魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語   作:ソーナ

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一時の別れ

 

〜零夜side〜

 

 

「ふぅ。これで終わり、っと」

 

特務0課の室内で必要書類に記入をし終わった僕は手を伸びして固くなっていた身体を伸ばす。

 

「レイくん。さすがに今回は多過ぎない?」

 

「あー。うん、ごめん」

 

「怒ってるわけじゃないんだけど・・・・・・まさか彼女たちをウチに入れるなんて・・・・・・」

 

呆れたように言う夜月の手元の書類には特務0課の部隊員増加の書類があった。

 

「夜月も真っ先に言ったじゃん」

 

「いや、それはそうだけど〜」

 

展開している空間ディスプレイには、約十数人の少女が映っていた。

それは、先の戦いで捕獲した量産型イリスの指揮官型だ。もちろん、衛星砲を護衛していたあの子もいる。

 

「あの子たちには普通の人と同じ生活をして欲しいからね。一応、身元引受け人にミゼットさんやラルゴ元帥。レオーネ相談役が引き受けてくれたから。最終的には僕が彼女たちの保護者になるけど、十五をすぎるまではね」

 

当初は僕が彼女たちを引き取る予定だったんだけど、ミゼットさんたちが十五を過ぎるまでは自分たちが。と言って、ミゼットさんたちが限定的な引受人になったのだ。

 

「はぁ。レイくん。その引受人、私にも半分させてよね」

 

「え、それはいいけど・・・・・・」

 

「あのねえ。これだけの人数一人で引き受けたらお金や家が大変なことになるでしょ!?」

 

「あ、そうか」

 

「やれやれ」

 

肩を竦めて呆れる夜月に苦笑して返す。

 

「そう言えばフラクシナスがそろそろ完成するみたいだけど・・・・・・?」

 

「あははは。うん、まあ」

 

笑いながら夜月はフラクシナスの設計図面を出した。

 

「へぇ。居住施設にトレーニングルーム。メンテナンスルームに転送ポート。色々あるね」

 

「うん。大型の基礎魔力輪環装置(ベーシック・マギリックシステム)搭載。この独立汎用ユニット世界樹の葉(ユグド・フォリウム)も小型だけど同じのを搭載してるよ。さらに艦の周囲に恒常魔導領域(パーマネント・マギアエリア)を展開してるから、常に不可視迷彩(インビジブル)自動回避(アヴォイド)が発動してる。そして、対物、対魔の障壁があるから防御も万全」

 

「つまり、原作のと同じってことね」

 

「まあね。搭載されてる兵装も収束魔力砲〈ミストルティン〉はもちろんのこと、精霊霊力砲〈グングニル〉、迎撃用ミサイル〈ブリューナク〉も使えるね。まあ・・・・・・グングニルは霊力じゃなくて、直接魔力を流しこんで放つんだけどね。だから、正確には集束魔導砲だね」

 

夜月は兵装画面を広げながら言う。

それを見ながらフラクシナスの画面を見ていると。

 

『お兄ちゃーん、もう時間だよ?』

 

すぐ側の空間にウインドウが開き、そこから妹の聖良の声が聞こえてきた。

 

「あれ、もう時間?わかった、すぐ行くね」

 

『うん♪』

 

眩しいほどの笑顔で言った聖良に癒されていると。

 

「じー・・・・・・・」

 

「な、なに夜月」

 

「ううん。シスコンだなぁーって」

 

「ふぐっ・・・・・・」

 

夜月のシスコンという言葉に僕は息を詰まらせた。

 

「ま、私にもあんな可愛い妹が出来たらシスコンになる可能性が大だから仕方ないけどね」

 

「だよね!」

 

「調子に乗らないの。まったく。いつもなのはちゃんたちの前ではしっかりしてるのになんでこう、二人きりの時とかは緩んじゃうのかなー」

 

「だって、いつも肩貼ってたら疲れちゃうよ?」

 

「肩が凝るよりはいいと思うけど?」

 

「え?」

 

「あと数年たったらわかると思うわ」

 

自虐気味に呟く夜月に首をかしげながら、部屋の整理をして電気を落とす。

室内から外に出て、部屋を厳重にロックし鍵を持ってる人しか入れないようにして。

 

「それじゃ帰ろうか」

 

「そうね」

 

僕と夜月は局の転移ポータルへと向かいそこから地球に転移して帰ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

 

朝の少し早い時間。僕たちはエルトリア勢を送り出すため、海鳴海浜公園にいた。

この場には僕の他、聖良、愛奈実お姉ちゃん、華蓮、凛華、星夜、澪奈、紅葉、夜月、ソラ、イリア、なのは、はやて、フェイト、アリシア、アリサ、すずか、リンディさん、プレシアさん、リニスさん、アルフ、シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、リイン、アインス見送り組に。エルトリア勢のアミタさん、キリエ、ユーリ、シュテル、レヴィ、ディアーチェがいる。

今はそれぞれ思い思いに話をしていた。

 

「怪我の方は大丈夫なんですかアミタさん」

 

「はい。頑丈ですので!」

 

「いや、頑丈だから大丈夫ってのは・・・・・・」

 

アミタさんの言葉に僕は引き攣り笑いを浮べた。

確かに、夜月の刻々帝の能力で傷は戻ったが、体力とかそういうのは戻らないのだ。それ以前に、アミタさんは怪我をあちこちにしていたのだが。

 

「おい」

 

「ん?」

 

突如呼ばれ振り向くと。

 

「あれ、ディアーチェ。どうしたのー?」

 

はやてが小一の頃着ていた服を着てるディアーチェの姿があった。

 

「これ」

 

「ん」

 

ディアーチェが取り出したのは一枚のカードだ。

そのカードは僕がディアーチェに渡した星霊武装(アストラルウェポン)が一つ、三星の煌奏翼(トリニティ・ハーモニクスステラ)だ。

 

「遅くなったが、これは貴様に返す。元々貴様から借り受けていたものだ」

 

たしかに、ディアーチェに貸し与えていた物だけど───。

 

「・・・・・・・・・・」

 

僕はそディアーチェからカードを受け取り、その内部情報を管理者権限で観る。

 

「(へぇ。上手く使いこなせたみたいだね。これ、星霊武装でも扱いが難しいんだけど・・・・・・。さすが、ディアーチェだ)」

 

記されている情報を観ながらそう思い。

 

「───いや。これは、もう君のだディアーチェ」

 

管理者権限らを秘匿してしまい、ディアーチェにそう言って渡す。

 

「なに?」

 

ディアーチェのその言葉が聞こえたのか、なのはたちの視線が僕とディアーチェに集まった。

 

「これは君を主として認めているそうだからね。大事に扱って欲しい」

 

「いや・・・・・・しかしだな!」

 

「シグナム。アインスの二人もだから聞いて。その武装は使用者である君たち以外、使うことは出来ないから」

 

「なんだと」

 

「どういうことだ?」

 

「すでに、使用者(マスター)登録がされてるからね。例外は僕と夜月が管理者権限を行使すること。と言っても、そんなのメンテナンスの時ぐらいしか無いだろうけど。まあ、メンテナンスもそんなに必要ないと思うし」

 

僕の言葉に唖然とするなのはたち。

してないのは夜月や聖良たちだけだ。

 

「その武装らは簡単に都市一つを制圧出来るほどの能力を持ってる」

 

『『『っ!?』』』

 

僕の言葉に驚愕するなのはたち。しかし、ユーリとアインスの二人と、夜月たちだけは違った。

 

「ユーリとアインスは分かってるみたいだね」

 

「は、はい」

 

「ああ。これを使ってそれを実感した。これを使えば簡単に都市一つ・・・・・・いや、国家すら制圧出来るとな」

 

アインスの言ってることは概ね正しい。

が、一つ訂正だ。それは、都市や国家など生温い。星一つを制圧出来るということだ。まあ、シグナムたちに言う必要は無いけど。だって、この武装は僕らの信用・・・・・・信頼にあたる人にしか渡してないんだから。それは、ゼストさんやカリムさんたちも然り。

 

「もっとも、そんなことディアーチェはしないでしょ?」

 

「当たり前だ!何をとち狂ったことを言っておる!?」

 

「だから、それを君から取り上げることはしない。それは、誰かを守るために僕と夜月が創り上げた武装だからね」

 

そう。この武装たち。

星霊武装(アストラルウェポン)月雫武装(ルナティックウェポン)のそもそもの目的は『守る』ためにある。制圧など、そんなのそもそもどうでもいいのだ。というか、そんなもののために僕と夜月が創るわけない。

 

「ひとつだけ約束して欲しい。絶対に、それを武力行使のために使わないと」

 

「無論だ。我が名において誓おう」

 

僕の言葉に、ディアーチェはすぐさま返す。

ディアーチェがそう宣言すると。

 

「まったく。何やってるのよレイくん」

 

僕の背後から声が聞こえてきた。

どうやら、来たみたいだ。

 

「いやいや。星霊武装と月雫武装についてちょっと話していただけだよ」

 

声の主を見ずに僕はそう言う。

なのはたちは声の主をえっ!?と驚いた表情で見る。

何故なら、声を掛けてきた人物はもうこの場にいるのだ。

僕は振り返り。

 

「お疲れさま───夜月」

 

もう一人の夜月に声を掛けた。

そして、その夜月の隣にはイリスが私服姿で立っていた。

 

「なっ!?」

 

「ど、どういうこと!?なんで夜月ちゃんがもう一人!?」

 

「ど、どういうことや!?」

 

「夜月って姉妹だっけ!?」

 

「え!?ここにも夜月ちゃんはいるし、そこにも夜月ちゃんがいる・・・・・・え、どういうこと!?」

 

慌てふためくなのはたちにドッキリ大成功とでも言うように笑うもう一人の夜月に、さっきからこの場にいた夜月が近づく。

 

「お帰りなさい『私』」

 

「うん。お疲れ『私』」

 

二人の会話に僕や聖良たちはなんとも言えずにいるが、なのはたちは頭がこんがらがって居るようで呆然としていた。

 

「もしかしてみんなに言ってなかったの『私』?」

 

「ええ。レイくんからその方が面白いからって」

 

「『私』ってほんとレイくんに甘いねー」

 

「そりゃ、『私』は『私』ですからね」

 

二人の夜月の会話。

これはこれで中々面白い。

 

「あははは。そろそろなのはたちに教えて上げて夜月」

 

「だね」

 

僕の言葉に返したのはイリスを連れてきた方の夜月だ。

 

「えっとね。この『私』は私の能力で生み出した、もう一人の『私』だよ。・・・・・・分身って言った方がわかりやすいかな?」

 

そう。これは夜月の持つ天使がひとつ、時の天使【刻々帝】の《八の弾(ヘット)》で生み出された夜月の分身。いや、もう一人の夜月だ。まあ、正確には過去の夜月だけど。

もっとも、この夜月は本物の夜月よりスペックは低いし、天使は愚か、七つの大罪のアーカイブ接続すら出来ない。出来るのは本物の使える魔法か魔術を一部使えるだけと、生み出した天使である刻々帝の影の銃弾を放つことが出来るだけだけど。

一応、原作であるデアラのと同じで。活動時間もその分身体の魔力が尽きるまでである。

 

「それじゃ、あとはお願いね『私』」

 

「うん」

 

本物の夜月にそう言うと、分身体である夜月は本物の夜月の影の中へと吸い込まれるように入っていった。

初めて見たけど、そこも原作も同じなんだ。

みんなもポカーンとしていて、事態を飲み込めないみたいだ。イリスがいることも忘れられてる。

 

「あのさ、あたし帰っていい?」

 

「いやいや。帰っちゃダメでしょ」

 

「でもなんか忘れられてるし」

 

「うん、それについてはホントごめん。夜月のことでみんな事態が追いついてないみたい」

 

「それは分かるけど」

 

イリスと軽く会話して十秒後。

 

「っ!イリス!?」

 

ユーリがようやくイリスの存在に気づいた。

予めなのはたち見送り組にはイリスのことは伝えていたけど、夜月が迎えに行くことは伝えてなかったからね。

そう思い出していると、イリスにユーリとキリエが近づいた。

 

「私は裁判とか色々あるから、当分はこっちに残るんだけど。終わったあとのこと・・・・・・今のうちに相談しとかなきゃ、って」

 

「終わったあとのこと?」

 

「嘘に踊らされて、みんなに迷惑かけて。取り返しのつかないことをたっくさんした。法で裁かれることはもちろんだけど、みんなには本当に酷いことをしたから・・・・・・。キリエにも、ユーリにも私はもう・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

イリスのその言葉に、ユーリは無言で悲しげに俯く。

キリエは。

 

「今回のことは、イリスが私のお願いを聞いてくれたのが始まり」

 

近づいてそう言葉を出す。

 

「だからそんなに一人で背負わないで。償うのも、謝るのも一緒にやって行こう。お姉ちゃんや王様たち・・・・・・ユーリも一緒にいてくれる」

 

「はい!」

 

「空を見上げて頑張ろう!みんな一緒に」

 

「!ぅ・・・・・うん・・・・・・!」

 

キリエとユーリの言葉にイリスは涙を流して、小さく嗚咽を漏らした。

イリスが泣き止むのを待って。

 

「イリスについては僕らに任せて」

 

キリエとユーリにそう言った。

 

「ええ」

 

「お願いします、零夜さん」

 

そうこうしている間に、エルトリア勢が帰還する時間となった。

 

「アミタさん、あれは持った?」

 

「はい。ここにあります」

 

「戻ったら設置をお願いね。あと、この薬をグランツ博士に飲ませて上げて」

 

「何から何まで・・・・・・ありがとうございます零夜さん」

 

「ううん。これくらいはしないと。アミタさんたちにも僕の所を手伝ってもらうんだしね」

 

「はい」

 

帰還する直前に、僕はアミタさんと二人だけで話、星夜と僕が調合した回復薬(エリクサー)を渡した。一応、一ダースほど。

そして。

 

「みなさん、本当に。お世話になりました」

 

「こちらこそ」

 

「みなさん、お元気で」

 

「気をつけてね」

 

僕らが見送る中、アミタさんたちは次元跳躍転移で自分たちの星へと帰って行った。

アミタさんたちが星に帰るのを見届けた僕らは。

 

「さてと。それじゃあ、僕らは残りの夏休みを満喫しますか!」

 

『『『おーう!!』』』

 

元気よく、僕ら子供は手を挙げたのだった。

こうして、まだ裁判とかはあるけど、夏のある日に起こったエルトリアと地球を結ぶ事件は終わりを迎えたのだった。

 

 

 

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