魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語   作:ソーナ

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出撃と助っ人

 

〜明莉side〜

 

 

「さて、どこから話したらいいのかしら・・・・・・」

 

目覚めた二人を連れて私は自室に向かい、自室の扉の鍵を閉めて二人に話す。

 

「まずは、お二人に謝罪しますね」

 

私は1番初めに言うとしたらこれだと思い、二人に頭を下げる。

 

「前世で零夜くんを死なせてしまって、申し訳ありません」

 

「あ、頭を上げてくださいアマテラスさん!」

 

「そうですよ!別にアマテラスさんが謝ることなんて・・・・・・」

 

「ですが、私は間違えて零夜くんを・・・・・・」

 

「零夜くんはこの世界で生きています。それでいいと、私は思います」

 

「私も。零夜がここで生きてくれてるならそれでいいです」

 

「・・・・・・やはりお二人とも、零夜くんと同じこと言うのですね」

 

もう五年ほど前の・・・・・・初めて会った時に零夜くんが言った言葉と同じ台詞に私は表情を緩める。私の言葉に、二人はふふっ、と微笑んでいた。

 

「ありがとうございます、愛奈美さん、華蓮さん」

 

二人・・・・・・愛奈美さんと華蓮さんに頭を下げてお礼を言う。

 

「明莉さん、教えてください。言っていた、零夜くんの能力の一つ『消滅』について」

 

「そうですね」

 

居住まいを正して私は愛奈美さんと華蓮さんに話す。あの子、零夜くんの持つ、最も危険な能力について・・・・・・。

 

「あの子の『消滅』はただの消滅ではありません。存在そのものを消す、最凶の能力です」

 

「最凶・・・・・・」

 

「はい。ヘタしたら、私たち神々も消滅しかねないでしょう」

 

「「っ!?」」

 

零夜くんの持つ消滅は、普通の消滅とは違う。普通の消滅は、そのモノを分解して消すが、零夜くんの消滅はすべてを消す。分解し、無に返してそのモノ自体の存在を消す。そもそも、消滅という能力自体、保持してるものがいないのだ。破壊なんて生温い、その気になれば世界そのものを虚無の果てにまで消し、無と返すことだって可能だろう。

 

「零夜くんはの消滅は、とてつもない絶望と虚無感により目覚めたと思います」

 

「絶望と・・・・・・」

 

「虚無感・・・・・・」

 

「はい。おそらく、トリガーとなったのは前世での・・・・・・」

 

私のその言葉に二人はハッ!となり、口に手を添えた。

 

「ま、まさか・・・・・・」

 

「もしかして、私たちが死んで・・・・・・」

 

「はい・・・・・・」

 

零夜くんの『消滅』の発動となる切っ掛けとなったのは愛奈美さんたちが亡くなったことだ。それも家族を亡くしたのだから。虚無感と絶望に浸れ、負の感情が増幅したため現れたのだと私は思う。

 

「幸いにも、今のあの子は友達とも言える人がたくさんいますから大丈夫ですけど・・・・・・。もし、また何か・・・・・・大切なものが失くなったら、あの子は無作為に消滅を使うでしょう。それも無意識に」

 

「「・・・・・・」」

 

二人は私の言葉に息を詰まらせた。この事は零夜くんにも、なのはちゃん達にも言ってない。言ってるとすれば、それは同じ転生者である夜月ちゃんだけだ。あの娘はアルテミスの眷族だから信頼出来る。

 

「お二人は正規の手順ではないのだけど、それぞれ愛奈美さんが美咲の。華蓮さんが知智の、眷族になっています」

 

私が引き受けてもよかったのだけど、美咲と知智が引き受けるといったため下がった。この事は零夜くんも承知済みだ。ちなみに、零夜くんのことに関しては天界でも一部の神や天使の間で有名だ。というか、私が弟を自慢してるんですけどね。そのうちファンクラブなんか出来るのではないかと思っていたりします。

 

「そしてこれが、お二人のデバイスです」

 

背後に置いてあった二つのペンダントをそれぞれひとつずつ渡す。

 

「愛奈美さんのデバイス名は『エタニティメサイア』。華蓮さんのは『エリュシオンネイト』」

 

「エタニティメサイア・・・・・・」

 

「エリュシオンネイト・・・・・・」

 

「ちなみに二つとも零夜くんのお手製ですよ」

 

「「ふぁいっ?!!」」

 

二人は私の言葉に目を大きく広げて驚いていた。私自身驚いているのだから、当然だろう。これであの子のハンドメイドのデバイスは四つ。最初のふたつはあの娘たちに。そして残りのふたつはこの子たちに。正直、あの子の才能には驚かされる。『天才』と言っても過言ではない。幾ら、知智たちに教えて貰ってるからとはいえ、特典だけではここまでいかないはずなのだ。

 

「二人にお願いします。その力で零夜くんを守ってあげてください」

 

「「もちろん!」」

 

私が言わなくても、この子たちは零夜くんを守るだろう。何がなんでも。今度は、絶対にこの手から離さないために。二人の目に浮かぶ決意の瞳を見て、私はそう思った。

 

〜明莉side out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜零夜side〜

 

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

「あ、あのー、零夜さん?」

 

ぼぉー、っとしてデータベースやらなんやらを検索していた僕にアミタさんが恐る恐る声をかけてきた。

 

「・・・・・・ん?なんでしょう?」

 

「あ、あの、失礼ですけど零夜さん、あなた本当に十一歳ですか?」

 

「十一歳ですよ?(肉体年齢は)」

 

アミタさんの質問の意図が分からず普通に返す。最後の方は心に出して言ったけど。

僕の年齢を聞いたアミタさんとキリエは。

 

「あれで私より歳下・・・・・・!?」

 

「どうみても歳上にしか見えません・・・・・・」

 

と言っていた。

さらに。

 

「ホント、いつ見ても十一歳には見えないわよね〜」

 

「うん。九歳で一部隊の隊長を引き受けたんだからね〜」

 

「え、えっと、その、あの・・・・・・」

 

ニヤニヤして言う僕の実年齢を知っているアリサとなのは、オドオドするフェイト。フェイトはともかく、アリサとなのはに呆れた眼差しを向けて、技術室でなのはたちの武装の改装を手伝っている凛華たちにデータを送る。

 

「ふぅー。これでなのはたちの武装の改修データは完了、っと。あとは・・・・・・クロノ、そっちはどう?」

 

クロノに通信を開いて訊ねる。

 

『デュランダルの調整があと少しだ。さっきは【煌月の氷月華(ザ・ルナティシクル・ムーンライト)】を使用しなかったからな・・・・・・言い訳に聞こえるかもしれないが、不意を着かれた。だが今度はそうはいかない』

 

「頼りにしてるよクロノ」

 

『ああ、任せとけ』

 

自信満々というか、いつものクロノに戻ったようだ。そのまま会話を続けていき。

 

「それで、結界については?」

 

『それなら問題ない。すでに母さんたちが関東全域に広域結界を張ってくれてる。ユーノも協力してくれてるからな、問題ない』

 

「そう。それならよかった」

 

『出来ればあの広域結界型アーティファクトを使って欲しかったのだが・・・・・・』

 

「それは無理。あれ使いながら長時間の戦闘は厳しいから。それに、僕以外が使用して関東全域を覆うとなると、Aランククラス並みの魔導師最低三十人分の魔力が必要。しかも魔力が無くなったら解除されるから」

 

僕の持つ広域結界型アーティファクト『無限抱擁(エンコンパンデンティア・インフィニータ)』は確かに関東全域くらいなら楽々に結界の中に閉じ込めることが出来る。そもそも、このアーティファクトは『無限』と名の付くとおり、結界内は無限に広がっており果てが無い。

 

『相変わらずキミのはえげつないと言うか、チートというかなんというか・・・・・・』

 

「褒め言葉として受け取っておくよ」

 

クロノのその言葉にはもう聞き慣れてるため不敵に笑って返す。

 

「ああ、クロノ」

 

『なんだ?』

 

「助っ人の二人が行くから、その二人には攻撃しないでね」

 

『は?助っ人?』

 

「うん、助っ人」

 

僕の言葉に疑問符をうかべるクロノとその後ろにいるエイミィさん。そして話を聞いていたなのはたち。

 

『助っ人、って誰が来るんだ?』

 

クロノの問いに。

 

「───僕のお姉ちゃんと幼馴染み」

 

僕は笑みを浮かべて言った。

 

『は?』

 

何言ってるんだ?と言うような表情のクロノたちを見ながら、含み笑いを浮かべて凛華達のシステム調整を始めた。

 

 

 

それから数時間後。

 

 

 

『───対象イリスを発見したわ。全員出撃よ』

 

四十年前の出来事とイリス、ユーリの関係を知った僕らにレティさんの声が響いた。地球にいるはやてたちはすでに出撃し、僕らは局の技術室に向かった。

移動する間。

 

「うん───うん───あ、了解。僕らもこれから出撃だから。あ、うん、わかってるよ〜。うん。───あはは、うん。まかせて。それじゃ、お姉ちゃんたちにも伝えてくれるかな?───ありがとう明莉お姉ちゃん。うん、気を付けるね」

 

地球にいる明莉お姉ちゃんとスマホで連絡を取り合っていた。

 

「ふふ、ふふふふふ」

 

「れ、零夜、あんたどうしたの・・・・・・?さっきから様子が変よ?」

 

「そんなことないよアリサ〜」

 

アリサの問いに普通に返す。

 

「っ!?あ、あんたその眼・・・・・・!?」

 

「ん〜?」

 

「い、いえ、なんでもないわ。気の所為だったみたい・・・・・・」

 

なにか怯えるようなアリサに不思議を感じながら前にいるなのは達を追い掛けて歩く。

 

「・・・・・・零夜のあの眼・・・・・・不気味・・・・・・いえ、恐怖を感じたわ。それに、あの虹彩・・・・・・ユニゾンしてないのに・・・・・・」

 

隣を歩くアリサが何かを言ったみたいだが、この時僕は聞こえなかった。

僕はただ楽しみなのだ。ようやく、お姉ちゃんと華蓮に会えるから。僕の前から亡くなった二人と、ようやく再会できるから!そのためにはまず、イリスの起こしたこの事件に蹴りを付けないとね。

僕がそう思っている数時間前、地球の東京湾で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜夜月side〜

 

 

 

東京湾に配置された指揮船の船のテラス部分で、私は一人で夜空を見ていた。そこに。

 

「どうかしたのかいマスター?」

 

「夜月ちゃん、顔色が優れないようですけど・・・・・・もしかしてまだ快復して・・・・・・」

 

「ううん。大丈夫。ありがとうソラ、イリア」

 

私の魔導書であるソラとイリアがやって来た。

 

「ただちょっと、はやてちゃんたちの話を聞いてね」

 

「ああ、二年前の闇の書事件のことか」

 

「うん」

 

その事は詳しくは知らなかったけど、今日はじめて聞いて如何にレイくんが凄いのか分かった。

 

「まさかたった一人の女の子の為にこの世界・・・・・・というより、次元世界全てを敵に回すなんて・・・・・・」

 

「普通じゃありえないだろ・・・・・・。てか、その時零夜はまだ九歳だったんだろ?並大抵の覚悟じゃ出来ないぜ」

 

「うん・・・」

 

正直言って、私じゃそんな覚悟は出来ない。レイくんが対人戦や指揮が上手いのは転生特典や転生したからじゃなくて、ただ単に本当の命のやり取りをしたから。その実戦経験が今のレイくんなんだと思う。ホント───

 

「適わないなぁ・・・レイくんには・・・・・・」

 

スキルもそうだけど、魔法の応用と汎用性、身体能力や頭脳も、全てがレイくんに劣ってる。もし本気でレイくんが私を殺しに来たら、私は手も足も出ないと思う。キャパシティが違い過ぎる。私もそれなりに訓練してるし、魔法の応用や汎用もしてるけど、やっぱり適わない。この気持ちは初めてだった。憧れとも言える好意に。

そう思っているところに。

 

『夜月ちゃん、悪いんやけど今すぐレクリエーションルームに来てくれへんかな?』

 

空間ウインドウが開きはやてちゃんが言ってきた。

 

「分かったよー」

 

はやてちゃんにそう告げてディアーチェちゃんたちのいるルームに向かおうする。そこに。

 

「マスター、零夜に気を付けとけよ」

 

真剣な声でソラが忠告してきた。

 

「ソラ?」

 

「イリア、あんたも気づいてるんだろ?アイツの異常さに」

 

「それは・・・・・・」

 

「ジュデッカとカイーナも分かるだろ、零夜の異常とも言える性格に」

 

《知ってますよソラ》

 

《もちろんです》

 

ソラの言葉にペンダント状態のジュデッカとカイーナが答える。

 

「マスター、あいつは次に何か・・・・・・親しい人が亡くなったり何かあったら、今度こそ壊れるぞ」

 

「ソラ」

 

ソラの忠告に私は何も言えなかった。それは、私も気づいていたからだ。レイくんの異常さとあの顔の下を。あれは大切な人を亡くした者の、壊れた瞳だった。ゆえに、私はソラに。

 

「わかってるよソラ。レイくんが例え全ての人を敵にしても、例え壊れても、私が絶対に治して護るから。レイくんにこれ以上苦しみは与えない」

 

そう言ってレクリエーションルームに向かった。

明莉さんから聞いた話を脳裏に思い出して私は歩いた。自分に誓い立てて。それは、どんなことがあってもレイくんは守るということ。別に同情心とかじゃない。守りたい。ただ、それだけのこと。

その数時間後。

私たちは甲板に出ていた。理由はこれから出撃だからだ。

 

「───ディアーチェちゃんにはこれね」

 

そう言って、さっき送られてきたレイくんが作成したデバイスの入ったアタッシュケースを渡す。

 

「む?なんだ?」

 

「レイくんが夜天の書をモデルとして作り出した魔導書(グリモワール)型デバイス」

 

「なに?」

 

「それと、レイくんから伝言があるよ」

 

「伝言?」

 

「うん。『ユーリの事はディアーチェたちに任せる。けど、イレギュラーが発生したらすぐに知らせて』だってさ」

 

この文からに、レイくんは嫌な予感が頭に浮かんでるみたいだ。

 

「ふん。余計なお世話だ。だが良かろう、わかったと伝えてくれ」

 

「オッケー」

 

ディアーチェちゃんからの伝言を覚え、後でレイくんに伝えるようにする。

 

「それじゃあ行くよ。みんな、準備はいい?!」

 

『『『『おう!(はい!)(ええ!)』』』』

 

「それじゃ、いくよ!」

 

はやてちゃんたちはバリアジャケットを。私は霊魔装を展開して空に上がって行った。事件を解決し、残りの夏休みを楽しく過ごすために。

 

 

 

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