魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語   作:ソーナ

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闇の断片

 

〜零夜side〜

 

イリスとともに管理局から転移した僕は、眼前に広がる今回の対策班の人数を見る。

なのはたちは勿論のこと、お姉ちゃんに華蓮。凛華たちに、天雲と羽切。エルトリアからアミタさんたちもいる。

それにユーノやアルフ、リニスさん・・・・・・と軽く星一個制圧可能な戦力だ。

 

「お待たせ、最後の一人を連れてきたよ」

 

僕の隣にいる人物を見て夜月や凛華以外の全員が驚きの声を上げる。

 

「い、イリス!?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

キリエとユーリを視たイリスは気まずげに視線を逸らして隠れる。

 

「えーと・・・・・・アミタさん、遠い所来てくれてありがとうございます」

 

「いえ。前回は私たちエルトリアがご迷惑をお掛けしましたから」

 

「お父さんの様子は・・・・・・?」

 

「大丈夫です。零夜さんから貰った薬の効果で少しづつですが元気になってます。今は母さんが見てくれていますから」

 

「そうですか」

 

アミタさんの言葉に安堵する僕。

アミタさんたちには親しい人を後悔して亡くして欲しくないからね。

 

「クロノ、支局からは何人寄越せる?」

 

「約15人ってとこか?不確定だからな、そう人材を回せない。もっとも、この人数でそんなに居るかってとこだがな」

 

「ふっ。なるほどね」

 

僕らだけでも過剰なのに、さらにアミタさんたちもいるので過剰も過剰の戦力だ。

 

「取り敢えず手分けして捜してみよう。範囲は、海鳴市全域から、前回の事件のオールストン・シーまでのエリア。4人一組で組み分ける」

 

「ああ、問題ない。だが、組み分けはどうする?」

 

「大丈夫、すでに決めてある」

 

「相変わらず早いな・・・・・・」

 

クロノの皮肉にフッと笑みを返し、それぞれ組み分けをする。

まず一組目。なのは、シュテル、ヴィヴィオ、星夜。

二組目。フェイト、アリシア、アインハルト、澪奈。

三組目。アリサ、すずか、レヴィ、紅葉。

四組目。はやて、ディアーチェ、ヴィクター(ヴィクートーリア)、華蓮。

五組目。夜月、アミタさん、ジーク(ジークリンデ)、天雲。

六組目。シグナム、ヴィータ、ザフィーラ、羽切。

七組目。ユーリ、キリエ、イリス、アインス。

局員の方は局員で固め、クロノにそこの陣頭指揮を取ってもらう。

後方支援及び医療班として、シャマルを筆頭に聖良や愛菜美お姉ちゃんはこっちに待機してもらう。

ユーノ、アルフ、リニスさんは管理局の無限書庫でなにか手がかりがないか探してもらってる。

凛華には全体の指揮を取ってもらうつもりだ。

それぞれ班ごとに分かれ各地を捜索しに行く。

で、僕はと言うと―――。

 

「―――」

 

魔力回復のため、ダイオラマ球のなかで休んでいた。

クロノ曰く、目に見えて隈とか出来てるから寝て休んで来いだそうだ。

お姉ちゃんにも言われ、さすがにこの二人に言われては言い返せるはずもなく、僕は不本意ながらダイオラマ球のなかで休息をとっていた。

 

「お兄ちゃん、大丈夫?」

 

「あぁ、うん、大丈夫」

 

ダイオラマ球の中には聖良もいる。

聖良は僕に治癒魔法を掛けてくれている。

今の僕は疲労により、満足に動けない状態だ。さっきまでは身体能力強化で補っていたけど、解除するとグデーとなってしまう。

 

「外では約一時間しか経ってないけど、こっちには一日だからね」

 

一日もあれば体力も魔力も回復するはずだ。

 

「癒しの風よ、彼の者に安らかな温もりを。暖かな光に包まれ傷を癒せ。―――光風の癒し(ヒーリングベール)

 

聖良の光系統の回復魔法により、僕に癒しの光の風が包まれる。

効果としては、肉体・疲労回復上昇。魔力回復上昇。自己治癒力上昇などだ。

聖良は戦闘系より、サポートや回復系の魔法が得意のため基本的には後方支援だ。もっとも、僕とのユニゾンにより前線に出ることもあるが。

回復魔法を掛けてる中、聖良が震えているのを感じた僕は、回復魔法を掛け終え僕の横に寝てきた聖良に。

 

「聖良、なにか悩みでもあるの?」

 

と聞いた。

僕の問いに聖良はビクッと震えた。

 

「あのね。昨日のプレシアさん、夜天の書の断片だったって言ってたでしょ?」

 

「え?あ、うん。戦闘能力は今のプレシアさんより低かったけど」

 

病気も全快し、家族がいるプレシアさんの魔導士ランクは再測定の結果、なんとSSランクになっていたのだ。

しかも条件付きならSS++ランクに近いほどだ。

病気前は条件付きでSSランクだったのに、凄い快復だ。まぁ、今のプレシアさんは常時親バカ絶賛発動中なのだが。

 

「お兄ちゃんにとっては誰でもそうだと思うよ・・・・・・」

 

苦笑いで返す聖良。

いやいやいや。僕にだって危ういところはあるよ?現になのはやフェイトたちの実力は底知れないし、場数を踏んでる熟練の魔導師では負けるかもしれないし。

夜月との模擬戦では1寸も隙が抜けないしね。

 

「多分それは闇の書の闇の。ナハトヴァールの能力のひとつだと思う」

 

「え?」

 

聖良からナハトヴァールの名を聞き僕は間の抜けた返事をする。

ナハトヴァールの能力だということも驚きだが、なにより聖良が自分でナハトヴァールの名を口に出したことに驚いた。

聖良にとって、ナハトヴァールとは自身の罪であり闇。消えることの無い業なのだから。

 

「闇の書の自動防衛運用システム《ナハトヴァール》は元々夜天の書の主が外敵から攻撃を受けた際に作動する防衛プログラムだったの。これは知ってるでしょ?」

 

「うん」

 

「はやてちゃんの前。今までの歴代の主が『己の欲望のままに夜天の書を改竄』した結果、周囲に存在するもの全てを破壊し、喰らい尽くすモンスターへと変貌し、これまで数々の惨劇と悲劇を引き起こしてきたプログラム。たぶん、その中のひとつ[写篇(フラグメンツ)]だと思う」

 

「写篇・・・・・・」

 

「うん。過去のお兄ちゃんたちを再現したものだよ」

 

「過去の・・・・・・僕ら」

 

その過去というのが、どこまでの過去なのかによって対処レベルが変わってくる。

もし『エルトリア事変』までの記録ならヤバい。

だが、『闇の書事件』までの記録なら、余程のことがない限り充分に対処可能だ。僕はもちろん、なのはたちもあの頃とは比べものにならないほどレベルが上がってるからね。

『エルトリア事変』まで記録なら僕らだけでなく、イリスたちも再現されてる可能性がある。

 

「もちろん。オリジナルより性能は劣るけど数に限りがないから」

 

「物量攻撃か」

 

性能が劣っても、それが1人や2人ならいい。だが、10人や100人とにったらもう手が付けられない。

 

「対策は?」

 

「・・・・・・分からない」

 

「どういうこと?」

 

「私がいた場合だったら、私を何とかすれば止められたけど、今は私がここにいるから」

 

聖良は元々ナハトヴァールの意思だ。

つまり中枢核。現在は僕とリンクしているためナハトヴァールとしてのチカラはなくなっている。いや、手放した方が正解か。

 

「それに、なんで今そのプログラムが動いているのか分からないの」

 

確かに不可解だ。

何故今になって出たのか。何故、『エルトリア事変』が終わってからなのか。考えられるとすれば、ユーリが解放されたから、という事だが。

 

「まぁ、今考えても仕方ないよ。わかんないことはね」

 

あれこれ考えてたらキリがない。

 

「大丈夫。聖良は絶対に守るから」

 

「お兄ちゃん・・・・・・」

 

「言ったでしょ?聖良を助けるって。家族はもう喪いたくないから」

 

聖良をギュッと抱き締めて言う。

この子はもう充分苦しみ、哀しみ、傷ついてきた。これ以上、この子にも。アインスやユーリ。はやてたちにも哀しみを味わせたくない。

 

「それに、もしなんかあっても命に変えて助けるから」

 

笑みを浮かべて言う。

自分の命と家族なら、僕は家族をとる。

絶対に喪いたくないから。

 

「うん・・・・・ありがとう、お兄ちゃん」

 

僕の服の裾を掴んで言う聖良。

聖良を抱き締めながら僕は聖良とともに眠りに落ちた。

起きたのは眠ってから約9時間後の事だった。

 

〜零夜side out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜なのはside〜

 

各チームごとに分かれて探索を始めて30分。

特に手がかりというものはなく、メンバーであるシュテル、ヴィヴィオちゃん、星夜ちゃんと話していた。

 

「エリアサーチに反応ありませんわね」

 

索敵をしていた星夜ちゃんが目を閉じながら告げる。

星夜ちゃんのエリアサーチに反応がないということは、私やシュテルが同じことしても意味無いね。

 

「ほぇぇー・・・・・・」

 

ヴィヴィオちゃんは感嘆した声を漏らして星夜ちゃんを見る。

今の星夜ちゃんの格好は、どこかのお嬢様と言った感じだ。

白いブラウスにベージュのカーディガン。黒のロングスカートと、そこまで高い服でもないのに見事に着こなしてる。

 

「ん?ヴィヴィオさん、どうかいたしました?」

 

「い、いえ!その・・・・・・星夜さんカッコイイなぁって」

 

「そうですか?」

 

自覚無いのか、星夜ちゃんはヴィヴィオちゃんの褒め言葉に首を傾げる。

 

「ヴィヴィオちゃんの世界での星夜ちゃんはどんななの?」

 

「えっと・・・・・・冷静沈着の美人秘書で、後方支援のエキスパートとして有名です」

 

「さ、さすが零夜くんの家族・・・・・・」

 

なんというか、ホント無茶苦茶だよね。

そう思っていると。

 

「―――」

 

急に結界が張られ、目の前の空間が歪んで、そこから二人の少女が現れた。

 

「アリサちゃんとすずかちゃん?」

 

出てきた二人は私の大親友のアリサちゃんとすずかちゃんだった。

 

「っ!全員下がりなさい!」

 

星夜ちゃんの声に私たちは驚きながらもすぐに後ろに下がった。

 

「出ましたわね、闇の欠片」

 

右手を前に出して魔法陣を展開する星夜ちゃん。

って!

 

「は、早いよ!?攻勢が早すぎるよ!?」

 

「?」

 

何を当たり前のことを?とでも言いたげに首を傾げる星夜ちゃん。

星夜ちゃんはすでに自身の武装の双翼を展開している。

私たちがそんなやり取りをしていると。

 

「ふふふ。燃えなさい!」

 

「さっさと凍てつけ」

 

「「「「っ!!」」」」

 

アリサちゃんとすずかちゃんの影が魔法攻撃を仕掛けてきた。

しかも。

 

「ふ、二人の性格が反対!?」

 

あの闇の欠片の二人は本当の二人と正反対な性格だ。

アリサちゃんのホンモノは活発なのだが、闇アリサちゃんは妖艶というか、不気味な感じで。すずかちゃんはお淑やかなんだけど、闇すずかちゃんは、粗雑というか、冷たい感じだ。

ホントの二人が見たら気絶しそう。

 

「ふふふふ。さぁ、さっさと消えなさい!」

 

「凍てつく闇を持って砕け散れ!」

 

炎と氷の魔法攻撃は二人の得意とする攻撃だ。

それにすでに魔法陣が構築出来てる。逆に私達はまだだ。

万事休すと思ったその時。

 

「―――爆ぜなさい」

 

「「っ!?」」

 

星夜ちゃんのたった一言によって、二人の魔法が消えた。

 

「撃ち放て、ギャラクシーレイ」

 

立て続けに星夜ちゃんの背後に浮かぶ双翼から光の砲撃が放たれ、闇アリサちゃんとすずかちゃんに当たり、二人は何もいなかったように消えた。

 

「ホンモノの二人とは比べ物になりませんわね」

 

あっけらかんに告げる星夜ちゃん。

その星夜ちゃんに私もシュテルもヴィヴィオちゃんも唖然としていた。

 

「三人とも、気を抜きすぎですわ」

 

双翼を収めて言う星夜ちゃん。

確かに少し気を抜いていたかもしれない。

 

「ご、ごめんなさい」

 

「すみません」

 

「ごめんなさい」

 

星夜ちゃんに私たちは素直に謝る。

 

「さて・・・・・・」

 

視線を上に向ける星夜ちゃん。

つられて私たちも空を見上げる。すると。

 

「団体さんのお出ましのようですわね」

 

空には漆黒の鳥や動物などの怪奇がいた。

すぐさま星夜ちゃんが結界魔法でこの辺り一帯を封鎖する。

 

「なのはちゃん、ヴィヴィオさん、シュテルさん、行きますわよ」

 

「はい!」

 

「うん!」

 

「分かってます」

 

そこから、星夜ちゃんの指揮の下私たちは特に危なげもなくその動物たちを排除することが出来た。

そして、改めて実感した。

零夜くんだけでなく、その家族の星夜ちゃんも私たちより能力が遥かに高いということを。

 

〜なのかside out~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~零夜side〜

 

ダイオラマ球の中で魔力・体力ともに回復した僕は聖良とともに現実世界へと戻り凛華に状況を聞く。

 

「あちこちでなのはちゃんたちのニセモノが現れて戦闘になっているみたい」

 

「強さは?」

 

「ホンモノより劣ると。けど、ニセモノに加え、何か怪奇な動物までも出てきているらしいわ」

 

「動物?」

 

スクリーンに映った画像には、兎や狼、鳥など様々な動物らしき黒い物があった。

らしき、ってのは単純にそれらが普通の動物じゃないからだ。

禍々しいってのもある。

それを見て聖良が。

 

「っ!?[断篇(ラルヴァ)]!?」

 

目を見開いて声を上げていった。

 

「ら、断篇?」

 

「ラルヴァって、確か悪霊とかそんな意味だったような・・・・・・」

 

思い出しながら言う。

確かに、あの見た目は悪霊と言っても過言では無いかもしれない。

 

「アレは魔法とか使わないけど、数がほぼ無限に出てくるの」

 

「無限?発生源は」

 

「[写篇]」

 

「つまり、[写篇]を何とかしないとダメってことか」

 

「う、うん。でも、多分だけど、[写篇]本体は別の時空にいると思う」

 

「マジかァ」

 

まさかの情報に頭を悩ます。

別の時空にいるということはコチラから手が出せない。

 

「?零夜くん、あの[断篇]たちなにか探してません?」

 

「え?」

 

よく観てみると、積極的に戦闘を行っている[断篇]に加え、何かを探しているような[断篇]が結構いる。

 

「ホントだ。何探してるんだろ」

 

不思議に思いながら観る。

 

「聖良は何かわかる?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「聖良?」

 

「聖良ちゃん?」

 

反応しない聖良の方を見る。

聖良はウインドウに視線をやったまま何か考えていた。

 

「聖良?」

 

「っ!」

 

再び声をかけると、聖良はハッとしたようにこっちを見てきた。

 

「あ、ゴメンお兄ちゃん!な、なに?」

 

「いや、[断篇]たちが何を探しているのかわかる?」

 

「う、ううん。私にも分からないよ。魔力とか・・・・・・じゃないかな?」

 

「ふむ」

 

「魔力・・・・・・・」

 

「闇の書の闇を復活させるために必要だからだと思う」

 

「っ!それは・・・・・・厄介だネ」

 

あの戦いは当時の総員揃ったからこそ攻略出来た。

もちろん、今の戦力なら問題ないだろうけど。

 

「・・・・・・・・・・」

 

僕が物思いにふける中、ただ一人聖良は顔を青ざめていた。

なにか嫌な予感がしているようだったのを、この時の僕は気づいてなかった。

 

~零夜side out~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~???side〜

 

 

「ドコニイル・・・・・・?ドコニ・・・・・・イル・・・・・・!!!

 

 

       ナハトヴァール!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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