魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語 作:ソーナ
~はやてside~
ディアーチェこと王様と戦闘してから早く数分が経った。
私は王様の、すずかちゃんは王様の呼び出した、確か黒影のアメティスタとかいう黒いドラゴンみたいなのを相手していた。
「くっ!このっ!ええいっ!小賢しい!」
「それはお互い様やで王様!」
「子ガラスが!」
幾度となく魔法をぶつけ合っていく。
その一方。
「せやぁっ!」
「―――!」
黒竜相手にすずかちゃんは、ムンドゥス・マギクス式を巧みに使って一人で相手していた。
「レスト・ラスト・フィンベルス!来たれ氷精、舞え風精!敵を凍てつかせ、舞い散らせ!
すずかちゃんから放たれた極寒の息吹きのような風が黒竜を襲い、黒竜の身体を凍り付かせる。
「(さすがすずかちゃんや。一人であの黒竜を相手にできるなんて)」
実際、すずかちゃんの実力は私らの中でも郡を抜いている。特にすずかちゃんはミッド式やベルカ式よりも、零夜くんから教えて貰ってるムンドゥス・マギクス式(略してM・M式。またはムンドゥス式)の相性が一番いいのか、能力がずば抜けてる。私らの中で、零夜くんや夜月ちゃん達を除いてすずかちゃんに一対一で勝てるとなると、相性で言えばアリサちゃんやけどアリサちゃんはすずかちゃんの戦術と真逆の攻撃特化型。ウチのシグナムと同じやな。まあ、フェイトちゃんも同類やけど(戦闘好きということで。アリサちゃんは除いてな)。まあ、勝てると言えばなのはちゃんか私ぐらいやろか?アリシアちゃんは支援型だからか火力が少し足りない。まあ、その分手数が多くて厄介やけど。正直、私らの中で1番やりにくいのはアリシアちゃんなのだ。本人は自覚してないんやけど。
そう思いながら王様とデバイス同士をぶつける。
「ええい!いい加減にせんか!」
「なにがや!?」
「この子ガラスが!我の邪魔をするなと言うとろうが!」
「別に私は、なにも王様の邪魔をしてとるわけやないよ!」
「これのどこが邪魔をしてないというか!このたわけが!」
「王様がお話聞かせてくれたら何もせえんよ!」
「誰が話すかこの子ガラス!いや、子狸!」
「なっ!?だ、誰が子狸や!」
「貴様だ、このっ!」
どんどん過激になっていく私と王様の魔法合戦。
というか、なんで私狸って呼ばれんやろ!?しかも初対面の王様にも!私、タヌキやないのに。まあ、子ガラスというのもなんやけど、子狸よりはマシやな。
そんな会話をしている最中、すずかちゃんはというと。
「
「―――!」
「まだだよ!
氷魔法を多用して黒竜を追い詰めていた。黒竜の外装は殆どが霜に覆われていて、飛ぶ速度も遅くなっていた。
そこに。
《はやてちゃん!コアの位置、発見しました!》
あの、黒竜の解析を頼んでいたリインからそう言われた。
リインの声を聞き、私は直ぐにすずかちゃんに伝える。
「すずかちゃん!コアの位置発見したよ!」
「ホント!わかった!」
黒竜への攻撃を止めたすずかちゃんはこっちに向かって飛んでくる。
「ちっ!させるか!」
「そうはいかないよ!」
王様の魔法をすずかちゃんは氷の盾で防ぎ、その間に私が光の魔法で、王様の視界を封じる。
「コントロールは任せたよ!」
《はいです!》
リインにコントロールを任せ、私は直射砲撃を王様に向けて放つ。しかし、この砲撃は王様に転移でかわされる。けど、本命はこっち。
「すずかちゃん!」
「うん!」
「「ファイアっ!!」」
電磁カートリッジユニットで魔力を
「―――!」
私とすずかちゃんの砲撃が直撃した黒竜は、コアごと破壊された。
「ちぃっ!面妖な真似を!」
「これであとはディアーチェちゃんだけだよ!」
「わ、我をちゃん付けするでないわ!」
「え?じゃあ、王様ちゃん?」
「結局ちゃん付ではないか?!」
すずかちゃんの発言に王様も私も思わず止まってしまう。というか―――。
「すずかちゃん、もしかして計算してる?」
「え?計算?なんのはやてちゃん?」
「「・・・・・・・・・・」」
はい、これ確定やな!これ天然や!こんな所でフェイトちゃんなみの天然発動してしもうたわ!
すずかちゃんの言葉に私と王様は呆然とする。
「おい、子ガラス」
「なんや王様」
「こやつは何時もこんな性格なのか?」
「あ~・・・・・・まあ、そうやな」
「そうか・・・・・・」
「???」
私と王様の言葉に首を傾げるすずかちゃん。
そこに。
「って!そうではなくてだな!」
「うわっ!」
「わっ!」
首を横に振って頭を切り替えるようにして魔法を放ってくる王様。私とすずかちゃんは左右に散開して避ける。
「こんなところでは使いたくなかったが・・・・・・」
そう言う王様の足元に紫黒色の、私と同じベルカ式魔法陣が現れた。
「高まれ、我が魔力!震える程に暗黒!」
「っ!」
王様の周りに現れた黒い穴から放たれた黒い槍を受け止める。
「なっ!」
受け止め、視界が見えなかったその一瞬に接近してきた王様のデバイスによる打撃を受け、後ろに吹き飛ばされた。
「絶望に足掻け!アロンダイトォ!!」
「っ!」
「はやてちゃん!」
王様の高まった魔力から放たれた極大な砲撃と幾重の魔法弾を、飛んできたすずかちゃんとともに障壁を張って受け止める。
「っ!」
《させません!》
「リインちゃん!」
障壁が貫かれると、すぐにリインが私の変わりにダメージを受けた。
「リイン、無事!?」
《きゅう~》
「良かった・・・・・・気絶してるだけみたい」
「よかったわ~」
リインが気絶してるだけで、すずかちゃんと私はホッと安堵した。それと同時に、私はまだまだだと実感した。リインが身代わりになってくれたから、私は少しの傷で済んでいるのだ。そうじゃなかったら恐らく倒れていたに違いない。
やがて周囲を包んでいた煙が晴れ、空にいる王様と視線が合う。
「ちっ。融合機とそこの仲間に救われたか。だが、もう戦えまい!」
「王様こそ、随分とお疲れなようで」
王様の言う通り、私もすずかちゃんももう魔力は尽きかけていた。少し休めば回復するが、王様と戦うのは少し厳しい。まあ、あってもすずかちゃんの足を引っ張るだけやと思うし。そう思っていたその時。
「「っ!?」」
「あれは・・・・・!?」
オールストン・シーの方角から一筋の大きな光の柱が立ち上がった。
「はやてちゃん、あれって・・・・・・」
「わからん・・・・・・なんやあれ・・・・・・」
私とすずかちゃんが戸惑っていると。
「あれはまさか・・・・・・!」
空にいる王様のそんな声が聞こえた。それと同時に、王様はその場から、あの光の方に飛んで行った。
「あっ!」
「待って!追うよはやてちゃん!」
「了解!」
そして、私とすずかちゃんも王様を追いかけて行った。
~はやてside out~
~零夜side~
「こ、これは・・・・・・っ!」
空高くに貫く光の柱を見た僕は、すぐさまその発生場所に飛んできた。発生場所はやはり、昼間来たオールストン・シーの水族館エリアだった。そして、中央にあるはずの結晶が無くなっていた。その場には、結晶の変わりに局の武装隊十数人とそれを率いていたと思うクロノが、なにか木の根っこのような物で貫かれている姿があった。そして、少し離れた場所にはキリエ・フローリアンが倒れていた。
「零菜と紅葉はキリエ・フローリアンの怪我の手当を!凛華と星夜、聖良は他の人達を見て!」
僕はそう言って聖良とのユニゾンを解き、凛華たちを人型にした。
「クロノ!大丈夫、クロノ!?」
身体のあちこちを穿かれてるクロノに声を掛けるが、意識を失っているのか返事がなかった。
「この木の根っこみたいなのなに・・・・・・」
クロノたちを刺している物に僕は声をだす。
それは木の根っこのような物だが、表面はキラキラと結晶のように光って脈だっていた。それを見ていると。
「零夜くん、これは木の根っこじゃありませんわ!」
それを人型になって検分していた星夜が言った。
「木の根っこじゃない?じゃあこれは!?」
僕の声に返したのは。
「これって・・・・・・!」
「聖良?」
わなわなと震えた声で呟いた聖良だった。
「お兄ちゃん・・・・・・これ、結命樹だよ!」
「結命樹?」
「これはヒトの生命力が結晶化したものなんだよ!」
「っ!?」
聖良の言葉に僕は驚愕した。つまり、クロノたちを貫いているこれはすべて、クロノたちの生命力が結晶化した樹木ということだ。
「なんで結晶樹が・・・・・・これはあの子の能力なのに・・・・・・!」
「!聖良、もしかしてこれユーリの!?」
「うん。でも、ユーリがこんなことするはずないよ!話したことないけど、あの子は優しい子なんだから!」
「聖良・・・・・・」
涙目で言う聖良に、僕は優しく抱きしめてあやす。昔から、あの頃から優しい妹が言うのだから、ユーリという子はこんなことをする子じゃない。
「零夜くん!解析完了しました!
「了解!零菜、キリエ・フローリアンは?!」
「こっちは胸の当たりを撃たれてるけど大丈夫だよ!今、治癒魔法で治してるから!」
「わかった!」
それぞれ状況を聞き、本部に通信を入れる。
「こちら、天ノ宮。クロノ・ハラオウン以下武装隊十数名が負傷!至急医療班をお願いします。そして、同じく負傷しているキリエ・フローリアンを確認。こちらも同様にお願いします。尚、同行者のイリスの行方は不明。捜索班に対象の追跡を」
『了解。ただちに急行させます』
帰ってきた通信を聞き、僕はすぐに支配領域でその場を上書きして結晶を破壊する。結晶から解放されたクロノたちはその場に崩れ落ちる。
「血があまり流れてない・・・・・・?」
クロノたちの傷から、血があまり流れていないことに気づき不思議に思う。その答えを言ったのは。
「お兄ちゃん、クロノ君たちを穿かれていた結晶樹はクロノ君たち自身の生命力が結晶化した、内部から貫かれたものだから、血はあまり出ないの。外部から貫かれたらかなり出るけど・・・・・・。でも、その分生命力が奪われるからしばらくは動けないよ」
「なるほどね。ありがとう聖良」
「うん」
クロノたちを治療しながら、結晶の行方とキリエ・フローリアンと一緒にいたと思われるイリスの行方を考えた。そして、なにかがおかしいと頭で思いながら。
~零夜side~
~夜月side~
「───何処に行こうとしてるのなのはちゃん」
「夜月ちゃん・・・・・・」
医療班のところに着いた私は、クロノ君たちが負傷しているレイくんからの通信を聞きながら、救急車から降りたなのはちゃんに
「さっき、ユーノ君とヴィータちゃん、アリサちゃんに安静にしてろって、言われてなかったかな?」
「そ、それは・・・・・・」
「それに、レイジングハートになにをしたの?」
眼を鋭くして、なのはちゃんの前に浮かんでいるレイジングハートの発動体を見る。
「シャーリーちゃん、なにをしたわけ?」
「そ、それはですね・・・・・・」
答えないなのはちゃんに、私はレイジングハートを持ってきたと思うシャーリーちゃんに聞く。シャーリーちゃんのすぐ近くには医療着姿で手に拘束具を嵌められてるアミティエさんがいた。
「答えて」
「は、はい!レイジングハートにアミタさんの使うフォーミュラシステムを組み込みました!」
私の冷たい声に、シャーリーちゃんはビクンッと体を震わせて答えた。そして、その答えは、私の知っていたとおりだった。
「───刻々帝」
「ま、待って!」
フォーミュラシステムを消そうとする私の前に、腕に包帯を巻いたなのはちゃんが立ち塞がった。
「そこを退いてなのはちゃん」
「待って夜月ちゃん!お願い、私を現場に行かせて!」
「ダメよ」
「なんで?!」
「今のなのはちゃんは魔力も十分に回復してないのよ?しかも、怪我までしてる。友達として・・・・・・。そして、局の特務0課のNo.2してあなたを行かせるわけにはいかないわ」
ここで私は初めて、特務0課のNo.2としての権限を行使した。特務0課は伝説の三提督である統幕議長ミゼットさん直属の、どの課にも属さない独立部隊だ。そして、特務0課のNo.1であり、特務官にして、特務三佐のレイくんの権限レベルは指揮官クラスある。まあ、基本的にはレイくんが権限を行使することなんてないけど。そして、その特務0課のNo.2の私は、星戦級魔導士としてある程度の権限を持つ。その一つが、その人物の出撃の可否だ。
「そんな・・・・・・」
「アミティエさん、あなたも何故ここに?」
「それは、私がお願いしたんです」
「お願い?」
「はい。こんな事態になったのは妹のせいです。ですから、姉としてなんとかしないと、と」
「そうですか」
何故かここにいるアミティエさんに事情を聞き、膝を着くなのはちゃんに問う。
「なのはちゃん、私の質問に答えて」
「え・・・・・・」
「なのはちゃん、貴女の魔法はなんの為の能力?」
「それは───諦めて後悔するのも、それで誰かが後悔するのを見るのももうイヤだから。私の魔法はそんなのを見ない、誰かを助すけるためのチカラ!」
なのはちゃんの答えた言葉に、私はジッとなのはちゃんを見る。
私の冷たい、殺気を交じ入れた視線に、少しは怯みつつもその眼は、諦めない覚悟の目をしていた。そして、その奥にある自己犠牲の感情も読み取れた。
「まったく・・・・・・ホント、バカ・・・・・」
「え・・・・・・?」
私の呟きが少し聞こえたのか怪訝な表情をするなのはちゃん。
それを見て、私は視線をレイジングハートに移す。
「レイジングハート、フォーミュラシステムとの同調率はどのくらいかしら?」
《
「そう。───おいで、刻々帝。───
レイジングハートの言葉を聞いて、私は刻々帝を顕現させ、刻々帝の三の弾をレイジングハートに向けて撃った。
「れ、レイジングハート!夜月ちゃん、なにをしたの!?」
「すぐにわかるわ」
私が言い終えると。
《
「え!?」
驚いているなのはちゃんたちに私は答える。
「今私が撃った弾丸は、刻々帝《三の弾》。能力は対象を成長させること」
「もしかして、レイジングハートの処理速度を早めてシステムの完全運用を可能にしたんですか!?」
「ええ」
私の言葉に、アミティエさんが聞いてくる。
そう、今私はレイジングハートの処理速度を一時的に早め、フォーミュラシステムの運用をフルに発揮できるようにしたのだ。
「そして───刻々帝《
今度はなのはちゃんに対象の時間を戻す弾、《四の弾》を打ち込んだ。
「夜月ちゃん・・・・・・」
「これで、なのはちゃんの怪我や魔力は失う前までに戻したわ。・・・・・・行ってきなさい」
「え」
「聞こえなかった?あなたの魔法は誰かを助けたいための魔法なんでしょう?なら行ってきなさい」
「っ・・・・・!うんっ!レイジングハート!」
《Yes,Master》
私の言葉を聞いたなのはちゃんは、レイジングハートを展開して空に上がって行った。それを見つつ、今度はアミティエさんの監視の局員に声をかけ命令する。
「アミティエ・フローリアンさんの拘束を解除。彼女の持ち物を返却して下さい」
「は、はい!」
私の声に、怯えたようにしてアミティエさんの拘束を解き彼女の持ち物を返却した。
「夜月さん・・・・・・」
「アミティエさん、行きますよ」
「!はい!」
「シャーリーちゃん、あとはお願いね」
「わかりました」
シャーリーちゃんにあとは任せ、私はなのはちゃんを追うためフォーミュラスーツを着たアミティエさんと一緒に空に上がっていった。