魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語 作:ソーナ
~はやてside~
6月4日 午前9時
海鳴大学病院
「あれ。ここは・・・・・・・」
目が覚めると目に映ったのは見たことない天井やった。
すると。
「はやてちゃん!よかったわ目が覚めたのね」
石田先生が安堵したように言ってきてくれた。
「えっと・・・・・・すんません。あれ、零夜くんは・・・・・・?」
私は零夜がいないことに気付き、石田先生に聞いた。
「零夜くんならほら、そこで」
石田先生の視線の先にはうつ伏せになって寝ている零夜くんの姿があった。そしてその後ろの椅子には凛華ちゃんたちが仲良く揃って寝ていた。
「う~ん・・・・・・はやて・・・・・・」
「クスッ」
「あらあら」
零夜くんの寝言に私と石田先生はくすりと笑みを漏らした。
「零夜くん、はやてちゃんが起きる30分ぐらい前まで起きていたのだけど、私がちょっと寝かせたわ」
「そうだったんですか」
「ええ。零夜くん、かなり心配してたわよ」
「ほなあとでちゃんとお礼せなあかんとなぁ~」
「そうね」
私は零夜くんの、長い黒髪を撫でてそう言った。
ホンマこうしてると零夜くんが女の子みたいに思えてくるわ。まあ、初めてであったとき女の子と間違えてもうたからなあ。
零夜くんを撫でながらそう思っていると、突如零夜くんが身震いして何か言った。
「愛奈美・・・お姉ちゃん・・・・・・華蓮・・・・・・」
「?」
どうやら人の。女子の名前みたいだけど聞いたことない名前やった。
そう考えていると。
「ん・・・・・・はや・・・て・・・・・・?」
零夜くんは目元を擦って身体を起こした。
~はやてside out~
~零夜side~
「ん・・・・・・はや・・・て・・・・・・?」
目元を擦ってなんとか起きる僕は、あまり意識がはっきりしない中視界に映った女の子の名前を言った。
「おはよう零夜くん」
「うん。おはよう、はや・・・て・・・・・・?」
あれ。いつの間にかはやて起きてる!?
だんだん意識と視界がクリアになっていき僕はここが海鳴大学病院のはやての病室で昨夜起こったことを思い出した。
「だ、大丈夫?!はやて?!」
「うん。私は大丈夫やで」
「ほっ。よかった」
はやてが大丈夫だということに安堵した僕はホッと息を吐いた。
すると石田先生が。
「ところで二人とも・・・・・・誰なのあの人たちは?」
警戒したような表情で扉の方を指差した。
僕とはやてが視線を向けると、そこには病院の男性職員数名に囲まれている四人の男女がいた。
「「あ・・・・・・!」」
僕とはやては今更ながら思い出したように声を出した。
「どういう人たちなの・・・・・・?零夜くんたちのあとに着いてきたんだけど、変な格好してるし・・・言ってることはワケわかんないし。どうも怪しいわ・・・・・・」
そう言えば彼女たちのこと説明するの忘れてた。
僕は今更ながら石田先生に説明するのを忘れていたことを思い出した。
後ろを見るといつの間にか起きていた凛華たちも思い出したかのような表情をしていた。
「あー・・・えっと・・・その・・・なんと言いましょか・・・・・・」
はやてもさすがに困惑している。
まあ、当然と言えば当然だけど。
するとそこに。
〈ご命令をいただければお力になれますが。いかがいたしましょう?〉
頭のなかにそんな声が響いた。
どうやら一番前にいる彼女が念話で話してきたみたいだ。
というかいきなり念話で話しかけたらはやてが戸惑うと思うんだけど!?
そんなこと思いながらはやてを見ると案の定。
「え・・・・・・?え・・・・・・?」
戸惑いと困惑の表情を出していた。
〈落ち着いてはやて〉
僕も声に出さずに彼女と同じ様に思念通話で話す。
するとはやてが僕の方を見てきた。
〈これは思念通話。心で、声に出さないで思ったことを念じれば会話ができるよ〉
〈え、えっと・・・こうで合ってるん?〉
〈うん。今から僕が話すからはやてはそれに合わせて。そっちの四人も僕に合わせて〉
〈わかった〉
僕の念話にはやては思念で、彼女たちは軽くうなずいて答えた。
「えっと、石田先生。実はあの四人ははやての遠い親戚の人なんです」
「え、親戚?」
「はい。以前、はやてからとっても優しくて頼りになる親戚のお姉ちゃんたちがいるって聞いてまして。前に写真で見たことがあるので」
「そ、そうなのはやてちゃん?」
「は、はい。そうなんです。なぁ~」
「え、ええ。そうなんですよ」
「その通りです」
僕の言葉にはやてはもちろんのこと、金髪の女性と念話で話していた女性が同意してくれた。
「そう・・・・・・でもまだ春先なのにあんな薄着で寒くないのかしら?」
「あ、それなら」
僕が凛華たちに目配せすると。
「私たちが四人分ちゃんと持ってますから大丈夫です」
凛華たちは荷物の中から羽織を出して四人に渡した。
凛華たちが渡している間に、僕は石田先生に苦笑いをしながら言った。
「あの格好、どうやら南の国から来ているらしくて」
「そ、そうなのね」
石田先生はひきつり笑いを浮かべて納得したようにうなずいた。
正直、我ながら良くできた話だと思う。はやてに限ってはひきつり笑いをして同意していて、凛華たちは苦笑していた。
そのあと軽く検査をして、はやてに何の異常も無かったのが確認でき僕たちは八神家へと帰宅した。
「そっかあ・・・この子が闇の書っていうものなんやね・・・・・・」
「はい」
「そう言えばはやて、その本何時からあったの?」
「物心ついたときには棚にあったんよ。綺麗な本やから大事にはしてたんやけど」
「覚醒の時と眠ってる間に、闇の書の声を聞きませんでしたか?」
「んー・・・・・・。私は魔法使いやあらへんし、漠然とはせえへんけど。あ、あった」
はやては机の引き出しをがさごそ探ると何か目的のものを見つけたのか、車イスをこっちに走らせて戻ってきた。
「でも、私が闇の書の主として守護騎士みんなの衣食住の面倒を見なあかん言う事は分かった。幸い、住むところはあるし、料理は得意や。後はみんなのお洋服買うてくるからサイズ計らせてな」
「いいのはやて?」
「もちろんや」
「はやてが良いなら僕はなにも言わないよ」
「ありがとな零夜くん」
そんな会話をする僕らをよそに、守護騎士たちはポカンと理解できないと言っているような表情だった。
「ところではやて」
「なんや?」
「守護騎士のみんな話に付いていってないみたい」
守護騎士たちは未だにポカンとしていた。
すると、一番前のポニーテールの女性が。確か名前はシグナム、だったけ?
「ところで主。この者は?」
僕を見てはやてに聞いた。
「零夜くんのこと?」
「零夜?」
「そう言えばまだ自己紹介してなかったね」
それなりに時間が経っているのに、未だに自己紹介してなかったことに気付き、自己紹介をした。
「僕の名前は天ノ宮零夜。一応、男だからね」
「零夜くんは男の娘やろ?」
「違うよ!?僕はれっきとした男の子だから!」
はやてと久し振りのこのやり取りに凛華たちは笑みを浮かべて、守護騎士たちは困惑していた。
「で、こっちの女の子たちが右から・・・・・・」
「天ノ宮凛華です」
「天ノ宮澪奈だよ」
「天ノ宮星夜ですわ」
僕のあとに続いて凛華たちも順に挨拶をした。
「それとあの時言ったように魔道士だから」
「え!?零夜くん、魔法使いやったん!?」
「いや、魔法使いじゃなくて魔道士ね。ちなみに凛華たちは人間じゃないよ」
「「「「「はい?」」」」」
僕の言葉にはやてと守護騎士たちは同じ言葉を同時に発した。
「え、えっと、どういう意味なん?」
「実際に見せた方がいいかな。凛華、澪奈、星夜」
「はい!」
「うん!」
「わかりました!」
凛華たちが返事すると、凛華たちの身体が光、次の瞬間にはデバイスの待機形体のアクセサリーに変わっていた。
「これが凛華たちの本来の姿かな?」
《本来の姿ではないですけどね》
僕の言葉に凛華が苦笑混じりの声で返し、再び光ると元の人間の姿でそこにいた。
「これでわかったかな」
「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」
僕がはやてたちに訪ねると五人とも動きを止めて固まっていた。
「ほんまに・・・人やないんやね・・・・・・・」
「ごめんはやて。黙ってて」
「ううん。零夜くんにも言えない事情があったわけやしかまへんよ」
「ありがとうはやて」
僕は軽く微笑んではやてにお礼をいう。
「さてと。零夜くんたちのこともわかったことやし、さっそくみんなの服のサイズを測ろか」
「それじゃ、僕とザフィーラは下にいるから終わったら来て」
「了解や」
僕とザフィーラははやての部屋から出て一階のリビングに行った。
「・・・・・・ザフィーラ」
「なんだ?」
「ザフィーラたちははやてを絶対に護るって・・・・・・約束できる?一人にしないって?」
僕はザフィーラに視線を鋭くして聞いた。僕にとってこれは一番重要なことだ。
「っ!?」
「どうなの?」
「ああ。もちろんだ。我ら守護騎士は主を守るための騎士だ」
「そう・・・・・・ならいいよ」
ザフィーラから確認もとれた僕は視線の眼光を戻した。
それからしばらくしてはやてがシグナム、シャマル、ヴィータ、凛華、澪奈、星夜と一緒にリビングに来た。
ちなみにはやてには凛華たちのサイズも測ってもらった。前回、服を買いに行ったときはお店の人にお願いしたため今回ははやてにお願いしたのだ。幾らデバイスとは言え、三人とも女子だから僕が測るというのはちょっと、なのだ。
そう思っていると。
〈私は零夜くんに測ってもらいたいです〉
〈わたしもわたしも!〉
〈わたくしも同じてすわ〉
凛華たちからそんな念話がきた。
というか、そんなことより。
〈って!なんで僕が思ったことを分かったの!?〉
僕が考えていたことを凛華たちがわかったことに驚いた。
そんな僕の驚きに対する三人の返答は。
〈〈〈零夜(くん)のデバイスですから〉〉〉
同じ答えだった。
〈それ答えになってないよ!?〉
三人の答えに僕はとっさに念話で返して、はやてたちと衣服などを買いに行った。
その間誰かに見られているような視線と気配を感じたが、こんなところでアーティファクトを出すわけにもいかずに気配の主が誰かはわからなかった。
時は過ぎ夜。
あのあと近くの大型ショッピングモールで買い物した僕たちは、服など生活に必要な物を買い揃えはやての家へと帰り、軽く豪華な料理(僕とはやて作)を食べ、僕と凛華、澪奈、星夜は天ノ宮家へ帰宅していた。
理由は、明日は月曜日。つまり学校があるからだ。まあ、はやてには何かあったらすぐに連絡してと言ってあるし、基本家には凛華たちがいるし、今のはやての家にはシグナムたち頼れるヴォルケンリッターがいるのだから大丈夫だと思う。念のため、はやての家の周囲の結界は強化しといた。
そして、凛華たちと帰っている最中。
〈凛華、澪奈、星夜。気付いてる?〉
〈ええ。視られてますね〉
僕は凛華たちと念話して会話していた。
〈はやての家を出てからずっと視られてる〉
〈どうしますかマスター〉
〈そうだね・・・・・・ちょっと様子を探ろうか〉
僕はそういうと二つのアーティファクトを同時展開する。
「―――
無限抱擁で広域結界を張り、渡鴉の人見で偵察する。
渡鴉の人見を各地に散開させてしばらくして。
「見付けた」
対象を見付けた僕はその場から転移して、僕を見ていた監視者の後ろに現れる。
「っ!?」
急に現れたことに驚いたのか監視者は驚きの気配を出して距離をとった。
「ねえ、あなた誰?何が目的で僕のこと監視しているわけ?」
仮面を被った恐らく男だと思う監視者に僕は訪ねる。これで素直に話してくれると嬉しいんだけどなあ。
「・・・・・・・・・・」
「はあ。もしかして無視?じゃあ、少し強引だけど尋問しようかな?」
僕は静かにそういうと、監視者の周囲に光と氷の刃を現出させ動けないようにした。
「一歩でも動いたらその刃があなたを貫くから。気を付けてね」
一応警告はする。
僕だって無闇に人を斬りたくはないし。
すると、ようやく監視者が喋った。
「くっ!ここまでとはな。さすが、SSSランクだと言うことか。聞いていたより恐ろしいな」
「聞いていた?」
僕は監視者の聞いていたという単語と、ジュエルシードの時にリンディさんから聞いた僕のランクを知っていたことからある仮説が浮かび上がった。それは―――。
「まさか管理局?」
この男が時空管理局所属だということだ。
「管理局がなぜここに・・・・・・。しかも、何故はやてのことを・・・・・・」
そう呟く僕の脳裏には一つの魔導書が浮かび上がった。
〈星夜、ちょっと"闇の書"について調べてみてくれる?〉
〈わかりました〉
僕はすでにデバイス形体の星夜に念話で伝える。
「これはちょっと・・・・・・おいそれと返せなくなったね。あなたに聞きたいことがいろいろありますし」
「悪いがここで失礼させてもらう」
「この結界から出られると?」
「出させてもらう」
「なら、僕を倒さないと」
そう言うや否や非殺傷設定にした魔力球を飛ばせる。
監視者はその魔力球をかわして僕に接近してきた。
「(いつの間にかあの刃の中から抜け出したんだろう?)」
そう、さっきまで光と氷の刃に囲まれていたはずなのに、監視者はいつの間にかそこから抜け出していた。
「(それにこの速さと威力・・・・・・なるほど
監視者の攻撃を僕は多重障壁で受け止めそう分析した。
「―――
分析しながら速攻魔法で攻撃する。
「ぐっ!」
監視者はギリギリ氷爆の範囲から離れたようだが、所々に氷爆のあとが残っていた。
そしてそこに追撃で。
「―――
監視者の頭上に巨大な氷塊を作り出し、監視者に落とす。
しかし、巨大な氷塊が監視者に当たる直前。
「っ?!」
何処から放たれた魔法攻撃によって防がれ、落下速度が落ち、その隙に監視者は十分な距離をとって退避していた。
「(今のはどこから)」
放たれた魔法の位置を探っていると。
《零夜くん!上!》
澪奈からの警告が聞こえた。
瞬時に頭上に障壁を張ると、その瞬間障壁に魔法攻撃が当たった。
「くっ!」
魔法攻撃を受け止めきり上を見上げると、そこにはもう一人、仮面を着けた男がいた。
「もう一人!?」
さすがにもう一人いたことは予想外だったため僕は驚愕した。
「すまない。助かった」
「かまわない。だが、彼の使う魔法は厄介だな」
「ああ。我々の魔法とは違うようだ」
「対策が必要だな」
「そうだな」
仮面を着けた二人の男はそう話すと、僕が戦っていた男が言ってきた。
「一つ忠告しておこう」
「忠告?」
「これ以上、あの娘に関わるな」
「なっ!?」
「それがお前のためでもある」
「なに好き勝手に言っているの?はやてに関わるなだって・・・・・・?・・・・・・ふざけるなよ?」
僕はそう口走るのと同時に
魔法の射手の攻撃が収まり、二人の男がいた場所を見るとそこには誰もいなかった。
「逃げられた・・・・・・。まさか、この結界から転移して逃げるなんて」
《恐らくもう一人の監視者が転移の準備をしていたんだと思います》
「だろうね。そして
僕は誰もいなくなった結界。無限抱擁を解除し、渡鴉の人見とともに、カードに収納した。
《マスター、"闇の書"の検索結果が出ました》
「どうだった?」
《そ、それが・・・・・・》
「どうかしたの?」
《"闇の書"は時空管理局の第一級捜索遺失物に指定されていることがわかりました》
「第一級捜索遺失物?つまり闇の書はロストロギアってこと?」
《はい》
「闇の書か・・・・・・家に帰ったら詳しく調べる必要があるね」
僕はそう呟いて、再び人の姿になった凛華たちと家に帰った。