魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語 作:ソーナ
~零夜side~
「―――てなわけでしばらく来れないんだ。って言ってもそんなに長い間これない訳じゃないけど」
「それなら仕方ないのやけど・・・・・・」
僕、天ノ宮零夜は今、八神家ではやてにしばらく来れないと言うことを話していた。
理由はジュエルシード捜索をリンディさんたち管理局、アースラが行うため、拠点をアースラに移すからだ。僕としては拠点をアースラに移さなくても、ジュエルシードの場所まで転移出来るから自宅の方がいいんだけど、そうなると学校に行っている最中に発動した場合、現地に向かえないのと、近所の人に見つかったら大変なのと、なのはたちがそっちに移動するからだ。
そんなわけでしばらくはやての家に来れないと言うことを魔法のことなどは伏せて、説明していたのだ。
「でも、気を付けてな零夜くん」
「うん。わかってるよはやて。はやてこそ無理しないでね。唯でさえはやて危ないんだから」
「もちろんや。ちょっとは私を信用してくれてもいいんちゃう?」
「それで前に風邪を引いて倒れたのは誰だったかな?」
「うっ・・・・・・。それは言わんといてぇな・・・・・・」
「ハハハ」
間が悪そうに目を反らすはやてに僕は軽く笑った。
「あの時は心配したんだからね?」
「その節はご心配お掛けして・・・・・・」
「まぁ、はやてが大丈夫ならいいよ」
「零夜くん///」
言いながらはやての頭を撫でると、何故かはやては顔を赤くした。
「ん?大丈夫はやて?顔赤いけど・・・もしかして熱!?」
「だ、大丈夫や!気にせんといて!」
「う、うん」
はやての顔を赤くしながら言う剣幕にちょっと引きながら、はやての言葉にうなずいた。
「あ、私からもお願いや」
「?」
そう言うとはやては僕の両手を握って顔を近づけて言った。
「また、私のところに戻ってきてや。ちゃんと、元気な姿で」
「ッ!」
はやての言葉にはある重みがあった。それは僕が抱えている重みと同じだ。
失ないたくない。大切な人を失ないたくない、そんな想いの重み。
「うん、約束する。絶対、はやてのところに戻ってくるから」
「約束や」
「うん、約束」
僕ははやてと右手の小指を重ねて指切りをした。
十日後
僕となのは、ユーノがアースラに来てから十日が経過した。はやてに言った翌日、僕たちはアースラに来ていた。
現在、こっちに来て確保したジュエルシードは3つ。フェイトの方は2つのジュエルシードを確保していた。これで残りは6つ。それは今、エイミィさんたちアースラのクルーが捜している。
そして僕は、待機中の間に世界図絵などアーティファクトをフルに使ってプレシア・テスタロッサについて調べていた。この事はなのはにもユーノにも。もちろん、リンディさんやクロノたちにも言っていない。
そして、調べていくなかで分かったことが幾つかあった。まず、フェイトはプロジェクトFと呼ばれる研究成果でアリシアに聞いた通り、アリシアの記憶をもって生まれた女の子。そして、プレシア・テスタロッサがこんなことをした理由も大体把握できた。彼女は娘のアリシアを生き返らせようとしているのだ。アリシアが命を落とした理由も判明した。
当時、プレシア・テスタロッサが所属していた組織『アレクトロ社』がすべての元凶かつ大元だ。プレシア・テスタロッサは仕事上の重圧や、所属していた組織、『アレクトロ社』上層部からの無茶で無謀な指令の数々に追われていた。そして、当時プレシアが開発していた駆動炉への上層部からの安全基準をほぼ・・・・・・と言うか完全無視した命令の結果であり、本来なら来月に行われるはずの実験を十日後に行い、駆動炉が暴走。それにより発生した放射能汚染によりアリシアと飼っていた山猫が亡くなった。それからプレシア・テスタロッサはプロジェクトFに参加し人造生物の開発と記憶移植の技術を学び、アリシアのクローン、フェイトを生み出した。
すべてを理解した僕は怒っていた。
それはプレシア・テスタロッサにじゃなく、すべての元凶の『アレクトロ社』にだ。
「くっ!ホント、許せないね。あり得ない以外ないよ・・・・・・」
歯を食いしばって僕は怒りを抑える。
「絶対に助ける。フェイトもアルフも。そして、アリシアもプレシア・テスタロッサさんも・・・・・・!こんな悲しいことなんて・・・・・・僕は絶対認めない!」
僕はフェイトたちを助けるための準備に取りかかった。
「ステラ」
《はい》
恐らくだが、プレシアさんはなんらかの攻撃魔法をこのアースラに放つだろう。フェイトを助けるために。だが、それは公務執行妨害となる恐れがある。だから、そうならないために、僕はアースラの周囲に防御魔法を張る。これで、アースラ内部に衝撃は多少来るだろうが問題ない。詰まるところ、アースラに攻撃したという事態をなくせば良いのだから。つまり、アースラに当たらなければいいと言うことだ。
「―――これでいいかな・・・・・・?一応、これで大丈夫だと思うけど」
僕はステラを起動させてアースラの周囲3メートルに多重障壁を張る。念のため強度をかなり上げて、三層に展開しておく。
《多重障壁を展開したので、マスターほどのクラスの威力の魔法でなければ破壊されることはないかと思いますわ》
「ありがとうステラ。あとはアリシアを助けないと。あー、でも、僕のアーティファクトに死者を生き返らせる・・・・・・蘇生系ってあったかな・・・・・・?」
僕はステラと会話しながら脳裏に所持しているアーティファクトを浮かばせる。
普段アーティファクトは異空間収納に入れてる。そしてアーティファクトは以前アマテラスさんから送られたものだ。
「いや、待てよ・・・・・・」
と言ったところに。
『エマージェンシー!捜索区域にて大型の魔力反応検知!』
艦内にアラーム音とそんな放送が響き渡った。
「まさか・・・・・・フェイト・・・」
嫌な予感がした僕は急いで艦橋に向かった。
艦橋に向かうと正面スクリーンに海鳴市の海が映し出されていた。だが、その海は荒れ狂い、6つの竜巻らしき水流が出ていた。
そしてそこに、バルディシュを展開しているフェイトと狼姿のアルフがいた。
「なんとも呆れた無茶をする子だわ」
艦長席に座っているリンディさんが呆れたような声で言った。
「無謀ですね。あれでは、間違いなく自滅します。あれは、明らかに個人の出せる魔力の限界を越えている」
その下のクロノもリンディさんに同意のようだ。
するとそこへ。
「フェイトちゃん!」
なのはが艦橋にやって来た。
「あの、私すぐに現場に!」
「その必要はないよ。放っておけばあの子は自滅する」
「は・・・?」
クロノの言葉に僕はつい声に出していた。
「仮に自滅しなかったとしても・・・力を使い果たしたところで叩けばいい」
「でも・・・!」
「今のうちに捕獲の準備を」
「了解」
確かにそれは最善な選択なのかもしれないが・・・・・・。
僕がそう思っていると、
「私たちは常に最善な選択をしなければならないの。残酷かもしれないけど、これが現実よ」
リンディさんがそうなのはに言った。
「(ちょっとさすがに僕もそれは看過出来ないね)」
僕はそう思うのと同時に、後ろのなのはに振り向いて言い、
「はぁ~。・・・・・・なのは」
「零夜くん・・・・・・」
「行くよ、フェイトのいる場所に」
「うん!」
なのはと転移ポータルに向かう。
「ユーノ、お願い」
「任せて零夜。だからなのはと一緒に彼女を・・・」
「わかってるよ、ユーノ」
僕はユーノにうなずいて転移ポータルへなのはと向かう。
「何をしている!」
だが、そこへクロノの声が響いた。
僕は少しため息をついてクロノたちの方に向き直る。
「何をしている、って、現場に行くだけだよ?それ以外何があるの?」
「さっきの話を聞いてなかったのか!」
「聞いていたよ。でもね・・・・・・」
僕は一旦言葉を区切り、以前クロノに向けた殺気より強く出してクロノたちに言う。
「まず人の命の方を優先しなよ」
酷く冷たく、絶対零度、永久凍土を彷彿させるような声と殺気を乗せて言う。
それを聞いたクロノは後退り、リンディさんは顔を真っ青にして僕の方を向いた。それは他の人たちも同様だった。
「それとも管理局の方針は、人の命よりジュエルシードとかのロストロギアが最優先なの?違うよね?ロストロギアとかそんなのよりまず第一なのは人の命・・・なんじゃないの?」
僕の声にクロノたちは何も言えずにいた。
「それじゃあ行こうか、なのは。フェイトのいる場所へ」
「う、うん」
僕となのはは転移ポータルに入り、
「ユーノ!」
「わかった!あの子の結界の中へ!」
ユーノにフェイトたちの結界の中へと転送してもらった。
「それじゃ、行くよ。なのは!」
「うん!零夜くん!」
結界内に転移した僕となのははデバイスを展開させる。
「いくよ、レイジングハート」
なのははレイジングハートのペンダントを取り出して、起動パスを唱える。
「風は空に、星は天に。輝く光はこの腕に。不屈の心はこの胸に!レイジングハート、セーットアーップ!」
《Stand by lady》
「僕らも行くよ、リンカーネイト!」
《イエス、マスター!》
「リンカーネイト、セットアップ!」
僕はなのはと同時にバリアジャケットとデバイスを展開し、下にいるフェイトたちのもとへ一直線に、真っ直ぐに向かった。
「フェイトの・・・邪魔を・・・するなぁーーー!!」
「
僕に向かってアルフは攻撃してくるが僕はそれを風盾で受け止める。
「待ってアルフ!僕らは戦いに来たんじゃない!君たちを助けに・・・ジュエルシードを止めに来たんだ!」
「なに?」
「フェイト一人じゃ6つのジュエルシード封印は無理だ!こんな状況で戦うほど僕らは冷たくないよ!」
「あんた・・・・・・」
僕の言葉にアルフは爪を引き、うなずいた。
「わかった。お願い、フェイトを助けて」
「任せて。ユーノ!」
僕はアルフの言葉にうなずいてユーノを呼ぶ。
「わかった!」
ユーノは僕の言いたいことが分かったのか拘束系の魔法で ジュエルシードの引き起こした竜巻を抑える。だが、ユーノの拘束魔法はすぐに破壊されてしまう。
「アルフもユーノに協力してほしい!」
「わかった」
「なのははフェイトにジュエルシードを封印するくらいの魔力を分け与えてあげて!」
「わかったの!」
なのははフェイトのいる場所に向かう。
「さてと。しばらくは僕が引き付けないとね。いくよ、リンカーネイト!」
《はい!》
僕はなのはたちに指示を出してジュエルシードの方へ飛ぶ。
「ちょっと本気でやるよ・・・・・・。リク・ラク・ヴィシュタル・ヴォシュタル・スキル・マギステル。来たれ氷精、闇の精。闇を従え、吹雪け、常世の氷雪。
闇の吹雪をジュエルシードの起こしている竜巻とぶつけ、威力を落として阻害する。
「さらに・・・・・・。来たれ雷精、風の精。雷を纏いて吹きすさべ、南洋の嵐。
そこに立て続けて雷の暴風を放つ。
闇の吹雪と雷の暴風で竜巻はある程度威力を相殺した。これで、ユーノとアルフの拘束魔法が効くはずだ。
「ユーノ!アルフ!」
「うん!」
「あいよ!」
僕の声に後方からユーノとアルフの拘束魔法が竜巻の動きを止め縛る。
「なのは、フェイト、いける?」
「もちろん!」
僕はなのはとフェイトに近づきそう聞く。
「私と零夜くん、フェイトちゃんの3人でキッチリ半分こ。それでいい?」
「・・・・・・・・・・」
「いいよ、なのは!」
なのはの言葉に僕はうなずき、フェイトは無言の沈黙戸惑ったように答えた。
「ユーノとアルフが止めてくれてる。僕たち3人で同時に封印するよ」
僕がそう言うとなのはのレイジングハートはシューティングモードに。フェイトはバルディシュの形を変えて。
「いける?リンカーネイト」
《もちろん!》
「うん。それじゃあ、リンカーネイト、
《イエス!砲撃形態》
リンカーネイトの形態を砲撃形態に切り替える。
僕となのは、フェイトの前にそれぞれ白黒色、ピンク色、金色の魔方陣が現れる。
「ディバインバスター、フルパワー。いけるね」
《Allright My master》
「リンカーネイト、いける?」
《イエス!》
それぞれの魔方陣はどんどん大きくなっていき、ある程度の大きさで止まった。
なのはの前のピンク色の魔方陣からはピンク色の魔力が、フェイトの前の金色の魔方陣からは雷が迸っている。そしてその中で、僕の前にある白黒の魔方陣からは魔力があふれでていた。
「せーの・・・!」
なのはの声を合図にして、
「サンダー・・・!」
「ディバイン・・・!」
「マテリアル・・・!」
「レイジ!」
「バスター!」
「ブラスター!」
同時に砲撃魔法を放った。
僕らの魔法砲撃はジュエルシードとぶつかり、呑み込んでいった。僕らの砲撃とジュエルシードがぶつかった結果、凄まじい衝撃波が僕らを襲う。
それが収まると、目の前には6つのジュエルシードが浮遊していた。
僕はジュエルシードに近づき、6つのジュエルシードのうち3つを取り、もう3つをフェイトに渡す。
「はい。フェイトたちの分」
「あ・・・いいの?」
「いいの?もなにも。言ったでしょ?半分こだって。だから、はい」
「あ、ありがとう///」
顔を少し赤らめたフェイトはそう礼を言うと、僕からジュエルシードを受け取った。
僕はずっと静かにフェイトを見ているなのはに視線を向けた。
「なのは?」
「友達に、なりたいんだ」
「え・・・・・・?」
なのはの呟きに僕は疑問符を浮かべたが、すぐに理解できた。なのはは小さな頃の自分とフェイトを重ねているんだ。僕とはじめて出会ったときのなのはに。
なのははフェイトに手を差し出した。それに対してフェイトも恐る恐るゆっくりとなのはに手を差し出そうとする。そのとき、
「ッ!?」
「(この魔力反応は・・・・・・!)」
僕は感じた魔力に覚えがあった。
僕は瞬時にフェイトの側に移動しようとしたが。
「くっ!」
上空から、巨大な紫色の雷が僕とフェイトに向かって一直線に降りそそがれた。
「零夜くん!フェイトちゃん!」
「くっ!フェイト!」
僕は無詠唱で発動させた風盾で雷を防ぐがフェイトはそうはいかずに。
「くうぅぅぅううううう・・・・・・!」
紫雷を浴び、苦悶の表情に満ちていた。
「くっ!」
「(確かプレシア・テスタロッサさんの魔導師ランクは条件付きのSSだったけ。これならSSだとなっとくいくね)」
僕は調べた情報を思い出して脳裏に思った。
実際、この雷は僕の雷系統魔法の
さすがに白き雷と同レベルの魔法は風盾じゃ完全に防ぎきれない。
さらに上空から巨大な雷が降り注ぎ、視界が見えなくなった。やがて視界が回復すると目の前にはフェイトもアルフも。もちろん、ジュエルシードも無くなっていた。
「ミスったね。あそこまでの力だとは思わなかったよ」
僕は雷の止んだ空を見上げてそう呟いた。
「大丈夫!零夜くん!?」
「無事、零夜!?」
「なのは・・・ユーノ・・・大丈夫だよ」
「(あの紫雷、本気のレベルじゃなかった。たぶん、僕を牽制するための雷だ)」
僕は心配してくるなのはとユーノに言いながらさっきの雷について考えていた。
辺りは先程の戦いが嘘のように空から太陽の光が降り注がれていた。