魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語 作:ソーナ
~零夜side~
「あなたには私たち直属の役職に就いてもらいたいと思ってます」
「はい?」
クロノに呼ばれて時空管理局に来た僕は、クロノの案内のもと管理局の一室に連れていかれそこにいたお婆さんにそう言われた。
うん。ドウイウコト?
一時間半前
時空管理局 本局
「どうしたのクロノ?」
朝いきなり呼び出された僕は、凛華たちを連れて時空管理局本局に来ていた。
「いきなり呼び出してすまない」
「別にいいけど・・・・・・。なんのよう?」
「あー・・・・・・。実は君に会いたいと、言う人がいてな」
歯切れの悪いクロノに疑惑の視線を向けると、クロノは何ともいいがたい表情をした。
「取り敢えず僕についてきてくれ」
「???」
訳が分からないが、取り敢えずクロノについていくことにして僕は凛華たちとともにクロノの後を着いていった。
しばらく歩き、クロノが止まった目の前の扉を見る。
「ここ?」
「ああ」
どこか疲れた感じで中に入るクロノの後を追い室内に入ると、そこにはリンディさんやエイミィさん。さらにグレアム叔父さんが座っていた。そしてその真ん中には三人のお年寄りめいたお爺さんとお婆さんが座っていた。
「失礼します。天ノ宮零夜を連れてきました」
「ご苦労様ですクロノ・ハラオウン執務官」
クロノの言葉を返したのは真ん中に座っている三人のお年寄りのお婆さんだった。
クロノはその人に一礼するとリンディさんたちの方に歩いていった。
「初めましてですね、天ノ宮零夜君」
戸惑っている僕にクロノに声をかけたお婆さんが挨拶してきた。
怪しみながら聖良たちを護るように立って見る。
すると、僕が怪しんでいると言うことに気付いたのかグレアム叔父さんが声をかけてきた。
「零夜君、そう警戒しなくても大丈夫だよ」
「・・・・・・本当に大丈夫なんですか?」
「ああ。そこはわたしが保証するよ」
「・・・・・・・・・・グレアム叔父さんがそう言うのなら」
警戒をほんの少しだけ解き改めて声をかけてきたお婆さんを見る。
「なるほど、クロノ執務官とリンディ提督、グレアム特別顧問が言った通りですね」
「どういうことですか?」
グレアム叔父さんたちから聞いたと言うことはどういうことか僕は訪ねる。
「私の名前はミゼット・クローベルです。両隣の二人は、それぞれレオーネ・フィルス。ラルゴ・キールです」
目の前のお婆さん。いや、ミゼットさんがそれぞれ名前を言った。だが、少なくともその名前を聞いたことは一度もなかった。
「星夜?」
僕は横にいる星夜に訪ねた。
「零夜くん、目の前三人は恐らく『伝説の3提督』と呼ばれる方たちと思いますわ」
「『伝説の3提督』?」
「はい。管理局の黎明期に活躍した方みたいです。左のラルゴ・キールが武装隊栄誉元帥。右のレオーネ・フィルスが法務顧問相談役。そして、真ん中にいるミゼット・クローベルが本局統幕議長ですわ」
「ええ。さすがですね、天ノ宮星夜さん。ですよね」
星夜の説明に肯定するようにミゼットさんが言った。
「何故、星夜の名前を知っているんですか?」
星夜の名前を知っていたと言うことに僕は警戒度を高め、少し殺気を出す。グレアム叔父さんが大丈夫だと言っていたが、僕はこの人たちのことをよく知らないため100%安全だとは限らない。もちろん、グレアム叔父さんのことは信用しているが。
「リンディ提督やグレアム特別顧問からお聞きしました。もちろん、そちらにいる女の子たちが貴方のデバイスだと言うことは存じてます」
ミゼットさんが何故知っているのか答えた。
とっさにリンディさんとグレアム叔父さんを視た。二人は軽くうなずいて、肯定を示した。
「そして、その女の子が闇の書事件の元。闇の書の闇、ナハトヴァールだと言うことも知ってます」
「!」
ミゼットさんの視線と言葉に僕らはすぐに聖良を守る陣形を取る。
「この子はナハトヴァールという名前じゃない。天ノ宮聖良という名前だ」
僕はさらに殺気を高めてミゼットさんを見据える。
聖良のことをナハトヴァールだと知っている人はあの時あの場にいた僕らとアースラの乗務員。そしてグレアム叔父さんとリーゼ姉妹だけだ。
「ごめんなさい。軽率でしたね。謝罪します」
「・・・・・・・・・・」
「あの事件のことはリンディ提督たちから報告を受けてます。もちろん、この事はこの場にいる私たちしか知りません」
僕は嘘かどうか確かめるため懐から一枚の
「―――
いどのえにっきを取り出してミゼットさんが嘘を言っていないか確認する。
「・・・・・・・・・嘘は言ってないみたいですね」
僕は殺気のレベルを幾分か下げミゼットさんを見る。
「それがアーティファクト・・・・・・」
「クロノたちから報告を受けているのなら知ってますよね。僕の前で嘘はつけません、その事をお忘れないよう」
僕はそう言っていどのえにっきの頁を閉じる。
「それで僕は何故呼ばれたんでしょう」
右耳にいどのえにっきの付属アーティファクト、読み上げ耳を着けてミゼットさんに聞く。
「あなたには私たち直属の役職に就いてもらいたいと思ってます」
「はい?」
ミゼットさんの言葉にすっとんきょうな声が出てしまったが、当然だと思う。
「零夜君には、私たち直属の部隊として管理局を変えてほしいと思ってます」
「どういうことですか?」
「我々のことを調べたのなら知っているとは思いますが、我々管理局も一枚岩ではありません。プレシア女史の件も含め、管理局の高官や上層部は様々な汚職などに手を染めています」
「それは調べたので知ってますけど、それと僕がミゼットさんたちの直属の部隊となんの関係が?」
戸惑っている僕にミゼットさんは、先日の僕の試験結果をウインドウに開いて見せた。
「あなたはグレアム特別顧問の使い魔にして、戦技教導官のリーゼ姉妹と地上本部、レジアス中将の部隊三人を一人で、尚且つ相手に怪我が無いように戦い勝ちましたね。この時点で、あまり本気では無いということが受け取れます」
「!」
まさか本気では無いということが見抜かれるとは思わなかった僕はかなり驚いた。事実、ナハトヴァールと戦ったときと比べたらかなり力はセーブしていた。まあ、闇の魔法の術式兵装、天雷氷華はやむ終えず使ったが。
「私たちには、貴方のような人が必要なのです天ノ宮君。今の管理局を変えるためには」
いどのえにっきでミゼットさんの本心を調べたが、その言葉に嘘詐りはなかった。
「その言葉に嘘詐りはありませんよね、ミゼットさん」
「ええ」
ミゼットさん本人から直ぐ様返ってきた言葉といどのえにっきで覗いたことからミゼットさんが本気で、偽りなど無いということが判明した。
「分かりました」
しばらく考え、僕はミゼットさんの言葉にうなずき返した。
「ありがとうございます、天ノ宮君」
ミゼットさんは深々と頭を下げ、それに伴って両隣の二人も頭を下げた。
お年寄りに頭を下げられるとなんか変な感じというかなんというか、微妙な感じになったのだった。
「天ノ宮君は私たち直属の部隊。【特殊執務管理室第0課】、通称、特務0課に所属してもらいます。この部隊は天ノ宮君のための部隊です」
「僕の、ですか?」
「はい。現在は部隊員は天ノ宮君の関係者。つまり天ノ宮君のデバイスさんたちになります」
「なるほど」
「基本的には普通の魔導士と変わりませんが、緊急事態のときは直属の特務0課の室長となってもらいます」
「というと?」
「ロストロギアなどの危険指定やテロなどがあった際、それを対処してください」
ミゼットさんの言葉にクロノたちがギョッと目を見開いてミゼットさんを見た。
「ミゼット統幕議長、それはつまり零夜君に現場対処を任せる、と言うことですか?」
「ええ。ですが、これは本当に危険なときだけです。私としても今の天ノ宮君をそこまで危険なところに送りたくはありません」
ミゼットさんの言葉にグレアム叔父さんが気難しい顔をした。
「それと天ノ宮君にはある特別な任務をやって欲しいんです。正確には特務0課本来の任務です」
「特別な任務?」
「はい。管理局上層部の内情調べです」
ミゼットさんの言葉に僕らは首をかしげたがグレアム叔父さんやクロノは驚愕の顔をしていた。
「私たちは公に調べられない他、査察官が調べてもそれには限りがあります。ですが、天ノ宮君にはそれが可能ですよね」
「なるほど、そう言うことですか」
確かにミゼットさんが言ったようにアーティファクトを使えば調べられなかったことも調べられるだろう。ミゼットさんたちはそれを使って管理局を変えたいのだろう。
「天ノ宮君にはいきなりで申し訳ありませんが、引き受けて貰っても宜しいでしょうか」
「分かりました。それで管理局が変えられるのなら」
僕としても管理局の高官や上層部は腐りすぎているのを確認してどうにかしたいところだったのだ。けど、ミゼットさんたちならなんとかできるかもしれない。僕はそこに賭けてみることにした。
「ありがとうございます。便宜上はグレアム特別顧問が上司となります。後継人はリンディ提督とレティ提督が。指示があるまでは基本グレアム特別顧問から指示を仰いでください」
「分かりましたミゼットさん」
「グレアム特別顧問もそれでお願いしますね」
「うむ。かしこまりました統幕議長」
「よろしくお願いします。天ノ宮君も無理をなさらないようにお願いしますね」
「分かりました」
その後、ミゼットさんたちから部隊について説明を受け、その2時間後僕らは会議室を後にした。
「零夜君・・・・・・」
「どうしたんですグレアム叔父さん?」
ミゼットさんたちから説明を受けたあと僕らはグレアム叔父さんとともに本局のカフェテリアに来ていた。
「すまない。本当なら君やはやてにはこういう危ない目には遇わせたくなかった。本当にすまない」
「い、いえ。そんなことないですグレアム叔父さん。それに、僕はこの魔法と言うのがあったからクロノたちと知り合えたんですし、はやても助けることが出来たんです。グレアム叔父さんのせいじゃないですよ」
「しかし・・・・・・」
「それに、グレアム叔父さんもミゼットさんが言っていたようにここがどんな状況かは知っていますよね」
「ああ。それはもちろんだ」
グレアム叔父さんは表情を悔しそうにして手を握りしめた。
「だから、僕はこの管理局を変えます。元の、グレアム叔父さんやクロノたちのように芯が真っ直ぐで誰かを想い合っている、そんな管理局に」
「そうか・・・・・・。君になら出来るかもしれんな。わたしももう年だ。いつまでも現役って訳にもいかないしね。それまでは零夜君を立派な管理局員になるよう鍛えてあげよう」
「お願いしますグレアム叔父さん」
「ああ。もちろんだ」
僕とグレアム叔父さんは互いの手を握りしめ、決意の眼差しを浮かべあった。
その数日後
天ノ宮家 地下トレーニングルーム
「・・・・・・頭痛い・・・・・・」
「だ、大丈夫零夜くん?!」
「大丈夫、零夜?」
「あはは・・・・・・」
僕は目の前にいるすずかとアリサを見て遠い目をしながら頭を抑えた。
「予想はしていたけどなんなんだろ・・・・・・。どうして僕の友達はこんなに魔法適正が高いの・・・・・・」
僕は氷柱を作り出したすずかと、掌に炎を出しているアリサに視線を向けたあとなのはたちに視線を向けた。
「私たちに言わないでよ!」
「あ、あはは・・・・・・」
「というかあんたの方がすごいでしょうが!」
「あー、うん。そうだね」
僕はアリサの言葉に弱々しく返した。
「まさかアリサとすずかに炎熱属性と氷結属性があるなんて・・・・・・」
フェイトが言ったように、アリサには炎熱属性が。すずかには氷結属性があったのだ。正直言って頭が痛い。
「取りあえず、アリサは炎系統の、すずかは水や氷系統、フェイトとアリシアは雷系統の適正が高いね。なのはは風系統ではやては光と闇系統だね」
【ムンドゥス・マギクス】式の検査で、なのはたちの適正が高かった属性を言った。
「零夜くん、ムンドゥス・マギクス式ってミッド式やベルカ式とはちゃうん?」
「あー、かなり違うね。ムンドゥス・マギクス式は周囲に漂うエレメントや魔力を自身の魔力で結合して使うからね。例えばこんな風に―――」
はやての質問にそう答えると、僕はトレーニングルームの壁の方に体を向け右手を前に出した。
「リク・ラク・ヴィシュタル・ヴォシュタル・スキル・マギステル。風の精霊18人。集い来たりて敵を打て。魔法の射手・連弾・雷の18矢」
放たれた18本の雷の矢は真っ直ぐ壁に飛んでいき、壁にぶつかると小さな爆発が起きた。
「とまあ、今の魔法の射手は初級魔法なんだけど、魔力が高くなって練度も高くなれば500くらい出せるようになるよ」
『『『500!?』』』
「うん」
「ちなみに零夜くんはどのくらいだせるの」
「えっと・・・・・・今の最高は1000かな?」
すずかの質問に返すと、何故かなのはたちが床に膝をついていた。
「やっぱり零夜くんはチート」
「うん」
「まったくやなぁ」
「勝てる気がしない」
「私も改めて零夜がすごいってわかったわ」
「私も」
「そこの6人!聞こえてるよ!」
僕は用意していた書物。魔導書を持ってなのはたちにツッコんだ。
「えっと、なのはにはこれではやてはこれ。フェイトとアリシアはこれで、アリサとすずかはこれね」
僕が渡した魔導書にはムンドゥス・マギクス式の初級魔法から中級魔法が記述されてる。
「一応、起動キーは無しにしてるけどどっちでもいいよ?」
「起動キーって?」
「あ、零夜くんが最初に言っていた、リク・ラク、なんとかってやつ?」
「うん。なのはにもリリカル・マジカルの起動キーがあるよね?」
「あ~、ユーノくんに言われてとっさに思い浮かんだんだよね」
「あはは。そう言えばそうだったね」
「零夜くん、起動キーってのはあった方がいいん?」
「一応、あった方がいいと思うよ?僕はその方が使いやすいし。まあ、無詠唱も使えるけど」
「なるほどね」
「一先ず、この一番最初の魔法の射手が出来るようになってから考えよ。言っとくけど、僕の使う魔法かなり扱いが難しいからね?」
僕は苦笑いぎみにそう言うと、さっそくなのはたちのトレーニングに取り掛かった。
その数時間後。
「だ、大丈夫みんな」
僕はマインドダウンで倒れているなのはたちに治癒魔法を掛けながら心配した。
「む、難しい・・・・・・」
「ミッド式でもベルカ式でもない魔法やからキツいわ~」
「つ、疲れた・・・・・・」
「零夜くんも、こんな努力してたんだね」
「あ~、まあね」
ぶっちゃけ前世の方でこれのやり方は記憶していたから最初なら中級までは使えたけど、上級や最上級はかなり苦労した。知智お姉ちゃんのお陰でなんとか闇の魔法とか使えるようになったけど、かなりキツかった。
そんなことを思い出しながらなのはたちに飲み物を配る。
「そう言えば零夜くん、管理局の方でなにすることになったん?」
「あー、グレアム叔父さんの元で学ぶことになったんだ」
「へぇー、そら羨ましいわ~。私もグレアム叔父さんに教えてもらおう」
「はは。グレアム叔父さんなら喜んで教えるんじゃないかな」
僕ははやてに軽く笑いながら言った。グレアム叔父さんは闇の書事件以降、八神家に訪れることが頻繁にあるのだ。以前までは数ヵ月に一回程だったが今はよく来ているためはやてがとても嬉しそうだと、ヴィータとシャマル経由で聞いたのだ。ちなみにシグナムはリーゼ姉妹とよく模擬戦をしているらしい。それを聞いた僕は呆れ半分予想通りの結果に苦笑半分だった。
「もう遅いし、今日はここまでにしようか。明日は普通に学校があるんだし」
僕のその一言で今日の訓練は終わり、なのはたちはそれぞれ自分の家へと帰っていった。
僕も、そのあとは凛華たちの夕飯を作り、いつも通りの夜を過ごした。