体となってお前に話しかけている……。

 

 

「器用だなオイ」

 

 

……時にシンデレラ。早くそこから逃げたほうがいいぞ。魔法が切れたらお前、全裸だから。

 

 

「は?」

 

 

……いや、実はお前の魔法だけ、服をドレスに作り替えてたんだわ。なので、魔法が切れたら着てる服も一緒に消える。

 

 

「何してくれんのお前!?」

 

 

めーんご。

 

 

「ふっざっけんなこらあああああああああああああぁぁ……あっ!?」

 

 

「「「きゃぁああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」」」

 

 

なんということでしょう。ちょうど十二時を超えた頃。少女たちに囲まれて、全裸の男が現れたではありませんか。

 

「変態よ! 露出狂の変質者がいるわ!!」

 

「兵士さん! この男を捕まえてーーーー!!!」

 

「………(じーー)きゃっ!」

 

「あれ? うちの娘……あれ? 織斑一夏?」

 

「愚弟……粗末なものを晒すんじゃない」

 

「………ハァ(可哀想なものを見る目)」

 

ついでに周りの魔法も解けたようです。良かったね、男の子に戻れましたよ。

 

「良くねぇよ!? 最悪な状況じゃねぇか!!!」

 

魔法使いの魔法が切れたことでシンデレラこと織斑一夏くんは織斑一夏くんに。彼女の家族も彼の家族に戻ったようです。そして周りの少女たちも、元のIS学園の生徒たちへ……。

 

「「「ぜ、全裸の織斑くん……!!」」」

 

「あ、色んな意味でやべぇ!!」

 

一部、怪しい目付きでヨダレを垂らす少女たちもいるようです。

 

そしてとてもにこやかな笑顔を浮かべる少女も一人。

 

「さぁ皆さん! あそこの変態を捕まえてしまいなさい!!!」

 

「「「ヒャッハァーーーーーーーーーーーーー!!!!」」」

 

「いやぁああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

ガラスの靴はないけれど。お城から必死に逃げ出す織斑一夏なのでありましたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

「最低だよチクショウ!!」

 

「一夏! 男の子に戻ったんなら僕と結婚してよ!」

 

「シャル!?」

 

王子様こと王女様にも追われているようです。

 

 

おしまい。 

 

 

 




オマケ。

赤ずきんこと紅ずきんちゃん

「なぁ姉さん。なんで姉さんのお腹は大きいの?」

「そ、それは妊娠してるからだよ」

「なんで姉さんのベッドにクラスメイトの父親がいるの?」

「お、男はオオカミだからだよ!」

「言いたいことはそれだけかぁあああああああああああああ!!!」

「箒ちゃんだめぇえええええええええええええええ!!!」




白雪姫と意地悪な継母

「鏡よ鏡よチェルシーよ! この世で一番美しいのはだぁれ?」

「それはお嬢様です」

「……そこは白雪姫と答えるのではなくて? 台本的に」

「私はお嬢様の名メイドですので」

「チェルシー!(感涙)」



白雪姫と四十人のオッサンたち。

「姫さま。城からの追手はありませんぜ」

「よろしい。今こそ反撃の狼煙をあげましょう。皆さん、武器を持ってください! 討ち入りです!」

「簪姫さま!」(×40)

「ハイホー!」(×40)

「ふふふ、セシリアお義母様……貴方はいい踏み台でした」



金太郎の相撲取り

「どすこーい」

「いや、ちょっと待って!? なんで私がくま役なの!?」

ロシアの荒熊ー。

「セルゲイ!? なによそれ!?」

「どすこーい」

「ちょっと鈴ちゃん! 貴方もいいのこれ!? 私熊の着ぐるみで貴方全裸に赤い前掛けよ!?」

「どすこーい」

「……心が壊れてる!?」





という訳で。

箒   →赤ずきん 

セシリア→白雪姫の継母

簪   →白雪姫

鈴   →金太郎

楯無  →熊 

ラウラ →かぐや姫

でした。

ちなみにD.O.M.EはガンダムXを調べてね。
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