今回のこの物語は、拙作「とある冒険者のキセキ」が完全に詰まってしまったために、全面見直し、完全新作として投稿させていただきます。
もしよろしければ今一度お付き合いくださいませ。
始まりの物語 アルティの細腕繁盛記
かつてとあるMMORPGがあった。
【エミル・クロニクル・オンライン】
可愛らしいデザインのキャラクターたちと共に、時に優しく、時に恐ろしい世界を冒険し、プレイヤーだけではなく、NPC達とも協力し世界に隠された謎を明かし、そして世界を救うというゲームであった。
そしてこれから語られるこの世界は、世界を救ったプレイヤーたちが去ったあと、もしくはそれに似た、極めて近く限りなく遠い世界の物語。
それではかつて存在した、そしてこれから語られるであろうとある人物の言葉を借りて物語の幕を上げましょう。
「さあ、皆さん。 行く人、来る人、お暇な人、是非是非足を止めてお聞きになって下さいな。 此度始まる物語は一つのありえたかもしれない可能性の物語。 結末のさらに先への物語でございます」
ここはアクロニアと呼ばれる世界群、その中でエミル界と呼ばれる世界にあるアクロニア大陸の中心に存在する商業都市【アクロポリスシティ】
その上空にある飛行庭のそのまた一室、執務室に青い服をまとったポニーテールの一人の愛らしい少女がいた。
「あぅぅ、どうしよう~」
そう言って頭を抱えている少女の名前はアルティ。
この飛行庭の所有者であり、彼女自身が経営している鍛冶工房、通称「アルティの工房」の鍛冶師兼若社長である。
どうやら現在何かの問題が発生しているらしく、ここで一人頭を悩ませているようだ。
その時、入口のドアから規則正しいノック音が聞こえてくる。
「あ、はい。 開いてますからどうぞ」
「失礼します」
そう言い一人の女性が入室してくる。
その女性はクラシカルなメイド服を身に纏い、膝下まで届く長い髪の先端部分をリボンで結んだ出で立ちだが、それよりも目を引くのは、女性の背中にある天使のような翼、そしてそれに相反して臀部から生えている悪魔の尻尾だろう。
彼女の名前はキリエ、とある有力者の屋敷で働いているメイドであり、アルティとも親交があるため時折ここへと訪れているようだ。
「あれ、キリエさん? 今日はどうしたの? 特に予定とかは聞いてなかったけど」
「はい、実はミアお嬢様から少しの間お暇をいただきまして。 それで久しぶりにアルティさんのところにお邪魔してみようかと」
「そうだったんだ、もちろん歓迎するよ。 私達は家族のようなものだし、何時でも来ていいんだからね」
そうアルティが微笑みながらキリエに伝えると、キリエもまた微笑み返しながらありがとうございますと伝える。
それはそれとして、とキリエが言いアルティへと問いかける。
「アルティさん、なにか悩んでいたようですがどうしたのですか? また工房が赤字になったという訳ではないようですが」
その言葉を聞いたアルティは、うぐ、と呻き声を出し、顔を顰めたあとに平静を装いつつ言葉を返す。
「ナナナナンノコトカナ」
どうやら平静にはなれていなかったようだ。
「……アルティさん、それでは誤魔化すどころか、問題があると白状しているようなものですよ」
どこか呆れたようにキリエに告げられると、流石に観念したのかアルティは頭を掻きながら実はと告げようとする。
その前にキリエから静止がかかる。
「まずはリラックスするために紅茶でも飲みましょう、今入れてきますので少々お待ちください。 その後改めてお話をお聞きしましょう」
そう言って部屋を後にしようとしたが、その前に入口のドアが開き一人の少女が肩を怒らせて部屋に入ってくる。
「もう、やっぱりここにいたのね、アルティ!」
「ミコトちゃん? どうしたの?」
ミコトと呼ばれたうさみみ付きのフードキャップを被り、ノースリーブワンピを着ている長髪の少女は、アルティの前まで歩いていくと席についている執務机をバン、と力強く叩き彼女へと詰め寄る。
「どうしたの? じゃないの! アルティ、またずっとここにいたんでしょう。 いくら私達が普通の人達よりも無茶が効くといっても、限度があるのよ!」
ミコトのその剣幕に押され、思わずアルティはキリエの方に視線を逸らし助けを求める。
それに気付いたミコトも、その視線の先を見て初めてキリエの存在に気付いたようで、少し驚いた表情をした後に、微かに頬を赤く染めて恥ずかしがっているようだ。
「……こほん、久しぶりなの、キリエ。 何時ここへ来たの?」
照れ隠しに咳払いをした後に、ミコトはキリエに問いかける。
その様子にどこか愛でるような表情をしたキリエだったが、いけない、と真顔に戻り答えを返す。
「お久しぶりですミコトさん。 何時来たか、についてはつい今し方という答えになりますが、それよりも先程の事についてお伺いしても?」
「えっと、先程の事ってアルティのことでいいの?」
「えぇ、そうですわ」
その言葉にどこか不穏な雰囲気を感じるアルティだったが、二人が入口に陣取っているために逃げることも出来ず、そこに留まることしか出来なかった。
そして時折、キリエが何らかのリアクションをする度に、彼女から溢れ出るオーラが強くなっていくのを感じ、どんどん背中から汗が流れ出す。
まるで判決を言い渡される被告人のような気分になっていたアルティだったが、二人の話が終わると、キリエからのオーラも立ち消え、ホッとしたのもつかの間、彼女を見たことを後悔することとなった。
そこにはどこか凄味のある笑顔を浮かべながら、美しい装飾が施され、そして碧色の宝玉が埋め込まれた短剣の腹を掌に、ペチ、ペチ、と叩きつけているキリエの姿があった。
「さて、アルティお嬢様?」
「ひゃ、ひゃい!」
思わず上擦った返事を返してしまうアルティだったが、それも仕方がないことだったのだろう。
彼女にとって今のキリエはまさしく恐怖の対象だったのだから。
「ミコトさんの話ではまた無茶をしているみたいですね?」
「え、えぇっとですね、キリエさん? 私はそこまで無理も無茶もしていないはずですけど……」
「そうですか。 つまりお嬢様の中では、お食事をお抜きになって仕事に没頭することも、徹夜でお仕事を続けることも、無理の範疇には入らないと言うことですね?」
そうキリエに問われて多少自覚はあったのだろう、思わずといった感じで口ごもり顔をうつむかせるアルティ。
それを見てまだ自覚はあると理解して、ため息を付きつつも安堵したキリエだが一応とばかりに、ダメ押しの言葉を紡ぐ。
「……お嬢様。 確かに私達【御魂】には寿命という概念はないに等しいですし、それこそ【御魂武器】が無事ならばどこまでも活動できるでしょう」
「……はい」
「ですが、そうやって以前お嬢様自身、無理を重ねて死にかけたのは覚えているのでしょう? あの時、ステラさんや他の皆様、それにあの方々がいなければどうなっていたことか」
あの時、と語る前にまずは前提知識としての【御魂】という存在について語ろうと思う。
御魂とは、はるか昔にこの世界群で起きた種族間戦争、通称【資源戦争】末期に不死の兵士研究の結果として生み出された存在たちのことである。
とはいえその研究自体は、兵士自体を生み出すものではなく珠魂と呼ばれる特殊な物質を武器に融合させて作成された【御魂武器】にこそ本質がある。
この御魂武器を使用し、そしてその果てに死亡した場合、使用者は武器の中にある珠魂に取り込まれ、最適化された後に御魂と呼ばれる存在に変化することとなる。
そして御魂に変化した後は、肉体的な損傷では活動不能になることはなく、武器の損傷や整備不良などがある場合活動が制限され、損壊することによってその御魂は死を迎えることとなる。
すなわち武器が損壊しない限りは永遠と戦うことができる兵士が生まれるという訳だ。
だが御魂はその製造コスト、そして整備の専門性の高さから、各武装の試作品が制作されたのみで計画は凍結されることとなる。
そしてこの書斎にいる三人全員がその御魂であり、更にアルティは開発者の娘であり、また自身も開発チームに身をおいていた。
そしてここからが先程キリエが言っていたあの時のことに繋がってくるが、その関係で以前彼女はこの書斎にいる面々や、今は各地にいるかつてここで暮らしていた御魂たちの半身である武器の整備をしていたのだが、その当時アルティは生前の記憶がなく、心の奥底にある御魂を生み出し、結果として皆を不幸にしてしまったのではないかという不安や、贖罪をしなければならないという強迫観念に突き動かされ行動していた。
そして最終的に彼女は生前の記憶を思い出すことなく、自身と同義の御魂武器である鎚を使い続け、とある女性の武器を修理した時に限界を迎え、その鎚は損壊し二度目の生を終えて輪廻の輪に加わるはずであった。
だが当時彼女に協力していた御魂やロアと呼ばれる存在たち、そしてお人好しの冒険者の手によって、とある場所に括られた存在となった開発者の助力もあり、その結果として彼女の鎚は修理され、彼女は三度現世に蘇ることとなった。
「アルティさん、そんなに私達は頼りないですか?」
そう寂しげにキリエが声を掛けると、アルティはガバっと顔を上げ否定の声を上げる。
「そんなことない! みんなが頼りないなんてことは絶対に!」
そう力強く宣言するが、その時見たキリエの表情はどこかいたずらが成功したように笑った状態であり、彼女は自身が担がれたと気付いて再び顔をうつむかせる。
その状態でも耳は真っ赤に染まっていることから、恥ずかしがっていることは見て取れた。
「さて、それではアルティさん」
「え、あ、はい。 って、ちょっとまって。 キリエさんいつからそこに?!」
いつの間にか自身の背後にキリエが移動していることに気付き驚愕するアルティ。
そのことに意を介さずに、キリエは現在執務机に座っているアルティを立たせると、手首を掴み移動を開始する。
「あ、あの、キリエさん……?」
「先程お話を聞くと言いましたが、それよりもまず今は仮眠を取りましょう」
「ちょ、キリエさん! 力強い、手首、痛っ! 実はまだ怒ってます?! ごめんなさい! 大丈夫ですから! 自分で歩けますから! ミコトちゃん、助けて!」
そう言いつつもキリエにズルズルと引き摺られて部屋を出ていくことになるアルティ。
なお、助けを求められたミコトは、触らぬ神に祟りなし、とばかりにそのまま二人に手を振って見送っていた。
その後仮眠を(キリエによって強制的に)取ったアルティは、先程の執務室に戻り、改めてキリエに悩みを打ち明ける。
「キリエさん、以前この工房が赤字になった時に宣伝として、ローレライちゃんとフォルテくんに、ライブをしてもらったこと覚えてる?」
「えぇ、覚えていますよ。 あの時は一時二人のファンが衝突しそうになって、あわや大惨事となりかけましたが、二人の機転で大成功を収めたんでしたね」
「うん、あの時は本当に凄かったよね」
そう二人は思い出話に花を咲かせる。
その思い出話に出てきた二人、ローレライとフォルテについて語ろうと思う。
まずはローレライ、彼女はロアと呼ばれる存在であり、その姿は人魚そのものである。
と、言うのも、そもそもロアとは、この世界群に存在する【想いの力】と呼ばれる独自の力を基点とし、人々に物語の登場人物を思い浮かばせ、その想像を具現化して生み出された者たちの総称である。
そして彼女の物語は『人魚姫』であり、本来ロアとは物語に縛られ、彼女の場合は人間に恋をし、人の姿を得て声を失い、最終的に泡となって消える運命であったが、かつてアルティを救ったお人好しの冒険者の力によって物語は書き換えられ、現在も元気に暮らしている。
更に現在の彼女は、アクロニア大陸でその名を知らぬ者はいないというレベルのトップアイドルとして君臨し、歌姫と呼ばれ親しまれている。
最も、当の本人はそんなこと知らぬとばかりに好きな時に歌い、好きな時に遊ぶというゴーイングマイウェイな生活をしているが。
次にフォルテについてだが、彼はローレライが有名になった後に活動を始めた歌手であり、アクロニア大陸東に位置する農業国家【ファーイースト】を中心に人気を獲得している若手アイドルとでも言うべき存在だ。
だがそれも彼の表向きの姿でしかない。
というのも、彼もまたアルティたちと同じ御魂であり、現在共和国制であるファーイーストが王朝時代であった頃に、国防軍音楽隊として所属していた軍人であった。
そしてかつて死亡した時に御魂武器であったギターに取り込まれ、つい最近御魂として目覚め活動を開始した経緯がある。
なお、本人は目覚めた時にファーイーストの風景が少し変わったなぁ、程度の認識で大して気に留めていなかったようだが。
兎にも角にも、かつて工房が赤字に陥った時に起死回生の一手として、結果的にではあるがアルティは二人のスポンサーとなりライブを開催。
紆余曲折を経てライブは大成功を収め、スポンサーである工房も黒字へと転換することとなった。
そして現在も二人との契約は継続中である。
「それで、お二人のお話が出たということは少なからず関係があるということですか?」
「うん。 以前フォルテくんや、ローレライちゃんにお金が貯まったらまたライブしようね、って言ってたんだけど……」
「お金が貯まらない、と?」
「ううん、お金自体はもう貯まってるんだ」
「それでは一体何の問題が?」
心底不思議そうに首を傾げてキリエはアルティに問うが、それを聞いたアルティは目に涙を溜めて。
「人手が全く足りないんだよぉぉ」
そう言って泣き崩れる。
流石にその返しは予想してなかったのか、キリエはズッコケそうになっていたが気合で体勢を立て直し、呆れたように声を出す。
「……人を雇えばいいだけでは? お金が貯まっているという事は、工房は順調なのでしょう?」
「それが、そんな単純な問題じゃないんだよぉ」
そう言って、さらにその訳を説明するアルティ。
曰く、最初の募集時にはそれなりに人は集まっていたらしい、物見遊山として。
しかし、ローレライとフォルテ、二人が居ないとわかった時点で大半が帰ってしまい、ごく少数の人員は雇うことができたが、今度は本業である工房のほうが順調すぎたためにライブに割ける人員の確保が不可能な状況らしい。
だが二人のファンにとっては、そんな裏事情を知る訳がない。
ファンから工房に、次のライブ開催は何時ですか? という問い合わせが殺到しているが、現在調整中です、という返答しかできない状況だ。
アルティ自身もライブ開催はしたいのだが、それ以上にこの状況が続いてしまうと、最終的にスポンサーである工房の信用問題に関わってくるかもしれない。
だからといってライブ期間中、工房を閉鎖するというのも問題だ。
現在工房はやっと軌道に乗った状態であり、今少しの間でも活動をやめてしまうと、それこそやっと付いてくれた固定客が離れていってしまう可能性がある。
あちらを立てればこちらが立たず、まさに今この状態であり、繁盛しているという意味ではある意味贅沢な悩みなのだろうが、彼女は現状を打破する方法がないかと悩み抜いているということだった。
「……なるほど、たしかにそれは悩ましい問題ですね」
「それでなにか解決策があればいいんだけど」
そう二人で、ウンウン頭を悩ませていると唐突に入口のドアがバン、と開け放たれ元気の良い声が聞こえてくる。
「その悩みなら妾に任せるのだ!」
その声の主は、狐耳と尻尾を生やして赤を基調としたドレスを身にまとったツインテールの幼女だった。
その子の後ろからは、どこか諦めたような雰囲気を漂わせたミコトが歩いてきていた。
どうやら幼女を止めようと必死だったらしい。
「メイちゃん?」
アルティにメイと呼ばれた幼女、彼女もまた御魂であり、身寄りがないのでこれもまた一つの縁ということで、アルティが引き取り共に生活している。
また彼女の耳は自前のものではなく、ほぼ全ての御魂は変化した時にモチーフになった動物の体の一部が生えたり、体の見た目が変化するなどといった特徴がある。
そのメイだが、どうやら二人の話を盗み聞きしていたらしく、自分なら解決策を用意できる、と自信満々に突撃して来たという訳だ。
「ふっふーん、この程度も思いつかないなんて、アルティもまだまだなのだ」
「えっと、それじゃメイちゃん。 その解決法って?」
今は藁にもすがる思いでメイに解決策を聞くメルティ。
その近くでこれは言葉使いや礼儀作法についての教育をするべきでしょうか? と、悩んでいるキリエと、それを感じ取って額に手を当てて、あちゃーといった感じの雰囲気を醸し出しているミコトに気付かずに、メイは胸を張って答えを告げる。
「アルティ、以前のライブのことを忘れたのだ? あの時と同じように妾たちが全て手伝えば万事解決なのだ!」
「メイちゃん、えっと、それは……」
「メイさん、流石にそれは厳しいかもしれません……」
「?? なんでなのだー?」
アルティもキリエも一度はその考えが浮かんだことはあった。
だが以前と今とでは状況が違いすぎた。
以前御魂たちはここに住み、アルティにと協力し一致団結し事にあたっていた。
しかし今は各地に住まい、それぞれの生活がある。
無論アルティが一言招集を告げれば皆二言を言わずに集まるだろう、大事な家族であるアルティを助けるために。
だが、それでは駄目なのだ。
確かに皆集まってくれるだろう、自身の生活を犠牲にして。
そしてそれはアルティが最も望んでいない行動だ、故に告げられない、告げる訳には行かないのだ。
そのことを説明すると。
「そうなのかー……。 残念なのだ」
そう言って肩を落とすメイ。
そしてそれにごめんね。と言って慰めるアルティ。
そんなどことなく気が抜けたやり取りをしながらも、さてどうしたものかと再び悩み始めるが、その時ため息が聞こえてくる。
その出処を見てみるとそこには心底呆れたといった感じのミコトがいた。
「まったく、アルティもキリエも深く考えすぎなの」
「! もしかしてミコトちゃん、解決方法があるの!?」
アルティが慌てたように聞くと、当然とばかりに胸を張りミコトは答える。
「さっきメイが言ったように力を借りるのよ」
「いえ、ですからミコトさん」
そう言葉を出したキリエの方を向き、ミコトは言葉を告げる。
「キリエ、人の話は最後まで聞くものなのよ? 誰も全員に話すとは言ってないわ」
「……それは、どういう」
「いるでしょ、一人。 比較的暇をしていて、なおかつ人手を多く抱えている御魂が」
「!! そっか、彼女なら!」
その言葉に合点がいったのか、アルティは興奮して声を荒げる。
キリエもまた理解できたらしく盲点でしたと呟く。
メイは頭の上にクエスチョンマークを掲げて首を捻っていた、理解できていないようだ。
「それと、いきなりあの子。 ルリの元に行ったら流石に迷惑になるかもしれないから、アルティが仮眠をとっている間に手紙をトンカエクスプレスの人に頼んで送っておいたわ。 今頃はきっと私達が来るのを待っているはずだわ」
「……えっ、ミコトちゃん?」
あまりの行動の速さにアルティが驚いていると、ミコトはやれやれとばかりな動作をして、呆れた風に声を出す。
「まったく、今の私はアルティ、あなたの秘書なのよ? 勿論現状は把握してるし、解決策を考えるのも当然じゃないの。 本当にアルティはもっと他の人を頼ったり、心に余裕を持ったほうがいいわ」
そうミコトに言われ、しょんぼりするアルティ。
「……はい、返す言葉もございません」
という言葉を出すことが精一杯だった。
その近くでは必死に笑いをこらえるキリエと。
「なになにー? アルティ怒られてるのだー?」
と、恐らく無意識に煽るメイの追撃により、さらにアルティはしょんぼりすることになる。
「そ、それはともかくとして!」
と、言い自らを鼓舞するアルティ。
ミコトとキリエからは生暖かい視線を頂いているが、それは無視してさらに告げる。
「解決策が決まったのなら後は行動するのみ! 行こう! ルリちゃんがいる【トンカシティ】へ!」
そして一行は、一路アクロポリスより南南東にある都市国家【トンカシティ】へと向かうことになる。