魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語   作:ソーナ

28 / 106
覚醒

 

~???side~

 

 

「もうやだ・・・・・・!誰か助けて・・・・・・お願い、誰か彼女たちを助けて・・・・・・」

 

暗い、ただ闇が包むなか私は何度言ったか忘れるほど言った言葉を言った。

私の声は闇に沈み込み、返ってくることはなかった。

そのとき。

 

「きみは・・・・・・だれ?」

 

私の目の前に一人の少年が両手にデバイスをもって優しく問い掛けてきた。

 

~???side out~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~零夜side~

 

 

夢の世界から脱出した僕は、暗く周囲になにもない空間にいた。

 

「はやてたちはどこだろう」

 

この空間の中では索敵もできないため人力で捜すしかない。

捕らわれたはやてたちを探して歩いていると、女の子の鳴き声が聞こえてきた。それと同時に懇願するかのような悲痛の声が聞こえてきた。

 

 

『もうやだ・・・・・・!誰か助けて・・・・・・お願い、誰か彼女たちを助けて・・・・・・』

 

 

声のした方に向かって歩くと、そこには一人の少女が泣きながらうつむい座っていた。

 

「きみは・・・・・・だれ?」

 

僕は目の前の少女に優しく声をかけた。

少女はずっと泣いていたのか目が充血しているほど赤く、涙声で聞いてきた。

 

「あなたは・・・・・・」

 

「僕の名前は天ノ宮零夜。そして、こっちは僕の家族でデバイスの凛華、澪奈、星夜だよ」

 

僕は自身の名前をいうと、デバイス姿の凛華たちを見せて教える。

 

「きみの名前は」

 

「私の名前は・・・・・・ナハトヴァール」

 

「ナハトヴァール・・・・・・!?」

 

目の前の少女の名前に僕は息を飲んで驚いた。

ナハトヴァールとは闇の書の自動防衛プログラムだからだ。まさかナハトヴァールに自我があるとは汁ほど思わなかった。これはさすがのグレアム叔父さんたちも知らなかったであろう。

 

「ナハトヴァール・・・・・・きみはなんで泣いているの?」

 

「私は・・・・・・ほんとは、彼女たちを殺したくない!歴代の人たちも私はすきでやった訳じゃない!もう、誰かが傷付いたり、泣いたりしているのは・・・・・・耐えられない!」

 

「・・・・・・そっか」

 

「だからお願い!零夜くん、私のこと消して!」

 

「それって、きみを殺すってこと?」

 

僕の問いにナハトヴァールは涙を流しながらうなずいた。

 

「そうじゃないと、この苦しみは永遠に続いていく。終わらない無限怨嗟がずっと続くの!だから・・・・・・!」

 

ナハトヴァールの懇願に僕は首を横に振って返した。

 

「なんで・・・・・・」

 

「それじゃ、きみだけが哀しいだけ。僕はきみを助けたい」

 

「そんなの・・・・・・!」

 

不可能だと言うかのようなナハトヴァールに僕は、ナハトヴァールを優しく抱き締めて言った。

 

「出来るできないかじゃないの。・・・・・・やるんだよ。僕は決心した、きみを助ける。そして、この事件を終わらせる」

 

「零夜くん・・・・・・」

 

決心した僕を見てくるナハトヴァールに僕は優しく微笑みかけて、ナハトヴァールの黒紫(アメジスト)色の瞳を視て。

 

「きみに新しい名前をあげる」

 

「新しい名前・・・・・・?」

 

「うん。もうナハトヴァールなんて呼ばせない。ナハトヴァールは闇の書の闇。こんなにも優しいきみにそんなの可哀想だよ。だから、きみさえ良ければどうかな?」

 

「うん・・・・・・お願い、新しい名前を付けて・・・・・・!」

 

「もちろん!きみの新しい名前は、聖良(せいら)

 

「聖良・・・・・・」

 

「うん。綺麗で美しく、優しくて、思いやりのあるきみにピッタリな名前だよ」

 

「聖良・・・・・・ありがとう零夜くん」

 

「ううん。それじゃあここから出ようか聖良」

 

「うん!あ、待って、もう一人・・・・・・あの人もつれていかないと」

 

「あの人?」

 

ナハトヴァール・・・・・・いや、聖良の言葉に首をかしげると、聖良の前に一人の人間が出てきた。

 

「この人は・・・・・・」

 

僕は出てきた男性を見て驚きの表情を浮かべた。何故ならその人はクロノに似ていたからだ。

そう思っていると。

 

「う・・・・・・」

 

「大丈夫ですか」

 

「ここは・・・・・・」

 

クロノ似の男性が目を覚まし、声をかける。

 

「確か僕は闇の書を・・・・・・」

 

闇の書という単語と、彼の服装から僕はこの人が11年前に闇の書に呑み込まれたクロノの父親。クライド・ハラオウンだとわかった。

 

「すみません。あなたの名前はクライド・ハラオウンですか?」

 

「え。あ、はい。確かに僕の名前はクライド・ハラオウンです。あなたは?」

 

「僕の名前は天ノ宮零夜。あなたの子供、クロノの・・・・・・その、知り合いです」

 

「クロノの?」

 

「はい」

 

クライドさんはあまり意識がハッキリしないのか宙をしばし見つめると。

 

「天ノ宮君、でしたね?」

 

「はい」

 

「ここはどこなんですか?」

 

「ここは闇の書の内部です。彼女があなたを助けてくれたんですよ」

 

「彼女?」

 

僕はずっと横にいた聖良をクライドさんにいう。

 

「あ、あの、わ、私は聖良です。あなたにはナハトヴァールと言った方がいいかもしれませんが・・・・・・」

 

「そうか。君が・・・・・・」

 

クライドさんはようやくハッキリしてきたのか首をうなずいて言った。

 

「プログラムに侵食される前にあなたを私が取り込んだんです」

 

「そうなのか・・・・・・ありがとう聖良さん」

 

「そ、そんな・・・・・・!私は・・・・・・」

 

クライドさんのお礼に聖良は表情を暗くしてうつむいて返した。

 

「聖良、そんなに自分を責めたらダメだよ。クライドさんは聖良が護ったんだから」

 

「零夜くん・・・・・・」

 

聖良は僕の言葉に涙を浮かべ、僕に抱きつくと涙を流した。

 

「大丈夫だよ聖良」

 

僕は優しく聖良の背中を撫で言う。

しばらく聖良をそのままにし、やがて泣き止んで離れた聖良と並び。

 

「それじゃ、ここから出ましょうかクライドさん」

 

「出られるのですか?」

 

クライドさんの問いに僕は。

 

「任せてください」

 

デバイス状態の凛華と澪奈を持ち、目の前に広がる暗闇の空間を薙ぎ払った。

僕が薙ぎ払った場所はピシリと、ガラスにヒビが入るような音がし、穴が開いたように奥に空間が現れた。

 

「行きましょう」

 

僕は呆気に取られているクライドさんにそう言って、聖良とクライドさんとともにその空間に入り込んだ。

 

「見つけた」

 

その空間には車イスに座って半覚醒状態のはやてと銀髪の女性がいた。服は違うが、外で戦っている闇の書の意思と同じ女性だ。

僕たちに気付いたのか、その女性は視線を僕らの方に向けてきた。

 

「そんな!あなたは・・・・・・」

 

驚いた表情を浮かべていう彼女に僕は近づいた。

 

「ありがとう。夢の中だとはいえ、お姉ちゃんと華蓮と一緒に過ごせた。僕が求めていた幸せを体験できたよ」

 

僕は彼女にお礼を言った。夢の中だけど、またお姉ちゃんと華蓮に会えたから。

彼女にそう言うと僕ははやての前に立った。

 

「はやて」

 

「う、ううん・・・・・・零夜、くん・・・・・・?」

 

「起きた?」

 

「うん。けど、ここは・・・・・・」

 

「ここは闇の書の中だよ」

 

「闇の書・・・・・・!」

 

思い出したかのようにはやては目を見開いて僕と管制人格を見る。

 

「そうや・・・・・・全部思い出した」

 

「どうかお眠りを我が主。あと数分ほどで、私は私自身の呪いであなたを殺してしまう。ですから、その前に、幸せな、心のなかで・・・・・・!」

 

「それはダメや。私はこんなん望んでない!あなたも同じはずや!違うか?」

 

「私の心は、騎士たちと深くリンクしています。だから騎士たちと同じように私もあなたを愛おしく思います。だからこそ、あなたを殺してしまう自分自身が許せない。自分ではどうにもならない力の暴走。あなたを侵食することも、暴走してあなたを喰らい尽くしてしまうことも、止められない」

 

「覚醒の時に少し分かったんよ。望むように生きられへん悲しさ。私にも少し分かる。シグナムたちも同じや!ずっと悲しい思い、寂しい思いしてきた・・・・・・せやけど忘れたらあかん。つらい日々ばかりだったかもしれへんけど・・・・・・悲しい日々ばかりだったかもしれへんけど・・・・・・その日々があった今の私や、あなたがおるんや!」

 

はやてと管制人格の会話を僕らは静かに聞く。

すると、はやてが僕に視線を向けてきた。

 

「それに零夜くんもおる。零夜くんのお陰で私は一人じゃなかった・・・・・・。あなたもおるから私は一人じゃなかった!」

 

そう言うとはやては管制人格に右手を伸ばして、頬に手を添えた。

 

「あなたのマスターは今は私や。マスターの言うことは、ちゃんと聞かなあかん」

 

そう言った次の瞬間、はやての足元に白い三角形の魔法陣―――シグナムたちと同じ、ベルカ式の魔方陣が現れた。

 

「名前をあげる。もう、闇の書とか、呪いの魔導書なんて言わせへん。私が呼ばせへん」

 

そう言うはやてに僕は話し掛けた。

 

「はやて、僕たちは先に戻ってるよ」

 

「うん。ありがとう零夜くん」

 

「ううん。それと、先に言っておくね、この子の名前は聖良。ナハトヴァールの意思だよ」

 

僕の言葉に管制人格は驚いた表情を浮かべた。

 

「そうなんやな。聖良、いい名前や」

 

「でしょ?」

 

はやてに微笑み、僕は聖良とクライドさんのの手をつかむ。

 

「じゃ、先に行ってるね。はやて、お願いね」

 

「うん。任せて」

 

はやてと会話を終えると、僕は足元に白黒の魔方陣を展開して、その場から消え去った。

 

~零夜side out~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~はやてside~

 

零夜くんたちが行ったのを見て、私は目の前の管制人格に言う。

 

「ずっと考えていた名前があるんや」

 

「ですがナハトが止まりません・・・・・・!暴走も・・・・・・・!」

 

「止まって!」

 

私がそう言うと、足元の白い魔方陣が光輝き、目映い光を発した。

 

~はやてside out~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~零夜side~

 

外に戻ってくるなり、僕が目にしたのはアルフの魔法の楔によって縛られ、身動きのとれない状態のなのはとフェイトの姿だった。

そして上空には巨大な禍々しい螺旋状の剣が浮かんでいた。

 

「クライドさん、聖良とここにいてください。僕は彼女たちを助けてきます」

 

「わかりました。天ノ宮君、気を付けて」

 

「ええ」

 

聖良をクライドさんに預け僕は螺旋状の剣の真下のなのはとフェイトへと飛んでいった。

 

「眠れぇ!」

 

闇の書の意思の声とともに、回転を加えられた螺旋状の剣が縛られているなのはとフェイトの元へと墜ちていく。

その光景になのはとフェイトは目を見開いた。

そこに。

 

「スターバースト・ストリーム!」

 

僕が絶対切断と断罪の剣を付与した凛華と澪奈で螺旋状の剣を粉々に斬り砕いた。

 

「お待たせ、なのは、フェイト」

 

「零夜くん!」

 

「零夜!」

 

縛られていたなのはとフェイトの鎖を破壊し、なのはとフェイトとともに闇の書の意思と相対する。

 

「おまえ・・・・・・何故ここに・・・・・・?」

 

「夢から覚めただけだよ。少しの時間だったけど、お姉ちゃんと華蓮とまた一緒にいられて嬉しかった。けど・・・・・・」

 

僕は再度構えを取り直して、闇の書の意思を見据える。

 

「―――僕にはやることがあるからね」

 

僕はそう言ってなのはとフェイトを見た。

その瞬間、闇の書の意思の左腕に巻き付いているナハトヴァールがうねりを見せ、闇の書の意思がそれを押さえていた。どうやらはやてが内側からなにかしたみたいだ。現に、闇の書の意思の左腕に巻き付いているナハトヴァールが闇の書の意思を呑み込もうとしていた。そこへ。

 

『外の方!零夜くん、聞こえる?!』

 

はやての声が聞こえてきた。

 

「はやてちゃん!?」

 

「はやて!?」

 

「聞こえるよはやて!」

 

『零夜くん、何とかその子止めたげてくれる?魔導書本体からはコントロールを切り離したんやけどその子が動いとると管理者権限が使えへん。今そっちに出てるのは、自動行動の防衛プログラムだけやから!』

 

「わかった!」

 

はやての声とともに、闇の書の意思。防衛プログラムは無差別に攻撃を撒き散らした。どうやらナハトヴァールの侵食に抗っているみたいだ。

そこに。

 

『なのは!フェイト!』

 

『フェイト聞こえる!』

 

「ユーノくん!」

 

「アルフも!」

 

ユーノとアルフが目の前のウインドウに映った。

 

『融合状態で主が意識を保ってる。今なら防衛システムを融合騎から切り離せられるかもしれない』

 

「本当? 」

 

「具体的に、どうすれば?」

 

『二人の純粋魔力砲でその黒い塊をぶっ飛ばして!全力全開、手加減なしで!』

 

「さすがユーノ」

 

「わかりやすい!」

 

Indeed.(全くです)

 

「だね!」

 

ユーノの言葉になのはとフェイトは笑いながら同意し、それにそれぞれのデバイスも同意した。

それと同時になのはとフェイトは自分たちのそれぞれの魔法陣を重ねる。二人の周りには大量のスフィアが浮かびフェイトはザンバーフォームのバルディッシュの刃を伸ばし、なのははレイジングハートの先に魔力を収束させる。

 

「いくよ凛華!澪奈!星夜!」

 

《はい!》

 

《うん!》

 

《ええ!》

 

僕の声に凛華は、剣形態から砲撃形態に、澪奈は凛華の砲撃形態と合体して、星夜は翼を砲撃の周囲に舞わせる。シフトチェンジした凛華たちの砲口を暴走している闇の書の意思へと向ける。

 

「N&F、中距離殲滅コンビネーション!」

 

「L&R&S、リミットブレイク!」

 

「ブラストカラミティ・・・・・・!」

 

「カタストロフィブレイザー・・・・・・!」

 

「「ファイアーーー!!」」

 

「フルバースト!!」

 

なのはとフェイトは砲撃を同時に放ち、遅れて周囲に浮かぶスフィアから魔力弾が発射された。僕はなのはとフェイトに続いて虹色の魔力砲撃を放つ。なのはとフェイトの砲撃は闇の書の意思を飲み込みスフィアから発射された魔力弾はナハトヴァールの蛇を吹き飛ばし、僕の砲撃は闇の書の意思を呑み込んで、吹き飛ばされた蛇ごと消し飛ばした。

 

~零夜side out~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~はやてside~

 

「強く支える者、幸運の追い風、祝福のエール。リイン、フォース」

 

闇の書。いや、リインフォースに名前を授けた私は、目映い輝きのあと、辺りが白い空間にリインフォースに裸で抱き抱えられていた。

 

「夜天の魔導書と、その管制融合騎、リインフォース。この身をかけて御身をお守りいたします。ですが・・・・・・」

 

同じく裸のリインフォースが声を募らせた。

 

「ナハトヴァールの暴走が止まりません。切り離された膨大な力が直に暴れだします」

 

「うん。まあ、なんとかしよか」

 

そう言って左手を宙に伸ばすと、夜天の魔導書が現れ、スッと私の手に収まった。

 

「行こうか、リインフォース」

 

「はい!我が主」

 

リインフォースが私の体の中に入り、私は夜天の魔導書を広げる。

 

「管理者権限、発動」

 

パラパラと捲られる頁の一つを開き指でなぞるように、空白の場所を撫でる。

 

「リンカーコア復帰。守護騎士システム、破損回帰」

 

私の周囲に五つのリンカーコアが現れるのを見て。

 

「おいで、私の騎士たち」

 

次の瞬間、リンカーコアが目映い輝きを放ち私はその場から消え去った。

 

~はやてside out~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~零夜side~

 

 

闇の書の意思に絡み付いていた黒い塊を消し飛ばすと、海に現れた黒い穴のようなもの周りに触手のようものに警戒しながら、それと同時に現れた宙に浮かぶ白い光を見守る。

 

「・・・・・・この感じ・・・・・・クロノとプレシアさんにアリアさんとロッテさんかな」

 

闇の書の意思が消え去り、構築していた絶界が解かれ元の結界空間になったのを確認し、反応のあった魔力元を言う。

その瞬間、白い光が縦に貫き、その周囲に四つのベルカ式魔方陣が現れた。その魔方陣はそれぞれ、紫、紅、白、緑の魔力光が煌めき、その魔方陣の上にはシグナム、ヴィータ、ザフィーラ、シャマルが立っていた。

そして、中央の白い光の球体に罅が入ると、そこから黒いバリアジャケットを身に纏い、右手に先端に円と十字が合わさっている杖をその手に握っていた。

 

「はやてちゃん!」

 

なのはの声に、はやてはなのはとフェイトを見て、右手の杖を掲げた。

 

「夜天の光に祝福を!リインフォース、ユニゾン、イン!」

 

はやての声に明るい黒い光が現れ、はやての胸に入っていった。次の瞬間、はやてのバリアジャケットにさらにベレー帽やらが追加され、背中からは闇の書の意思が生やしていたものと同じ黒い三対六枚の羽根が付き、髪の色が茶色から亜麻色に、目の色は蒼から水色に変化した。

 

「はやて・・・・・・」

 

「すいません・・・・・・」

 

「あの、はやてちゃん・・・・・・私たち」

 

リインフォースとユニゾンインしたはやてにヴィータたちが口ごもったように言い淀んでいた。

まあ、それは僕にも言えることではある。僕たちのせいではやてにつらい思いをさせてしまったから。

 

「ええよ。全部わかってる、リインフォースが教えてくれた。だから、今は・・・・・・」

 

はやては全部わかってるという風にヴィータたちに言い。

 

「お帰り・・・みんな」

 

両腕を広げて迎え入れるように言った。

 

「・・・・・・っ、うわあぁぁぁん!はやて!はやて!はやてー!」

 

ヴィータは、子供のようにはやてに抱きついて思いっきり泣いていた。この中で一番はやてのことを思っていたのがヴィータだから。僕はその光景を静かに見守っていた。

 

「なのはちゃんとフェイトちゃんもごめんな。うちの子達が色々迷惑かけてもうて」

 

はやての側まで行ったなのはとフェイトに、泣いたままのヴィータを抱き締めたままはやてが言った。

 

「ううん」

 

「へいき」

 

「ありがとう。それで、零夜くんはいつになったら来てくれるん?」

 

「うっ・・・・・・!」

 

傍観者としていた僕にいきなり声をかけてきたはやてに僕は気まずそうにしながら近寄る。

 

「はやて・・・・・・」

 

「うん」

 

「ごめん。はやてに黙っていて」

 

「ううん。リインフォースが教えてくれたよ。零夜くんが私のために必死になってくれたこと」

 

「はやて・・・・・・」

 

「だから・・・・・・ありがとう、零夜くん」

 

はやてはそう言うと、僕に抱き付いてきた。すでにヴィータはシグナムたちのほうにいる。

 

「あ、あの、はやてさん?さすがに今されても・・・・・・」

 

と、戸惑っていると。

 

「あー。水を指すようで悪いんだが。時空管理局のクロノ・ハラオウンだ」

 

クロノが微妙な表情で降りてきた。

それに続いて。

 

「フェイトの母親のプレシア・テスタロッサよ」

 

「あー、久しぶりだね、はやて」

 

プレシアさんと、アリアさんとロッテさんが降りてきた。

アリアさんとロッテさんに驚くはやてを他所に僕はプレシアさんに聞いた。

 

「ところでプレシアさんは何故ここに?」

 

「それはもちろん、私の大事な娘のフェイトがしんぱ・・・・・・・・・・フェイトを助けるためよ!」

 

「あ、そうですか」

 

フェイトのことが心配、と言おうとしたことにツッコまなかったのは得策だろう。もしツッコんでいたら、プレシアさんお得意のサンダー・レイジが僕に降り注いでいた頃だろう。

 

「あ、クロノ」

 

「なんだ?」

 

「彼をアースラに転送してくれる?」

 

「彼?」

 

僕の言葉に怪訝を浮かべるクロノに、僕は転移魔法で聖良とクライドさんを召喚する。

 

「っ!?」

 

「ま、まさか・・・・・・!」

 

「そ、そんな・・・・・・!」

 

クライドさんを見たクロノとアリアさん、ロッテさんは目を見開いてクライドさんを見る。

 

「ま、まさか・・・・・・父・・・・・さん・・・・・・?」

 

「クライド君・・・・・・なの?」

 

「クロノ・・・・・・久しぶり。アリアさんとロッテさんもお久しぶりです・・・・・・」

 

『あなた・・・・・・』

 

「リンディ・・・・・・」

 

クライドさんに驚きながらクロノたちが声をだすと、空間ウインドウが開き、そこから顔を真っ青にしたリンディさんが映った。

あんまりこの時間を邪魔したくはなかったんだけど。

 

「あのー。取りあえず、クライドさんをアースラに転送してもらってもいいですか?」

 

気まずそうに僕はクロノたちに言った。

 

『そ、そうですね。エイミィ』

 

『は、はい!』

 

エイミィさんの声が聞こえたかと思うと、クライドさんがその場から消え、アースラの方に転移したのがわかった。

 

「エイミィさん、あれの暴走までの時間は?」

 

『え、えっと、あと20分!』

 

「わかりました。そんなわけで、クロノ、あとよろしく」

 

「おい!」

 

説明をクロノに任せると、クロノからツッコミが来たが無視。親指を立てて返す。

 

「はぁ。まぁいい。時間がないので簡潔に説明させてもらう。あそこの黒い淀み。あれは闇の書の防衛プログラムがあと数分で暴走する。それは間違いないか?」

 

「うん。自動防衛プログラム、ナハトヴァール」

 

「正確には、切り離されたナハトヴァールの殺戮という名目で与えられたプログラムだね」

 

「なるほどな。僕らはそれを何らかの方法で阻止しなければならない。停止のプランは今のところ二つ」

 

そう言うとクロノは蒼いデバイスの待機形態のカードを取り出した。

 

「一つは極めて強力な凍結魔法で停止させる。もう一つは軌道上に待機しているアースラのアルカンシェルで消滅させる」

 

「これ以外に良い方法はないかしら?」

 

クロノとプレシアさんの問いにはやてと守護騎士たちが悩みこんだ。

 

「一つ目の、凍結魔法で停止させるは無理だと思うよ」

 

「どういう意味だ零夜?」

 

「あれは単純な魔力暴走状態。例え凍結したとしても、内部から新しく入れ換えられたらきりが無い。凍結魔法で有効なのは、内部も完全に凍結させる魔法だね。石化でも、しばらく動きを止めるのが精一杯だと思う」

 

「なるほどね。じゃあ二つ目の案はどうかしら?」

 

「アルカンシェルもダメ。こんなところで撃ったらあとでこの空間にどんな影響が出るか・・・・・・」

 

僕の説明にクロノとプレシアさんは難しい表情をした。

そこになのはが。

 

「零夜くん、アルカンシェルってなに?」

 

「アルカンシェルってのは、発動地点を中心に半径百数十キロの空間を湾曲させて反応消滅を起こす魔導砲・・・・・・・って言ったら大体わかるかな?」

 

「駄目!絶対駄目!」

 

「アルカンシェルなんて撃ったらはやての家まで消し飛んじゃうじゃんか」

 

なのはとヴィータが両手を×にしてクロノに言う。

そこにフェイトが思い出したかのように僕に聞いてきた。

 

「あ、零夜のあの魔法は?」

 

「あの魔法?」

 

「時の庭園を消し飛ばした魔法」

 

「・・・・・・"ディメンション・イクリプス・ゼロエミッション"のこと?」

 

「そうそれ!」

 

僕の言葉に、全員が僕の方を向いてきた。

 

「あの魔法はあまりここでは使いたくないんだよね・・・・・・」

 

僕は苦虫を噛み潰したように険しい表情で言った。

 

「どういうこと?」

 

「"ディメンション・イクリプス・ゼロエミッション"・・・・・・質量消滅魔法の魔法はアルカンシェルと似た魔法なんだよ」

 

「???」

 

「アルカンシェルは発動地点を中心に半径百数十キロの空間を湾曲させて反応消滅を起こす魔導砲でしょ?"ディメンション・イクリプス・ゼロエミッション"は発動地点を中心に物質全てを消滅させる魔法なんだけど、その影響でこの辺りの空間がヤバイことになる」

 

「具体的には・・・・・・?」

 

「・・・・・・良くて、磁場が乱れる程度なんだけど、最悪、この辺りの物質すべてが消える」

 

僕の言葉にクロノたちは唖然としたように見てきた。

 

「それにあれは単純な魔力の塊だからね。時の庭園は物質だったから良かったけど、あれはさすがに予測できないかな・・・・・・」

 

なにせこの魔法の元は、前世のライトノベルにある、ある本の戦略級魔法が元だからだ。その戦略級魔法は質量をエネルギーに変換する魔法だったが、僕のはそれをアレンジして質量をエネルギーではなく、消滅に変換している。原理はブラックホールと似た感じだ。

 

「つまり、ここでその魔法は放てないと?」

 

「放ってもいいけど、どうなるかはわからないよ?」

 

「「「「「絶対駄目!」」」」」

 

僕の言葉になのは、フェイト、はやて、ヴィータ、ユーノが声を揃えて言った。

 

「まあ、撃つとした宇宙かな・・・・・・あ、ねえ、クロノ」

 

「なんだ?」

 

「アルカンシェルって宇宙でも撃てる?」

 

「は?」

 

「アースラのいる軌道上で撃てる?」

 

『ふふふ。管理局の技術、なめてもらっちゃあ困りますなぁ・・・・・・。撃てますとも、宇宙だろうがどこだろうが!』

 

僕の質問に答えたエイミィさんは誇らしげにそういってきた。

 

「じゃあ、決まりだね」

 

「お、おい零夜、まさかおまえ・・・・・・」

 

「そのまさかだよクロノ」

 

悪巧みでもするかのような笑みを浮かべクロノに言う。

 

「作戦を伝えるよ。今度こそ、この事件に終止符を打つ!」

 

僕は全員を見据えて言った。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。