魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語   作:ソーナ

38 / 106
会合

 

~零夜side~

 

 

「全員、準備はいい?」

 

すでに聖良とユニゾンしている僕は近くの木々から対象の木製の家を見つつ、念話で各地に散会している凛華たちに訪ねる。

 

〈大丈夫です〉

 

〈こちらも問題ありませんマスター〉

 

代表して、凛華と紅葉が念話で答えた。

 

「じゃあ作戦開始!」

 

僕の言葉と同時に木製の家に向かって左右から凛華と星夜の放った魔法が放たれる。

 

「時空管理局です!危険指定ロストロギア所有の罪で逮捕します!全員、抵抗をやめて大人しく出てきなさい!」

 

恐らく家に魔力障壁が張ってあったのだろう。凛華と星夜の全力ではないとはいえ、魔法が当たっても対してダメージがない。僕は家に向かってなるべく大きな声で言う。

すると、家の扉が開き中から白いローブを着た人が複数出てきた。そしてその先頭にいる人はロストロギア≪天の操槍≫を手に持っていた。

 

「ほお、時空管理局ですか。一体なんのご用でしょうか」

 

≪天の操槍≫を手にしている男が話しかけてくる。

 

「時空管理局特務官天ノ宮です。あなた方を危険指定ロストロギア所有の罪と時空法違反の罪で逮捕します」

 

恐らくこの集団はこの世界ではない、別世界の人間だ。基本別世界の人々に危害を加えることは時空法違反だ。まあ、ユーノは事情が事情だし、それはプレシアさんと僕らも然り。そんなわけで、昨日のあの村のようなことは禁止されているのだ。

 

「あなた方の名前と出身世界を答えてください」

 

僕の問いに対する答えは。

 

「お断りします」

 

魔力弾による攻撃だった。

 

「予想通りだね~」

 

もちろんその行動は予測済みで、僕は放たれた魔力弾を霧散させ、代わりに僕の魔力弾をおみまいした。

 

「(凛華、星夜!)」

 

僕の念話とともに凛華と星夜が敵を無力化しに動く。

 

「なっ!?」

 

「もう一度問います。あなた方の名前と出身世界を答えてください。それと、なにが目的なのか」

 

一気に制圧され驚いている先頭の男に僕は再び言う。

 

「・・・・・・まさか、一瞬で制圧されてしまうとは思いませんでした。では、その敬意を表して名のらせていただきましょう」

 

そう言うと男はローブに付いていたフードを取り、恭しく頭を下げてきた。

 

「わたしの名はクルト・ファレウム。天翼の終焉研究会(ラストヘブンオーダー)、上位三翼が一翼、序列一位熾天使(セラフィム)の一人です」

 

天翼の終焉研究会(ラストヘブンオーダー)・・・・・・?」

 

聞いたことのない名前だった。

研究会ということは何らかの研究をするための集団なのだろう。だが、今はそんなことより彼らの捕縛が最優先事項だ。

 

「その天翼の終焉研究会(ラストヘブンオーダー)方のあなたたちはなぜこの世界に?」

 

「いえ、ちょっとした実験ですよ」

 

「実験?」

 

「ええ。この、≪天の操槍(ヘブンリィスピア)≫のね!」

 

「!」

 

そう言うと否や、男・・・・・・クルト・ファレウムは≪天の操槍≫の矛先を僕に向けて、竜巻を生み出した。

 

支配領域(インペルマジェスター)!」

 

とっさに支配領域を展開して竜巻の構造を解析、分析して無に帰す。

 

「ほお・・・・・・中々やりますねあなた。その若さでこの攻撃を防ぐ、いえ、消し去るとは」

 

「一応聞きますけど、昨日のあの竜巻やここから少し離れた場所にあった惨状はあなた方の仕業と言うことで間違いありませんね?」

 

「ええ。昨日の竜巻はあそこで行った実験よりも強力にしたんですがまさか村の家を数件壊すだけで終わってしまうとは・・・・・・いやはや、残念でしたね」

 

目の前の男の言葉に僕は殺気を高める。

 

「それで村の人が死んでも良いと言うんですか!」

 

「ええ。わたしたちには何の関係もありませんから。彼らはただのモルモット、我ら天翼の終焉研究会(ラストヘブンオーダー)の目的の礎になるだけですからね~」

 

「っ!氷爆(ニウィス・カースス)!」

 

クルト・ファレウムの言葉に僕はいてもたっても入られなくなり魔法を放つ。

 

「クルト・ファレウム、あなた方を逮捕します。抵抗は止めて武装を解除しなさい!」

 

「お断りするよ!」

 

「くっ!」

 

クルト・ファレウムの魔法をとっさに横に避けてかわす。僕が立っていた場所は土が盛り上がり、岩までも削れていた。

 

「かわしますか・・・・・・なるほど、あなたただの魔導士ではありませんね」

 

「ちっ!」

 

喋りながら、余裕ぶっこいて話しているクルト・ファレウムに僕は舌打ちした。

 

〈澪奈、紅葉!二人は見つかった?!〉

 

〈すみませんマスター!こちらも何者かに襲われてます!〉

 

〈なに!?〉

 

〈くっ!・・・・・・マスター、捜索している女の子二人は私たちが相手している者らに捕まってます!〉

 

紅葉の念話に僕は目の前のクルト・ファレウムを睨み付ける。

するとその視線に気付いたのか、クルト・ファレウムはヘラヘラとおちゃらけた感じに言った。

 

「あなたのお仲間を相手しているのは中位三翼が一翼、序列五位力天使(ヴァーチュース)のセル・シニアです」

 

「どういうつもりであの娘たちを捕まえてるんです」

 

僕はクルト・ファレウムの周囲に様々な属性の刃を突きつけて聞く。

 

「実験ですよ」

 

「実験?」

 

「ええ!わたしたちの目的は時空管理局が定めた今の世界を変えること。そのための実験に使うんですよ」

 

「くっ!外道が・・・・・・!」

 

クルト・ファレウムの言葉に僕は胸糞悪くなった。正直、外道過ぎる。

 

「(紅葉、澪奈、リミッターを二つ解除して敵を制圧。目的は女の子二人を奪取すること。奪取したら僕のところまで来て!)」

 

〈了解!〉

 

〈了解しましたマスター!〉

 

澪奈と紅葉にそう指示を出して念話を切る。

凛華と星夜は他の天翼の終焉研究会(ラストヘブンオーダー)を相手していた。

 

「二人とも、リミッターを二つ解除!」

 

「了解!」

 

「かしこまりました!」

 

凛華は腰の細剣(レイピア)を、星夜は双銃を取り出して目下の相手と戦う。

 

「さあ、はじめましょうか時空管理局の特務官さん」

 

「ええ」

 

両手を手刀にして、断罪の剣(エンシス・エクセスエンス)を発動する。

 

「・・・・・・っ!」

 

「・・・・・・しっ!」

 

一瞬で間合いを積め、僕とクルト・ファレウムはぶつかった。

槍と断罪の剣を付与した手刀。

断罪の剣は大気中に浮かぶ液体の物質を無理やり気体に相転移(フェイズトランス)させて自身の手に顕現させる魔法だ。断罪の剣は扱いが難しいに加え、御するのが困難なため超高等呪文だ。

この辺りに被害を出さないためには力を制御しなくてはならない。そして、早く片付ける。

僕はそう決め、闇の魔法(マギア・エレベア)を使用しないで相手することに決めた。今、ここで僕の奥の手を見せるのは得策ではない。そう判断して。

 

「くっ・・・・・・!」

 

身長差もそうだが、リーチが違いすぎる。

 

「時空管理局の特務官というのはその程度の実力なんですか?」

 

クルト・ファレウムはバカにするように言ってくる。

 

「(聖良、まだ行ける?!)」

 

《うん!まだ大丈夫!》

 

聖良の声に更に魔力を高め、クルト・ファレウムに攻撃する。

 

「ちっ!」

 

左右からの攻撃を上手くかわして、バックステップで後ろに下がったクルト・ファレウムは忌々しそうに見てきた。

 

「魔力量が上がりましたね・・・・・・!」

 

連槍(コンテンス)雷の13槍(ライトニング)!」

 

「くっ・・・・・・!」

 

雷の斧(ディオス・テュコス)!」

 

「やっかいですね・・・・・・・っ!」

 

雷の槍で逃げ場を封じ、動きが止まったところに雷の斧で攻撃する。しかしそれをクルト・ファレウムは障壁で防いだ。

 

「くらいなさい!」

 

雷の暴風(ヨウィス・テンペスタース・フルグリエンス)!!」

 

クルト・ファレウムの出した魔法の竜巻と、僕の雷の暴風(ヨウィス・テンペスタース・フルグリエンス)がぶつかる。互いの魔法が拮抗しているそんなところに。

 

「っ!?」

 

上空から何者かが降りてきた。

それと同時に。

 

〈マスター、すみません!一人逃がしました!〉

 

紅葉のそんな声が念話を通じて伝わってきた。

 

「(わかった!紅葉は澪奈と一緒にその子達を保護していて!)」

 

〈了解ですマスター!〉

 

女の子たちは無事に保護できたみたいで、一安心した僕は意識を切り替えて凛華と星夜の方を見る。

凛華と星夜の方はすでに大抵の者が地に倒れ付していた。

そんな僕の耳にクルト・ファレウムともう一人の声が聞こえてきた。

 

「クルト様、申し訳ありません。少女二人、敵に奪い返されました」

 

「お疲れ様ですセル。あなたがやられるとは驚きです。まあ、それはわたしもですが」

 

「ええ。それと、時空管理局の増援がこちらに来ていると」

 

「そうですか・・・・・・わかりました、ここは退くとしましょう」

 

「わかりました」

 

「逃がすか!」

 

クルト・ファレウムとセル・シニアの二人に僕は、魔力刃を突きつけて言った。

すくなくともロストロギア、≪天の操槍(ヘブンリィスピア)≫だけは回収する。

 

「ええ。わたしたちはここらで失礼させてもらいます、時空管理局の若き特務官君。君の名前は・・・・・・・なんでしたっけ?」

 

「・・・・・・天ノ宮零夜」

 

「では天ノ宮君、また会うことがあればいずれ」

 

「待て!クルト・ファレウム!」

 

とっさに魔力弾を放ったが、魔力弾はクルト・ファレウムとセル・シニアに当たらず、二人が転移して消え去った地面に当たった。

 

「くそっ!逃がした!」

 

反応と気配が消えたことで、クルト・ファレウムとセル・シニアは本当にこの場、いやこの世界から消えたと言うことがわかった。

悪態吐いていると。

 

『零夜君、聞こえる?』

 

空間ウインドウが開き、そこにリンディさんが映し出された。

 

「リンディさん」

 

『ミゼット統幕議長から言われて零夜君を迎えに来たんだけど・・・・・・なにがあったの?』

 

「すみませんリンディさん。ロストロギアの回収に失敗しました」

 

『え』

 

「それとすみません。武装隊を何人か送ってくれますか。捕縛した者がいるので」

 

『わ、わかったわ。エイミィ』

 

『了解です!』

 

空間ウインドウを閉じてしばらくして、何人かの武装隊が転移してきた。僕は捕まえた天翼の終焉研究会(ラストヘブンオーダー)の構成員をバインドしながら武装隊に引き渡し、リンディさんに言伝を頼んでから僕は澪奈と紅葉の保護した二人の女の子とともに村に帰った。

村に入ると、村長さんを初めとした村の人全員から心配された。どうやらあそこでの戦いはこの村にまで聞こえていたらしい。そこで僕は結界を張るのを忘れたことを思い出した。とまあそれは置いといて。

 

「ルナちゃん、ユミナちゃん、着いたよ」

 

僕は澪奈の手を握っている二人の少女に言った。

澪奈が手を離すと、ルナちゃんとユミナちゃんは一目散にお母さんのところに駆けていった。

二人のお母さんは僕らの方を見ると頭を下げていってきた。

 

「ありがとうございます!ありがとうございます!」

 

「いえ、気にしないでください。二人とも、怪我はないようなのでたぶん大丈夫だと思うんですけど、怖い目に遭ったので・・・・・・・」

 

僕は逆に二人のお母さんに頭を下げた。

二人を怖い目に合わせてしまったのは自分のせいだからだ。そんな頭を下げる僕に。

 

「大丈夫だよ、お姉ちゃんが助けてくれたから!」

 

「は、はい。大丈夫・・・・・・です。助けてくれて・・・・・・ありがとうございました・・・・・・」

 

ルナちゃんとユミナちゃんがそう言ってきた。

 

「ありがとうルナちゃん、ユミナちゃん」

 

僕は優しく微笑むと、二人の頭を優しく撫でた。

 

「あ、二人とも、もし何かあったら僕に連絡してね」

 

そう言うと僕は二人に僕の電話番号の入った紙を渡した。

 

「うん!」

 

「は、はい!」

 

「村長さん。もしも何かありましたらこちらにご連絡してください」

 

「何から何まで・・・・・・ありがとうございます」

 

「いえ。それじゃあ僕たちはこれで」

 

僕はそう言うと凛華たちとともに村を後にしてアースラに直接転移した。村をあとにする前に聞こえたのは、村の人たちからの感謝の声と、助けた二人の少女の元気な声だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アースラ内部

 

 

アースラに転移して、僕はリンディさんに簡単に説明し、アースラ内の会議室を使ってミゼットさんに報告していた。

 

「申し訳ありませんミゼット統幕議長。ロストロギア≪天の操槍≫の回収失敗しました」

 

『いえ。天ノ宮特務官のせいではありません。私の情報が足りませんでした。申し訳ありません』

 

「いえ・・・・・・」

 

暫しの間、空間ウインドウ越しの僕らに沈黙が走った。

 

『天ノ宮特務官、いえ、天ノ宮君。怪我とかはしてませんか?』

 

「大丈夫です。凛華たちも同様です」

 

『そうですか。良かったです』

 

「ミゼットさん、天翼の終焉研究会(ラストヘブンオーダー)とは一体なんなんですか?」

 

僕はミゼットさんに気になっていたことを聞いた。

ミゼットさんは険しい顔付きで暫し考えたのち言ってくれた。

 

天翼の終焉研究会(ラストヘブンオーダー)とは管理局黎明期から暗躍している最低最悪、外道魔導士の集団です』

 

「っ!」

 

『彼らはそれぞれ天使と言われる階級を持ち、指導者と呼ばれるものは(デュークス)、と呼ばれて研究会全体の全貌は不明です。そしてその階級はそれぞれ上位三翼が熾天使(セラフィム)智天使(ケルビム)座天使(オファニア)。中位三翼が主天使(ドミニオンズ)力天使(ヴァーチュース)能天使(エクシーア)。下位三翼が権天使(アルケー)大天使(アークエンジェル)天使(エンジェル)と九つの位に分かれてます。基本下位三翼か中位三翼が動くのですが、まさか上位三翼が・・・・・・それも上位三翼の序列一位熾天使が動くとは思いませんでした』

 

話を聞く限りかなり危険な組織みたいだ。

しかもクルト・ファレウムのような魔導士が他にもいるらしい。

 

「ミゼットさん、クルト・ファレウムはこう言ってました、わたしたちの目的は時空管理局の定めた今の世界を変えることだと」

 

『なるほど・・・・・・上位三翼の一翼しかも熾天使の階級を持つその者。クルト・ファレウムが言うなら恐らくそれは真実でしょう。天ノ宮君、すみませんが予定より早く特務0課を公表することになると思います』

 

「わかりました。早くてもどのくらいですか?」

 

『天ノ宮君が執務官試験の合格が出来次第ですね』

 

「わかりました」

 

『それと、あまり無理を為さらないようお願いします』

 

「はい」

 

『では、報告ご苦労様です。次の指令があるまではいつも通りお願いします。それと管理局の内情調査はしばらくは大丈夫です』

 

「は!了解しました」

 

『では失礼します』

 

そう言うとウインドウが消え、ミゼットさんとの通話が終わった。

 

「今日はこのまま帰ってもいいのかな~」

 

会議室の椅子に腰掛けて僕はそう呟いた。そんなところに、凛華がお茶を淹れてやって来た。

 

「零夜くん、お疲れさま」

 

「凛華もお疲れさま」

 

凛華の淹れてくれたハーブティーを一口飲み、疲れを取らせる。

 

「うん、いつも美味しいよ」

 

「ありがとう零夜くん」

 

「聖良たちは?」

 

「今は寝ています。さすがに疲れたのでしょう」

 

「凛華は寝なくても大丈夫?」

 

「ええ。私はまだ大丈夫です」

 

そう言うと凛華は僕の横に座ってきた。

 

天翼の終焉研究会(ラストヘブンオーダー)・・・・・・。そして熾天使(セラフィム)のクルト・ファレウムか・・・・・・。強かった・・・・・・」

 

「零夜くんがそこまで言うんですか?」

 

「うん。たぶんクルト・ファレウムは手を抜いていたと思う」

 

「そんな・・・・・・!」

 

「彼が本気で来たらたぶん、闇の魔法を使わないと勝てなかったと思う。いや、もし≪天の操槍≫を最大限に発揮されたら・・・・・・」

 

僕はクルト・ファレウムとの戦闘を思い出して言った。正直今の僕じゃ勝てない。知智お姉ちゃんとのトレーニングでなんとか対応できたが、向こうは殺すのを躊躇わないはずだ。つまるところ、戦闘経験がまだ足りないのだ。

 

「家に帰ったら凛華たちの武装のメンテナンスしないとね」

 

「お願いします零夜くん」

 

「うん」

 

僕と凛華はそう言うと目を閉じ、あっという間に深い眠りの底に落ちていった。

次に目を覚ましたのは、リンディさんが管理局本局に着いたことを伝えに来てくれて、リンディさんが起こしてくれた時だった。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。