魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語 作:ソーナ
~零夜side~
「ロストロギア回収・・・・・・ですか?」
『ええ』
特務0課の室内で仕事をしているとミゼットさんから連絡が来た。僕は疑問符を浮かべながら回線を開くとミゼットさんからロストロギアの回収任務を言われた。
『今回天ノ宮君にお願いするロストロギアは準一級ロストロギア、≪
「≪天の操槍≫・・・・・・ですか。名前から察するに天候操作系のロストロギアでしょうか?」
『はい。八神はやてさんが所持している夜天の魔導書。その前の、闇の書は管理局の第一級捜索遺失物に指定されてたことはしってますね?』
「ええ」
『闇の書の本体は破壊されたため、現在夜天の魔導書はロストロギアではありますが闇の書とは違い第一級捜索遺失物には指定されてません。まあ、ロストロギアのランクではトップクラスのランクではありますけど』
「そう言えばそうでしたね」
苦笑気味に頬を引きつりながらミゼットさんの言葉に反応した。
『それよりランクは僅かに低いですが、この≪天の操槍≫は使用すれば最悪災害を引き起こしかねないロストロギアです』
「!」
僕はミゼットさんの言った、災害、にすぐさま凛華に視線を向けた。すぐさま凛華は目の前の端末に向き直り、管理局のネットワークにアクセスし≪天の操槍≫について検索する。それと同時に起動していたアーティファクト、世界図絵を開く。
「≪天の操槍≫・・・・・・なるほど」
世界図絵で調べた結果にはこう書かれてあった。
≪天の操槍≫ 準一級遺失物
天候を操作する能力を持つロストロギア。
元は生活に必要な天候を操作する武具だったが、戦乱により所在は不明。
使用者の力量によっては天災を引き起こすこともできるロストロギア。
『さらに何者かがこの≪天の操槍≫を所持していると報告が上がっています』
「まさか行方不明とされていたこのロストロギアを見つけた人がいたと」
『はい』
ミゼットさんの言葉を聞き、内心舌打ちしたくなった。
この文を見る限り、使用者の力量によって天災を引き起こしかねないと言うことだ。つまり、それはたった一人でその場を、悪く言えば最悪世界すら支配することができると言うことだ。
「場所は分かってるんですか?」
『ええ。情報では第57管理世界外の隅にある世界にあると。そして件の所有者もいると。しかし、その所有者の全貌は不明です』
「分かりました」
『お願いします。権限は私の名の元、可能な限り与えます』
「了解しました」
ミゼットさんは僕の本来の直属の上司故こう簡単に権限が行使できるのだ。
ミゼットさんと簡単な打ち合わせをして、僕はすぐさま準備をして第57管理世界外の隅にある世界へと、凛華たちとともに転移した。
第57管理世界外
特務0課の室内からこの世界に転移した僕たちは視界が開けると、周囲を見渡した。
そして目に入った光景に驚愕した。
「こ、これは・・・・・・!」
目の前の場所にはまるで何かに抉り取られたかのような、丸いクレーターが幾つも出来ていたのだ。そしてその周囲には土が盛り上がっていて木々が薙ぎ倒されていた。
「まるで竜巻の群れがあったみたいだ・・・・・・」
僕は茫然と、呆気に取られて言った。
「マスター、エネルギー残留があのクレーターから感じられます」
「どういうこと紅葉?」
「たぶん、あれ自然に発生したものじゃない無いんじゃないかな」
「まさか、人為的に起こしたものってこと?」
紅葉たちの言葉に僕はロストロギア、≪天の操槍≫を思い浮かんだ。
「これ・・・・・・全部、≪天の操槍≫によって出来たものなの・・・・・・?」
確かに文脈には使用者の力量によっては天災を引き起こすことも可能と書かれてあったが、此処までとは思わなかったのだ。それより、これを一人でできるとは思わない。
「・・・・・・帰って良いかな」
僕は目の前の光景に一言そう洩らした。
「だ、ダメだよお兄ちゃん!」
「マスター、さすが帰ってはならないかと」
「うん知ってる。言ってみただけ。星夜」
「はい」
気疲れしながら、星夜に周囲の索敵をお願いする。
それと同時にアーティファクトの
しばらくして星夜が。
「零夜くん、ここから北西十キロ先に巨大なエネルギー反応があります」
「巨大なエネルギー反応?」
星夜の言った場所に渡鴉の人見を向かわせ、その場の映像を見る。
「これは・・・・・・!」
「まずいよお兄ちゃん!村が!」
映像には荒れ狂う竜巻が村を破壊している惨状が映し出されていた。
「急いでいくよ!」
僕は凛華たちにそう言うと転移魔方陣を展開して、映し出された場所へと転移した。
転移して、目に入ったのは人々が逃げまとう姿と破壊の惨状だった。
「凛華の澪奈、紅葉、聖良は人々の非難と安全確保を!星夜は僕と一緒にあれを対処するよ!」
「「「「「了解!」」」」」
指示を出すと、凛華たちは各地に散開して逃げまとう人々の非難をし始めた。
「星夜、お願い!」
「はい!」
僕が星夜にそう言うと、星夜の身体が光り僕の背中に双翼形態となって現れた。それと同時に僕の服装も蒼と緋のバリアジャケットを身に纏った。
バリアジャケットを着て、星夜を装備した僕は空に上がり竜巻を対処し始めた。
「星夜、スタービット、全展開!」
〈了解しました、全スタービット展開します!〉
背中の翼から今出せるすべての小型砲撃機が射出され、竜巻の周囲を揺蕩う。
「風は汎用性が高いからね・・・・・・竜巻には竜巻を!」
僕はそう口走るのと同時にスタービットから砲撃を放ち、竜巻の威力を落とす。
「星夜、あと15秒もって!」
〈はい!〉
星夜に竜巻の抑止をお願いして、僕は高速詠唱して術式を展開、構築、エレメントと魔力の結合をする。
「リク・ラク・ヴィシュタル・ヴォシュタル・スキル・マギステル。来たれ風精、集い来たりて巻き起これ天白の暴風。祖は颶風の巫女、風を司るもの!」
竜巻の四方と自身の正面に橙色の魔方陣を構築して終の呪文を紡ぐ。
「―――
五つの魔方陣から目の前の竜巻より少し小さい竜巻を発生させた。狙いは竜巻と同威力の竜巻を発生させて対消滅を引き起こすことだ。四方からの竜巻に勢いを削り取られ、スタービットから放たれる砲撃で威力はかなり落ちてる。そして止めの正面からの竜巻によって対消滅を引き起こさせる。
予め周囲には防護障壁を張っているため、周囲にこれ以上被害が広がる恐れはない。
しばらくして、二つの竜巻は静かに、ゆっくりと虚空へと消え去った。
「終わった~。星夜、データは取れた?」
「はい」
星夜が双翼形態から人形形態に変わりながら聞き、バリアジャケットを着たまま凛華たちがいる場所に降りる。
「凛華、村の人たちの治療は?」
「あと少しで終わります!」
「了解、僕も手伝う」
すぐさま近くの人に治癒魔法を掛けて治療する。
「大丈夫ですか」
「あ、ああ。ありがとう」
「いえ」
全員に治癒魔法を掛けると澪奈がやって来た。
「澪奈、村の人たちはこれで全員?」
「うん。村長さんが言うにはそうみたいだよ」
「一応、紅葉と一緒に周囲を捜索して。星夜は解析を、凛華と聖良は僕と一緒に来て」
みんなにそう言うと、僕は村長さんの元へと向かった。詳しい話を聞くためだ。
「初めまして。時空管理局特務官の天ノ宮です。詳しいお話をお聞かせ願いたいんですが。よろしいですか?」
僕はミゼットさんから与えられた異世界での役職名を伝える。
「はい」
村長さんはそう言うと僕に頭を下げてきた。
「この度は村を救ってくださりありがとうございます」
「いえ」
「お話とはあの竜巻のことですね」
「はい。なにか知りませんか?」
「・・・・・・申し訳ありません。わたくしたちも分からないのです。あの竜巻は急に現れまして」
「急に?」
「はい」
「この辺りではあのような竜巻などの災害がよく起きるんですか?」
「まさか。そんなことありませんよ。あのような物など此の方始めてみました」
「そうですか・・・・・・」
怯えている様子から生まれてはじめて竜巻などの驚異に曝されたのだろう。
「あの竜巻が起こる際、村の人以外に誰か見ませんでしたか?」
もしあれが自然発生したものでなく人為的なものなら、それを発生させた。即ち、捜索ロストロギア≪
僕の問いに村長さんはしばらく考えるようにして思い出したかのように言ってきた。
「・・・・・・そう言えば昨日、村の人ではない。見慣れない人々がこの村にやってきました」
「昨日?」
「はい。確か今日も・・・・・・あれが起こる際にあの岩場から観ていたような・・・・・・」
村長さんが指差した方向にあるのは高々い岩場で、丁度村がすべて見下ろせる位置にあった。
「その人たちの特徴は何かありましたか」
「ええと・・・・・・確か全員同じ白いローブのような物を着ていました」
「白いローブ・・・・・・」
「はい。あ、それと先頭の人が確か銀色の槍のような物を持っていましたね」
「槍・・・・・・」
僕は村長さんの槍と言う言葉に空間ディスプレイを出して、≪天の操槍≫の画像を見せる。
「もしかしてこの槍ですか?」
画像は荒いが、槍はくっきりと写っていた。
「ええ、そうです。この槍です」
「・・・・・・」
村長さんの言葉で確信した。これを引き起こしたのはその白いローブを着た集団だと。そして恐らく槍を持っていた人がリーダーだろう。そうとっさに考えると内心舌打ちしたくなった。
「(これは一度ミゼットさんに連絡を取った方が良いかな。集団だとすると面倒だしね・・・・・・)」
恐らく組織だっての行動。僕はそう考えてこのあとの行動のことを考えたのだった。
村長さんから話を聞き終えたあと、僕らは村の再建復興を微力ながら手伝うことにした。とはいっても、対処が早かったため、竜巻によって倒壊した建物の残骸の後片付けや食事などをしただけだが。幸いにも倒壊した建物は僅かで、竜巻が起こった場所の範囲だけだった。とは言うものの惨状はとても良いと言えるものではないが。
その夜、僕は凛華たちと共に村の宿屋の一室にいた。
村長さんがお礼として用意してくれたのだ。最初は断わろうとしたのだが、また何かあっては大変なため今日一晩だけ村長さんのご厚意に甘えることにしたのだ。
部屋の中は僕ら全員が寝れるようになっていて豪華とは言わないが、綺麗な部屋だった。
そんな中、僕らはあの災害のことについて話し合っていた。
「さて、あの竜巻のことについて何かわかったことはある?」
僕の問いに答えたのは分析していた星夜だ。
「あの竜巻は自然発生したものではありませんでした。僅かですが魔力の痕跡がありました」
「ふむ。他は?」
「はい」
「はい、紅葉」
「マスター、村人から話を聞いたのですが、あの竜巻は突然、なんの前触れもなくいきなり現れたそうです」
「村長さんが言っていたとおりだね」
「お兄ちゃん」
「なに、聖良」
「私と澪奈ちゃんでそのロストロギアを保持していたと思う人がいた場所に行ってみたんだけど」
「そこには何人かの足跡があったのと、微量の魔力痕跡があっただけだったよ」
「なるほど・・・・・・」
凛華たちの調査結果から考察して相談しあいながら、僕はミゼットさんに連絡を取る。
『天ノ宮特務官、どうかしましたか?』
「ミゼット統幕議長、状況報告を致します」
僕はミゼットさんにこの世界に来てからのことを報告、それと村でのことやロストロギア、そしてそれを所持していた集団のことを話した。
『なるほど・・・・・・』
「ミゼット統幕議長、アースラをこちらに寄越すことは出来ますか?」
『アースラですか?』
「はい」
記憶が正しければ、アースラは今本局でメンテナンス中で、確か今日にメンテナンスが終わるはずだ。
『・・・・・・分かりました。私の方からリンディ提督にお願いします』
「ありがとうございますミゼット統幕議長」
『いえ。そちらに到着は恐らくお昼頃になると思いますが・・・・・・大丈夫ですか?』
「問題ありません。それまでには終わらせておきます」
『分かりました、無理をしないようにしてください』
「はい」
ミゼットさんと対応策と今後の事について話、ミゼットさんとの通話を切ったのはその40分後の事だった。
翌日
「・・・・・・凛華」
「はい」
僕は凛華と手分けして周囲を索敵していた。
聖良たちは今村の子供たちの相手をしてくれている。
村の中央広場で索敵している僕と凛華の索敵範囲内に複数の魔力反応を検知した。
すぐさま魔力反応を検知した場所にアーティファクト、渡鴉の人見を飛ばせ確認する。
「この辺りだね」
渡鴉の人見から伝わってくる映像をもとに反応があった周囲を映す。
「これは・・・・・・」
映像の中で一つ奇妙なものが映ったのに僕は目を止めた。
「(こんな場所に何で家が・・・・・・?しかも人避けの結界が張られてる)」
渡鴉の人見から伝わってくる情報を解析して声に出さずに言う。もし人避けの結界ではなく断絶結界だったりしたら幾ら渡鴉の人見でも侵入出来なかっただろう。入れたのは人避けという、"人"と言う単体での結界だからだ。
そのまましばらく様子を見ると、一人の男性が現れた。そしてその後ろには白いローブを着た人が複数いた。
「・・・・・・!」
一番前にいる白いローブを着た男性の手に持っている槍を見て僕は息を呑んだ。何故なら、その男性が持っている槍こそ、今回僕が探している準一級ロストロギア≪
「見付けた・・・・・・・!」
座標を特定して、観察したそのとき。
「あの、すみません」
若い女性から声をかけられた。
「どうかしましたか?」
「あの、七歳くらいの女の子を見ませんでしたか」
「女の子・・・・・・ですか?」
「はい。さっきから姿が見えなくて・・・・・・」
女性の言葉から僕は聖良を呼んだ。
「その女の子の特徴ってなにかありますか?」
「えっと、セミロングの紺の髪を紫のリボンで縛っているんですけど・・・・・・」
「ごめんなさい・・・・・・見てません」
「そうですか・・・・・・」
「その子のお名前は?」
「ルナです」
「ルナちゃん・・・・・・!?」
女の子のたぶん母親らしき女性からその子の名前を聞いたその時、渡鴉の人見の映像に二人の女の子の姿が映った。
「聖良、今すぐルナちゃんの他に、いない子供がいないか確かめてきて」
「え?うん、わかった」
僕の声に聖良は不思議そうに首をかしげて星夜たちの方に駆けていった。
しばらくして星夜と聖良、そして一人の女性がやって来た。
「お兄ちゃん、いないのはルナちゃんとこのお母さんの娘のユミナちゃんみたい」
聖良と星夜と一緒に来た女性は不安げな顔をしていた。
「突然すみません。そのユミナちゃんのことで聞きたいのですが」
「ええ」
「その子、もしかして蒼い髪に赤いカチューシャを着けてませんでしたか?」
「え、ええ。そうです」
「!」
女性の言葉で僕は渡鴉の人見に映った女の子がルナちゃんとユミナちゃんだと言うことが分かった。
「凛華、今すぐ乗り込むよ」
「はい」
「星夜、紅葉と澪奈を呼んできて」
「わかりました」
僕の慌てた声に凛華たちは迅速に動いてくれた。
「あ、あの、ルナになにが・・・・・・」
「大丈夫です、僕たちが探してきますのでお二人は待っていてください」
「はい・・・・・・」
「ええ・・・・・・」
二人の母親がいなくなるのと変わって星夜が紅葉と澪奈を連れてきた。
「みんな今から≪天の操槍≫の回収をするよ」
「わかりました」
「それと、その近くにルナちゃんとユミナちゃんがいるみたいだ。澪奈と紅葉は二人の捜索を。凛華と星夜は敵の無力化を。聖良は僕と≪天の操槍≫保持者の相手をするよ」
僕の言葉に凛華たちはうなずいて返した。
「行くよ!」
僕はすぐさま転移魔方陣を構築して、渡鴉の人見に映った集団のすぐ近くへと転移した。