魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語 作:ソーナ
魔法少女なのは
~零夜side~
「ハッ・・・・・・!」
目を覚ました僕は自分の部屋にいることを確認すると、軽く伸びをした。
「なんか変な夢だったな。やけにリアルだったと言うか・・・・・・なんだろう・・・・・・」
僕はさっきの夢の中で見たことと聞こえた声を思い出していった。
「そう言えば時間は・・・・・・」
近くにあった時計を見ると時間は朝の六時半をさしていた。
「んんー・・・・・・・!っと・・・・・・。起きようかな」
そう言うとベットから下りて着替え始めた。
月日が流れ、僕がこの世界。≪魔法少女リリカルなのは≫の世界に来て早4年。今年で九歳になる僕は私立聖祥大附属小学校三年生として通っていた。
今思い返してみればこの4年間、様々な人とふれあい、友達が出来た。
そして、今も・・・・・・。
「零夜くん!おはようなの!」
「おはよう、なのは」
「うん!」
ある時偶然出会った、僕の最初の友達。
彼女の名前は高町なのは。僕と同じ、私立聖祥大付属小学校に通う小学三年生だ。
そしてもう二人。いや、三人、僕には友達がいる。
「おはよう、なのはちゃん。零夜くん」
「おはよう、なのは。零夜」
「すずかちゃん!アリサちゃん!おはよう!」
「おはよう、すずか、アリサ」
聖祥大付属小学校に行くバスに乗った僕となのはに声をかけてきたのは、一年生の頃から同じクラスで友達の月村すずかとアリサ・バニングスだ。二人ともちょっとしたお嬢様で、あることが切っ掛けで友達になった。そのため、よくすずかの家やアリサの家でお茶会が開かれ、よくなのはとともに招かれるのだ。
ちなみにはじめて出会った頃、僕は女の子と間違われていた。その際、僕が男の子だと言うことを伝えると、案の定二人とも驚きの表情と声を上げた。
ちなみになのはたちにはまだ僕が転生者だってこと、そして、魔法が使えることは言っていない。
理由はなんとなく。だけど、いつか言える日が来ると良いなと思ってる。
そしてもう一人の僕の友達は、今ここにはいない。それについてはまたの機会に話すことにしよう。
私立聖祥大付属小学校
お昼休み
「将来か~」
お昼休み、僕たち4人はいつもと同じように屋上の一角でお弁当を食べていた。一年生の頃から一緒だったため三年生になった今もこうして4人で食べている。
そのときなのはがさっきの授業の、この町について調べていて将来についてのことを言った。
「アリサちゃんとすずかちゃんはもう、結構決まってるんだよね?」
「うちは・・・お父さんもお母さんも会社経営だし・・・・・・。一杯勉強してちゃんと跡を継がなきゃ、くらいだけど?」
「私は機械系が好きだから・・・・・・工学系で専門職が良いな~って思ってたりするけど」
「そっかぁ、二人ともすごいね。零夜くんは?」
「僕?僕は・・・・・・まだ、決まってないかな?」
僕は自分で作ったお弁当の卵焼きを食べて言う。
確かにまだ転生したときにアマテラスさんからもらった預金通帳のお金は当面問題ないくらいある。けど、それも何時まで持つかわからないし、将来は絶対何らかの職に就かないといけない。けど、自分が何をやりたいのかハッキリと決まらないのだ。
「なのはは?」
「このままいけば翠屋二代目よね?」
「うん。それも将来のビジョンの一つではあるんだけど。やりたいことは何かあるような気がするんだけど・・・・・・まだそれがなんなのかハッキリしないんだ。私、特技も取柄も特にないし・・・・・・」
「そうなんだ・・・・・・」
なのはも僕と似たような答えだった。
すると、
「バカちん!」
アリサがレモンの身をなのはの頬に投げ当てた。
「自分からそう言うこと言うんじゃないの!」
「そうだよ、なのはちゃんにしか出来ないこと。きっとあるよ」
「大体あんた、理数の成績このあたしより良いじゃないのよ。それで取り柄がないとかどの口がいってるのよ!」
そう言う否やアリサがなのはの背後に回りなのはの両頬を後ろから引っ張り始めた。
「
頬を引っ張られて呂律の回ってないなのはの答えとアリサの行動にすずかはおろおろして、僕は何時もの見慣れた光景に苦笑を浮かべた。
「あわわ。二人ともダメだよ。ねぇ、ねぇってば~」
「あははは」
そしてこうして僕らの何気ない日常が過ぎていく。
放課後
「どうしたんだろう?」
「ほんとだ」
僕はいつも通り歩いて帰り、なのはたち三人はこのあとの塾のために歩いていた。ちなみに僕は塾には行っていない。その帰り道、公園に入り池の近くに行くと数人の人の姿があった。
「これは・・・・・・」
近づくと公園内の池の桟橋辺りが壊されているのが目に入った。どうやら、これの調査のために来ているみたいだ。見ていると、近くにいた公園管理委員さんらしき人が声をかけてきた。
「あ、君たちここから先は危険だから入らないでね」
「あの、何があったんですか?」
「うん、どうやら昨夜の間にボートが壊されちゃったみたいなんだよ」
「いたずらですか?」
「う~ん、そうだと思うんだけどね。けど、いたずらにしては限度が越えているからね。警察の人たちと一緒に調査をしてるんだ」
「そうなんですね」
「だから君たちも気を付けるんだよ」
「「「はーい」」」
「わかりました」
僕たち4人は管理委員さんの人と分かれ、その場を後にした。
だが、その中僕はさっきの光景に見覚えがあった。何故なら、昨夜の夢で見た光景と全く同じだったからだ。
「ここよ塾への近道は」
考えながら歩いているとアリサが立ち止まって横に道を指した。
「へぇ、こんなところにあったんだ」
「ちょっと道は悪いけどね」
そう言いながらその道を進んでいくアリサのあとを、僕たちはついていく。
しばらく進んでいくとまたしても夢で見た光景が広がった。
「(ここも・・・・・・。さっきの池といいこの場所といい、あの夢と聞こえた声って・・・・・・)」
そう思っていると。
〈助けて・・・・・・〉
夢で聞こえた声と同じ声が聞こえた。
「今の声・・・・・・」
「なのはも聞こえたの?」
「零夜くんも?」
「うん」
どうやらなのはにも僕と同じ声が聞こえたみたいだ。
「どうしたの二人とも?」
「なあに、急に立ち止まって」
「二人には今の声聞こえなかったの?」
「声?」
「聞こえなかったわよ」
すずかとアリサは顔を見合わせて首を横に振って否定した。
するとまた。
〈助けて・・・・・・!誰か・・・・・・助けて!〉
さっきの声が聞こえてきた。
「やっぱり聞こえる・・・・・・」
そういうとなのはが道の先へと駆け出していった。
「なのは」
僕はなのはを追い掛けるようにして走る。
「え、なのはちゃん!?零夜くん!?」
「なのは!零夜!」
後ろから少し遅れてすずかとアリサが走ってきた。
しばらく走ると、道の先にキラリと光るなにかを見つけた。その場所に駆け寄ると、すでになのはがその場でなにかを見ていた。
「なのは!」
「零夜くん、この子・・・・・・」
なのはの傍に駆け寄ると、なのはの前には一匹のフェレットが横たわっていた。
「フェレット・・・だよね?」
「たぶん」
そのフェレットの首には赤い宝石がぶら下がっていた。どうやら遠くから光って見えたのはこの宝石みたいだ。
「怪我している?」
「うん。大丈夫かな・・・・・・」
「コラ~!どこ行くのよ~」
「待ってよ~なのはちゃん、零夜くん」
フェレットを見ているとすずかとアリサが、追い付いてきた。
「急に走らないでよ・・・・・・って、そのフェレット怪我してるじゃない!」
「みたいなんだ。アリサ、確か近くに動物病院なかった?」
「え、え~と・・・・・・」
「私、場所知ってるよ!」
「ほんとう!?お願いすずか案内して!」
「うん!こっちだよ!」
僕はフェレットを綺麗な汚れ一つないハンカチで優しく包み込み、急いですずかの案内のもと近くの動物病院に駆けて行った。
すずかに案内されやって来た槙原動物病院に着いた僕達は中にいた院長の槙原先生に事情を説明して、フェレットを預け治療して貰った。院長先生が言うには安静にしていれば良くなるみたいだ。
「ありがとうございました、院長先生」
「いいえ。どういたしまして」
「それにしてもフェレットにしては見た事ない種類ですね。新種ですか院長先生?」
「新種・・・なのかしらね?私にもよくわからないわ・・・・・・」
「先生、このフェレットなんですけど・・・どこかのペットなんですか?」
「う~ん、そうなのかしら。ごめんなさい、私にもよく分からないわの」
診察台で治療して包帯を巻いて寝ているフェレットを囲んで話していると、フェレットが起きた。
「起きたみたいだよ」
フェレットを見ると、フェレットはあたりを見回し僕となのはの所で動きが止まった。
「えっと・・・・・・」
「触ってみても大丈夫・・・なのかな・・・・・・」
なのはと僕は恐る恐る指を差し出してみた。するとフェレットはなのはと僕の指を舐めた。が、また気を失ってしまい横に丸くなった。
そのあと、院長先生の提案で一応このフェレットは明日までがここで預かる事になり、また明日ここに来ることとなった。
時間に気づいたなのはたちは急いで塾へ行き、僕は近くのスーパーで買い物してから帰ることにした。
その道中。
「あ!零夜くんやない」
車イスに乗った女の子がやって来た。
「はやて!」
その女の子の名前は八神はやて。僕と同い年の小学三年生なんだけど、訳あって今は学校に行ってない。
そのため、よく僕がはやての家に行って勉強を教えてあげたりしている。そして僕がなのはの次に出来た二人目の友達でもある。
僕がはやてと知り合ったきっかけは図書館での出会いが切っ掛けだ。昔から足が不自由らしく、基本車イスで生活して病院に通っている。そして、彼女は僕と同じ独り暮らしだ。はやての両親は何年か前に事故で亡くなってしまった。それからはやての両親の知人と言う人から援助を受けて生活している。
「はやて、今日は病院?」
「そうやよ。零夜は学校帰りなんか?」
「うん」
はやての車イスを押しながら僕ははやてと話す。
「はやては今日の夜どうするの?」
「いつも通りや」
「そうか~」
「零夜くんもやろ?」
「あはは、まあね」
僕とはやては一緒に買い物をする。
「えーと、どっちがいいと思う?」
僕はお魚とお肉を持ってはやてに聞く。
「そうやね~、お肉の方がいいと思うやよ」
「そう?」
「そうや。丁度特売みたいやし」
はやての言う通り、僕が手にしているお肉には特売のシールが貼ってあった。
「じゃあ、ちょっと多く買おうっと。はやてもこれでいい?」
「ええよ」
はやてと自分の分を取ってはやての持つ籠に入れる。
「そうや。零夜くん、今日わたしの家で一緒に夕飯食べへん?」
「え?僕はもちろんいいけど・・・・・・いいの?」
「もちろんや。たまには零夜くんと食べたいしな」
「じゃあ、お邪魔するね」
「うん!」
はやては笑顔で振り向いて言った。
けど、その裏で辛いことや悲しいことを一人で抱え込む癖があることを知っている僕は少し顔を曇らせる。
出来ることなら僕の治癒魔法ではやてを直してあげたい。けど・・・・・・・。
スーパーでの買い物を終え、はやてとともに八神家へと行き、二人で夕飯を作るとテーブルへと運び、夕飯を食べた。食べてる間は、はやてがここ最近あったことや僕のことを話したりして楽しく談笑して過ごした。
そして時間が8時を過ぎた頃。
「もう行ってまうんか?」
「ごめんね。明日も学校だから」
僕は八神家を後にするため玄関口にいた。
「けど・・・・・・」
「今週は泊まれると思うからそのときに、ね?」
「約束やよ」
「うん。約束」
僕とはやては小指と小指をあわせて約束する。
「それじゃ、またねはやて。あまり夜更かししちゃダメだからね」
「わかってよ。ほな、またな、零夜くん」
「うん」
僕ははやてと分かれ八神家をあとにし、自分の家へと帰っていった。
その道中。
「ん?メール?」
携帯にメールの入った着信音が鳴った。
「なのはから?」
携帯を開くとなのはからメールが来ていた。
メールには 『あのフェレットは家で飼えることになりました。明日、迎えに行こうね』 と書かれていた。
「なのはの家で飼えることになったんだ」
僕はメールの内容に少し表情が和らいだ。
なのはの家なら安心できる。
なのはからのメールを見て、携帯を閉じポケットにしまいそのまま帰ろうとすると、
〈誰か・・・お願いです!僕に・・・僕に力を貸してください!〉
また、頭のなかにあの声が響いた。
「もしかして、昨日の夜の声と夕方の声と同じ・・・・・・?」
〈お願いです!僕の声が聞こえてる方、僕に、少しだけ力を貸してください!〉
また、頭に必死の声が聞こえてきた。
「まさか・・・・・・」
僕は嫌な予感がして周囲を確認して首から下げてるペンダントを取り出す。白銀に煌めく宝石を右手に持ち、
「いくよ、リンカーネイト!」
右手の宝石を掲げあげる。そして、
「リンカーネイト!セットアップ!」
《了解!バリアジャケット展開します》
リンカーネイトの声とともに僕は純白のバリアジャケットを纏った。そして、僕の右手に錫杖のデバイスが現れる。
「いくよ!」
《はい!》
僕は飛行魔法を使用して空を飛んで、目的地の槙原動物病院へと向かう。
「リンカーネイト。近くに魔力反応はある?」
《反応ありです。っ!マスター結界が張られました》
リンカーネイトの言う通り、周囲の空間が紫色に包まれた。結界が張られた証だ。
槙原動物病院に着くと、入り口になのはがいて、窓ガラスが割れ、中から夕方のフェレットが化け物のような存在に襲われていた。
「まずい!リク・ラク・ヴィシュタル・ヴォシュタル・スキル・マギステル!」
化け物の視線がなのはに向いているのを見た僕は、すぐさま詠唱を唱えた。
「(周りに影響がない魔法にしないと!)風の精霊18人。集い来たりて敵を打て!」
狙う場所はあの化け物の足元付近。
目的は動けなくさせること。
「なのは!避けて!」
僕は上空からなのはに声をあげ、
「
雷の矢を化け物に向けて射つ。
放たれた魔法の射手は全弾化け物の足元付近にあたり、化け物の動きを阻害する。
「零夜くん!?なんでここに!?それになんで飛んでるの!?」
「ごめん!事情は後で話す!今はとにかく逃げて!あれは僕が引き付ける!」
「え、う、うん!わかった!」
なのはは抱えていたフェレットとともにその場から走って離れる。
「さて・・・・・・どうリンカーネイト?」
《対象の反応、問題なく存在します》
「そう。仕方ないかな、ちょっと強めにいくよ!」
《イエス、マスター!》
化け物が再生し動いたのを確認した僕は場所を移動しながら化け物の注意を惹く。
「リク・ラク・ヴィシュタル・ヴォシュタル・スキル・マギステル!来たれ氷精、爆ぜよ風精!―――
ある程度病院から離れた場所で僕は氷属性の魔法を化け物を中心に放つ。威力を抑えているから、そこまで氷爆の効果は周囲に広がってない。氷爆を受けた化け物はその全体が凍りついて動きを止めた。
「よし、これで・・・・・・」
《マスター!もうひとつ魔力反応があります!》
「え!」
リンカーネイトの言葉に驚愕していると、なのはが逃げていった方からものすごい音が聞こえてきた。
「な!?なのは!」
《マスター!》
「とにかく今は目の前の化け物をどうにかしないと」
僕は氷付けで動けない化け物に視線を戻すと、
「
貯めておいた凍結魔法を解放して化け物に放ち、化け物を凍らせる。
「これで一旦良しと」
僕は完全に凍らせた化け物に近づき粉々に粉砕する。
すると、そこから青い宝石が出てきた。形は植物のタネの感じだ。
「これは・・・・・・?とにかく、今はなのはのもとに向かわないと」
僕はそれを掴みポケットにしまってなのはのもとに向かう。
向かっている最中、天に伸びるピンクの柱が目に入った。
「あれは・・・・・・」
《ものすごい魔力反応ですマスター》
その光の元に辿り着くとそこには、フェレットが持っていたと思われる赤い宝石を空にあげているなのはの姿があった。
そしてその近くには、さっき討伐した化け物と同じ感じの化け物が地面に皹と穴をつくってそこにいた。
「まさかあれ、デバイス?」
正直原作の知識がわからない僕はなのはを見てそう呟いた。
そして光が収まるとそこには、聖祥大付属小学校の制服をモチーフにしたらしいバリアジャケットと魔法の杖らしきものを握ったなのはの姿があった。
「うそ・・・・・・」
《あらら》
「ええっ!?なにこれえぇぇぇぇぇえええええええ!!?」
僕とリンカーネイトの声となのはの戸惑いの声が辺り一面に響きわたった。