魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語   作:ソーナ

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もう一人の転生者

 

~零夜side~

 

「―――あなた何者?この世界の人間じゃないわね」

 

「それはこっちの台詞だよ。その魔法、ミッド式でもベルカ式でもない・・・・・・さらに言うなら僕の使うムンドゥス・マギクス式でもないね。一体君何者?」

 

結界が張られた海鳴市の高台で僕は襲撃者の女の子を見る。

女の子の足元には見たことない複雑怪奇な魔方陣が描かれており、白く光輝いていて紫と白を基調としたコート型のバリアジャケットを身に纏っていた。

ことの発端は数分前になる。僕が高台でのんびりしていたところに急に結界が張られ目の前の女の子が現れたのだ。

 

「ムンドゥス・マギクス式ですって!?」

 

僕のムンドゥス・マギクスという言葉に目の前の女の子は目を見開く。

 

「あなた、今ムンドゥス・マギクスって言った?」

 

「言ったけど?」

 

「何故ムンドゥス・マギクス・・・・・・・裏火星の呼び名を知っているの?その言葉はネギま!?の単語のはずよ」

 

「っ!?今ネギま!?って言った!?」

 

「え、ええ」

 

「君、もしかして転生者?」

 

「!何故その事を・・・・・・まさか、あなたも?」

 

「どうやら明莉お姉ちゃんに話を聞く必要があるみたいだね」

 

「明莉お姉ちゃん?」

 

「ごめん、ちょっとだけ待ってて」

 

「ええ」

 

互いに武装を解除し、僕は目の前の女の子に断りを入れて明莉お姉ちゃんに電話して呼びだす。

 

「あ、明莉お姉ちゃん?ちょっと今すぐ海鳴市の高台に来てくれないかな?―――――うん、実は今僕の目の前に転生者らしき人物がいるんだ―――――うん、わかった。待ってるね―――はーい」

 

スマホをポケットに仕舞うと。

 

「!?」

 

僕と女の子の間に純白の扉が現れた。扉が開くと中から明莉お姉ちゃんが出てきた。

 

「ごめんね明莉お姉ちゃん、お仕事中に」

 

「いえ。それより、その転生者らしき人物はどこに?」

 

「彼女だよ」

 

僕の視線の先にはバリアジャケット姿の女の子がいた。

 

「はじめまして、私の名前はアマテラス。この世界ではこの子の保護者兼お姉ちゃんです」

 

明莉お姉ちゃんが自己紹介をすると。

 

「!?ア、アマテラス!?アマテラスって日本神話の天照大御神ですか!?」

 

「ええ。そうです」

 

明莉お姉ちゃんの言葉に目の前の女の子は驚愕したように目を見開いた。

 

「さて、貴女は何者ですか?転生者みたいですけど、誰が送ってきたんです?」

 

眼を鋭くして目の前の、僕と同い年くらいの女の子に聞く。

 

「あ、あの、その」

 

あまりの事態なのか目の前の女の子はあたふたとしていた。

そこに。

 

「!この気配は・・・・・・!」

 

明莉お姉ちゃんが視線を真横にずらした。僕たちも続けてみると、そこから明莉お姉ちゃんたちと同じ純白の扉が現れた。

やがて扉が開き、中から一人の女性が現れた。

 

「うげっ!」

 

その女性の姿を見ると明莉お姉ちゃんは女の人が出してはいけないような声をあげた。

 

「いきなりうげっ!ってないと思うんだけど?ねぇ、アマテラス?」

 

どちら様?

僕が不思議に思っていると。

 

「ア、アアア、アルテミス!?」

 

明莉お姉ちゃんが驚いたように言った。

 

「(アルテミス?アルテミスって確か、知智お姉ちゃんと同じギリシャ神話の女神の一人だっけ?)」

 

そう思い返していると。

 

「なんでアルテミスがここにいるの!?」

 

「なんでって、私がこの娘の保護者だからだけど?」

 

「はぁ!?え!?何時から!?」

 

「5年前からかしら?」

 

「まさか零夜くんと同時期!?」

 

「ああ、そういえばもう一人転生者がいたわね。もしかしてその子?」

 

「そうよ!私の弟の零夜くんよ!」

 

「明莉お姉ちゃん!?」

 

「ほぉ。アマテラスをお姉ちゃん呼び、しかもこの世界での名前までとは」

 

「他にも、ガブリエルやアテナ、アフロディーテが居るわよ!」

 

「・・・・・・・は?」

 

明莉お姉ちゃんの言葉にアルテミスさん?は眼をパチクリとした。

 

「え?今、ガブリエルとアテナ、アフロディーテが居るっていったの?」

 

「ええ」

 

「ええっ!?あの三人がいるの!?なんで!?え!?ちょっ、アマテラス、なんであの三人がいるの!?」

 

「なんでって言われても・・・・・・・ちなみに私たちは零夜くんのお姉ちゃんですから」

 

「はぁぁあ!?」

 

「ゆ、弓月(ゆづき)姉さま!?どうしたの!?」

 

「い、いえ、なんでもないわよ夜月(よつき)

 

「そ、そう・・・・・・?」

 

夜月と呼ばれた女の子がアルテミスさんのことを弓月姉さまと呼んだ。ということはつまり。

 

「アルテミス、あなたこっちで弓月って名前なのね」

 

「それがなに?」

 

「いえ。あなたがこっちで暮らしてるなんて知らなかったわ」

 

「別にいいでしょ。それに、ゼウスには許可もらってるわ」

 

「ええっ!?そうなの!?・・・・・・って、ゼウスさんならそうなるわね」

 

「でしょ?」

 

「ええ」

 

話がさっぱり分からないけど・・・・・・

 

「はぁ。零夜くん、あの娘は敵ではありません。貴方と同じ転生者。そして、恐らくアルテミスの眷族です」

 

明莉お姉ちゃんがそう言うと。

 

「よくわかったわねアマテラス。この娘・・・・・・桜坂(さくらざか)夜月は私のはじめての眷族よ」

 

「貴女の銀色の神霊力が見えたのよ」

 

「ふふ。そういう貴女だってその子が貴女のはじめての眷族なのでしょう?」

 

「ええ。この子は天ノ宮零夜くんよ」

 

「そう。よろしくね、天ノ宮零夜君。あなたの活躍は知ってるわ。時空管理局特務0課室長にして、最年少で執務官試験を合格して階級は三佐兼特務官。そして管理局唯一の星戦級魔導士」

 

「どこでそんなの調べたのよ?」

 

「ん?ついさっきだが?」

 

「はぁ。貴女って女神は本当に・・・・・・」

 

なんか明莉お姉ちゃんが窶れてるけどなにかあったのかな?

 

「ああ、一応自己紹介しておこう。私の名はアルテミス。こちらの世界では桜坂弓月と名乗ってる。一応、この娘の姉兼保護者だ。夜月」

 

「うん、姉さま。はじめまして、先程はごめんなさい。私の名は桜坂夜月。天ノ宮くんと同じく転生者よ。これからよろしくね」

 

「こちらこそよろしく。僕の名は天ノ宮零夜。桜坂さん、これからよろしくね」

 

「夜月でいいわ」

 

「じゃあ僕も零夜で」

 

「ええ」

 

こうして、僕ともう一人の転生者である夜月は友達になった。

そこから、僕と夜月を取り巻く様々な事、そして神々をも巻き込んだ事件が巻き起こるとはこの時、僕と夜月は露ほど思いもしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって夜月と弓月さんの家、桜坂邸へと訪れていた。

あ、アルテミスさんのことを弓月と呼んでいるのはアルテミスさんがそう呼んでほしいと言ったからだ。

 

 

 

桜坂家

 

 

 

「それじゃ、二人の能力を開示しますね」

 

「そうね」

 

同じ転生者同士、能力は知っておいた方が良いということで転生者特典の能力をそれぞれ明莉お姉ちゃんと弓月さんが紙に書いて渡した。

 

「「・・・・・・・・・・」」

 

僕と夜月はその紙を見て唖然とした。

 

「まず私からいい?」

 

「どうぞ」

 

「ありがとう。じゃあ――――――レイくん、あなたどれだけチートなの!?」

 

夜月の絶叫が響き渡った。

 

「転生特典としてSAOのソードスキルにネギま!?の全魔法、家事スキル最大に、成長補正最大って・・・・・・・しかも希少技能(レアスキル)絶対切断(ワールドエンド)特殊固有武装(アーティファクト)に質量消滅に分解・・・・・・・さらに闇の魔法(マギア・エレベア)・・・・・・チートすぎよ!」

 

「まあ、確かにチートすぎないか明莉?」

 

「あなたにだけは言われたくないわよ」

 

そう言うと明莉お姉ちゃんが今度は夜月の紙を見て言った。

 

「夜月ちゃんの転生特典はトリニティセブンの魔術とデート・ア・ライブの天使に成長補正最大・・・・・・・希少技能に天魔融合(ヘブンリィマギクティス)未来視(コグニス)など・・・・・・・充分チートね」

 

「そうかしら?レイくんよりはまだ良いと思うけど?」

 

「どっちもどっちよ弓月」

 

姉同士?なのかやつれているように見える。

 

「そう言えば夜月は今までどこにいたの?」

 

ここ五年間、夜月の姿を見たことない僕は夜月に聞いた。

 

「今まで別の場所で弓月姉さまと過ごしてたのよ」

 

「じゃあ、原作に介入はしなかったんだ」

 

「ええ。弓月姉さまからもう一人の、つまりあなたが原作を見事に崩壊させたことは知っていたから」

 

「うぐっ・・・・・・!」

 

原作崩壊という言葉に僕は思わず言葉を濁らせた。

そこに。

 

「お。なんだ、マスターと弓月は帰って来ていたのか?」

 

「ソ、ソラ入って行ったらダメですよ!」

 

「別にいいじゃんよイリア」

 

二人の少女が入ってきた。

 

「あら、ソラとイリア」

 

「申し訳ありません夜月ちゃん!一応止めたんですけど・・・・・・」

 

「別にいいわよイリア」

 

「んん?マスター、この二人は誰だ?」

 

「あ、弓月姉さまの前に座っているのが明莉さんで、その横にいる男子が天ノ宮零夜くんよ。レイくんはこの二人のこと知ってるわよね?」

 

「うん。ソラが『アスティルの写本』、イリアが『イーリアス断章』でしょ?」

 

「あ、トリニティセブンのこと知ってたんだ」

 

「まあね。特にすっぽんぽん魔術が有名だよね」

 

「あはは・・・・・・すっぽんぽん魔術って名前じゃないんだけどね」

 

すっぽんぽん魔術―――別名、支配魔術。対象の魔力や魔法の構成を解析、分析し無効化するアンチマジック。トリニティセブンの主人公春日アラタの最初に会得した、傲慢(スペルビア)のアーカイブに属するテーマ支配(インペル)の魔術である。そしてそれを昇華させたのが僕も使う、支配領域(インペル・マジェスター)である。

もっとも僕の支配領域は凛華たちを介して、魔法の術式構成とシステム構成やらを解析してそれを分解、無しにしているのと、事象を改変して構築されてる魔法の上から領域干渉をして僕の領域(テリトリー)にしている。

 

「マスター、コイツ何者だ?」

 

「どうして私やソラのこと知ってるんでしょう?」

 

「ああ、レイくんは私と同じ存在よ」

 

「!?なるほどな・・・・・・」

 

「そういうことですか」

 

「ええ」

 

どうやら転生のことについては話してあるみたいだ。

そこで僕は少し疑問に思った。

 

「ん?ねぇ夜月」

 

「なに?」

 

「ソラとイリアが居るってことは、『黒皇剣ジュデッカ』と『赫皇剣カイーナ』も居るの?」

 

「え?あ、うん、いるよ。ジュデッカ、カイーナ」

 

夜月がそう呼ぶと。

 

〈はい。なんでしょうマスター〉

 

〈おはようございますマスター〉

 

夜月の首もとに、二本の剣のペンダントが現れた。

 

「おはようジュデッカ、カイーナ。二人とも、目の前の彼は私と同じ存在だよ。名前は天ノ宮零夜くん」

 

〈なるほど〉

 

〈わかりましたマスター。これからよろしくお願いします天ノ宮さま〉

 

「あ、うん。よろしくねジュデッカ、カイーナ」

 

剣に挨拶されるというなんとも奇妙な体験に僕は思わず口を淀漏らせた。

そこに。

 

「ねえ。零夜君、夜月と模擬戦、してみない?」

 

「え?」

 

「いいと思いますよ。それに零夜くんも夜月ちゃんの実力を知りたいですよね。同じ転生者として」

 

弓月さんと明莉お姉ちゃんの言葉に、僕と夜月は顔を見合わせる。

 

「「ぜひ!」」

 

こうして僕と夜月、二人の転生者による模擬戦が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜坂邸地下空間 トレーニングルーム

 

 

「それにしてもまさかアルテミスがいるとはね」

 

「ええ。それにあのアルテミスが眷属を持つだなんて」

 

お父様(ゼウス)から聞いてなかったことについてはあとでお母様(メティス)奥様(ヘラ)と一緒に聞かないといけませんね」

 

「あはは・・・・・・手加減してあげてね知智」

 

「それは・・・・・・お母様と奥様しだいね」

 

「ゼウスさん生き残れるかしら・・・・・・」

 

そんな会話を耳にしながら僕はデバイス姿の凛華たちを構えて、目の前の夜月を捉える。

 

「それじゃあ始めようか夜月」

 

「ええ。手加減なしの全力前回でいくわよ」

 

「もちろん。―――封印解除(リミッターリリース)

 

自分と凛華たちデバイス施しておいた封印を解除し全力を出す。

 

「じゃあ、私たちも。ソラ、イリア!いくよ!」

 

「〈ああ!〉」

 

「〈はい!〉」

 

傲慢(スペルビア)のアーカイブに接続。テーマを実行いたします!」

 

夜月がそう言うと、純白の魔方陣が足元に現れ、夜月の服がメイガスモードの白銀のドレスローブに黒のローブを羽織った姿に切り替わった。

 

「私のメインテーマは支配(インペル)。さらに、テーマ正義(ユースティティア)審判(アルビテル)を持ってるの」

 

「つまり、トリニティ・・・・・・」

 

「ええ。まあ、他にもあるのだけど・・・・・・そして、―――――神威霊装・十番(アドナイ・メレク)!―――鏖殺公(サンダルフォン)!」

 

夜月の声に上から紫の雷が一本貫き、夜月の後ろに巨大な玉座と、玉座に納められた一振りの流麗な大剣が現れた。

 

「はああっ!」

 

背後の玉座に登り、出ている大剣の柄を握り締め勢いよく抜き放った。

 

「天使―――鏖殺公」

 

茫然と呟いて、その大剣。天使の名を言う。

 

「なら、僕も。―――、来たれ(アデアット)!鉄砕牙!」

 

僕は一本の流麗な刀。剣の付け根部分には純白の白毛があり、その姿は牙のような刀。それは天生牙と対をなすもう一振りの刀、鉄砕牙。一振りで百の軍勢を凪ぎ払うとされてる魔剣にして・・・・・・妖刀。本来鉄砕牙は妖力で使用できるが、ここの鉄砕牙は妖力の代わりに魔力で補っている。

 

「それじゃあ―――」

 

「うん―――」

 

「「いくよ!」」

 

僕と夜月はほぼ同時にその場から動き切り結んだ。

 

「はああっ!」

 

「やああっ!」

 

気迫の篭った声で鉄砕牙を振り下ろす。

ガキンッ!と金属がぶつかる甲高い音が響く。つばぜり合いから同時に後ろに下がり。

 

「―――風の傷ッ!」

 

大気の裂け目に向かって、上から勢いよく鉄砕牙を振り下ろし衝撃波を放つ。

 

鏖殺公(サンダルフォン)ッ!」

 

対する夜月も鏖殺公に魔力を込めて撃ち放った。放たれた魔力の斬撃は一直線に風の傷とぶつかり、爆発と衝撃波を起こした。

 

「うっ・・・・・・!」

 

「・・・・・・っっ!」

 

衝撃波を手で顔を被って防ぎ、すぐさま。

 

「ソラ!イリア!補助お願いね!」

 

〈おうよ!任せとけマスター!〉

 

〈お任せください!〉

 

「―――紅星峻厳柱(スカーレット・ゲブラー)!」

 

「なにっ!?」

 

夜月から放たれた魔力のエネルギーの奔流に眼を見開く。

ギリギリのところで避け、僕のすぐ横を夜月の放った紅星峻厳柱(スカーレット・ゲブラー)が通過し、後ろの壁を抉る。

 

「今のはソラの魔術!まさかソラの紅星峻厳柱(スカーレット・ゲブラー)を使うなんて」

 

予想外の攻撃に驚ながらも鉄砕牙を杖にして立ちたがる。

 

「今度はこっちの番!星夜、いくよ!」

 

《ええ!》

 

「スタービット、飛星剣(フェグラディア)!」

 

星夜から飛び出た小型ユニットが夜月の周りを飛び交い、剣のような光弾を放つ。

 

「これは!?」

 

〈おいおい、こんな数のビットをアイツは一人で操作してるのかよ!?〉

 

〈いくらなんでもあり得ません!これでは集中力が持たないはずです!〉

 

今飛び交う小型ユニットの数は全部で30。このユニットは僕の操作でも動くが、イリアが言ったように僕一人では無理だ。だが、星夜とともにやれば問題ない。星夜の突発している能力は演算能力と空間把握だ。後方支援が得意な星夜は空間把握と演算を使いユニットを操作している。

さらに。

 

術式解放(エーミッタム)蒼き雷(フルグラティオー・カエルレウム)!」

 

白き雷の蒼バージョンを繰り出す。

 

「蒼い雷・・・・・・!?」

 

「まだこんなもんじゃないよ夜月!鉄砕牙!」

 

鉄砕牙に声をかけ視線を向けると、鉄砕牙の刀身がドクンッ、と脈打ち刀身が変わった。

 

「その刀身は・・・・・・っ!」

 

「いくよ夜月!はああっ!―――金剛槍破!」

 

鉄砕牙を左上から斜めに切り下ろすと、鉄砕牙から短槍(ショートスピア)のような槍が飛び出した。そして、この金剛槍破は単純な物理攻撃。金剛とは硬度10の最も硬い宝石―――ダイヤモンドだからだ。

 

「っ!―――氷結傀儡(ザドキエル)贋造魔女(ハニエル)!」

 

夜月は咄嗟に氷結傀儡(ザドキエル)贋造魔女(ハニエル)で金剛槍破を無効化する。

 

「なら、これはどう!」

 

そう言うと再び鉄砕牙の刀身がドクンッと脈打ち、金剛の刀身から宇宙のような刀身に変わった。

 

「まさかっ!?」

 

「―――冥道残月破!」

 

鉄砕牙から放たれた冥道の斬撃が夜月向かっていく。

 

「―――刻々帝(ザフキエェェル)!!」

 

斬撃が夜月に飛んでいくなか、夜月の背後に機械仕掛けの時計盤が現れた。

 

刻々帝(ザフキエル)一の弾(アレフ)!」

 

自分の影から出てきた古式の歩兵銃の短銃と長銃の二つを時計の針のようにし、短銃を自身の頭に着け、引き金を引き弾丸を撃ち込んだ。すると次の瞬間、姿がぶれたかと思うほどの視認できない速度で目の前から消え去った。

 

「っ!?どこ!?」

 

慌てて周囲を探る。

すると。

 

「うぐっ!」

 

背中に衝撃を受けた。

瞬時に振り替えるが、何もなくまたしても背中に衝撃を受ける。しかも今度は連続でだ。

 

「(―――もしかして)」

 

そこで僕はなんの攻撃か判別する。

 

絶滅天使(メタトロン)の攻撃・・・・・・もしくは刻々帝(ザフキエル)の銃弾・・・・・・いや、もしくは魔法・・・・・あぁっ!選択肢が多すぎる!)」

 

思考の片隅で考えながら意識を集中させる。考えが何もないというのはなんて言う為体なのか、さすがに候補が少ない!

そう思っていると。

 

「!」

 

背後から気配を感じ、瞬時に振り向く。

しかしそこには何もなかった。

 

「(今のは・・・・・・そっか!そういうことか!)」

 

眼を閉じ意識を集中させ、五感をフル作動させる。

 

「(ここ!)」

 

意識を集中させ、現れた気配を捉える。

 

「もらったよ!」

 

夜月の声が響くなか。

 

「・・・・・・!」

 

「そんなっ!?」

 

夜月の凪ぎ払った鏖殺公(サンダルフォン)を避けた。

そして。

 

「はああっ!」

 

「ぐぅっ!!」

 

夜月の背後を取り、鉄砕牙で斬り着ける。

しかしそれはギリギリのところで鏖殺公(サンダルフォン)で受け止められた。

 

「なんでわかったの!?」

 

驚愕の表情を浮かべる夜月の周囲には絶滅天使(メタトロン)の天使が浮いていた。

 

「空気の流れと気配、あとは勘かな?」

 

「それだけで!?」

 

「まあ、伊達に知智お姉ちゃんに稽古を付けてもらってる訳じゃないよ」

 

そう言うと強く踏み締め、その反動で後ろに下がった。

 

「くっ・・・・・・!まだ闇の魔法(マギア・エレベア)も使ってないのにこんなに強いなんて・・・・・・!」

 

「夜月こそ強いよ。僕とここまで打ち合えるなんて・・・・・・管理局に入ったらランクはSSSじゃないかな?」

 

「レイくんにそう言ってもらえると嬉しいな」

 

「じゃあ、ここからは手加減無しで」

 

「ええ」

 

鉄砕牙を仕舞い、眼を閉じて集中し。

 

「―――右腕(デクストラー)解放固定(エーミッサ・スタグネット)千の雷(キーリプルー・アストラペー)左腕(シニストラー)解放固定(エーミッサ・スタグネット)千年氷華(アントス・パゲトゥ・キリオン・エトーン)!」

 

カッと眼を見開いて術式詠唱を始める。

周囲を小さな雷が飛び散り冷気が漏れでる。両の掌には千の雷と千年氷華の魔力の塊がある。そしてそれを。

 

双腕掌握(ドゥプレクス・コンプレクシオー)!」

 

二つ同時に体内に取り入れる。

それと同時に、僕の身体から眩い輝きが辺りを照らし、蒼白く輝きはじめる。そして周囲は吹雪と放電の魔力余波が吹き荒れる。

 

術式兵装(プロ・アルマティオーネ)天雷氷華(ローズィリング・フルグラティオヘブン)!!」

 

終の術式詠唱を唱え、片手剣形態の凛華と澪菜の柄を握りしめる。

 

「これが僕の現在の切り札――――千の雷と千年氷華を闇の魔法で取り込んだ形態、―――それがこの、天雷氷華(ローズィリング・フルグラティオヘブン)

 

天雷(ローズィリング)・・・・・・(・・・・・・)氷華(フルグラティオヘブン)・・・・・・」

 

「能力は雷と氷属性の上級まで魔法無制限行使と雷速機動」

 

「っ!?」

 

僕の言葉に夜月は眼を見開いて驚愕した。

 

「じゃあ、私も今出せる本気を見せて上げるよ。ソラ、イリア、サポートお願いね」

 

〈あいよ!〉

 

〈はい!任せてください!〉

 

「―――我今ここに天と魔を融合し行使するものなり。我が魔術、七つの大罪のアーカイブ、傲慢(スペルビア)。そして傲慢のテーマ支配(インペル)にて、天使を実行する」

 

祝詞のような言葉を紡いでいく夜月からは凄まじい魔力が吹き荒れていた。

 

「―――天魔融合(ヘブンリィマギクティス)・・・・・・・・・・発動(アクティブ)

 

最後にそう告げると、夜月の服装が変わり白銀のドレスローブから白金のドレスローブに黒紫色の裾の長いコートを羽織り、セミロングのベージュ色の髪が虹色に変わりふわりとなびいた。そして足元には複雑怪奇な白黒の魔法円が構築されていた。

 

「これが夜月の天魔融合(ヘブンリィマギクティス)・・・・・・」

 

夜月の姿に驚嘆半分恐れ半分で視ていると。

 

「いくよ、レイくん?」

 

「っ!」

 

夜月がそう言うと、一瞬にして夜月の姿が視界から消え失せた。

 

「っ!?」

 

とっさに、ほぼ勘のような感じで夜月の両手に握るジュデッカとカイーナを受け止める。

 

「ソラ、やるよ」

 

〈おうよ!ぶちかましてやれマスター!〉

 

「うん」

 

受け止め、夜月が後ろに下がると夜月の足元に白黒の魔方陣が浮かび上がり。

 

「―――堕ちた天使の祝福(ダウンフォール・ブレッシング)

 

黒い砲撃が放たれた。

 

「っ!?―――術式解放(エーミッタム)精霊の破重閃風(スピリトゥス・エルブレイクス)!」

 

対するこっちも虹色の砲撃を放つ。

夜月の黒い砲撃と僕の虹色の砲撃がぶつかり、衝撃波が発生する。

 

「くっ!」

 

「うっ!」

 

威力はほぼ互角と言ったところか、どちらも拮抗していた。

そしてそこに。

 

「なら―――イリア、いくよ!」

 

〈はい!夜月ちゃん!〉

 

聖天使の極光爆(セラフィカル・ライトブレイクス)!」

 

「っ!聖良!」

 

「《うん!魔力集束完了!》」

 

「了解!凛華、カートリッジロード!集束魔力砲ミストルテイン!」

 

《ええ!カートリッジロード!》

 

砲撃形態の凛華のカートリッジを4発ロードして正面に金色の複雑な魔方陣を書き出す。

 

「―――発射!」

 

放たれた高密度の魔力砲撃は一直線に夜月の放った同じく高密度の魔力砲撃の聖天使の極光爆(セラフィカル・ライトブレイクス)とぶつかる。

 

「くっ!!」

 

「うっ!!」

 

二つの巨大な、高密度の魔力砲撃がぶつかりルームの床は放射状にひび割れ魔力余波で辺りが散々な状況になった。そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ごめんなさい、やり過ぎました」」

 

僕と夜月は正座して弓月さんと明莉お姉ちゃんに謝っていた。

 

「いくら模擬戦でもここまでやらなくてもいいでしょうが二人とも」

 

「まったくもお、まさかここまで破壊するなんて」

 

明莉お姉ちゃんの視線の先には半壊状態のトレーニングルーム跡があった。あのあと様々な遠距離からの魔法や近接戦闘で戦い、手加減なしの全力戦闘をしたのだ。

最後は明莉お姉ちゃんと弓月さんのストップで止まったが。

 

「うわ~、私たちとんでもない子達を育てちゃったのかしら」

 

「う、うん。弓月ちゃんと知智ちゃんはどっちも戦闘が得意だからね。その二人に教えてもらっているならこうなるのかな・・・・・・」

 

美咲お姉ちゃんと翼お姉ちゃんが半壊状態のトレーニングルームを修復しながらそう苦笑いで言うのが耳に入った。

 

「とにかく、二人とも仲良くね」

 

「うん」

 

「ええ」

 

「よろしくね夜月」

 

「ええ、私もよろしくレイくん」

 

 

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