魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語 作:ソーナ
〜零夜side〜
「―――以上が事の顛末と報告になります」
「なるほど・・・・・・。ご苦労様でした。本来なら誰か大人が着かなければならないのですが、あなた達に色々とさせてしまいましたね・・・・・・・」
「いえ。クライドさんが補佐してくれたのでなんとかなりました」
「そうですか・・・・・・」
刀使の世界から本局に帰還した僕は帰還後、直属上司であるミゼット統幕議長に事後報告を直接していた。
丁度その場にはミゼットさんの他にラルゴ元帥にレオーネ相談役と、管理局の最重要重鎮三人が揃っていたのである。
「・・・・・・ミゼット」
「なんですかラルゴ?」
「いやだな、我々が彼を任じたのもあるが・・・・・・」
「さすがに、この成果は・・・・・・・」
「―――常軌を逸してると?」
「ああ。いや、正直研究会の上位三翼の序列一位と遭遇して五体満足でいること自体が可笑しいんだが・・・・・・・10歳でだぞ?」
「今更でしょう?」
「(なんだろう。褒められてない)」
目の前の上司の会話に僕は目を遠くにやる。
「まあ、それは置いといて」
「(置いとくんかい・・・・・・!)」
心の中でで色々なことにツッコミを入れる。
「何時までも立ち話はなんです。零夜くんも座ってください」
「あ。えっと・・・・・・し、失礼します」
礼をしてミゼットさんの目の前の椅子に座る。
「ここから先は業務連絡ではなく、我々個人の話し合いです」
「へ?」
ミゼットさんの言葉に呆気に取られていると。
「零夜よ、数日後には
「大丈夫ですレオーネ相談役」
「ホッホっ。我々だけの時はレオーネで良いと言っておるのじゃがのぉ」
「あははは・・・・・・」
「油断はせぬようにな。手加減はしたら即負ける」
「ラルゴ元帥・・・・・・」
「そうじゃな。管理局に所属せんでも優秀な魔導師や騎士は星の数ほどいる。油断しておったら足元を救われるぞい」
「はい。なので初戦はチカラを見せつける為にも速攻で終わらせるつもりです」
「ほう」
「具体的にはどうするつもりなのです零夜くん?」
「はい。まずは術式を瞬間構築展開して複合魔法で倒します。さすがに死にはしないと思います。アレで防がれるので。ですが、速攻な為反撃はほぼほぼ無理かと。もちろんこれは初戦のみ有効です。二回戦からは速攻KOは不可能に近いですね。もちろん、相手の技量にもよりますけど」
「ちなみにだけど・・・・・・なにを複合するつもりだい?」
「上位魔法の炎系統と雷系統ですね。それによって科学反応の過負荷を発生させます」
「「「え、マジで?」」」
「え?」
正気かこの子とでも言いそうな表情に僕は怪訝をうかべる。
このくらい普通だと思うけど。でもかなり手は抜いてると思う。
「う、うん。まあ、頑張ってください」
「?はい」
その後日々の日常生活の話しやらをした。
その感覚は孫の話を聞いているお祖母ちゃんお祖父ちゃんのようだと他の人が見たら言うだろう。
数日後
「うわぁー。すごい人の数だね」
「お姉ちゃん、あまりはしゃがないでよ・・・・・・」
「だって、私の大切なれー君の晴れ舞台だもの!これが落ち着いていられないよ〜!」
ミットチルダ中央区の総合格闘技大会、『インターミドル・チャンピオンシップ』が行われる会場に来ていた。
家族全員で。
「そう言えば明莉、昨日何を作っていたの?」
そうここには家族全員の名の通り、女神である明莉お姉ちゃんたちも勢揃いしているのだ!
知智お姉ちゃんが明莉お姉ちゃんのに問い掛ける。
明莉お姉ちゃんは少し大きめなバックを肩に下げている。
「零夜くんの戦闘装束は零夜くんの魔力によって構築されてるでしょ?だ・か・ら〜!!」
ムフフと笑みを浮かべると、明莉お姉ちゃんはバックから何かを取り出し・・・・・・・・・・・・・・・た。え?
バックから取り出されたものを見て思わず思考停止が数秒発生する。
「じゃじゃーん!!」
取り出されたものは学校の運動会などの行事で使われるような横断幕だった。
しかもご丁寧に
「・・・・・・恥ずい」
「・・・・・・恥ずいわ」
「・・・・・・恥ずいわね」
「・・・・・・恥ずかしいね」
「・・・・・・は、恥ずかしいかも」
である。
明莉お姉ちゃん以外全員の意見が一致した瞬間である。
「か、過保護も程々にしなさいよって
「あははは・・・・・・。この間、
「あー、こんな姉さんは見たことないって言ってたね」
「そう言えば
「ま、まあ、天界じゃあんな真面目に率いていた明莉が実はブラコンって知ればね」
「実弟の草須堺も知らなかったみたいだし・・・・・・いや、実弟だからこそ出来なかったってのもある?人の目もあるし?」
「月詠に関しては零夜くんを溺愛してたわね」
「やっぱり姉妹」
「にしてもなんか他の
「あー、この間は
「うーん。あまりこの世界に影響がないといいんだけど」
姉たちの会話に僕は声に出さずに、既にある意味では影響があるとツッコんだ。
主に加護的な意味で。
現に僕や夜月の戦闘能力は日々ランクアップしてる。
しかも上限知らずだ。今もし僕らが本気も本気の、マジ戦闘を繰り広げたら次元断層を軽ーく引き起こせそうな気がする。ちなみに星一つ木っ端微塵にはならないけど、それに近いくらいはなるかもしれない。余波影響で。
そんなこんなで時は進み、観戦に来たなのは達とも合流。そこに一組の男女がやってきた。二人ともに首からスタッフの印を下げている。
「失礼致します。天ノ宮零夜様でよろしいでしょうか?」
「はい、そうですけど?」
「失礼致しました。私たち二人、当大会で零夜様のサポートをさせていただきます」
「そうですか」
「はい。では、零夜様はこちらへ。控え室の方にご案内致します。セコンドの方は・・・・・・」
「あ。夜月、凛華、美咲お姉ちゃんお願い」
「OK〜」
「はい!」
「了解だよ」
「では他の方はこちらのスタッフの後に着いて行ってください」
スタッフについて行き、控え室に着く。
「あの、それと申し上げにくいのですが」
着いて中に入るなり、畏まったように言うスタッフに怪訝の表情を浮かべる。
「零夜様には、お願いとして戦略級はまだしも、戦略級より上の魔法・・・・・・星戦級は使わないように何卒お願い致します!」
「へ?」
言われる迄もなく使うつもりは無かったのだが、唐突の言葉に思わず変な声が出た。
「ミゼット様から話は伺っておりますが何卒!!」
めっちゃ必死な懇願に僕達はえぇーー、となってしまった。
「あ、いや、あの、別に使わないので大丈夫ですよ?というか、そんな星戦級魔法を流石にここで使用する訳にはいかないので(というかそんなホイホイ使わねぇわ!一発撃つだけで魔力滅茶苦茶持ってかれるんだから!!)」
さすがの僕も呆れ答える。半分は心の中で言ったが。
その後、スタッフが出て行くなり、着ていた私服から戦闘装束である、黒衣のバリアジャケットを魔力変換によって素早く変える。
バリアジャケットに着替えるなり、異空間から二丁の銃型のデバイスと長剣型のデバイスを二振り取りだしそれぞれセットする。
さすがにここで『黒聖』や『白庭』は使わない。さらに
「やっぱりそれを使うのね?」
「うん。さすがに凛華たちは使えないし・・・・・・・スペック面とかで」
美咲お姉ちゃんに凛華を見ながら言う。凛華は凛華でエヘンっと胸を張る。
「ま、まあ、凛華ちゃんたちを作製したのは明莉だものね」
明莉お姉ちゃんはこうなる事を見越していたのか、凛華たちのスペックは現存するどのデバイスよりもはるか上の性能を保持してる。あ、いや、単に天然なのかな?
明莉お姉ちゃんと過ごしてきて所々に天然が出ているのを知っているためそんな予感が走る。
それからしばらくして。
『―――お待たせしました!!これよりインターミドル・チャンピオンシップ都市本戦を開幕致します!』
「準備は万端?」
都市本戦開幕一回戦の試合なためフィールドの袖で待機していると夜月が聞いてくる。
「もちろん」
服装や武装は控え室で変えたもので、黒衣のバリアジャケットに背中に二振りの長剣型デバイス。そしてジャケットの内側のホルスターには二丁の銃型デバイス。
黒衣のバリアジャケットのコート裾は膝丈まであり、ロングコートとなってる。
つまり、武装以外は何時もと同じだ。凛華たちならジャケットに若干の違いがでるけど。主に色で。
『―――それでは都市本戦開幕試合。第一回戦の選手の入場です!』
「さて・・・・・・行こうか」
アナウンスが聞こえると、僕はフィールドへと向かっていった。
フィールドに出ると観客席からは沢山の歓声の声が響く。
反対側からは僕らと同じように、対戦者がセコンドを伴って出てきた。
そしてほぼ同時に中央に設置されたフィールドに上がる。
「(相手の出で立ち、かなり熟練された武闘家だ。術式は多分近代ベルカ式。けど、ザフィーラや騎士シャッハに比べたらレベルは低いか?いや、油断は出来ないね。速攻でキメる)」
相手の姿勢、武装、服装などを観察して心に出す。
さすがにあの人たちと比べるのは練度が違うか。
『これより、
そして、そのルオン選手の相手はこの人!!若干10歳で時空管理局特務三佐の地位を得、史上初めての戦星級魔導師の称号を持ち、現時空管理局最強の魔導師として活躍中の魔導師!!《規格外》、《魔王》、《星皇》等など様々な二つ名が通ってる、管理外世界地球出身の魔導師!!天ノ宮零夜選手!!天ノ宮選手は初参加ながら全試合もルオン選手同様一ラウンド最短で制してます!さらに!彼の背中の双剣を両方とも抜かした選手は未だにいません』
実況者のかなり不本意な解説説明に苦笑いが出そうになるのを耐え、相手―――ルオン選手を視る。
「お手柔らかに。よろしく頼むよ」
「それは保証しかねますけど、よろしいお願いします。正々堂々、良い戦いを」
軽く挨拶を交わし。
「ふぅ・・・・・・始めよう」
それぞれ武装を展開し構える。
ルオン選手は両手にガントレット型のアームドデバイスを。僕は背中の剣も抜かず無手で、何時ものスタイルを。
『それでは両者位置について。―――READY・・・・・・FIGHT!!!』
やがて、カウントがゼロになるのと同時にルオン選手が飛び掛ってきた。
「ハアあぁぁっ!」
一瞬の内に間合いを詰められ、腹部に強烈な打撃を食らわせてくる。この間一秒。
が、それを受け流し。
「ぜりゃァっ!」
次々来るラッシュを捌き、見切り、受け流していき。
「よっと!」
「なッ!?―――クハッ!」
掴んだ右手を取って引き寄せカウンターの掌底を食らわせ距離を取らせ。
「準備完了」
足元に緋と白の魔法陣を構築展開し。
「―――
発動術式を綴る。
無詠唱による
「
高熱によって白き炎となった炎雷による攻撃。
中級クラス上位に入る炎系統と雷系統の複合魔法。
【
白華の名の通り、ルオン選手を中心に純白の焔の花園が次々に咲き誇り、雷電との連鎖反応により花火が発生した。
さすがに実戦使用は今回が初だが、結果はご覧の通り。
「ナニッ!?」
避けても避けても次々発生する焔の華についに捕えられ、ダメージ受け自身のライフポイントが物凄い勢いで削られ数秒後には。
『・・・・・・・・・・・え、え??ハッ!―――し、試合終了!?しょ、勝者、天ノ宮零夜!!試合時間僅か、じゅっ、18秒!?』
「よし」
『強いっ!速いっ!しかも魔法融合という一部の者しか扱えない超高等技法による一撃で相手をダウンッ!!?こ、これが現時空管理局最強と言われる魔導師の実力の一端なのかぁぁぁっ!!!??』
歓声と拍手が割れんばかりに響き、実況者も戸惑うような驚きを隠せずにいた。
『驚くべき事に天ノ宮選手!全くの無傷!しかも、背中の剣も抜かず、攻撃は無手によるカウンターと最後の魔法融合のみ!!これはとんでもない少年が出てきたァァァ!!!やはり時空管理局最強の名は伊達ではない!!!』
「あははは・・・・・・・。―――やりすぎよーレイくん・・・・・・」
実況者の声とともに小さく夜月の呆れ声が耳に入った。
まあ、確かにやり過ぎたかも。【炎業迅雷・白華】は。
でもまぁ、油断してやられるよりはいいよね?
そんなことを自問しながらルオン選手へと向かう。
「(彼の近接格闘術すごく良かった。的確に相手の急所を狙って来てたし、これにM・M式を組み込んだらどうなるのかな。いやぁー、凄いね!まさか一回戦から隠れた原石が見つかるなんて!!)」
どこかワクワクした様子で僕は歩く。
「(ルオン選手、ウチの課にスカウトしよう)」
そう決意して。
まずは第一候補で。
「対戦ありがとうルオン・イリゼリットさん」
「慰めはいらないよ。俺の完敗だ・・・・・・。まさか一撃も与えられずになるとはね」
差し出した手を掴みルオン選手は立ち上がりながら言う。
「いや、僕も危なかったよ。あなたの格闘術にはヒヤヒヤした。的確に急所を狙って来るからね」
「ははっ。それでもキミには当たらなかった。まだまだ世界は広いな」
「ルオンさん、よかったらウチの課に来ない?」
「?それはどういうことだい?」
「僕が率いてる部隊。特務0課にキミをスカウトしたい」
「!?キミには一撃も与えられなかったんだけど?」
「僕はあなたのその拳を気に入ったんだ。あなたのその武術、それをもっと色々な所で生かしてみない?」
「・・・・・・悪いけど、今は断らせてもらうよ」
しばしの沈黙の後、苦笑を浮かべながらルオン選手は断ってきた。
「魅力的だけど、今キミに甘えたら俺は納得出来ない。せめて、キミに一撃与えられるようなレベルにならないと」
「そっか・・・・・・。何時でも待ってるよルオン・イリゼリットさん」
「ルオンで構わないさ」
「なら僕のことも零夜で」
「そうか?なら、零夜。次キミと相見えるのは来年の
「ええ。僕もレベルを上げとくよ」
「ははっ。キミにそれ以上上げられたら俺も追い掛けないとな」
「ふふ。そう簡単に追い越されてたまらないさ」
「それでこそ追い掛けがいがある。では、また次の舞台で会おう。我が好敵手よ」
「ああ。こちらこそ」
互いに握手をし、次への誓いを立て僕たちはリングを降りた。
次、僕とルオンが戦うのは来年のIMCS。楽しみだ。
これが後の歴史に、特務0課所属にして《