魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語   作:ソーナ

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地上本部

 

~零夜side~

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

「―――と言うわけで零夜君、地上本部にしばらく行ってください」

 

「は、はあ・・・・・・。わかりました」

 

モニター越しではなくずいぶんと久しぶりなミゼットさんとの面ごしの会話に僕は微妙な返事をした。

 

「美味しいですね・・・・・・。これは凛華ちゃんが?」

 

そんななかミゼットさんは凛華の淹れた紅茶を飲んでそう言った。

 

「はい。地球のスリランカ産のキャンディ茶葉です」

 

凛華が澪奈たちにも配りながらミゼットさんに言った。

ここ最近凛華の家事スキルはかなり高くなっているのだ。みんなの長女としてなのか、料理や裁縫にメンテナンスなど興味津々なのだ。ちなみに星夜はネットワーク関連が得意だ。澪奈は聖良と一番仲良しで、紅葉は僕の秘書のようなことをしてくれる。まあ、凛華も秘書のようなことをしてくれるけど。

 

「なるほど、確かに地上のミッドでも地球の食べ物は有名ですからね」

 

ミゼットさんは紅茶を飲みながら微笑みながら言った。

まあ、リンディさんみたいな人もいるからミッドチルダでも地球の食べ物は有名なんだろうとは思っていたけど。

 

「あ、これをレジー坊や・・・・・・いえ、レジアス中将に渡してください」

 

そう言ってミゼットさんは封が貼られた書簡を渡してきた。

 

「わかりました。お預かりします」

 

ミゼットさんから預かった書簡を、デスクの引き出しにクリアファイルに入れてしまう。

 

「ああそれと、恐らくレジアス中将は零夜君たちになにかキツイ言ってくると思いますが気にしないでください。彼は自分に力がないことに嘆いているのです」

 

「はい」

 

ミゼットさんの言葉に、特務0課の仕事として地上本部のレジアス中将こと、レジアス・ゲイスを調べたときに知ったことを思い出した。

そしてそこに記された己の無力さに悔やんでいることを。

 

「零夜君も知っていると思いますが、出来ることなら彼には、昔と変わらぬ思いでミッドの平和を守ってほしいです」

 

ミゼットさんの声には悲痛感が含まれていた。

調べた限りここ最近レジアス中将はあまり良い噂を聞かないのだ。僕としてはこの人を変えたいと思う。今はあまり管理局の闇に脚を踏み込んでは居ないみたいだけどいずれ彼のような性格の人間はそこに踏み入れ、やがて破滅する。

僕はそう思いながらレジアス中将のデータを空間ウインドウに表示させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2日後

 

ミッドチルダ首都クラナガン

 

管理局地上本部

 

 

 

「時空管理局本局特務官の天ノ宮です」

 

「初めまして、レジアス中将の秘書を勤めてるオーリスです。階級は三佐です、以後お見知りおきを」

 

地上本部にやって来た僕は出迎えに来たオーリス三佐に挨拶をし、オーリス三佐の案内のもと首都防衛隊トップのレジアス中将の部屋に案内されていた。ちなみに凛華たちも人形になって一緒にいる。それは聖良もだ。もちろん、みんなに何か有ったときのためにみんなの周囲には僕が予め魔法障壁と物理障壁を張ってある。

オーリス三佐に案内されて数分後。

 

「キサマが天ノ宮零夜か」

 

地上本部のトップ。レジアス中将と対面していた。

 

「初めましてレジアス中将。本局特務官の天ノ宮零夜です」

 

「それで、本局のキサマがなんのようだ」

 

「まず一つ目にミゼット統幕議長からレジー坊や?・・・・・・いえ、レジアス中将宛に書簡を預かってます」

 

「統幕議長からだと?」

 

「はい」

 

持っていた荷物からクリアファイルに挟まれたミゼットさんからの書簡をレジアス中将に渡す。

 

「ふむ、確かに統幕議長からだ。直筆のサインがある」

 

そう言うとレジアス中将はペーパーナイフで書簡の封を開き中を読む。

読んでいる最中、レジアス中将の表情が変わったのに気付いた僕は無表情のまま読み終わるまで待つ。

 

「なるほどな。それでキサマが派遣されてきたという訳か」

 

「???」

 

「見ればわかる。キサマに見せるよう書いてあったからな」

 

疑問符を浮かべる僕にレジアス中将は書簡の中の紙を渡してきた。

書簡の中身はレジアス中将に警告と僕が派遣された理由が記されていた。

 

「なるほど。じゃあ僕本来の役職で改めて言います」

 

書簡の中身を見た僕は、紙をデスクの上に置き改めてレジアス中将とその隣に秘書として立つオーリス三佐を見る。

 

「時空管理局本局【特殊執務室第0課】通称、特務0課の室長の天ノ宮です」

 

「特務0課ですって!?」

 

僕の言葉にオーリス三佐は驚きの声をあげる。

 

「噂で聞いたことがあります。本局の統幕議長直属の独立部隊にして管理局最強の魔導士部隊と噂されてる課です。できて間もないのに本局上層部の汚職などを解決。ロストロギアの回収などの数多の功績。その課全体の素性や部隊員は一切不明。噂では時空管理局初のSSS魔導士が率いていると・・・・・・。まさかそれがあなたなのですか」

 

「ええ。まさか地上本部にまで有名にされているとは思いませんでしたけど」

 

「オーリス、今の情報は本当なのか?」

 

「はい。それとこれは最近耳にした話ですが天翼の終焉研究会(ラストヘブンオーダー)の上位三翼が一翼、序列一位の熾天使(セラフィム)の構成員を単独で撃破したと」

 

「なに?!」

 

オーリス三佐の言葉にレジアス中将は目を見開いて僕を見た。恐らくそれはこの間のロストロギア≪天の操槍(ヘブンリィスピア)≫回収任務での事だろう。あの時戦ったときクルト・ファレウムを捕縛するため僕も特訓しているが今はまだ足りない。

そう思っているところに。

 

「まさかキサマがあの天翼の終焉研究会(ラストヘブンオーダー)の上位三翼の一翼をだと・・・・・・!?」

 

「逃がしましたけどね・・・・・・。それに回収するはずだったロストロギアも奪取できませんでしたし」

 

そんな僕に。

 

「い、いや、確かにロストロギアを回収できなかったのは痛いが、キサマのような子供が天翼の終焉研究会(ラストヘブンオーダー)を撃退したのか・・・・・・?」

 

レジアス中将は信じられないものを見たような表情で僕に聞いた。

 

「逃げられましたけどね」

 

「信じられんな・・・・・・」

 

レジアス中将はあり得ないと言う風に言って目を閉じた。

 

「それで、特務官のキサマはわたしをどうするつもりだ?」

 

「どうするつもりだ、とは?」

 

「すでに調べているのであろう」

 

どうやら僕の目的は理解しているつもりらしい。

 

「そうですね・・・・・」

 

そう言って僕は周囲にウインドウを表示させる。

 

「まず、レジアス中将あなたはそこまで管理局の闇に踏み込んではいないみたいですね」

 

「ああ」

 

「ですので、僕から一つだけ。・・・・・・闇から手を洗ってくれませんか?」

 

「なに?」

 

「あなたのような正義感に溢れている上層部の人は早々いないんです。あなたはゼストさんの親友ですよね?」

 

「ああ、共に地上の平和を守ろうと誓った戦友だ」

 

「今のままですとその誓いは叶えられません。いずれあなたは破滅します」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「この事はミゼット統幕議長も望んでません。それにそれはあなたの娘のオーリス三佐も同じなのでは?」

 

そう言って僕はレジアス中将の傍に控えるオーリス三佐に視線を向ける。

 

「オーリス・・・・・・」

 

はっきり似ても似つかない親子だと思うが恐らく二人の信念は変わらないのだろう。

レジアス中将は娘のオーリス三佐をしばらく見て。

 

「・・・・・・わかった。闇から手を退こう」

 

僕に視線を移して言った。

 

「ありがとうございます。僕としてもあなたを捕縛したくなかったので助かります」

 

「そうか・・・・・・」

 

レジアス中将は一言そう呟くと、視線を宙に上げ傍に控えるオーリス三佐に言った。

 

「オーリス、ゼストを呼んできてくれ」

 

「畏まりました」

 

レジアス中将の言葉にオーリス三佐は礼をして部屋から出ていった。

そして残った僕たちとレジアス中将の間に沈黙が走った。

 

「・・・・・・俺はいつから道を踏み違えていたんだろうな」

 

独り言のように呟くレジアス中将に、僕たちは何も言えなかった。

 

「陸と海。地上世界と次元世界の差。地上の平和を守るために今までやって来たと思ったが・・・・・・」

 

「確かに、あなたはミッドチルダ出身ですけどリンカーコアが存在しません。・・・・・・・・・・・ですが、あなたはそれでも足掻いて足掻きまくって、今の地位に昇り詰めたのでしょう?それは並大抵の覚悟をもった人には出来ない事です。それにあなたと同じ志を持つ者も多くいるではないですか。それはあなたが他者から信頼されて、尊敬されているからでは無いのですか」

 

レジアス中将の声に、僕は静かにそう言った。

 

「キサマ・・・・・・・」

 

レジアス中将は少し驚いた表情を浮かべると、フッ、と笑っていった。

 

「そう言ったのはキサマ・・・・・・いや、天ノ宮だったか。天ノ宮で三人目だ」

 

「そうですか・・・・・・」

 

「ああ・・・・・・。どうやらお前は本局勤めでありながら俺たちを見下さないようだな」

 

「?見下す必要ってあるんですか?」

 

僕はレジアス中将の言葉の意味がわからず首をかしげる。

 

「そもそも地上の平和が守られてるのはレジアス中将たちが守ってくれてるからですよね?地上に事件がまったくないのは地上本部のみなさんのお陰だと思うんですけど・・・・・・。ね、みんな?」

 

僕の言葉に後ろにいる凛華たちもさも当然のようにうなずいた。

 

「そもそも本局と地上本部がいがみ合うこと事態あり得ないんですけど。確かに本局は次元世界に干渉して事件を解決してますけど、地上本部だって市民の平和を守ってるんですよ?何が違うんでしょうか。それに本局に引き抜かれるレアスキル持ちだって、基はと言えば地上本部にいた人ですよ?なら、レアスキル持ちが多数いる地上本部は優秀だと、僕はそう思います」

 

「・・・・・・・・・・」

 

僕の言葉にレジアス中将は呆気に取られたように愕然として僕を見た。

 

「まさか本局の、同じくレアスキル持ちのお前にそう言われるとはな・・・・・・」

 

「あ、すみません。ばかすかと言ってしまって」

 

「構わん。そういうこと言ったのはお前がはじめてだ天ノ宮」

 

「そうですか」

 

僕とレジアス中将の会話が一段落したところに。

 

「失礼します。ゼスト隊長をお連れしました」

 

「失礼するぞ」

 

オーリスさんとゼストさんが部屋に入ってきた。

 

「来たか」

 

「ああ。それでなにかよう・・・・・・・なぜ、天ノ宮がここにいる?」

 

「お久しぶりですゼストさん」

 

「む、ああ、久しぶりだな」

 

ゼストさんは厳めしい顔を微妙な感じにして答えた。

 

「それでレジアス。なぜ天ノ宮がここにいる?」

 

「天ノ宮はしばらく地上本部に出向だそうだ。統幕議長からそう通達が来た」

 

「統幕議長からだと?」

 

レジアス中将の言葉にゼストさんが眉を上げ、オーリスさんは驚いた顔をした。

 

「なぜ統幕議長から通達されたんだ?いつもはお前が嫌う本局人事部からだろ?」

 

「・・・・・・天ノ宮の上官がミゼット統幕議長だからだ」

 

「は?」

 

ゼストさんは間抜けな表情で僕らとレジアス中将の顔を交互に往き来してみる。

 

「天ノ宮の上司が統幕議長、だと・・・・・・?」

 

「ああ」

 

「マジか・・・・・・?」

 

「マジだ・・・・・・」

 

レジアス中将の言葉にゼストさんは驚き100%の表情を出した。よく見ればオーリスさんもクールな表情を一転させて驚きで口に手を当てていた。

 

「それと言っとくぞ、天ノ宮は【特殊執務管理室第0課】通称、特務0課の室長らしい」

 

「・・・・・・・・・・すまん、驚きすぎてなにも言えん」

 

「安心しろゼスト。俺も同じだ」

 

どうやら僕の事に驚いているみたいだけど。

 

「これって僕が原因なのかな?」

 

そう言うと。

 

「そうだ」

 

「ああ」

 

「そうですね」

 

「零夜くんが原因ですね」

 

「零夜くんの原因だよ」

 

「マスターが原因かと」

 

「零夜くんが原因ですわね」

 

「お兄ちゃんが原因かな~?」

 

その場にいた僕を除いた全員が同時に僕を見てそう言った。

 

「あー、それで俺を呼んだわけは?」

 

「地上本部にいる間、天ノ宮をお前のところに入れてほしい」

 

「わかった」

 

「頼んだぞ」

 

どうやら僕がこの地上本部での部隊はゼストさんの部隊らしい。まあ、ゼストさんの部隊ならゼストさんの他、メガーヌさんとクイントさんがいるから安心かな。

それから三言ほど話してから、僕らはゼストさんのあとに着いていった。

しばらく歩いていると、ゼストさんが話しかけてきた。

 

「久しぶりだな天ノ宮」

 

「はい。試験の時以来ですね」

 

「ああ。ところでそっちの女子たちはお前の関係者か?」

 

後ろから着いてくる凛華たちに視線を向けてゼストさんが聞いてきた。

 

「あー、僕の家族ですね。職場も同じですし」

 

「なるほどな。そういえば天ノ宮は統幕議長直属の部隊だったな」

 

どうやらレジアス中将から聞いたらしいゼストさんは納得したようにうなずいた。

 

「これからしばらくよろしく頼むぞ」

 

「こちらこそ。よろしくお願いします」

 

僕はゼストさんに向き合って互いの手を握り、握手した。

 

 

 

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