魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語 作:ソーナ
〜夜月〜
「はあああああっ!」
私の両手に握っている二振りの皇剣による斬撃を受け、動かなくなるエクスカベータを見ながら私は周りを見た。
「うわぁ・・・・・・・。まだいるね」
数は減ってきていると思うけど、それでもまだかなりの数がいた。
〈こりゃ、マスターの魔力が先に尽きる方が速いか?〉
「いやいや。ソラ。私の魔力はまだ十分あるからね?」
ソラの言葉に笑って返すと。
〈それはそうですけど、このままじゃ、物量で圧されます〉
戦況を分析しているイリアが心配そうに言った。
まあ、確かに私自身一人でこのままだと圧されるかなと思うけど。
そう思ったその瞬間。
「───っ!?」
〈なっ!?なんだ、この魔力!?〉
凄まじい魔力の衝撃を感じた。
〈この魔力・・・・・・零夜くんのです!〉
「え・・・・・・!こ、この魔力、レイくんのなの!?」
イリアの言葉が信じられなかった私は思わず聞き返した。
この感じる魔力比は私の保有する最大値のはるか倍以上だったからだ。
〈おいおい・・・・・・。なんだよこの魔力。こんなの、個人で出せる魔力を超えてやがる!〉
〈はい。夜月ちゃんでも、ここまでは・・・・・・・!〉
ソラとイリアが驚く中、私は分かってしまった。
これはレイくんが努力して得た能力だと。
明莉お姉さんから貰った転生特典だけではここまではならない。なら、これは努力して得た能力。血反吐の滲む、今まで研鑽してきた成果。普段でも十分脅威なのに。
「ソラ。イリア」
〈ん?〉
〈はい?〉
「私も全力でやることにするよ」
二振りの皇剣。黒皇剣ジュデッカと赫皇剣カイーナの柄を握り締めながら、私は魔導書の二人に告げた。
止められるかと思ったけど。
〈・・・・・・だと思ったぜ〉
〈はい。夜月ちゃんのことだからそう言うと思ってました〉
その予想は外れて、二人とも予期していたのかと言うような感じで返した。
そんなに私って分かりやすいのかな?
「コホン。それじゃあ───!」
呼吸を整えて、意識を集中させる。
周囲の
「
自らに施していた制限を解除する。
「さあ。いくよ!」
そう言うや否や、瞬く間に私は周囲のエクスカベータが殲滅させて行った。
ある個体は、
「
制限解除によって、限定的だけど行使することが出来るようになった雷霆聖堂の、滅殺皇によって放たれた雷霆によって、残った全てのエクスカベータは破壊された。
「ふぅ。終わった終わった〜」
行使していた天使をすべて戻し、大きな息を吐いた。
「さすがに、
天使の多重行使の余波影響で、周囲の建物は完全に崩れていた。いやー、結界内で良かった〜。
そう思っていたところに。
〈なあ、マスター〉
「んー?」
〈別にコイツら、刻々帝の《
ソラの、今更のような感じの疑問が来た。
そのソラの言葉に私は「あ」、とそうすれば良かったと思い返した。
確かにそれらを重点的に使えば簡単だったかもしれない。
〈ったく、マスターといい、零夜といい・・・・・・。なんで、この二人は火力重視なんだ?〉
〈まあ、確かに火力がかなり高いですよね二人とも〉
呆れたよう言うソラに対して、苦笑して言うイリア。
た、確かに私自身火力重視かも、って思ってるけど・・・・・・。べ、別に、火力だけじゃなくて、防御も、機動力も、器用も高いよ?!
〈火力だけで言うなら・・・・・・どっちだ?〉
〈え、えーと・・・・・・どっちもどっち。ですね〉
確かに、攻撃系天使である
もっとも、これでもレイくんの戦星級魔法の
そんな事を思い返していると。
「ん?」
〈なんだ?〉
〈これは・・・・・・〉
少し離れた場所から巨大な魔力が四つ・・・・・・いや、二つ離れたから二つの魔力反応が確認できた。その内の一つはユーリちゃん。もう一つは───。
「この魔力、ディアーチェちゃん?あれ、でも、シュテルちゃんとレヴィちゃんの魔力も感じるけど───あ」
そこで私は思い出した。
「そう言えば最後はああだった。すっかり忘れてたよ。あれ?でも、シュテルちゃんとレヴィちゃんの魔力反応、小さいけどちょっと遠くから感じる・・・・・・あぁ、もしかして」
そこで私は一つの予想が頭に浮かび上がった。
それは、シュテルちゃんとレヴィちゃんがまだ元の猫ではなく、ヒトの形を取っていることだ。ディアーチェちゃんたちは、魔力によってヒトの形を取っている。魔力が全て無くなれば、ヒトの形を保てなくなり、元の猫の姿になる。つまり、魔力さえあれば問題ないということだ。もっとも、魔力はもうわずかだと思うけど。
「(レイくんがある程度二人に魔力を譲渡したけど・・・・・・大丈夫なのかな・・・・・・)」
そんな不安を抱きつつ、私は頭上で繰り広げられてる喧嘩。もとい、キリエちゃんとイリスの戦いを眺めたのだった。
〜夜月side out〜
〜はやてside〜
「───なんやこれ・・・・・・。どんどん増えとる」
〈目視範囲の敵の数、百を超えてます!〉
「地上と空。両方って・・・・・・」
「これはちょっとキツいかも・・・・・・」
零夜くんたちと分かれた私とユニゾンしてるリイン、アリサちゃん、すずかちゃんは今も尚増え続けてる地上戦力のエクスカベータやその飛行型機動外郭を相手に背中合わせに戦っていた。目視できる範囲でも、その数は百をゆうに超えている。
「大型はウロボロスで消し飛ばせるやけど、中型や小型は・・・・・・」
「私たち三人だけじゃ足りないかも・・・・・・」
「それでもやるしかないわ!」
遠距離からの魔法を放つ私ら。
私はリインの支援を受けて地上にクラウ・ソラスを放ち、アリサちゃんはデバイスのフレイムハートを遠距離砲撃形態の《アーティリフ》で次々と航空戦力を撃ち落としていき、すずかちゃんはデバイスのスノーフェアリーを遠距離形態の《アイシクルコーラ》で私とアリサちゃんの援護をしてくれる。
が、それでも数は多すぎて、
「くっ・・・・・・。ちょっとヤバいかも」
私たちはかなり追い詰められていた。
冷や汗が背中を伝う。そこに───。
「「合技!───
「───
「───
「───ノヴァ・ストライク!」
四つの魔法と五人の声が響き渡った。
「「「っ!!?」」」
突如として訪れた魔法と声に驚く中、私らの目には次々と破壊されていく機動外郭郡が映った。
ある場所では空間が抉り取られたのかというほど、そこにいた機動外郭が消え、また別のところでは炎と氷の刃のような雨に穿かれて穴だらけになって地に伏す機動外郭。またまた別のところでは、純白の暴風が空の機動外郭を飲み込み崩壊させていき。別のところでは斬撃により切り裂かれて下に落ちていく機動外郭があった。
突如として訪れたことに目を見開く私らの耳に、五つの声が入った。
「さすがに数が多いわね」
「ですが、今ので大半が消し飛ばせましたわ」
「うわぁ〜。凄いね澪奈ちゃんたち」
「もちろん!だって私たち零夜くんの相棒だもん!」
「マスターの為に全力で参ります」
五人の内、三人は聞き覚えのある声だが、残り二人の声は聞き覚えが無かった。
「あ!はやてちゃーん!すずかちゃーん!アリサちゃーん!」
声のした方を向くと、そこには五人の少女たちが空を飛んでいた。
「れ、澪奈ちゃん!?紅葉ちゃんに星夜ちゃんまで!」
その内の三人は零夜くんのデバイスだ。零夜くんのデバイスの四つは私らと同じように人型になる事ができる。そして、四人の潜在能力は零夜くんに匹敵する程だ。
「お待たせしましたわ」
「いや、かなり助かったんやけど・・・・・・」
遅れたことに謝罪する星夜ちゃんにそう言いつつ、私ら三人は星夜ちゃんたちと一緒にいる二人の少女に目を向けた。
「あ、あのー。その二人はどちら様?」
アリサちゃんが尋ねると。
「ん?あ、ごめんごめん!まだ自己紹介してなかったわね」
長い朱色の髪を靡かせ、細身の片手剣の形のデバイスを腰に挿した少女が私らに言う。
「私の名前は
「何時もれー君がお世話になってます。れー君・・・・・・零夜くんの姉の
朱色の髪の少女に続いて、長い蒼い髪の少女が私らにそう言った。
その名を聞いた私らは驚愕に目を見開き、すずかちゃんとアリサちゃんは声を少し高くして言う。
「れ、零夜くんの幼馴染!?」
「零夜のお姉さん!?」
声には出さないけど、私も二人と同じ気持ちだった。すると。
「あ。はやてちゃん!」
愛菜美さんが手を振って近づいてきた。
「久しぶり・・・・・・なのかな?こうして面と向かって話すのは初めてだね」
「は、はい。お久しぶりです、愛菜美さん」
「うん。リアルで会えて嬉しいよ〜」
愛菜美さんはほんわかとしていて、さすが零夜くんのお姉さんなだけある。どことなく零夜くんと似ている。
私がそう思っていると。
「久しぶりってどういう事よはやて」
アリサちゃんが怪訝な表情で聞いてきた。
私がアリサちゃんの問いに答える前に───
「お話はそれまでですわみなさん」
星夜ちゃんが真剣な声で遮った。
「私が指揮を取ります。まずはやてちゃんはリインちゃんとともにウロボロスの発動準備を。アリサちゃん、すずかちゃんは華蓮さん、澪奈ちゃんとともにそれぞれ機動外郭の対処を。紅葉ちゃんと愛菜美さんは遠距離から援護とはやてちゃんのサポートを。間も無くシグナムさんたちも来るそうなので、それぞれ無理はしないようにして各個対処してください」
『『『了解!』』』
星夜ちゃんの指示に従い、私らはそれぞれの対処を始めた。
私がウロボロスのチャージをしている中、アリサちゃんは得意の炎系統魔法で、
そして華蓮さんと愛菜美さんはというと。
「───アイシクルネイル!」
「───ファイアボルト!」
華蓮さんは細身の片手剣を操りながら魔法を放つ、魔導剣士として次々と機動外郭を破壊し。愛菜美さんは多種多様の魔法を連続して繰り出し、時たまに接近戦でデバイスの細剣を使用する。正直言って、凄いとしか言えない。華蓮さんは、シグナムのような達人の腕前では無いものの次々と機動外郭を斬り、鋭い魔法を放つ。愛菜美さんは細剣の腕は素人さながらながら多種多様な魔法を繰り出していく。
まあ、この中で一番すごいのは。
「紅葉ちゃん、四時方向に敵影二十!澪奈ちゃん、八時方向敵数増大!対処を!」
「わかりました!」
「任せて星夜お姉ちゃん!」
「アリサちゃん、敵を追いすぎないで下さい!すずかちゃん、アリサちゃんの援護を!」
「ええ!」
「うん!」
指示を絶え間なく出す星夜ちゃんだ。
「はやてちゃん、ウロボロス発動までの時間は?」
「あと100秒程や!」
「了解しましたわ。シグナムさんとヴィータちゃんは飛行戦力の破壊をお願いします!」
「ああ!レヴァンティン!」
「おうよ!アイゼン!」
《 《Jawohl!》 》
「シグナム!ヴィータ!」
いつの間にか援護に来てくれたシグナム達にも星夜ちゃんは的確に、素早く指示を出す。
「シャマルさんとザフィーラさんは対空兵装の破壊を!」
「任せて!」
「ああ!」
星夜ちゃんの指示によって、シャマルとザフィーラは地上に配置されていた対空兵装をひとつ残らず破壊して行った。
「軍隊イリスの生産拠点の制圧は?」
「クロノ支局長が制圧して行ってる。間も無く全て制圧完了になるはずだ」
「了解しましたわ。各員、はやてちゃんのウロボロス発動までの時間稼ぎをお願いしますわ!」
『『『了解っ!!』』』
「はやてちゃんはウロボロス発動に集中を!」
「了解や!」
私は星夜ちゃんの言葉に力強く頷き、リインとともにウロボロスのチャージをしたのだった。
ウロボロス発動まで、残り、約80秒。