魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語 作:ソーナ
夜の逢瀬と来訪者
〜零夜side〜
「・・・・・・・・・・」
IMCS都市本戦が終わり、世界大会へ半月ほどの猶予のあるとある日の夜、僕はあの時の約束通り、なのはと空の旅に来ていた。
「ふっふっふっふっふーん♪」
「楽しそうだねなのは?」
手を握って夜の空。星空の中を飛ぶ僕となのは。
鼻歌を楽しそうに漏らすなのはに僕はつられて楽しそうに聞く。
「そりゃそうだよぉ〜!だってやっと零夜くんと二人きりなんだもん♪!」
「あははは・・・・・・そう言えばレイジングハートは置いてきちゃって良かったの?」
今なのははおしゃれな私服姿でいつも持ち歩いてる相機のレイジングハートを持ってない。
ではどうやって空を飛んでいるかというと。
「あ、うん。リニスさんにメンテナンスしてもらう予定だったし、零夜くんがいれば大丈夫でしょ?」
「まぁ、ね」
「それに、零夜くんからもらったこれもあるし」
なのはの左手首には白と桃色の混色の腕輪型アクセサリー。ブレスレットが着いていた。
そのブレスレットは僕が造った魔法具で、フェイトやはやてたちにももちろん渡してる。
そのブレスレットには対魔法・物理障壁に回復魔法、外部からの状態異常無効、そして飛行魔法を付与してある。
ま、御守りみたいなものだ。
「よっ、と」
しばらく空を昇っていき目的地の高度に着いた。
「うわぁ・・・・・・!」
目下には海鳴市の街並みが。頭上には満天の星空と満月。
街は街明かりによる光が。空は星灯で照らされてる。
「昼間もいいけど、やっぱり夜の方が綺麗だね」
「うん」
一種の幻想的な時間。
しかも今日は満月で、雲一つない。
「なんか舞踏会の舞台みたい」
確かにこの場にいるのは僕となのはだけ。
二人きりのステージ。舞台は空だけど、わかる気がする。
「うーん、じゃあ、踊ってみる?」
「え!?」
「音楽はないけど、ね」
「・・・・・うん!」
「じゃあ―――」
なのはから少し離れ対面し。
「お嬢様、わたくしと一曲踊っていただけますか?」
ちょっと気恥ずかしくもあるが、こんな感じだろうと舞踏会でのダンスの誘いをやってみた。
アリサやすずかに聞けばもっとちゃんとしたのを教えてくれるのかもだが、生憎僕は社交界というのに参加したことない。てか普通は参加せんのだが。
「えっと・・・・・・はい。喜んで」
差し出した手を取りフォークダンスのような、音楽のないリズムを取り踊る。
音は風の吹く音だけ。
「っと」
バランスを崩すなのはを支え飛びながら舞い踊る。
もし背中に妖精のような羽があったら、
ゆっくりと、手を取り合って回る僕となのは。
邪魔するものがいない、僕となのは二人だけの舞踏会にして空間。
「そうそう、そのままゆっくり」
「えーと・・・・・・こう、かな」
「うん、上手い上手い」
笑みを浮かべるなのはを見てドキッとする。
「・・・・・・こうやって零夜くんと二人きりなの久しぶりだね」
「あぁ、そう言えばそうだね」
二人きりなのはあの時宇宙での戦い以来なのかな?
いや、でも、それは戦いだったしレイジングハートもいたから二人きりってのは少し違うかな。
「昔はいつも私と零夜くんの二人きりだったのに、今はフェイトちゃんやはやてちゃん。聖良ちゃんや凛華さん・・・・・・誰かがいるね」
少し悲しそうな眼差しで言うなのは。
「ねぇ、零夜くんにとって私ってなに?」
「え」
唐突の質問に動きが止まった。
「ただの友達?それとも幼馴染み?親友?クラスメイト?師弟?同じ魔導師仲間?」
なのはの問いに僕はすぐに返す。
「決まってる。大切な人だ」
「え?」
「確かに僕となのはは友達で、幼馴染みで、親友で、クラスメイトで、師弟関係で、仲間だ。けど、それ以上に、なのはは僕の大切な女の子なんだよ」
なのはがいたから僕がいる。
なのはがいてくれたから今ここに僕がいる。
なのはが友達になってくれたから一人じゃなかった。
この世界で初めての友達にして幼馴染み、師弟。そして大切な人。
これに嘘偽りはない。
「もしなのはがいなくなったらなんて、僕には想像できない。なのはがいない日常なんて僕の日常じゃない」
そう。
僕の日常にはもうなのはたちが組み込まれているのだ。
「零夜、くん・・・・・・」
「まったく・・・・・・なのはは相変わらず泣き虫だね」
「ちょっ!酷いよぉそれぇ!」
「あはは。ごめんごめん」
ポカポカと叩いてくるなのはに微笑みながら謝る。
「ねぇ、零夜くん」
「ん?」
「また、二人きりの時間一緒に取ってくれる?」
「もちろん。当然だよ」
なのは。僕のこの世界でできた最初の大切な人。
「約束、だよ?」
「ああ。もちろんだ。何度だって一緒の時間を取ろう」
「ふふ。少し恥ずかしいよそれ」
目尻に笑い涙を浮かばせて言うなのは。
確かに、今の台詞はちょっと小っ恥ずかしいかも。
「零夜くん」
「ん?」
なのはに呼ばれなのはを見る。
すると突然視界が暗くなり、なのはの顔が近くにあった。
「ん・・・・・・」
「んむっ・・・・・・!?」
なのはの唇が僕の唇に当たり、僕の身体になのはの柔らかい身体が接触していた。
え、もしかして今なのはにキスされてるの?
僕の驚きを他所になのははキスを続ける。
少しししてなのはが僕から離れ。
「・・・・・・・・・・」
湯上りのような真っ赤に顔を染めていた。
「え、えっと・・・・・・な、なのは?」
心臓が破裂しそうなほどドキドキしながらなのはに訊ねる。
顔はなのはと同じく真っ赤だ。
「えっとね・・・・・・あの時も私の意思でしたけど、今のは私の気持ち」
「き、気持ち・・・・・・?」
「うん。私はね零夜くん。零夜くんのことが・・・・・・!」
なのはが顔を近づけて告げる。
その瞬間―――
「「―――!?」」
ピキっ!と音が空から鳴り、ガラスが割れたようなヒビ割れが目の前の夜空に現れた。
「なっ・・・・・・!」
「そ、空が割れた!?」
突然の事態に僕となのはは警戒態勢を取る。
「い、今いいところだったのにぃぃっ!!」
なのはは怒りマークを出して殺気立ってる。
割れた中心辺りからなにか出てきた。
目を凝らすと人影のようなものだ。
「「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」
その人影みたいなものから幼い少女の声が響いた。
「っ!?」
空に放り出されたと言った感じで絶叫を出す人影に僕は慌てて近寄り。
「
その人影―――二人の少女に風の魔法を掛けて落下を防ぐ。
「女の子!?」
月明かりに照らされて視えた人影を観て驚く。
どちらも僕らと同い年のような感じで学校の制服らしいもの着ている。
「君たち大丈夫!?」
慌てて近寄り少女たちに問う。
「は、はい。ありがとうございます。助かりました」
「ありがとうございます。急に空にいて驚いたもので」
少女たちはそれぞれ金髪に長い髪。瞳は左右の色が異なる
もう片方は碧銀の髪を特徴的なツインテールに結い、左の大きな赤いリボンが印象的な青系の虹彩異色。右目が紫、左目が蒼。こちらも多分僕らと歳が近いと思う。
金髪の少女の近くにはうさぎ。碧銀の少女の近くには猫?トラ?のようなぬいぐるみみたいなのがあった。
「割れた空から堕ちてきたから驚いたけど・・・・・・君たちどこの出身?」
そう。
この子達から魔力を感じる。
つまりどこか違う世界から来たと考えるのが当然だ。
「え、えっと・・・・・・それは・・・・・・って、えっ!?」
「あ、あなたは!!」
「ん?」
答えにくそうにする少女たちだったが、僕の姿を見て何故か驚いた顔をしている。
はて、僕の顔になにか着いているだろうか?
不思議に思っていると。
「ぱ、パパ!?」
「マ、
それぞれ上が金髪の子。下が碧銀髪の子が言う。
「え、は?ぱ、パパ?マ、師匠?」
意味がわからない二人の言葉に疑問符が浮かぶ。
そこに。
「れ、零夜くん!」
なのはが遅れて飛んできた。
「なのは!」
「零夜くん大丈夫!?―――って、この子たちは?」
「あのヒビ割れから堕ちてきた子たちだと思うんだけど・・・・・・」
なのはの問いに言いにくそうに言う。
少女たちもなのはを視る。
すると。
「ええ!?ま、ママ!?」
「ヴィヴィオさんのお母様!?」
なのはを見てまたしても少女たちが驚いたように言う。
てか。
「え、なのはいつの間にお母さんに・・・・・・!?」
なのはいつの間にお母さんになっていたんだ!?
あれ?てか、なのはまだ結婚できないよね?
「なのはその歳で子供いたの!?」
「そんなわけないでしょ!?それに私まだ子供いないよ!?」
「だ、だよね!?」
「そ、そうだよ!!それに結婚するなら零夜くんと・・・・・・ゴニョゴニョ・・・・・・」
後半部分は小声で言っていたが、それは置いといて。
「えっと、君たち一体・・・・・・」
あまりの情報に戸惑う。
少女たちも何故か動揺している。
そんな中。
「っ!―――
新たに開いたヒビ割れた空から雷が落ちてきた。
瞬時に障壁を五重展開し防ぐ。
反応出来ないでいたなのはと少女たちの前に出て、空を睨む。
「誰だ!!?」
固有空間から黒聖を取り出し切っ先を突きつける。
ヒビ割れている空間を視るとそこから。
「――――――」
一人の女性が出てきた。
「な、にっ!?」
「え!?」
出てきた女性を見て僕となのはは目を見開く。
だって出てきた女性はとても見覚えがある。
いや、親友の母親だったからだ。
「え?」
「あの方は・・・・・・」
少女たちも驚いている。
何故かはわからないが。
だが、僕となのははそんなハズないと思う。
何せ今その人はこの海鳴市の自宅に家にいるのだから。それにあの人がこんなことをする必要性もなにもない。
なのに何故―――
「な、何故あなたがここに!?―――プレシアさん!!」
そう。攻撃を仕掛けてきた女性はフェイトとアリシアの母親にして僕の特務0課の仲間プレシア・テスタロッサだったからだ。
さっきの魔法の雷は恐らくプレシアさんの得意魔法サンダーレイジ。手加減無しの威力だった。
僕の問いに目の前のプレシアさんは何も答えない。
「――――――」
返答は問答無用の魔法だった。
「!霧散せよ!」
魔法解散で無効化し。
「ちっ!なのは、先に帰ってて!」
「えっ!れ、零夜くん!?」
なのはと少女たちに結界型の障壁を展開させ転移魔法で帰らせる。
シュンと消え転移した三人を見て浮いているプレシアさんを凝視する。
プレシアさんの格好はあの時の格好。あの時の悪の魔女という風貌だ。それに何か黒い靄みたいなものがプレシアさんを被ってる。
「プレシアさん、きこえてますよね!!」
「――――――」
僕の声にプレシアさんはまるで反応しない。
意識がない感じだ。いや、そもそもあれは本当に僕らの知っているプレシアさんなのか?
なにか様子がおかしい。
そう感じるのと同時に
「――
紫の楔がプレシアさんを縛り付ける。
無抵抗のまま捕えられたプレシアさんを僕は視る。
「っ!?この人プレシアさんじゃ、ない・・・・・・!?」
身体はどう見てもプレシアさんだが、魔力が違う。
この魔力は―――
「夜天の書の断片・・・・・・?」
旧闇の書にして現夜天の書の魔力だった。
魔力質を視るとプレシアさんのニセモノはスゥと虚空に消えた。
「何故また闇の書が・・・・・・」
闇の書。いや、夜天の書に関係することはこの間の『エルトリア事変』でカタがついたと思ってたのに、また夜天の書関連のことが起きた。
見上げる空はヒビ割れもなく、すっかり夜天の空に戻ってる。
「はやてたちがまた・・・・・・・・・・」
はやてやシグナム、ヴィータ、ザフィーラ、シャマル、アインス、リインたち。そして、聖良をまた巻き込ませる闇の書関連。
僕は黒聖を握る右手がギュッと強くなる。
「ユーリたちにも連絡した方がいいのかもしれない」
もしこれが『エルトリア事変』の際の後遺症なら夜天の書に関連のあるユーリやイリス。ディアーチェにシュテル、レヴィ、キリエ、アミタさん。彼女たちにも協力を仰がねばならない。
イリスは今管理局にいるが、アミタさんたちはエルトリアだ。
一応通信装置などは渡してあるが。
「クロノにも相談しないと」
何もなかったかのように照らす月明かり。
それは闇の書と呼ばれた夜天の書に関する、夜天の書最後の事件の始まりだった。