魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語   作:ソーナ

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魔王の片鱗

 

〜零夜side〜

 

 

「───『魔法と精霊を統一しせし王の外套(マナスピリット・コンバーティオローブ)』」

 

白銀に光り輝く外套を羽織り、実体化させた精霊武装、精霊の剣(スピリットソード)を構える。精霊の剣は外套と同じく、白銀の光を放ち神々しい眩い光を輝かせていた。

 

「(ふぅ。精霊魔法・・・・・・ようやくできた)」

 

ガハト・レグリスタに向かって飛びながら、僕は心に出して言った。

僕の今使ってる魔法は、精霊魔法。精霊魔法は大気のあちこちにいる精霊の加護を受けた魔法だ。元々、ムンドゥス・マギクス式は自身の魔力と周囲にあるエレメントに干渉して繰り出す魔法だ。精霊魔法はムンドゥス・マギクス式でも使う、エレメントの上位、精霊に力を貸してもらって使う。まあ、僕の使う精霊魔法はムンドゥス・マギクス式と一体化させてるけど。だから、この外套は『魔法と精霊を統一しせし王の外套』なのである。

そのためか、僕の目には魔力の流れや周囲のエレメントの流れが手に取るように分かっていた。

 

「はあああーっ!」

 

「うぐ・・・・・・っ!」

 

高速で空を飛びながら、ガハト・レグリスタと戦う。場所は移動し───。

 

「っ!?零夜君!?」

 

「零夜!?」

 

首都、東京の東都スカイタワーの辺りにまで来ていた。

目下にはシャマルとザフィーラたち局の武装隊が軍隊イリスらを捕縛していた。

 

「おのれっ!」

 

「ぜりゃあ!」

 

ガハト・レグリスタの放つ魔法弾を魔法の射手(サギタ・マギカ)で迎え撃ち、

 

「うおおおおぉ!」

 

「やああああっ!」

 

ガハト・レグリスタのロスト・ロギア《破血の鋭業剣(ダインスレイヴ)》と僕の精霊の剣がぶつかり衝撃波を巻き起こす。

 

「ぐっ・・・・・・!」

 

「キャッ!」

 

衝撃波は下のシャマルたちにも襲い、シャマルたちは悲鳴を小さく上げた。

 

「──術式解放(エーミッタム)雷神の一刀閃(メギンギョルズ)!」

 

雷光の光による斬撃が一直線にガハト・レグリスタに向かう

 

「くそ・・・・・・っ!」

 

「さらに!―――雷神の一刀閃、七戟閃(セブンズエッジ)!」

 

追加で、雷神の一刀閃を七撃放つ。

 

「―――調子に乗るなああっ!!」

 

しかしその斬撃は、《破血の鋭業剣》を使った斬撃で相殺された。けど―――。

 

「(聖良、そっちは大丈夫?)」

 

《うん!というより、凄いよ!力が漲ってきてる!》

 

『魔法と精霊を統一しせし王の外套』の効果は僕だけでなく、ユニゾンしている聖良にも及んでいるようだ。僕と聖良は、単体でももちろん強いが、僕と聖良がひとつに―――ユニゾンしたら、その力は何倍にも、何十倍にも膨れ上がる。他の人が聖良とユニゾンしたらおそらく自滅するだろう。とういうより、そもそも他の人は聖良との適合率がないんだけどね。ていうか、誰が好き好んで他人と聖良をユニゾンさせるか。まあ、夜月やなのはたちならいいけど。

そんなことを考えながらもう幾度ともしれぬ《破血の鋭業剣》と精霊の剣がぶつかり、魔法が連続で撃ち合う。

 

「(聖良、残りの魔力ってどのくらい? )」

 

《えっとね〜。まだかなりあるよ。というか、減っても精霊さんが回復してくれてる》

 

「(マジですか!?)」

 

道理でさっきから全然魔力が減らないわけだ。バンバン高等魔法を撃ってはいるのに減らないから不思議だったけど。これについては、あとで調べるとしますか。そう思って辺りを見渡す。

辺りは、結界を張ってなかったらどうなっていたかとし思うほどの参上だった。すでに場所も東都スカイタワーのところから移動して、どこかの森林の上空だった。遠目から見ても、嵐の過ぎ去ったような感じで、僕らの戦闘の余波でここまでなるとは思ってなかった。

まったく息の切れていない僕に対して、ガハト・レグリスタは少しだけ息を荒くしていた。まあ、あんだけやってたらそうなるよね。

 

「く・・・・・・っ!まさか、この我が・・・・・・ここまでやられるとは・・・・・・」

 

「もう魔力は残り少ないでしょう?そこまでにしたら」

 

僕がガハト・レグリスタに投降勧告を告げる。

そこに。

 

「───やれやれ。情けないですねガハト?」

 

僕とガハト・レグリスタ以外の声が響いた。

 

「誰だ!」

 

「この声は・・・・・・」

 

それぞれ、今の声について問答していると。

 

「───わたしですよ」

 

僕とガハト・レグリスタを間の空間が揺らぎ、そこから槍を握った人物が現れた。

 

「(っ!?空間を切ってだと!?)」

 

空間を切って現れた人物を見て、僕は目を見開いた。

 

「―――なんのようだクルト・ファレウム・・・・・・」

 

「あの方が、貴方に帰還を命じてます」

 

「なに?」

 

「まったく、せっかくの休暇だと言うのに・・・・・・。ガハト、貴方のせいで台無しですよ」

 

「む・・・・・・そ、それは・・・・・・」

 

「はい?」

 

「―――すまなかった」

 

一瞬感じたとてつもない寒気に、僕はクルト・ファレウムを凝視する。

 

「(やっぱり・・・・・・。あの時あいつは全然本気を出してなかった!)」

 

クルト・ファレウムから感じた濃密な殺気と魔力に僕は冷や汗をかく。

 

「さて。早く済ませてわたしは休暇を満喫したいのです。なのでガハト、貴方はそのまま一直線に帰還しなさい。いいですね?」

 

「あ、ああ」

 

「ま、待ちなさい!逃がすと思う?!」

 

撤退しようとするガハト・レグリスタに捕縛魔法を放つ。

が。

 

「悪いのですが、彼はまだ必要な人物なのです。ここで捕まらさせるわけにはいきません」

 

クルト・ファレウムの妨害魔法で消えた。

それと同時に、ガハト・レグリスタがこの空間から消えていなくなった。

 

「ちっ!クルト・ファレウム!」

 

「いやー、すみませんね天ノ宮君」

 

「どういうつもり!」

 

「わたしに文句を言わないでくださいよ・・・・・・」

 

「あ、ごめん」

 

どこかやつれた表情に不貞腐れた表情のクルト・ファレウムに、さすがの僕も謝ざるをえなかった。なにせ、あいつは今日はバカンスとやらに来てたのだから。というか、本来はすぐに捕まえないとならないのだが・・・・・・。

 

「それで・・・・・・やる?」

 

チャキッ!っと、音を小さく鳴らして精霊の剣の切っ先をクルト・ファレウムに向ける。

対するクルト・ファレウムも槍を小さく動かし―――

 

「―――いえ、遠慮しておきますよ」

 

と言って、槍をしまった。

 

「そ」

 

僕も、殺気を消し切っ先を下に向けた。

 

「戦っても、おそらく今のわたしは、あなたには勝てないと思いますし」

 

「どの口が言うか・・・・・・あの時だってあなた、本気を出してなかったでしょうが」

 

「あらら。さすがですね、そこまで気づかれてるとは」

 

クルト・ファレウムの言葉に肩を竦め。

 

「さっき、ガハト・レグリスタに向けた威圧感で分かったよ」

 

「なるほどなるほど。やはり、君は面白いですね」

 

「・・・・・・それはどうも」

 

やっぱりやりにくい。クルト・ファレウムと話しながら僕はそう脳裏に過ぎらせた。

 

「さて、それではわたしもバカンスに戻りますか」

 

「お好きにどうぞ」

 

「では、これにて・・・・・・あ、ひとつ言い忘れていました」

 

「ん?」

 

思い出したかのように言うクルト・ファレウムに眉を上げる。

 

「―――最高評議会。あの者らには気をつけなさい」

 

「なに?」

 

「やつらは、目的のためなら平気であなた方を切り捨て、利用しますよ」

 

そう言うと、クルト・ファレウムは空間を切り裂いて何処かへと消えていった。

 

「あいつ、一体なにを知ってるんだ・・・・・・」

 

全貌も分からない存在に僕は様々な不安と思惑が過ぎった。が、今は。

 

「―――さっさとこの事件を終わらせないとね」

 

そう呟いて、僕は別の場所へと飛んで行った。

 

〜零夜side out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零夜たちが空で高等戦闘をしてる中、凛華たちはというと―――

 

 

 

〜Outer side〜

 

 

「行っちゃった・・・・・・」

 

「行っちゃったね・・・・・・」

 

「行っちゃいましたね・・・・・・」

 

飛んで行ってしまった零夜の軌跡を見て凛華たちはボソッと呟いた。

その周囲には、すでに多重拘束魔法で縛られている天翼の終焉研究会のメンバーが気絶させられていた。そして、その後ろには零夜の魔法で捕えられて眠ってる、軍隊イリスの司令塔の個体がいた。

 

「えーと、貴女達は弟の・・・・・・零夜くんのデバイスなんだよね」

 

「はい。お二人は、私達のマスターである零夜くんの、実のお姉さんと、幼馴染・・・・・・ですよね」

 

「ええ、そうよ」

 

凛華の問いに返す華蓮。

二人は武装であるデバイスを下げ、刃を収めていた。

 

「まあ、私たちが目覚めたのってついさっきの事なんだけどね」

 

「あはは。目覚めていきなり戦闘、ってのはキツいよ〜。いくら少し練習したとはしても・・・・・・」

 

肩を竦める華蓮と苦笑いを浮かべつつ、ほんわかな感じで言う愛奈美。その二人に凛華達は何も言えずにいた。

 

「もしかして、家にあったダイオラマ球でですか?」

 

「そうだよ」

 

ダイオラマ球は一時間が球体の中では一日というとんでもない魔道具だ。が、原作のダイオラマ球は、ダイオラマ球での一日は現実の一時間だが、この世界のダイオラマ球は、現実の十分がダイオラマ球での一日となっている。元々は原作と同じだったのだが、零夜による時空間魔法と明莉によって、すきなように設定が出来るようになったのだ。

ちなみにそれを行った際、零夜と明莉は翼や知智たちにお説教されたらしい。

 

「とりあえず、この人たちを他の局員に引渡しましょうか」

 

「そうだね。念の為、魔法禁止(マギアロック)を施しておこうか」

 

「そうね。星夜ちゃん」

 

「ええ。わかってるわ」

 

頼まれた星夜は、研究会の人間全員に魔法禁止を施した。

魔法禁止は魔法の流れを阻害し、それ自体を霧散させるものだ。 より正確に、簡単に言うならば、魔法の使用を出来なくさせるものだ。

やがて、すべての研究会の人間に術を施し、転送魔法で局の人がいる場所に凛華たちは送り届ける。それを見送ると、凛華が話す。

 

「さて。それじゃあ、私達は各地に散った軍隊イリスの捕獲並びに対処。それと、結界防衛の魔道士の援護を行います」

 

「ってことは、何ヶ所かに分かれるの?」

 

「はい。二手に分かれます」

 

そう言うと、凛華は。

 

「まず、私と愛奈美さんと星夜ちゃん。もうひとつは、澪菜ちゃんと紅葉ちゃん、そして華蓮さん」

 

空間ウインドウを出して言った。

 

「私達も行っていいのかな」

 

「私たちと一緒なら大丈夫ですわ」

 

愛奈美の疑問には星夜が返す。

 

「それじゃ、各地散開!」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

凛華の声の元、それぞれ三人二組になってそれぞれ飛んで行った。

 

〜Outer side out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜なのはside〜

 

「───はやてちゃん、ユーノ君・・・・・・さっきのって・・・・・・」

 

「あ、ああ、間違いなく・・・・・・」

 

「零夜くんやろ。さっきの・・・・・・」

 

イリスさんのコピーである軍隊イリスさんたちを相手していた私達のところに、ものすごい速さで高速魔法戦闘をした人物がやって来たのだ。

生憎、声は掛けられなかったけど、顔はハッキリと見えた。その顔はほぼ毎日見ている、私の大切な人だった。もう一人は分からなかったけど、零夜くんと戦闘していた。

 

「なんて魔力や・・・・・・こっちにもビンビンきたで」

 

「うん。正直、あれは魔力とは違う何かを感じたよ」

 

「魔力とは違う?」

 

「どういう意味や?」

 

ユーノ君の言葉の意味が理解できなかった私とはやてちゃんは、ユーノ君に訪ねる。

 

「なんていうか、エレメントその物みたいな感じかな・・・・・・」

 

「エレメント?」

 

「それって、ムンドゥス・マギクスで干渉する?」

 

「たぶん。あ、でも、それよりもっと濃い・・・・・・濃密な感じがした」

 

「───遠いなぁ・・・・・・」

 

ユーノ君の言葉を聴きながら、私はふと、そう呟いた。

私の魔法の師は、ユーノ君と零夜くんだ。そして、私の目標は零夜くんである。

 

「それにしても、あの戦闘技術。並大抵の魔導師じゃ相手にならないんじゃないかな?」

 

「せやろなあ。なにせ、あのシャッハを一撃で戦闘不能にしたからなあ」

 

「シャッハって、聖王教会騎士の陸戦AAAランクの騎士シャッハ?」

 

「うん。本気じゃなかったとはいえ、ああも手玉に取るようにやってたからなあ」

 

「───なにかを得るには代償が必要なんだよね」

 

はやてちゃんとユーノ君が話す中、私は二人に聞こえないほど小さな声で、ボソッと呟いた。

私も隠れてかなり無茶な特訓をしてるけど彼みたいに強くは、なれない。なにをしたら、あそこまで強くなれるのか私は知りたかった。いつも、私は零夜くんの足を引っ張ってるから。少しでも、役に立ちたい。そう思っているから。

 

「やっぱり、もっとやらないと・・・・・・」

 

私のその言葉は、誰にも聞かれることなく空に流れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、そう遠くない日に、私は今までの事を後悔することが起こるとは、今の私は全く思ってもなかったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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