魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語   作:ソーナ

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Apertio
初詣


 

~零夜side~

 

闇の書事件が終わって数日。

ここ海鳴市にある僕の家、天ノ宮家ではあることが起こっていた。それは―――。

 

 

「似合うかなお兄ちゃん?」

 

「うん。とってもよく似合ってるよ聖良」

 

「やった~!」

 

「わ、わたしはどうですか零夜くん・・・・・・」

 

「明莉お姉ちゃんも翼お姉ちゃんも似合ってるよ。て言うか全員似合いすぎだよ!」

 

僕の家族全員が、着物を着ているからである。

明莉お姉ちゃんたちは神様、女神様だからとして、凛華や澪奈、星夜、聖良そして新しい家族オートクレールこと紅葉(クレハ)は美少女と言うほどの可愛さなのだ。

僕の新しいデバイス、オートクレールはいつの間にか凛華たちと同じ人形へのインターフェイスが組み込まれていた。初めて紅葉を見たとは近所迷惑になりかける程の絶叫が響き渡った。

 

「零夜くんも着ますか?」

 

「美咲お姉ちゃん!?僕は男の子だからね!?」

 

「男の娘でしょ?」

 

「違うからね知智お姉ちゃん!僕は、れっきとした男の子だから!」

 

とまあ、天ノ宮家の家族勢揃いで新年を迎え、これから初詣に行くところなのだ。

 

「紅葉、聖良、大丈夫?」

 

「大丈夫ですマスター」

 

「うん。ちょっと動きにくいけど大丈夫!」

 

「そう?何かあったら言ってね」

 

僕は着物姿に戸惑いながらも嬉しそうにはしゃぐ聖良と紅葉に声をかけて、リビングから玄関へと向かう。

必要なものと巾着をそれぞれに渡して。

 

「それじゃあ行こうか。外寒いから温かい格好でね」

 

『『『はーい!』』』

 

僕の声に全員が返事をして、靴を履いて外に出た。

外は前日の雪が降り積もっていて、さすがに下駄では行けないため動きやすい靴で行くことにしたのだ。

 

「聖良と澪奈は手を繋ごうか」

 

この中で比較的幼い聖良と澪奈の手を握って行く。

聖良と澪奈は光の速さで手を握りしめてきたのにはクスッと微笑んだ。

その光景に明莉お姉ちゃんたちは笑みを浮かべて見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海鳴神社

 

 

神社に着いた僕は辺りを見渡す。

 

「初詣だから人が多いな~」

 

辺りは人、人、人と辺り一面、人がいっぱいだった。

海鳴神社は古くからあり結構大きな神社なため、この季節は人がたくさん訪れるのだ。

そう毎年思っていることを思っていると。

 

「零夜くん」

 

「はやて!」

 

シャマルに車椅子を押されながら、シグナムとヴィータ、ザフィーラ、リインフォース、アリアさん、ロッテさん、グレアム叔父さんとともにはやてがやって来た。

 

「明けましておめでとうや零夜くん」

 

「うん。明けましておめでとうはやて」

 

「にしても零夜くん以外全員着物姿なんやな」

 

「似合ってるでしょ」

 

「似合いすぎや。明莉さんたちはともかくや、なんで零夜くんの家族は全員美人さんなんや!?」

 

「僕に聞かれても・・・・・・」

 

はやての剣幕に引かれながらも、頬をかいて戸惑い答える。

 

「明けましておめでとう零夜君」

 

「おめでとう零夜」

 

「あけおめ零夜」

 

「グレアム叔父さん、明けましておめでとうございます。アリアさんとリーゼさんもおめでとうございます」

 

「まさか今年もこうやって初詣に来れるとはね」

 

「はい。一週間ほど前のことが嘘のようです」

 

はやてたちと楽しそうに話す明莉お姉ちゃんたちや凛華たちを見て、一週間ほど前のことを思い出す。

あのときの闘いからそんなに経ってないのに、もう数ヵ月経ったような感じだ。

 

「グレアム叔父さんは大丈夫だったんですか?」

 

実行犯ではないとはいえ、グレアム叔父さんは僕に協力していたのだ、なにかしら管理局であったはずだ。

 

「うむ。クロノが掛け合ってくれてね、特にはないさ」

 

「そうだったんですか。よかったです」

 

「わたしも、それなりの罰を覚悟していたのだが零夜君、君にすべてを背負わせてしまった。すまない」

 

「いいえ、気にしないでください。僕が望んでやったことなんですから」

 

楽しそうに話しているはやてたちを見ながら、僕とグレアム叔父さんは会話した。

その光景はまるで父親、もしくは保護者のようだったと、はやてとアリアさんにあとで言われたのだった。

そうしていると。

 

「おーい、零夜~!」

 

「零夜くん!」

 

「アリサ、すずか!明けましておめでとう!」

 

「明けましておめでとう零夜」

 

「うふふ。明けましておめでとう零夜くん」

 

アリサとすずかが忍さんたちと一緒にやって来た。

 

「どお?」

 

「似合ってるかな?」

 

「うん、二人ともよく似合ってるよ」

 

「そ、そお、よかったわ」

 

「うん。よかった」

 

アリサとすずかは凛華たちと同じ着物姿だったのだ。

さすがにはやてたちは着物姿ではないが、羨ましそうに見ていた。まあ、はやての脚が治って一人で立ち上がることが出来たら存分につき合う約束はしてあるけど。

 

「明けましておめでとう零夜君」

 

「おめでとうございます零夜様」

 

「明けましておめでとうございます零夜君!」

 

「明けましておめでとうございます忍さん、ノエルさん、ファリンさん。あれ、春奈さんたちは」

 

「お母さんたちはあとから来るそうよ」

 

「そうなんですね」

 

「ええ」

 

忍さんとそう談議していると。

 

「明けましておめでとう零夜くん」

 

「おめでとう零夜」

 

「あけおめ零夜!」

 

後ろから声をかけられた。

後ろを向くとなのは、フェイト、アリシアとクロノたちが勢揃いしていた。

 

「明けましておめでとうなのは、フェイト、アリシア」

 

「明けましておめでとう、でいいんだったよな零夜」

 

「あ、うん。明けましておめでとうクロノ。エイミィさんも明けましておめでとうございます」

 

「明けましておめでとう~零夜君。今年もよろしくね」

 

「はい。と言っても、僕らはこれからかなり長い付き合いになると思いますけどね」

 

「ま、それもそうだな」

 

苦笑気味でいった言葉をクロノは肩を竦めて答えた。

そのあと僕らはそれぞれお詣りに行き、おみくじを引いた。ちなみに僕と聖良、明莉お姉ちゃんは中吉、澪奈と紅葉、翼お姉ちゃんは大吉、凛華と星夜、美咲お姉ちゃん、知智お姉ちゃんは小吉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お詣りが済んだあと、僕らは一度家に帰って着替えてから海鳴市にあるデパートに来ていた。

 

「それじゃ明莉お姉ちゃんみんなをよろしくね」

 

「ええ。零夜くんたちも気を付けてくださいね」

 

「うん。それじゃ二時間後にここでね」

 

僕はそう言うと聖良の手を握って、明莉お姉ちゃんたちとは分かれた。

 

「零夜お兄ちゃん、どこ行くの?」

 

「初詣の掘り出しセールだよ。聖良もなにか買いたいものがあったら言ってね」

 

「うん♪」

 

そんな僕と聖良の会話を横から眺めている人たちがいた。それは。

 

「零夜くんすっかりお父さんみたいやな」

 

「ほんと。お兄ちゃんってより親ね」

 

「あはは・・・・・・」

 

「零夜、スゴい」

 

「フェイト~、それはちょっと違う気がするけど」

 

「にゃはは・・・・・・」

 

「僕は聖良の保護者謙お兄ちゃんだよ?親じゃないよみんな?」

 

「???」

 

はやて、アリサ、すずか、フェイト、アリシア、なのはの6人だった。

はやてたちの言葉の意味を理解できないのか、聖良は可愛らしく小首をかしげてた。うん、可愛いい。

 

「それとはやて」

 

「なんや~?」

 

「聖良に変なことしないでね?」

 

「変なこと?」

 

「はやて、あんたなにしたのよ」

 

僕の忠告に、なのはとアリサが半眼顔ではやてを見る。

 

「何もせえへんって。そんなに私信用ないん?」

 

「・・・・・・・・・」

 

はやての問いに僕は視線を逸らした。

 

「え?そんなに私信用されてへんの!?」

 

「いや、はやて昔から隠し事するし病気なの黙ってるしいたずらっ子だし、耳年増だし」

 

「ぐはッ!」

 

はやてに言い返すとはやては胸を押さえて大袈裟に、吐血したようになった。

 

「隠し事してたんは零夜くんもやろ!?ちゅうか耳年増ってなんや!?」

 

「そのままの意味」

 

シグナムたちが来る前、はやては僕と一緒にいるとき以外基本家の中で本を読んでいるため、こういう耳年増的なことばかり知識が増えているのだ。正直、アリアさんとロッテさんに感化されたんじゃないかとここ最近思わざるを得なくなっている。

 

「れ、零夜くん、さすがにこの年で耳年増ってのは・・・・・・」

 

「なのはが疑いたくなるのは分かるんだけど、はやての近くにいた大人の女性って石田先生と、アリアさんとロッテさん?なんだよ?石田先生はともかくアリアさんとロッテさんは・・・・・・ね。クロノならなんとなくわかってくれると思うけど」

 

僕は遠い目をしてはやてを見てなのはに言う。

当のはやては苦笑いを浮かべて視線を逸らしていた。

 

「あ、あはは・・・・・・」

 

「まぁ、はやてのそれは置いといてどこに行くの?」

 

「置いとくのね・・・・・・。まず最初はアクセサリーショップよ」

 

僕の問いにアリサが淡々と答えた。

 

「了解。それじゃ四階のアクセサリーショップに行こうか」

 

聖良の手を握り、はやては車椅子をすずかに押してもらって、僕らは四階のアクセサリーショップへと向かった。

 

「うわぁ・・・・・・」

 

「お兄ちゃん、いっぱい人がいるね」

 

アクセサリーショップに着いた僕は、店内の様子を見て唖然としていた。さすがに人が多い。特に、女子。

 

「それじゃさっそく見に行きましょ」

 

「お兄ちゃん、私に似合うの選んでくれる?」

 

「うん、いいよ」

 

「やった♪」

 

なんだろ、聖良や澪奈っていう妹みたい存在が今までいなかったから新鮮なんだけど、愛奈美お姉ちゃんとは違う感じ。

僕はそう思いながら聖良の頭を撫でる。

 

「やれやれ。とんだシスコンね」

 

「零夜くんの以外な一面が見られたよ」

 

「零夜って、もしかして年下好きなのかな?」

 

「ど、どうなんだろ姉さん」

 

「ヴィータも零夜くんのこと好きやからなぁ~。ひょっとしたら零夜くんは年下の女の子に好かれやすいのかもしれへんな」

 

「そ、それはそれで・・・・・・」

 

なんだろなのはたちから大変失礼なこと言われてる気がする。後ろから聞こえるなのはたちのボソボソとした声に僕はそう思った。

 

「お兄ちゃん、これどうかな」

 

そう思っているうちに、聖良は近くにあった淡い蒼と銀色のシュシュを持ってきた。

今さらだが、聖良の髪は長く色は白銀で雪景色のような色だ。

 

「うん、似合ってるよ聖良」

 

「ありがとうお兄ちゃん♪」

 

「あ、これなんてどう?」

 

「うん!」

 

僕は目についた雪の結晶の髪飾りを聖良の髪の左側に着けた。

 

「わあっ・・・・・・!」

 

「気に入った?」

 

「うん!」

 

「じゃあこれとそれは購入決定ね」

 

「ありがとうお兄ちゃん!」

 

ほんの一週間ほど前から一緒に暮らしているけど、聖良は闇の書の呪いに縛られていたときとは違い、感情や表情が豊かで、ほんとちゃんとした女の子だ。僕は聖良の笑顔を見ながらそう感じた。

そう感じていると。

 

「(な、なんか見られてるような)」

 

僕らに向けて視線が集まっている気がした。

 

「(気のせいかな?)聖良、明莉お姉ちゃんたちにも似合いそうなアクセサリー買っていってあげようか」

 

「うん!」

 

そう言って僕と聖良はなのはたちから離れて明莉お姉ちゃんたちに似合いそうなアクセサリーを探しに行った。

探してる間、ずっと見られているような気がしたが気にしないことにした。けど、その中に妙な気配があったのを僕は見逃さなかった。

 

「(魔導士・・・・・・じゃないね。ストーカー?こんな新年の始まりからって・・・・・・)」

 

僕は呆れながらも視観してくる気配に注意をした。

 

「お兄ちゃん、これ紅葉ちゃんにどう?」

 

聖良が見せてきたのは白と薄紅の紅葉を模った髪飾りだった。

 

「うん、いいかも。僕の家族はみんななんでか髪が長いからね」

 

苦笑しながら家族を思い浮かべた。

僕はともかく、聖良や凛華、明莉お姉ちゃんたち全員髪が長いのだ。

 

「お兄ちゃんは聖良の髪の毛好き?」

 

「うん好きだよ。聖良の髪の毛はツヤツヤしているし柔らかいからね」

 

「やったー♪ありがとうお兄ちゃん♪」

 

聖良といるとここ最近の疲れが癒やされる。そう思いながら聖良と家族みんなのアクセサリーを探した。

そんなこんなでなのはたちと初詣初売りセールを回って二時間後、僕らは待ち合わせの場所に戻っていた。

 

「零夜く~ん」

 

「うわっ!澪奈!美咲お姉ちゃん!?」

 

合流するなり、澪奈と美咲お姉ちゃんに抱きつかれた僕は急に抱きつかれて驚いた。

 

「美咲、なにしてるのよ!?」

 

「澪奈ちゃんもなにしてるの!?」

 

驚いている聖良たちを他所に、翼お姉ちゃんと凛華が美咲お姉ちゃんと澪奈にツッコんだ。

 

「零夜くん成分補充?」

 

「なんで疑問系なんですか・・・・・・」

 

澪奈に紅葉が荷物を持って言った。

 

「あはは。みんなは良いもの買えた?」

 

「それはもう!」

 

「バッチリ!」

 

「抜かりなし!」

 

凛華たちの親指を立てて言う答えに微笑みながらその手に持つ荷物を見てうなずいた。

もちろん、僕の両手にも荷物はあったりする。

 

「なのはたちは?」

 

「私たちは・・・・・・」

 

「ちゃんと買ってあるよ」

 

「ていうか一緒にいたから知ってるでしょ零夜」

 

「それはそうなんだけどね」

 

アリサの言葉に苦笑しながら答えた。

その間、僕の意識の一部は周りの人間にいっていた。

 

「(やっぱり視られてる・・・・・・。視線は・・・・・・聖良?)」

 

話ながら、聖良に向けられる視線に警戒していた。

今のところとくに害はないため見逃しているが、もし何かしてきたときのために、僕は警戒心を高くしていたのだった。

 

「それでこのあとどうしようか?」

 

「そうね~・・・・・・・」

 

「もう見て回ってもうたし、丁度お昼の時間だからお昼にせえへん?」

 

「それもそうだね。って、はやて、ヴィータたちのお昼はどうするの?」

 

「し、しもた。シャマルに任せてもうたらアカン」

 

『『『『え?』』』』

 

はやての青ざめた顔になのはたちは疑問符を出していた。

 

「はやてちゃん、シャマルさんにお昼任せたらどうしてアカンなの?」

 

「シャマルの料理はどうしてかようわからへん料理になってしまうんや」

 

「以前は激甘い唐揚げだっけ?」

 

「うん。その前は白い焼きそばや」

 

まあ激甘い唐揚げは食べれなくも無くもなかったが、白い焼きそばはソースとマヨネーズを間違えたとかで、食べれなかった。

たまにシャマルらに料理を教えてるが、ヴィータは出来てはいるのだが、何故かシャマルは出来ないのだ。ちなみにシグナムに一度包丁を持たせたらレヴァンティンを出してきたりなどして、出来なかった。ザフィーラは簡単なものなら出来るようになっていたりする。

 

「はやてちゃんと零夜くんの眼が遠い目をしてるよ・・・・・・」

 

なのはが立ったままはやてと同じ方向を見ながら遠い目をする僕と車椅子に座るはやてに引き笑いをしながら言った。その様子を、凛華と澪奈、星夜はあー、と納得した顔つきで見ていた。

 

「苦労してる・・・・・・」

 

「あはは・・・・・・。私もお料理頑張らないと・・・・・・」

 

アリシアの最後の言葉が聞こえなかったが、フェイトたちの同情じみた表情に少し癒された。

 

「ご、ごめんなみんな。私家に帰らなあかん」

 

「じゃあ今日はここでお開きにしようか」

 

「そうね」

 

「そうだね」

 

はやてのお家の事情こと、ヴィータたちのお昼ご飯のために今日はここでお開きになった。

僕らははやてと。なのははフェイトとアリシアとすずかとアリサとで分かれた。

 

「じゃあ、またね~」

 

「うん、またね」

 

僕らはそう言って、凛華ははやての車椅子を押して、デパートから自宅にへと帰った。

はやてを八神家に送り、自宅である天ノ宮家に着いた僕はさっそくお昼ご飯の準備をした。と言ってもすでに準備はできているんだけどね。

 

「えっと、知智お姉ちゃんこれ持っていってくれる?」

 

「わかったわ」

 

「凛華、お雑煮の方はどう?」

 

「もう大丈夫ですね」

 

「了解。あとは、お餅を入れて・・・・・・と。よし、星夜、これ向こうにお願い」

 

「わかりました」

 

みんなで協力して、すぐに出来上がり僕らはそれぞれ席に着いた。

 

「それじゃ、いただきます」

 

『『『いただきまーす』』』

 

僕の合図でみんなお節を食べたり、お雑煮を食べたりしはじめた。

 

「美味しい~」

 

「ほんと、零夜くん料理上手ね」

 

「あはは。明莉お姉ちゃんから貰った家事スキル最大のお陰ですよ」

 

「う~ん、それだけじゃここまでにはならないと思うわよ?」

 

「知智の言う通りよ零夜くん。零夜くんの料理が美味しいのは私のお陰ではなくて、日頃からやっているからだと思うの」

 

「そう言ってもらえると嬉しいよ」

 

家族での会話が弾み料理に舌づつむ。

 

「聖良、紅葉、どう?」

 

「美味しいよ、お兄ちゃん♪」

 

「とても美味しいですマスター」

 

聖良は伊達巻きを紅葉はお雑煮のお餅を食べて言ってくれた。

 

「よかったぁ。まだあるからどんどん食べてね」

 

「うん!」

 

「はい」

 

聖良と紅葉の喜びに安堵して、僕も新年の始まり最初のご飯を食べることにした。

食べ終わって、それぞれで洗い物などをし終わったあと、僕はみんなにアクセサリーショップで購入したアクセサリー類を渡した。

 

「え~と、気に入るといいんだけど・・・・・・・・・・どうかな?」

 

「さすが零夜くんだよ!」

 

「ええ。とっても気に入りました」

 

「そう言ってもらえると嬉しいよ」

 

美咲お姉ちゃんと知智お姉ちゃんの言葉に僕は顔を少し赤くして答えた。それぞれに合ったようなアクセサリーを渡したが少々不安だったのだ。

 

「あ、明莉お姉ちゃんに別としてこれ」

 

「わたしに・・・・・・?」

 

実は明莉お姉ちゃんのためにもうひとつ、内緒で前々から買っておいたのが合ったのだ。ラッピングされてるプレゼントを受け取った明莉お姉ちゃんは首をかしげながら中身を開けた。

 

「あら・・・これは・・・・・・」

 

中に入っていたのは淡い緋色のストールだ。

 

「明莉お姉ちゃんに感謝のお礼、かな。僕をこの世界に転生させてくれて本当にありがとう明莉お姉ちゃん」

 

「零夜くん・・・・・・」

 

「よかったわね明莉」

 

「うん。ありがとう零夜くん、とっても嬉しいですよ」

 

さっそく首もとにストールを巻いて明莉お姉ちゃんは微笑みながら言ってくれた。その光景に、嬉しくなり喜んでもらえてよかった、と思ったのだった。

 

 

 

 

 


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