魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語   作:ソーナ

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魔王(零夜)(なのは)渡航者(アミタ)VS操りし者(フィル・マクスウェル)

 

〜零夜side〜

 

はやてたちと分かれた僕となのはは、先行しているアミタさんを全速力で追い掛けていた。

 

「なのは、僕の手を!」

 

「うん!」

 

「───光速翼(ライトスピード)!」

 

左手になのはの手を握った僕は、高速飛行術式で速度を上げて行く。後には、僕となのはの飛んだ、光の軌跡が残った。

しばらくして。

 

「アミタさん!」

 

「っ!零夜さん!なのはさん!」

 

「アミタさん、私と零夜くんがこっちの担当になりました!一緒に捕まえましょう!」

 

「はい!お二人ともお願いします!」

 

バイクに乗って移動するアミタさんに追い付き、軽く作戦を立てる。

 

「最初に僕が先行します。ですから、なのはとアミタさんは不意を突くようにして攻撃してください」

 

「わかりました!」

 

「了解なの!」

 

「アミタさん、バイクはこのまま囮として使います」

 

「っ!なるほど。わかりました」

 

「それじゃあ行くよ!」

 

「うん!」

 

「はい!」

 

僕はさらに速度を上げてフィル・マクスウェルを追い掛ける。

そのまま飛んで行くと、不可視迷彩(インビジブル)で飛んでいるフィル・マクスウェルの後ろ姿があった。もっと、僕にはそんなの意味無いけど。

僕は二人に視線を向け、無言で頷くとさらに速度を上げてフィル・マクスウェルに接近する。

 

「(聖良!)」

 

《うん!》

 

精霊の剣(スピリットソード)二双(ダブル)を再び両手に顕現し。

 

「天陽流剣技───熾閃一穿(しせんいっせん)!」

 

呼吸を整え、一度魔力をゼロにし、息を吸い込むと同時に一気に魔力を全開にまで上げる。そして、息を吐き出すと同時に駆ける。

『熾閃一穿』は連撃のない、単発の突進技だ。しかし、突進故にその速度と威力は高い。そして、魔力のON/OFFをすることにより、威力はさらに高くなる。その効果はただ威力を足すだけの足し算では計り知れないない。

 

「はあああああーーっ!!」

 

「っ!?」

 

追ってに気付いたらしいフィル・マクスウェルは振り向くと、下の高速道路を走るバイクに目をやる。そして、今ここで始めて僕の気配に気づいたようだ。とっさに防御を取るが。

 

「遅いっ!」

 

それより速く僕の刺突がフィル・マクスウェルの武装を破壊し、フィル・マクスウェル本体にもダメージを与える。

 

「ぐっ!」

 

魔力のON/OFFによって得られる威力は───乗算・・・・・・掛け算だ。

威力が1の攻撃は、掛け算でいくら1を掛けたって1のままだ。なら足し算の方がいいのではないか?そう思うだろう。けど、威力100の攻撃をさらに100掛けたら、その威力は10000だ。単純な足し算より複雑な掛け算の方が得られるものが多い。しかも、それは永続ではなく一瞬で放つ。それ故に身体にダメージも少なく、一撃の威力が高い。まあ、いうなれば、擬似限界突破かな。

放たれた一穿は碧光のエフェクトの軌跡を残してフィル・マクスウェルの背後に移動する。そして、僕の攻撃が終わると同時に。

 

「はああああああっ!」

 

「やああああああっ!」

 

「っ!?」

 

フィル・マクスウェルへアミタさんの刺突となのはの砲撃が直撃した。

二人の連携攻撃により、フィル・マクスウェルは下の道路に落とされ、すぐさまその手足をなのはがバインドする。

 

「ハッ!」

 

「はああああーっ!」

 

「っ!───アクセラレイター・オルタァァ!」

 

アミタさんの接近に気づいたフィル・マクスウェルは強引になのはのバインドを引きちぎり、アミタさんの上位互換のアクセラレイター・オルタを発動させた。

 

「っ!?バインドを引きちぎった!?」

 

驚く僕の目に、攻撃を止めようとしたが遅く剣を振り下ろしたアミタさんと、そのアミタさんの振り下ろした剣を避け背後に現れたフィル・マクスウェルが写る。

 

「マズッ!」

 

すぐにアミタさんの前に移動し、フィル・マクスウェルの攻撃を受け止めようとする。が。

 

「なっ・・・・・・」

 

フィル・マクスウェルは僕より速く移動し、剣でアミタさんを攻撃し、アミタさんの持っていた剣を破壊。そして、そのまま空に吹き飛ばした。

 

「くっ・・・・・・!」

 

すぐに追いかけるように移動し、フィル・マクスウェルの刃がアミタさんの腹部を貫こうと動作を取るのを見て。

 

「聖良、フルドライブ・イグニッション!!」

 

《うん!!》

 

リミッターを解除し思考と速度を倍以上に引き上げる。それと同時に。

 

「アクセラレイターァァァ!!!」

 

離れた場所にいたなのはの絶叫の声が耳に入った。

なのはは僕の反対側から、今まさにアミタさんに刃を突き立てようとするフィル・マクスウェルに突っ込んで行った。

 

「あああああぁぁぁぁっ!!」

 

僕と交差するように飛び、方向転換したなのははそのままブレイカーに匹敵するほどの砲撃を撃った。

 

「ぐっ・・・・・・!ぐあああああああぁぁぁ!!」

 

砲撃に飲み込まれ地面に落ちていくフィル・マクスウェルを見つつ、僕は瀕死状態のアミタさんを回収する。

回収したアミタさんに軽く回復魔法を施していると。

 

「うぅ・・・・・・。なのはさん・・・・・・。零夜さん・・・・・・」

 

目を開けたアミタさんが僕と、近くにきたなのはに声をかけた。

なのはの身体は、かなり負荷が掛かったのかあちこちからスパークのようなものが、なのはの体を走っていた。

 

「なんども見せてもらったから、出来るかなっと思ったんですが・・・・・・。うぐっ・・・・・・。ちょっとだけキツイですね?」

 

そう耐えるように言うなのはに僕は。

 

「何やってるのなのは!そんな身体に負荷がかかる能力を使って・・・・・・・!」

 

なのはにも回復魔法を掛けて言う。

なのはがやったのは、アミタさん達の使う【エルトリア式フォーミュラ】と僕達の【魔導】の融合。全く違うシステムと術式をなのはは、無理やりというか強引に引き出したのだ。その代償ともいえる体の負荷は凄まじいものだろう。正直、常人がこれをしたら1回発動するだけでもかなりの疲労や痛みが伴い、精神に異常をきたすはずだ。

 

「大丈夫。まだ行けるから」

 

「けど・・・・・・!」

 

「アミタさんは支援に回ってください」

 

僕の言葉になのはは「大丈夫」と言ってアミタさんに支援に回るようにお願いする。

まあ、僕も今の状態のアミタさんを前線に出す訳には行かない。

 

「そんな・・・・・・私もまだ・・・・・・!」

 

「大丈夫なのは分かってます」

 

《Unit,set》

 

レイジングハートからデバイス音声が流れると、形が砲撃型から槍の形態になった。

 

「私の方が、もっと大丈夫だってことです」

 

「アミタさん、その傷じゃあまり激しく動けません。なので、後ろからサポートお願いしますね」

 

「零夜さん・・・・・・わかりました。お二人とも、気をつけて」

 

アミタさんを後方にやり、僕となのはは前に出て、二刀と槍を構える。

 

「素晴らしい。君たちは素晴らしいね!」

 

下から、傷を負ったフィル・マクスウェルが僕となのはを見上げてそう言ったのが聞こえた。

 

「欲しいね、その力」

 

「「っ・・・・・・」」

 

僕となのはは無言で構えを取り、フィル・マクスウェルと相対する。

 

「君たち二人も私の子供にしてあげよう」

 

そう言って接近してきたフィル・マクスウェルの剣を、精霊の剣で受け止める。

 

「それについてはお断りだねっ!ふっ!」

 

僕の親は、僕を産んでくれたお母さんとお父さん。そして、この世界に転生させてくれた明莉お姉ちゃんだけだ。なのはの親も、桃子さんと士郎さんだけだ。

受け止めたフィル・マクスウェルの剣を、フィル・マクスウェル事弾き飛ばし、追撃を仕掛ける。

 

「行くよなのは!」

 

「うん!」

 

左手に握った精霊の剣を前に出し、右手に握った精霊の剣は剣先を少し後ろに下げフィル・マクスウェルに迫る。

 

「はあああああっ!」

 

「ふんっ!」

 

右の精霊の剣を下段から真横に移し、薙ぎ払いをする。しかし、それはフィル・マクスウェルの左に装備された銃盾(ガン・シールド)に防がれる。

 

「せりゃあ!」

 

「やあああっ!」

 

すぐさまそこから離れ、死角から追撃を繰り出す。そして、僕に追随するように、なのはの魔力弾が来る。

 

「ふっ!」

 

対するフィル・マクスウェルは落ち着いて、銃盾の銃でなのはの魔力弾を迎撃し僕の斬撃を右に装備した剣で反撃する。

 

「おおおっ!」

 

「はあっ!」

 

フィル・マクスウェルの攻撃を精霊の剣の二刀で捌き、

 

「───連槍・氷炎の159槍!」

 

近距離から略式詠唱した連槍を放つ。

 

「くっ!」

 

何発か食らったフィル・マクスウェルは反転して、その場から離れて連槍を回避していく。

 

「ふっ!」

 

連槍を回避したフィル・マクスウェルは勢いを付けてなのはに迫る。

 

「っ!」

 

「させない!下がってなのは!」

 

闇の魔法(マギア・エレベア)の術式兵装《雷天大壮》を発動させ、なのはの前に移動しフィル・マクスウェルの攻撃を受け止める。

 

「っのおぉぉっ!」

 

受け止め、思いっきり跳ね返し、互いの距離が離れる。

 

「零夜くん!」

 

心配の声を掛けてくるなのはの声を聴きながら、バランスを取り近くのビルの側面に足をつけて、右の精霊の剣をカタパルトのように折りたたみ、

 

「ぜりゃあああっ!!」

 

深紅のエフェクトを輝かせて魔力を勢いよく爆発させ突き放つ。

 

「っ!?」

 

片手剣ソードスキル、ヴォーパル・ストライク。それをさらに魔力で増幅(ブースト)させた一撃。

深紅の突きは銃盾でガードしたフィル・マクスウェルを地面へと堕とす。

 

「なのは!」

 

「うん!」

 

堕とした直後、なのはから強力な砲撃が放たれる。

 

「ぐううっ!」

 

フィル・マクスウェルはガードしたまま、なのはの砲撃を浴び吹っ飛んで行った。

 

「ふぅ」

 

なのはの砲撃に呑み込まれて吹き飛んでいくフィル・マクスウェルを見つつ、気を抜かずにしながら呼吸を整える。

 

「聖良、まだ行けるかな?」

 

《もちろん!まだまだ行けるよお兄ちゃん!》

 

「オッケー」

 

聖良の声を聞き、僕は意識を集中する。

大気に存在する魔力(マナ)を感知し、自身に衣のように纏わせる。ゆっくりと目を開き。

 

「おおおっ!」

 

「零夜くん!」

 

「───壱」

 

「───っ!」

 

剣を突き付けてきた迫ってきたフィル・マクスウェルをカウンターで切りつける。そして。

 

「───弐」

 

振り向いてからの薙ぎ払い。

 

「───参」

 

中心部に高速の突き。

 

「───肆」

 

右袈裟斬り。

 

「───伍」

 

逆袈裟斬り。

 

「───陸」

 

反転して垂直斬り。

 

「───漆」

 

左逆袈裟斬り。

 

「───捌」

 

袈裟斬り。

 

「───玖」

 

横斬り。

 

「───拾」

 

最後、神速の突き。

流れる水かのように滑らかに、立て続けに繰り出した剣技を受け、フィル・マクスウェルは再度吹き飛ばす。

 

「天陽流───胡蝶(こちょう)神楽桜(かぐらざくら)

 

静かに。右手に顕現させてる精霊の剣を振り払ってそう口に出す。

『胡蝶・神楽桜』未完成だった剣技だ。

できるかなぁ〜、って思って無念夢想状態にしてやってみたんだけど、まさか上手くいくとは思わなかった。

未完成だった理由は、剣技の型が上手く続かないのだ。ひとつでもリズムが乱れればそれ以降は続かなくなる。ひとつひとつが繊細なのだ。

息を整えていると。

 

「ふふっ。はははっ。やはり君は欲しいね」

 

フィル・マクスウェルが地面に両足で立って言ってきた。

かなりダメージを浴びせたはずだけどなー?

 

「そこの魔女もだが。魔導師。君は何としても欲しいね」

 

どこか不気味な笑みを浮かべて言うフィル・マクスウェル。

なのははその言葉にレイジングハートの槍を構え、足下に桃色のミッド式の魔法陣を展開させる。

その一方、僕はと言うと。

 

「何度も言うけど、僕となのははあなたの元に着く気は無いから」

 

と言って、両手に握って顕現させていた精霊の剣二刀を消した。

 

「僕となのはにはちゃんとした親や兄弟姉妹・・・・・・家族がいるからね!」

 

そう言い終えると同時に、僕の右横に一つの転移魔法陣が現れ、そこから。

 

「お待たせしました零夜くん」

 

「ううん。ちょうどいいタイミングだよ。凛華」

 

僕のデバイスであり、家族である凛華(リンカーネイト)がやって来た。

 

「お姉ちゃん達は?」

 

「愛奈美さんたちははやてちゃんの所に行きましたよ」

 

「了解」

 

「はい」

 

「それじゃあ、お願いできるかな凛華」

 

「もちろんですよ零夜くん。私は零夜くんの相棒(デバイス)なんですから」

 

笑顔でそう言うと、凛華は自身を人型形態からデバイス形態に切り替え、

 

「凛華、セットアップ。全力で行くよ!」

 

《はい!》

 

久し振りに凛華一人をセットアップした。

凛華をセットアップすると、凄まじい魔力が僕から溢れ、魔力暴風をなのはとフィル・マクスウェルを襲った。

 

「きゃっ!」

 

「ぬおっ!?」

 

やがて魔力の暴風が治まると。

 

「零夜くん、その姿・・・・・・!」

 

「ふふ。結構久し振りだね。この姿は」

 

僕のバリアジャケットは純白に銀を交えさせた、白銀の姿だ。服は長いコートを羽織り、軽鎧のような物を着けてる。

 

「なのは」

 

「うん!」

 

凛華を基本形態の錫杖から細身の片手剣に変え、なのはのレイジングハートの切っ先と重ね合わせる。

 

「いくよ!」

 

「行きます!」

 

そう言うと同時に、僕となのははフィル・マクスウェルへと接近した。

 

「なにっ!?」

 

「はあああああっ!」

 

「やあああああっ!」

 

交差するように切り裂き、

 

「ぐはっ!」

 

フィル・マクスウェルの動きを止める。

 

「ふふ・・・・・・はははっ・・・・・・。やはりいいね」

 

不敵な笑みを浮かべ、左手の銃盾の砲口を向けた。

向けると同時に放たれた紫の光弾を僕となのはは空を駆け回って回避する。

 

「はっ!」

 

「うあっ!」

 

「なのは!」

 

物理攻撃を食らったなのはを受け止め、

 

「っ!」

 

「おおっ!」

 

上段から振り下ろしてきた剣を、なのはを連れて雷速瞬道でその場から退避し距離を取る。

退避すると、なのはがチャージしていた魔力砲撃をフィル・マクスウェルに向けて解き放った。

 

「うぅぅ・・・・・・ああああああああああぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

「っ!」

 

なのはから放たれた魔力砲撃は辺りの建物類を倒壊、破壊してフィル・マクスウェルを襲った。

なのはの砲撃を間一髪の所で避けたらしいフィル・マクスウェルは眼下の状態を見て、ニヤリと不敵な笑みを再度出した。

なのはの手から離し、僕は片手剣形態の凛華を八双の構えを取り、周囲に魔力球を展開させてフィル・マクスウェルを睨みつけるように、視線を鋭くして見たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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