魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語 作:ソーナ
〜零夜side〜
本局からなのはたちとともに出撃した僕はみんなと分かれて、一人でイリスのコピー。軍隊イリスとやらと戦闘していた。
「ねぇ、そろそろイリスに連絡取ってもらえない?」
僕の周囲には切り刻まれた軍隊イリスが転がっており、視線の先には三人の軍隊イリスの指揮官がいた。指揮官クラスのコピーイリスは他の軍隊イリスとは違っていた。
「断る!」
「あなたはここで排除します!」
「最優先目標としてあなたを倒しますわ」
一人目は微妙にシグナムに似て刀型の武装をし、二人目は如何にも魔導師というような魔導書のような物を持ち、三人目は二丁銃型の武装を持ち、お嬢様のような雰囲気だった。
「(この三人、出来ることなら無傷で捉えて僕のところに入れたいなぁ〜)」
三人を見て僕はそう思った、もっとも、三人はマスターであるイリスの言う事しか聞かないと思うけど。
「凛華、澪奈、あの三人は無傷で捉えたいから手加減してね」
「はい!」
「まかせて!」
ちなみに僕は聖良とユニゾンしており、デバイスである凛華たちは人型形態で各個軍隊イリスを相手していた。凛華たちは並大抵の魔導師には負けない強さを持つ。まあ、マスターが僕だからね。
「星夜、紅葉、そっちはどう?」
後方で同じく軍隊イリスと戦っている星夜と紅葉に聞く。
「問題ないわよ」
「マスター、こっちは大丈夫です」
「オッケー」
喋りながら、星夜は光属性の魔法で軍隊イリスを攻撃し、紅葉は炎と氷を多様に使って軍隊イリスを翻弄していた。
「それで、僕の相手は誰?」
と三人に訊ねる。
「「「あなたの相手は私たちだ!」」」
そういうや否や、三人は同時に攻撃してきた。
「ははっ!いいよ!凛華、澪奈は他の軍隊イリスやエクスカベータを相手して。彼女たちは僕と聖良がやる!」
「はい!」
「うん!気を付けてね!」
そう告げると、二人は他の軍隊イリスたちに向かって行った。
「行けるね聖良」
《うん!お兄ちゃん!》
聖良と確認して、僕は
「推して参る!」
「はああっ!」
「やああっ!」
「ははっ!面白い!」
刀を構えた子の突進を受け止めて、銃を放った子の弾丸を切り裂く。
「いいよ!面白いよ!」
「そんな余裕もいつまで持つかな!」
「行きなさいエクスカベータ!」
後ろの魔導書のようなものを持った子がエクスカベータを作り出した。作り出されたエクスカベータは命令のもと、僕を攻撃しようとするが。
「ふふ」
「なっ!?」
「な、なにをしたの!?」
指を鳴らすと、一瞬のうちに消えてなくなった。
「物質分解魔法───
僕は単純に、エクスカベータの存在を無かったことに・・・・・・というより、エクスカベータという物の物質を分解し、無に返したのだ。有り体に言うなら、水が気体になって、水という液体物質が無くなったのと同じだ。水は水素と酸素で出来ている、それを元に、水が出来る前の元素、水素と酸素に戻した、それのエクスカベータ版だ。もっとも、エクスカベータは造られる鋼材のまえ、元素にまで戻して消したんだけど。
「ぶ、分解・・・・・・だと・・・・・・!?」
「そう。ありとあらゆるものを分解し、始原へと戻す。始まりはどれも同じだからね、それが途中で変化したのがそれらだし」
「なんて魔法なの・・・・・・」
「あなたは本当に人間か・・・・・・?!」
驚く指揮官クラスのイリスたち。
正直言って、この『分解』って、『消滅』の下位互換なんだよね。『破滅』ぐらいにまで上げようかな?
「あ、言っとくけどこの魔法は君たちには使わないから」
「なに?」
「どういうつもりですの」
「私たちに手を抜くつもり?」
「まあ、そうなるかな?だって、これ使ったら君たち、もう存在してないよ?この空間に」
僕の『消滅』系統の力は、人だろうと物だろうと、なんだろうと一切関係ない。例え防御魔法を張ったとしても、防御魔法ごと消滅してしまえばなんの問題ない。言うならば、この能力は防ぐことがほぼ不可能だという事だ。まさに最凶最悪の魔法である。
「ま、もう君たち終わってるし」
僕がそう言うと。
「「「っ!?」」」
彼女たちを囲むように、結界が張られた。
「封絶結界───《
永零絶界は封絶結界のひとつである絶界の範囲を狭め、対象を捕らえる捕縛する魔法だ。中からも外からも、この結界を破ることは出来ないため、範囲は狭いがかなり使える捕縛魔法である。もっとも、術者である僕しか破れないけど。
「悪いけど、少し眠ってて」
それと同時に、三人の意識を落とす。
意識を落とした理由は単純に、僕が結界内部に催眠魔法を流したからに過ぎない。
「さてと───」
凛華たちの方を見ると、すでに軍隊イリスの掃討が終わっていた。
「この三人、どうしようか・・・・・・」
「まさか考えてなかったんですか?」
「いやー、捕獲だけが頭の中に入ってたよ」
「えぇー・・・・・・」
僕の言葉に凛華は引き攣り笑いを浮かべる。
そんな緊張感も全くないところに。
《お兄ちゃん、また増援が来たよ》
聖良の声が聞こえてきた。
「ありがとう聖良」
《うん!どういたしまして!》
聖良にお礼を言い終えると同時に。
「数は───1、2──────全部で10体かぁ」
エクスカベータの大群が押し寄せてきた。
それが見えると、僕は懐から二丁拳銃型の特化型デバイスを取り出した。
「うーん、どうする?あれ?」
僕が片付けてもいいけど、敢えて凛華たちに問う。
そんなところに。
「「はああああああああああ!!」」
上空から降りてきた何かがエクスカベータを破壊した。
「何事!?」
「っ!?今の声、まさか・・・・・・!!」
警戒する凛華たちを他所に、僕は今聞こえてきた声に目を見開く。
衝撃で土煙が上がる中。
「「合技魔法!───
そんな声と同時に甲高い音が鳴り、一瞬で大半のエクスカベータが消えてなくなった。
「えっ!消滅した!?」
「いや、違うよ澪奈。今のは高威力の炎系統の魔法と同威力の氷系統の魔法ふたつが相重なって、対極して消滅したんだ!」
現に、目の前は僅かに白い煙を残して後はすべて無くなっていた。
僕の使う『消滅』とは違う『消滅』。いや、これは『対極消滅』と言うべきかな、二つの相反する属性の魔法をぶつけて対象を崩壊させる合技魔法。
「(あれはアリサとすずかもまだ使えないのに使えるなんて・・・・・・!)」
内心驚きつつ視線の先を見る。
やがて煙が晴れると───
「もお!いきなりやるって言われてかなり焦ったんだよ華蓮ちゃん!」
「ご、ごめんなさい愛菜美お姉ちゃん。私もちょっとノリ気で」
「あはは。まあ、私もだけどね」
そんな呑気な会話が耳に入ってきた。
そんな二人のところに。
「!危ない!」
「「っ!?」」
生き残っていたエクスカベータが巨大な腕を振り下ろした。
しかし、その攻撃は当たらなかった。何故かと言うと。
「───その薄汚い腕で僕の大切な家族に触れないで欲しいな」
超高速の連弾魔法でエクスカベータの巨体を穴だらけにし、元素分解して消滅させたからだ。
「───
そう言うと同時に風が巻き起こり、辺り一帯の煙が振り払われた。煙が振り払われると、そこには。
「あ!助けに来たよ零夜!」
「零夜く〜ん!お待たせ〜!」
長い、艶のある髪と同じバリアジャケットを纏ったお姉ちゃんと幼馴染の姿があった。手にそれぞれデバイスを握り締めて。
「ふふ。待っていたよ、お姉ちゃん、華蓮」
僕は嬉しさを強引に内に押し留め、お姉ちゃんと華蓮と話す。
まあ、さすがにそれもすぐに無駄になり───。
「会いたかったよ零夜くん〜!!」
「会いたかったわ零夜!!」
「おわぁっ!!」
飛んで抱きついてきた二人に押し倒された。く、苦しいぃ。あと危ない!
なぜ危ないのかと言うと、二人は今デバイスを手に持ってる=刃が付いてる=刃物=危険。というわけである。具体的に言うなら、包丁を持っている状態で抱きつかれてるのと同じ感じだ。
「ふ、二人ともストップ!ストーップ!」
僕が慌てる中凛華たちは呆然としていた。ちなみにユニゾンしている聖良にはあまり影響が出てなかったりする。
とまあ、しざらく二人に抱擁されていたけど。
「あ、あの〜、今そんなことやってる場合じゃないような・・・・・・」
澪奈がオドオドと言ってきた。
そこに。
「っ!
高魔力の攻撃が襲いかかって来た。とっさに時空魔法の障壁を360度全方位に張り攻撃を防ぐ。そして。
「お返しだよ!
防いだ攻撃を、威力や速度などを倍にして返した。
「うわぁ・・・・・・」
「よ、容赦なし・・・・・・」
跳ね返った魔法を見てお姉ちゃんと華蓮が若干引きながら言った。
「お姉ちゃんと華蓮。僕の・・・・・・大切な家族に手を出そうものなら僕は容赦しない」
さっきのタジタジから一転して、視線を鋭くして攻撃が放たれた場所を見る。そこには数人の白いローブを纏った人間がいた。
「やあ。さっきぶりかな?
「
手に《
「さて、今回は逃がさないよ。ま、第一の目標はそのロストロギアの回収だけど・・・・・ねっ!」
そう言うと僕は遠慮なしに氷結魔法をぶちかました。
「っ!その場から離れろ!」
しかし、直前にガハト・レグリスタの言葉でかわされてしまった。
「へぇ。なら、今度はこれはどう!」
全方位からの攻撃。
研究会全員を囲むように展開する。そして、一斉に放つ。
「ははっ!かかって来い!」
そう言うと僕はその場を蹴り、研究会のいるところに瞬道で一瞬で付く。付くなり。
「「っ!」」
「まずは二人・・・・・・」
近場にいた研究会の人間二人を拘束魔法で拘束する。
もちろん、魔法無効化も忘れない。
「そして・・・・・・」
光魔法と時空間魔法を合わせて移動し、瞬く間にその場の人間をすべて捕まえていく。
「手も足も出ないだと・・・・・・!?」
「あとはあなただけだねガハト・レグリスタ?」
「貴様、分かっているのか!?その力は人の身には有り余る能力だ!それを行使し続けるということは・・・・・・!」
「あれ?意外に優しいんだね。わかってるよ、あなたに言われなくても」
ここ最近の僕の能力の上昇は郡を抜きすぎている。理由は恐らく、明莉お姉ちゃんの眷属化が始まっているからだろう。つまり、今の僕は半人半神という事だ。
「さあ、やろうかガハト!」
そう言うと、僕は両手に断罪の剣を現出させてガハト・レグリスタに迫る。
「ちっ!」
《破血の鋭業剣》と断罪の剣がぶつかり衝撃波が走る。
「(聖良、魔力のコントロールお願いね!)」
《うん!任せてお兄ちゃん!》
ユニゾンした聖良と共にガハト・レグリスタを攻撃する。
「くっ!」
魔法を放つガハトの攻撃を、魔力弾なら斬り、範囲攻撃なら範囲外にまで避けるか、無効化を張る。
「この化け物───っ!」
「化け物だなんて心外だなぁ〜───っとぉ!!」
喋りながら高等魔法を連続で放つ。
後ろで見るお姉ちゃんや凛華たちの安全も考慮しているけど。やがて戦闘舞台は空へとなった。
「はああっ!」
「せやあっ!」
超高速で移動する僕に、ガハト・レグリスタはギリギリのところで追いついていた。僕達の戦闘で、辺りの建物が壊れていく。まあ、結界内だから現実世界は問題ないけど。
「《破血の鋭業剣》!」
「ん?」
ガハト・レグリスタが《破血の鋭業剣》に向かって叫ぶと、驚いたことに、ガハト・レグリスタの傷と魔力が回復していっていた。
《っ!血液を媒体にした治癒能力!?》
「(血液?)」
《うん!恐らく、自身か《破血の鋭業剣》で吸い取った血液を媒体にして回復してるんだと思う!》
「(へえ)」
聖良の言葉を聴きながら僕は驚く。冷や汗も少し流す。
「今度はこちらの番だ!」
「───っ!」
攻撃パターンが変わったガハト・レグリスタに驚きながら攻撃を捌く。
「うおおお!」
「っ!───来れ、虚空の雷、永蒼の氷!凍て纏いて、薙ぎ払え!氷雷の戦斧!!」
砲撃魔法を氷と雷の複合魔法で相殺し、
「───集束・精霊の息吹!」
お返しに精霊魔法の砲撃を放つ。
「《破血の鋭業剣》!」
「っ!?今度は盾!?」
《破血の鋭業剣》の能力なのか、《破血の鋭業剣》の前に現れた盾にぶつかり、直撃とまではいかなかった。
「はっはっ!面白い!貴様との戦闘はやはり心震え湧き上がる!」
「それはどうも!」
何度目か分からない《破血の鋭業剣》と断罪の剣の打ち合い。
「(聖良、ほかのところの様子は?)」
《えっと───なのはちゃんたちはそれぞれ軍隊イリスを捕縛をしてるよ。あ、ディアーチェちゃんたちユーリちゃんと戦ってる!》
「(了解!)」
聖良から戦況を聞きながら次々に攻撃動作を模索する。
「天陽流剣技───
『蒼天乱舞・炎獄』の反対、『蒼天乱舞・氷月』は氷属性の剣技だ。『蒼天乱舞・炎獄』と違うのは、風の檻に閉じ込められたそこに、水と炎ではなく、氷で足止めをし、足止めをしたところに高速の剣技を放ち、対象を氷漬けにすることだ。しかし、
「っ!?へぇ」
ガハト・レグリスタは『蒼天乱舞』の軌道を見切り、《破血の鋭業剣》で自身に当たらないように軌道を逸らしたりして避けた。
「なら───!」
僕は断罪の剣を集中させ、周囲のエレメント・・・・・・精霊の力を借りる。断罪の剣に精霊の力を取り入れ、手刀から実態化を行う。思い描くのは長い片手剣。イメージの剣士は彼の黒の剣士。なにも全てを黒の剣士と同じにする必要は無い。イメージを作り、集中させ剣を形作る。
やがて───。
「───精霊武装、
二本の長剣のような形をした剣が現れた。
手刀から手に持つ剣。斬れ味や性能は断罪の剣より上だ。僕の魔法と周囲に漂うエレメント、そして精霊の能力を使用して形作り現出化した剣。
「そ、その剣は・・・・・・!」
驚くガハト・レグリスタに、
「───いくよ」
僕は一筋の風のように抜けさり、抜け際に軽く斬り裂いた。
「なっ───!!?」
「うーん。やっぱり、もうちょっと調整が必要かな〜?」
《だね。私も頑張るよ!》
「(うん!お願いね聖良)」
再び意識を集中させ、漏れ出ていた精霊と魔力を体内に留める。いや、貯蔵すると言った方が正解か。必要な時に放ち、不必要な時は放たない。0から1、1から0のON/OFFへの切り替え。
「(・・・・・・よし)」
閉じていた眼を開き、自身の身体を確認する。
身体からは
「な、なんだ、その莫大な魔力は・・・・・・!しかも魔力だけじゃない!これは・・・・・・!」
「自身の魔力と周囲のエレメント、そして精霊の力を借りて、それを統一化。名付けるならそうだな〜」
《精霊の加護を受けし魔法の外套───『
「(あ、いい名前だねそれ!じゃあそれにしよう!)───『
そう言うと僕は二双を振り払う。
「いくよ!」
「っ!」
僕は一言そう言うと、再びガハト・レグリスタに向かって飛んで行った。