魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語 作:ソーナ
~零夜side~
八神家
「蒐集のほうはどう」
「ある程度進んだ。あと3分の1程だ」
「そう」
昼間の戦闘が終わったあと、テスタロッサ・ハラオウン家でリンディさんからクロノが追い掛けてるロストロギア"闇の書"について聞き(もうすでに知っている)なのはたちは今後の方針を決めていた。リンディさんは明日からお仕事復帰で、なのは、フェイトは嘱託として出るみたいだ。アリシアはまだデバイスが出来てないためお留守番だ。そして僕は、なのはたちと別行動を取ることにした。
テスタロッサ・ハラオウン家を出た僕はそのまま八神家に向かい今に至る。
「そういえばはやては?」
はやての姿が見えないことに疑問を持ち、シグナムたちに訪ねる。
「お友だちのすずかちゃんのお家に今日はお泊まりに行ってるわ」
「すずかの?いつの間に・・・・・・」
シャマルの言葉に、いつの間にかすずかの家に止まるほど仲良くなっていたはやての行動力に驚きながら返した。
「さて、それじゃシグナムとヴィータはお説教ね」
「なに?」
「なんで?」
疑問顔の二人に僕は呆れた口調で理由を言った。
「あのねえ二人とも。いくらなのはたちでも、ぶっ潰したり、殺さずに済ませる自信がないとかじゃないからね?」
「「うっ!」」
「言ったよね、瀕死程度ならまだいいけど、出来るだけ手加減して殺さないようにするようにって?」
「い、いやしかしだな」
「しかしもなにもないよシグナム。ていうかシグナム、フェイトととの戦闘楽しんでたでしょ」
「うっ!」
「はぁー。まあ、なのはたちは僕が鍛えたからね、ヴィータとシグナムの判断は正しいよ。よって、今回のことはこれ以上あれこれ言うつもりはないから」
「そ、そうか」
「た、助かった」
どこか助かったような表情のシグナムとヴィータにシャマルが紅茶のおかわりをカップに注いだ。
「さてと。グレアム叔父さん」
僕は空間ウインドウを開きグレアム叔父さんにデレビ電話をする。
『どうかしたかね』
「例の"オートクレール"の方はどうですか?」
『準備は出来ているよ。いつでも使用できる』
「ありがとうございます」
『なに、基本的に零夜君たちに任せっきりだからね。これくらいはしなければ』
「いえ、今日はアリアさんとロッテさんにも手伝ってもらいましたから」
『そうかい。ああ、それと零夜君の知り合いのユーノという子がアリアたちと無限書庫に行ったよ。では、また何かあったら連絡してくれ』
「わかりました」
会話を終え、ウインドウを消去してカップの紅茶を飲んで喉を潤わせる。
「零夜くん、オートクレールって?」
シャマルが不思議そうな表情で聞いてきた。
「"闇の書"を元の"夜天の魔導書"に戻すのに必要な武装だよ」
僕がグレアム叔父さんに頼んでいるのは"闇の書"の防衛プログラムを消すために必要な武装だ。武装に必要な術式は僕が用意したが、武装自体はグレアム叔父さんが用意してくれた。
「それにしても信用できるのか?あのグレアムって人?」
「大丈夫。その点は僕が保証するよ」
ヴィータの怪しむ声に僕はそう答える。
「まあ、零夜がいうならいいけどよ」
ヴィータは渋々納得するような感じで答えた。
「さて、それじゃ行こうか」
「ああ」
「もちろんだ」
「ええ」
「わかってる」
僕らは戸締まりをして、僕は魔法で変身して八神家の庭に出て他の世界へと跳んでいった。
翌日
「いやー、今日が休日で助かったね」
《それは丸一日、蒐集に使えるからですか?》
「うん」
今、僕はある別世界で蒐集をしていた。もちろん、変装はしている。
そして目の前には僕が倒した大型魔獣が転がっていた。
「さて、そろそろ一度帰ろうか」
時空転移魔方陣を描き出し転移しようとしたその瞬間。
「スティンガーブレイド、エクスキューションシフト!」
「ッ!」
上空より青白い刃が飛び掛かってきた。
「(この魔法はクロノのかな?)」
飛び掛かってきた刃をすべて避け、発生源を見るとそこにはクロノとクロノ率いる武装局員の姿があった。
そのままクロノの姿を見ていると。
「動くな!武器を下ろして大人しく投降しろ」
僕を武装局員が方位してそう言った。
続いて降りてきたクロノが。
「危険指定ロストロギア所有の罪で逮捕する。大人しく従えば弁護の余地はある」
と、自分のデバイス、S2Uを向けながら言ってきた。
《だそうですよ?》
そんなクロノたちを見ながら星夜が念話で言ってきた。
ちなみにだが、僕の変装している姿はローブを着ていて、さらに変身魔法≪
〈やれやれだね〉
星夜の言葉に僕も念話で返す。
その間にも武装局員はジリジリとにじり寄って来ていた。
「おい!聞いているのか!」
「・・・・・・いきなり攻撃魔法で襲い掛かってきて謝罪の一つもないのかしら?」
クロノの問いに僕は、本来の口調ではなく女の子のような口調で答えた。
声の声帯も魔法で変えているから僕だとバレる必要はない。
「まあ、あの程度でやられると思っているのならそれは大間違いなのだけど」
「なに?」
「それにしても・・・・・・」
僕は周りを見渡してクロノ以外の武装局員を見る。
「その程度の戦力で私が捕まえられると本気で思ってるの?」
正直、手応えがありそうな相手がクロノしかいない。
「なんだと?」
「まあいいわ。私は帰るし、出来れば邪魔しないでほしいわね」
「逃がすと思うか!」
そう言うとクロノは僕の周囲にさっきの魔法と同じのような刃を出した。
「(これって前に僕が見せた・・・・・・なるほど、あの一回で覚えたのかな?)」
このやり方は以前僕がクロノにやったやり方だ。
「動くならその刃があなたを貫く。安易に動かないことだ」
「で?」
「なに?」
「この程度の刃の包囲で私を動けなくさせることができると、本気で思ってるの?」
そう言いながら僕はステラメモリーを軽く一閃してクロノの魔法を消す。
「なんだと!?」
その間にはすでに僕は帰る準備が出来ていた。
「それでは私はここで失礼しますわ。次会えるときはもう少し歯応えを期待しますね」
「ま、待てっ!」
そう言いながら魔法を仕掛けてくるクロノを見ながら僕はその場から転移した。
「やれやれ、そろそろヤバイかな」
その後、転移を繰り返して八神家へと帰った。
そして、翌日僕らは思い知った。はやての時間がもう残り僅かだと言うことに。
翌日
「はやて!しっかりしてはやて!」
「はやて!」
シグナムたちと話していたところに、上から何かが倒れるような物音が聞こえ、その発生場所。はやての部屋に行くと、ベッドの脇ではやてが胸を押さえて倒れている姿があった。
その痛みが尋常じゃないことに気づき僕はシャマルに、
「シャマル、急いで救急車!」
急いでそう言った。
「わかったわ!」
「シグナムは石田先生に電話して!」
「ああ!」
僕ははやての様子を見ながらシグナムにもそういう。
「ヴィータ、はやてを揺らしちゃダメだ」
「け、けど!」
「落ち着けヴィータ。零夜の言う通りだ」
「ザフィーラ・・・・・・わかった」
その十分後。僕らははやてを迎えに来た救急車に乗り込んで海鳴大学病院へと向かった。
はやてが目を覚ましたのはお昼を過ぎた頃だった。
「ん・・・・・・」
「はやて!」
「大丈夫、はやて!」
目を覚ましたはやてにヴィータは駆け寄り、僕はベッド脇から訪ねる。
「ここは・・・・・・」
「病院だよ。大丈夫、はやて?」
「大丈夫やで」
そう笑いながら言うはやてに。
「はやてちゃん!目が覚めたのね」
石田先生が病室に入ってきた。
「すんません石田先生。ただ、足と腕と胸がつっただけなのにみんな大袈裟や」
「あのねはやて。足と腕がつるのは分かるけど、胸がつったなんて聞いたことないからね」
はやての言葉に呆れ半分口調でそうツッコんだ。
「あのねはやてちゃん」
そこに石田先生がはやてに告げた。
「入院?」
「ええ。一応、検査をしたいからしばらくの間入院してほしいの」
「せやけど・・・・・・」
「はやて、その事は僕がお願いしたの」
「零夜くんが?」
「また、はやてに今日みたいなことがあったら大変だからね」
「け、けど」
「大丈夫、家のことは僕がやるから。心配しないで」
「零夜くんがそう言うなら・・・・・そんなら石田先生、お願いします」
「ええ」
石田先生にはやてのことを任せて僕らは八神家へと帰り、このあとのことを相談することにした。
「シャマルは基本こっちに残ってはやての側にいて」
「わかったわ」
「それと、僕も本気で行く」
「零夜も出るのか」
「うん。はやてのあの様子を見る限り闇の書の呪いがかなり進行している。もう珍多羅している場合じゃない」
「そうか」
「けど、学校の方はどうすんだよ」
「学校の方は休むよ。ありがとうヴィータ、心配してくれて」
僕は心配してきたヴィータの頭を優しく撫でた。
「シャマル、なにかあったら連絡して」
「ええ」
僕はそのあとシグナムたちの夕飯と翌日の朝食を作り、天ノ宮家へと帰った。
そしてはやてが入院して数日。
「シグナム、一度家に帰ってゆっくり休んで」
「だ、だが!」
「ヴィータとザフィーラにも言ってあるから」
シグナムにそういう僕に上から。
「どういうつもりだ零夜!」
クロノのそんな声が聞こえてきた。
上を向くとそこにはクロノ、なのは、フェイト、アルフがいた。
「どういうつもりも、僕は最初から知っていた。ただそれだけだよクロノ」
そう言いながら僕は以前クロノに見せた姿を見せた。
「その姿は・・・・・・!」
「蒐集をする際はこの姿が便利だからしていたんだけど、もういいかな」
仮装行列を解除してクロノたちを見据える。
「零夜くん、どうして!」
「どうしてこっちにいるか、ってことなのは?」
「そう!」
「闇の書を完成させるため。それが僕の目的」
「それがどんなものなのか知らないわけないでしょ零夜」
「うん、知ってるよフェイト。よく・・・・・・ね」
「零夜、君を逮捕する、その場を動かないでほしい。出来れば君を傷つけたくない」
「傷つけたくない、か。優しいねクロノ。でもね、クロノ、君には分かっているよね?僕に勝てないってことが」
そう言うや否や、僕は
「これが答えだよ。悪いけど、今回僕は君たちの敵だ」
ことの始まりは数十分前に遡る。
数十分前
「やれやれ、なにやってんのだか」
別の世界にいた僕はシグナムとヴィータの魔力が低くなっていることに気づき、まずは魔力が低くなっているヴィータのほうに転移した。
「ん、あれはなのは?」
転移するとちょうど、ヴィータに向かってなのはが長距離砲撃を放とうとしていたところだった。
『ディバインバスター!』
なのはがディバインバスターを放ったその瞬間に、ヴィータとの間に入り、なのはの砲撃を防いだ。
「え!?」
驚くなのはを他所に僕はヴィータに話し掛ける。
「ヴィータ、ザフィーラと一緒に家に帰って。それで、明日は一日休んで」
「な!?い、いや、いいのかよ零夜!アイツにあたしたちとの関係が!」
「うん、もういいよ。いずれバラす手筈だったし。それに、はやてが心配してたから」
最後の部分をヴィータだけに聞こえるように言って、ヴィータを転移させた。
「零夜・・・・・・くん・・・・・・?」
「ごめんね、なのは」
「ま、まって!」
なにか言おうとするなのはを無視して、僕はシグナムの方へと転移した。
シグナムの方に転移すると、何故かフェイトと闘っていた。
「バインド」
「なっ!?」
僕が仕掛けたバインドに驚くフェイトにゆっくりと姿を表した。
「零夜?」
「おまえ・・・・・・」
フェイトとシグナムが僕に向かって言うなか、僕はフェイトの方を向かずシグナムに歩いていき、シグナムの前に立つと治癒魔法をかけた。
「
驚きに目を見張るシグナムに僕は。
「まったく、ここまで無茶するなんて」
そう言った。
「零・・・・・・夜?」
「言ったよね、無茶しないでって。なのにヴィータもシグナムも無茶して。魔力が底つきかけてたよ?」
「す、すまん」
「シグナム、一度家に帰ってゆっくり休んで」
「だ、だが!」
「ヴィータとザフィーラにも言ってあるから」
シグナムにそう言うと上から。
「どういうつもりだ零夜!」
クロノの声が聞こえてきた。
そして今に至る。
シグナムが転移して帰ったのを確認した僕は、クロノたちに魔法の射手の雨を降らせていた。
やがて魔法の射手の雨が止むと、そこにはバリアを張って防いだ四人がいた。
「今のはさすがに防ぐよね?クロノとアルフはともかく、なのはとフェイトにはこれくらい防いでもらわないと」
なのはたちに聞こえるようにそう僕は言った。
僕が言い終えると、なのはとフェイトが接近して攻撃してきた。
「僕と闘うんだ。いいよ、やってあげる。リンカーネイト、レイオブホープ」
《わかりました》
《はーい》
僕の声に応じて凛華と澪奈が答え、デバイスを展開した。
「はあっ!」
「やあっ!」
左右から仕掛けてきたなのはとフェイトの攻撃を凛華と澪奈で防ぐ。
「「っ!?」」
「確かに前より速いし重い。けど、動きが単調すぎるよ」
そう言い二人のデバイスを弾き上げ、ライトエフェクトの光、凛華と澪奈で薙ぎ払い。
「アインクラッド流≪二刀流≫エンド・リボルバー」
静かにそう言った。
そこへ。
「蒼窮を駆ける白銀の翼、疾れ風の剣」
クロノの声が聞こえてきた。
その瞬間、僕の身体を不可視のなにかが縛り上げた。
「へぇー、設置型の拘束術式。なのはとフェイトが攻撃している間に仕掛けたんだ」
冷静にそれを見て分析していると。
「アタシを忘れてもらっちゃ困るよ!」
アルフも拘束魔法を放って僕を拘束してきた。
そしてさらに。
「なのは!フェイト!」
《ブレイズキャノン》
「ごめん零夜くん!」
《ディバインバスター》
「ごめん!」
《サンダーレイジ》
クロノの声を合図に、クロノとなのは、フェイトが砲撃魔法を仕掛けてきた。
そのまま当たるかと思われた、砲撃が当たるその直前。
「ステラ」
《はい》
「―――
静かにそう一言言った。
「やったか」
そう砲撃によって生じた煙を見てクロノが言った。
そのクロノに向けて。
「―――
僕は雷の暴風を放った。
雷の暴風は煙を一瞬で払い、クロノに向けて向かっていく。
「なにっ!?」
クロノは驚きながらも障壁を張って受け止めた。
「へえ、受け止めたんだ」
軽くそう言う僕に対して、なのはたちは信じられないと言う感じだった。
「そんな・・・・・・!」
「あれを受けても無傷なのかよ!」
なのはとアルフが驚き声を出し、フェイトは声には出さないがなのはと同じだった。
そんななか。
「零夜!」
クロノが僕の名前を呼びながら攻撃してきた。
「やるねクロノ。ちょっと驚いているよ。さすがアースラの誇る切り札だね」
「お世辞はいらない。零夜、君は何が目的なんだ!」
「目的ね。答えてどうするの?」
「協力できることがあるなら協力する。それだけだ」
「そう・・・・・・」
クロノの言葉にがっかりしたようなトーンで答えクロノを見る。
「悪いけど、今回クロノたちが出来ることなんて最後以外ないよ」
「なに?それはどういう意味だ!」
「いずれ分かる時が来るよ」
クロノとの鍔迫り合いから同時に下がる。
下がって構えたその瞬間。
《零夜くん、上空から砲撃魔法来ますわ》
星夜からそう念話が来た。
それと同時に、視界を眩い光が包み込んだ。
「どうだ」
クロノのそんな声が聞こえてくるが、僕は歩いて姿を見せる。
「今のはプレシアさんの次元跳躍魔法かな?なるほど、確かに前より威力が上がってるね」
「そ、そんな。母さんの次元跳躍魔法を受けてもまったくの無傷なんて・・・・・・!」
フェイトの言う通り、僕はまったくの無傷だった。
理由は単純に上空に障壁を張ったからと、自身の周囲に常に魔力障壁、対物障壁など張っているからだ。
「どうする、まだやるの?そろそろ帰りたいんだけど」
「くっ!零夜、この質問には答えてもらうぞ。君は闇の書の主か?」
「僕が闇の書の主?」
クロノの言葉に僕は持っていた闇の書を見る。
「どうなんだろうね。それと、これを闇の書や呪われた書って言うの止めてくれる?本来の名前で言ってほしい」
「本来の・・・・・・名前、だと・・・・・・?」
「詳しくはユーノに聞いたら?管理局の無限書庫にいるんでしょ。それじゃ、僕はこれで」
「ま、まて零夜!」
「待って零夜くん!」
「待って零夜!」
クロノ、なのは、フェイトの声を無視して僕は展開した時空転移魔法を発動させてその場から消え去った。