魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語 作:ソーナ
〜零夜side〜
ディアーチェ達をシャマルに任せ、僕と夜月、僕とユニゾンした聖良はある場所に向かって飛んでいた。
場所は───
「見つけた!フィル・マクスウェル!」
「っ!?」
首都、東京の東京駅だ。
「キミは・・・・・・!」
東京駅の屋根にいるフィル・マクスウェルに鋭い視線を向ける。
「れ、零夜さん・・・・・・!」
後ろには左頬に真新しいアザが出来てるアミタさんがほぼ瀕死の状態で倒れていた。
僕がアミタさんの前に降り立つと同時に、その後方からなのはが飛んで、隣に降り立った。
そしてそれと同時に、周囲にいたフィル・マクスウェル配下の軍隊イリスが次々に戦闘不能となっていった。
「(へぇ。やるね、みんな)」
遠距離からの攻撃に、僕は感心を抱いた。
「警告です。武器を捨て、投降してください!」
なのはがフィル・マクスウェルに警告する中、フィル・マクスウェルは不敵な笑みを浮かべる。それと同時に、フィル・マクスウェルを紫色のオーラが包み込んだ。
「あれは・・・・・・!」
「っ!」
僕とアミタさんは息を飲み、一瞬でフィル・マクスウェルとの距離を詰めた。
「私と同じアクセラレーターを・・・・・・!」
「───同じではないよ」
僕とアミタさんの突進を弾いたフィル・マクスウェルは武装を銃に変形させ、弾丸を放ってきた。
「っ!アミタさん、手を!」
「!」
瞬時にアミタさんの手を掴み、フィル・マクスウェルの放った弾丸を、集束・魔法の射手で相殺する。
「(っ!?なんて威力!今の集束・魔法の射手は十は魔法の射手を集束したんだよ!?」」
距離を取って、元の位置に戻った僕は、今しがたの手応えからさそう判断した。
性能は恐らく、アミタさんのアクセラレーターよりさらに上だ。
「───稼動効率は君のより遥かに上だ。それに・・・・・・」
「っ!ユーリ!」
フィル・マクスウェルの不敵に微笑みながら言う言葉を聞いてると、ユーリの保護をしていたフェイトの声が聞こえた。
「っ!?」
バッとフェイトの方を見ると、そこには機装腕を展開した時よりも一回り大きい、まさに機装外装を展開したユーリの姿があった。
「フィル・マクスウェル!ユーリになにをした!」
僕の激怒の問いにフィル・マクスウェルは変わらず不敵な笑みを浮かべて言う。
「私は手にしたもの全てを操る事が出来る。それには、ユーリも含まれている。もちろん、イリスもね」
「っ!」
フィル・マクスウェルの言葉を聞いた瞬間、僕はその意味が理解出来た。フィル・マクスウェルは、自身の手にしたもの全てを操る事が出来る。つまり、
「夜月、キリエのところに!」
「うん!」
すぐにキリエの所に夜月を送る。
もし何かあっても夜月なら余程のことがなければ対処出来るはずだ。
転移して行った夜月を視線の端で見ながら、空に浮いてるフィル・マクスウェルをキッ!と睨みつける。
「さあ、君たちも私の手駒に出来るかな」
そう言うと、フィル・マクスウェルはユーリを連れ去った時と同様にその姿を透明にして消えた。
さっきは何も出来なかったけど、今回は───
「聖良、マーカーの方は?」
《大丈夫!ちゃんと追尾しているよ!》
「了解」
現れたエクスカベータ級の機動要塞のひとつを破壊して、ユーリの動きを止める。
「
フィル・マクスウェルがこの場から離脱すると同時に、機動要塞が多数現れ、ユーリが僕らに攻撃しだしたのだ。さらに、下では軍隊イリスの群れがいる。
「───!」
「フェイト!アリサ!」
「うん、」
「ええ!」
ユーリを鎖で動きを止めたところに、フェイトとアリサがそれぞれ攻撃する。
「「はああああーーっ!」」
「!」
フェイトとアリサによるデバイスの刀剣近接攻撃はユーリの張った障壁により阻まれる。
ユーリの力がさっきより上がっているのに気づき、僕はアミタさんに声をかける。
「くっ!アミタさん、動けますか?!」
「はい!大丈夫です!」
「アミタさんはフィル・マクスウェルを追ってください!場所はこれで!」
「はい、分かりました!」
軽く回復魔法を施しながら話、フィル・マクスウェルの追跡をアミタさんに任せる。アミタさんがバイクに乗って行くのを見つつ、アミタさんの邪魔をしようとする軍隊イリスの個体を撃破する。
「───数が多い!」
今この場の戦力は、僕となのは、フェイト、はやて、アリシア、アリサ、すずかの七人だ(聖良は僕とユニゾンしてるため、カウント外)。エクスカベータ級の機動外殻、その数は数十。軍隊イリスの個体数は百は軽く超えてる。
その気になればすぐに殲滅できるが、ユーリに関しては手加減しなければならない。全力を出しつつ、手加減をする。自分で言ってのんだが、かなり厳しい。この状況を打開するために、考えを巡らせなのはたちに指示を出す。
「アリサ、すずか、はやては地上の兵力の対処!フェイトとアリシアはユーリを引き連れて!無理に倒そうとはしないで、引きつけるだけでいいから!なのはは僕と一緒にフィル・マクスウェルを追い掛けるよ!」
「「「「「「了解!!」」」」」」
「聖良、まだいける?」
《うん。大丈夫!まだいけるよ!だからお兄ちゃん───!》
「そうだね・・・・・・!」
聖良の懇願するように言う言葉を聞いて、僕は意識を研ぎ澄ます。
自身の中の
「───リク・ラク・ヴィシュタル・ヴォシュタル・スキル・マギステル!」
起動キーを発する。
それに続いて、詠唱を始め右手の人差し指を動かし空中に文を記す。
術式詠唱と術式記唱の
「───
天から降り注ぐ流星。
その一つ一つが凄まじい威力を保有する。だが、まだこの術式は未完成だ。
「(くっ!やっぱり、まだこの魔法は未完成・・・・・・!速度も威力も足りない!)」
軍隊イリスを次々貫いて破壊し、機動外殻の外装に穴を開け崩していく流精群を見ながら僕はそう思った。
その場にいた全ての軍隊イリスと機動外殻を破壊した僕は、なのはに視線を向けて。
「いくよ、なのは!」
「うん!」
「はやて、あとお願い!」
「まかせてや!」
なのはとともにフィル・マクスウェルを追い掛けてるアミタさんの所へと飛んで行った。
〜零夜side out〜
〜夜月side〜
「───
転移した私は、天使の霊装の上にメイガスモードの服飾。霊魔装を羽織る。
「ソラ、イリア!」
〈おうよ!〉
〈はい!〉
「―――我今ここに天と魔を融合し行使するものなり。我が魔術、七つの大罪のアーカイブ、
祝詞のように紡いでいく言葉は静かに辺りに響き、私の中の膨大な魔力を吹き荒らす。
「―――
私の服装が変わり纏っていた白銀のドレスローブから神々しいほどの白金のドレスローブに、その上から黒紫色の裾の長いコートを羽織る。セミロングのベージュ色の髪が少しずつ虹色に変わり、ふわりと魔力余波で吹き荒れなびいた。そしてその足元には複雑怪奇な白黒の魔法円が構築される。
白黒の魔法円はすぐに消え去り、私は破壊されてる東都タワーの展望フロアに降り立つ。
「大丈夫かな、キリエちゃん?」
「えっ!?」
「っ?!」
私の登場に驚くキリエちゃんと、頭を抑えながら僅かに目を見開くイリス。
「ああ。やっぱり、イリスもか」
何かを必死に押しとどめようとしている様子のイリスに、私はそう呟く。
「なんで・・・・・・あなたがここに・・・・・・」
「うん?レイくんにお願いされたからだよ」
「え」
「まあ、それは後で話すとして・・・・・・」
私は視線を目の前のイリスに移す。
「イリス、本当の事を知ってもまだやる?」
「ぐうぅぅ・・・・・・っ!」
「本当はもう気付いてるんでしょ。ユーリちゃんがなんの為にやったのか」
「うるさいっ!うるさいうるさいっ!!」
激昴したまま、イリスは私に鞭を振るって来た。私は臆すること無く、それを多重障壁で受け止める。
「イリス!夜月ちゃん!」
「大丈夫だよキリエちゃん」
私は冷静に多重障壁を張りながらイリスに声を掛け続ける。
「イリス!あなたの事はまだそこまで分からないけど、あなたがユーリちゃんやキリエちゃんに向ける本当の心はなに?!」
「あああああっ!!」
「くっ・・・・・・!ソラ!」
〈おうよ!〉
「───
フィル・マクスウェル所長の精神支配を懸命に抑え込んでいるのであろうイリスを、イリスにエネルギー放出して吹き飛ばす。
「イリス!」
「心配なんていらないわキリエ!」
吹き飛ばされた体を起こして、薄紅色のオーラを纏うイリス。イリスは武装を鞭から両手銃に切り替え、銃口を私たちに向けてきた。
「イリス・・・・・・」
キリエちゃんに向かって言うイリスの眼からは、涙が流れ、顔はくしゃくしゃだった。
「教えてあげようかキリエ。私はね、最初からあんたを利用するつもりだった!チビなあんたを見た時、その時にはどうすれば信用を得られるか、どう騙そうか、もう考えていた」
涙を流しながら言うイリス。そして、それを静かに聞くキリエちゃん。私も何も言わずにイリスの言葉を聞く。
「あんたが私を頼ってくる度に・・・・・・くだらない悩みを打ち明ける度に、また信頼させられるって思ってた。あんたの面倒を見てやったのも。一緒になって笑ったのも。全部、あんたを、利用するため、だったんだから!だから、さっさと!逃げなさいよぉぉ!!」
「っ!」
涙ながらに言いながらイリスの銃から放たれた光弾は私とキリエちゃんに直撃した。予め障壁を展開していたため、そこまでダメージはないが、後ろの窓ガラス等は余波で吹き飛び、破壊された。やがて、煙が晴れ。
「逃げないよ!」
私の前に出てきたキリエちゃんが水色のオーラを纏わせ、剣を振り払って言った。そして、剣を持っている手とは違う、もう片方の手には一冊の本が握られていた。
「その本は・・・・・・!」
キリエちゃんの持つ本に見覚えがある私は眼を軽く見開いて呟く。
「その本・・・・・・まさか・・・・・・!」
「零夜君から借りたけど、もうここから先は必要ない!私は、イリスを・・・・・・大切な友達を助ける!」
キリエちゃんの持つ本は、レイくんの所持する
「(いつの間に渡してたんだろ?)」
いどのえにっきを見た私は、ふとそんな場違いな事を考えていた。その間にも、キリエちゃんはイリスに。
「イリスがどう言おうが、本心だろうがなかろうか、そんなの関係ない!だって、イリスと一緒に過ごした時間は嘘じゃないもの!イリスに色んなことを教わった。一緒に笑った。あの時間は・・・・・・私の宝物だから!」
「う・・・・・・うわぁぁぁぁぁ!!」
「っ!」
涙を流しながら、連続で撃ってくるイリスの光弾を私は防ぎ、キリエちゃんはそのまま突っ込んで行き。
「イリスがどんなふうに思っていたって、私にとっては大切な友達なんだもん!大好きな友達を!泣いてる友達を!放ってなんておけないよ!」
東都タワーの展望フロアから飛び出し、高速で空を舞ってイリスと剣を交じわせていた。
その二人のやり取りを私たちは破壊された展望フロアの端から観ていた。
「うーん。私たち必要なかったかなぁ?」
キリエちゃんの手から落ちたいどのえにっきを拾って私は自虐気味にそう呟く。
〈はははっ!見事に置いてきぼりを食らってるなマスター〉
〈ソ、ソラ!き、気にしちゃダメですよ夜月ちゃん!あの戦いに、私たちが手を出すなんて無粋ですから〉
「ふふっ。分かってるよイリア。さすがに、あの戦いは二人の舞踏会。
苦笑しつつイリスの言葉に返す。
「まあ、それはそれとして───」
視線を下の地上に向けると、そこには複数のエクスカベータと軍隊イリスがいた。そして、その武器の先はキリエちゃんとイリスに向けられていた。
「あの二人の戦いの邪魔をするものを排除しないとね」
私は少し眼を細めてそう一人口走り、クスッと微笑みを浮かべる。
「ジュデッカ。カイーナ」
〈はい〉
〈ここに〉
二振りの皇剣の名を呼ぶと、私の両隣に二振りの皇剣が現出した。
片や漆黒の皇剣───
私は静かに。優しく包み込むようにして二振りの皇剣の柄を握る。
「第一の門を具現せし剣、赫皇剣カイーナ。第四の門を具現せし剣、黒皇剣ジュデッカ。我が命に従い、我に力を貸したまえ」
〈我が名はジュデッカ。第四の門を具現せしもの!〉
〈我が名はカイーナ。第一の門を具現せしものです!〉
「
そう発すると、私の足元に複雑な魔法陣が浮かび上がり、その光が私を包み込んだ。
「───いくよ。ソラ。イリア。ジュデッカ。カイーナ」
〈あいよ!〉
〈はい!〉
〈了解しました!〉
〈はい、マスター!〉
展望フロアから外に身を乗り出した私は両手にジュデッカとカイーナを携えて、目下に飛び降りた。飛び降りながら、私は天使を顕現させる。
「
絶滅天使の砲撃機と颶風騎士の颶風を顕現して軍隊イリスとエクスカベータの集団に降り立つ。
『『『っ!』』』
「二人の戦いの邪魔はさせないよ!」
そう言うや否や、私は周囲にいた軍隊イリスをジュデッカとカイーナで切り裂き、絶滅天使の砲撃し、颶風騎士の颶風で動きを阻害する。
「はあああああああっ!」
周囲の軍隊イリス達に大立ち回りをし。
「ジュデッカ!カイーナ!」
〈〈はい!〉〉
二振りの皇剣を構え。
「(あの人が使った技を───!)」
魔力を皇剣に込め。
「
勢いよく振り抜いた。振り抜いたまま、さらに斬撃を重ねていき周囲に多重斬撃とも言える斬撃を飛ばした。
放たれた斬撃は射線上にいたエクスカベータを消し飛ばし、一撃でほぼ全てのエクスカベータを討滅した。
「ふぅ」
息を軽く整え、残りの軍隊イリスを破壊して行く。
やがて、全てを破壊し終えると、周囲の痕には私の戦闘余波が刻まれていた。
「───これで終わり、かな?」
二振りの皇剣を軽く振って、私は戦闘余波が刻まれた惨状を眼にしつつそう呟いたのだった。
そんな中、頭上の空ではイリスとキリエちゃんが戦っていた。