魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語 作:ソーナ
〜凛華side〜
捜索が始まって小一時間。
私たちフラクシナスでの待機組は、フラクシナスでオペレーターとして地上との通信のやり取りをしていました。
「ふう。それにしても、この荒魂というのは不思議な生物ね」
荒魂という生き物についての資料を読み返す中、私はそう声に出しました。
荒魂とは、刀使が持つ御刀から。いえ、正確には、希少金属【
荒魂が人を襲うのは、神性たる玉鋼を奪われた───いや、引き裂かれた恨みによるものではないかと、言われている。
そして御刀。御刀とは特殊な力をもった日本刀であり、神聖な希少金属【玉鋼】から作られる刀である。御刀は刀使が持つことにより、珠鋼に秘められた【隠世】と呼ばれるこの世界の異世界から様々な物理現象を引き出す力を介して、様々な超常の力を引き出し使役できる。また、荒魂に対抗出来る唯一の武器。
攻撃術の一つ。移動速度を人間の数倍以上に引き上げる【迅移】。
刀使の基本戦術であり、最大の防御術である【写シ】。
刀使の攻撃術の一つ。御刀を媒介として筋力を強化する【
刀使の攻撃術の一つ。御刀を媒介として肉体の耐久性度を上げる【
基本この四つが刀使の戦闘基本術らしい。
「興味深いわね・・・・・・けど、同時に恐ろしいわ」
「どういう意味ですか?」
私のそんな呟きを聞いたのか、クライドさんが聞いてきた。
「この荒魂に唯一対処できるのが、御刀という日本刀を持った刀使だけであるということと、このノロは人間に投与すればとんでもないチカラを得るということです」
「ノロを投与・・・・・・ですか・・・・・・」
クライドさんが恐れるように言った。
『実際にノロを人間に・・・・・・いえ、刀使に投与した件が二つ存在します』
『データに出すわ。それぞれのモニターに視線を移しなさい』
鞠亜ちゃんと鞠奈ちゃんに言われ視線をモニターに移すと、画面の中央に文章が現れた。
その文章にはノロを刀使に投与した実験結果が一面を埋めつくしていた。
「これは・・・・・・」
「へぇ。『人体にノロを投与した結果、身体能力の向上。荒魂の産出を確認』ね。第一の被験者は───」
下に進めていくと、四人の名前が表示された。
「これ、今の特務警備隊の四人の名前・・・・・・なるほど、そういう事ね。あの四人が、ノロの投与した刀使の第一被験者ということ」
そこには、折神紫親衛隊第一席・獅童真希。第二席・此花寿々花。第三席・皐月夜見。第四席・燕結芽。と書かれていた。
そしてその更に下には、第二の被験者たちの名前が綴られていた。
「(冥加刀使?)」
ある一文に私は眉根を寄せました。
「(ノロを投与したタギツヒメの護衛隊=冥加刀使・・・・・・。なにこれ。こんなのをまだ年端もいかない女の子たちに投与したっていうの!?)」
文脈に書かれている文章から、私はすぐさま結論づけた。この冥加刀使は、所謂、タギツヒメという荒魂を守るために結成された刀使の部隊。つまり、生も死もこのタギツヒメが命じれば疑うこと無く、進んで引き受ける部隊だ。
これを創ったのは───。
「(綾小路武芸学舎学長相楽学長に、鎌府女学院学長高津学長ね・・・・・・。いえ、率先して作ったのは鎌府学長。綾小路学長は、生徒たちを守るため止むを得ず、ってなってるわね。鎌府学長はどうでもいいけど、綾小路学長とは話してみたいわね。この人、たぶん苦渋の決断だったのでしょうね。これを見る限り)」
鞠亜ちゃんと鞠奈ちゃんの特技は、ネットワークに数多ある情報の収集だ。それは、ネットワーク構築が分かってしまえば、どの星のネットワークも自由自在に入り込んでしまうこと。ある意味、一種の戦略級AIだ。もっとも、作成者は夜月ちゃんであり、そうでなくてはこのフラクシナスを操作することなんて出来ないんですけどね。
表示されてる文章を読みつつそう思っていると。
「あれ?」
「イリアちゃん、どうしたの?」
ふいにイリアちゃんが声を出した。
「いえ、地上との通信が急に切断されて」
「え?」
イリアちゃんの言葉に、私はデスクを操作して地上との通信を取る。けど。
「ほんとうだ・・・・・・なんでかしら?」
通信は繋がらず、ノイズ音が鳴り響くだけ。
「鞠亜ちゃん、地上になにか妨害電波出てない?」
『ちょっと待ってください。───これは・・・・・・!』
『ちょっと!地上に強力な通信妨害が出てるわよ!』
『鞠奈、これこの世界の技術じゃないですよ!』
『わかってるわ!な、なによ、この術式・・・・・・!AMFを応用した妨害電波?!』
「鞠奈さん、それは
『今これの対抗術式を構築しています!』
「わかりました。直接
『了解しました。
小さな駆動音とともに艦隊が動き、モニターにフラクシナスの後部にある世界樹の葉が二機射出されるのがわかった。
射出されるのと同時に、すぐに不可視迷彩が発動します。
「っ!地上に封絶結界が発動されていますわ!」
「なっ・・・・・・!」
慌ててモニターに地上の映像を映し出すと、確かに封絶型の捕獲結界が出来ていた。
「一体何が・・・・・・」
クライドさんが艦長席の横に立って言う。さすがにこの状況は想定外です。
「地上との通信が繋がったよ!夜月ちゃんと!」
「わかりました聖良さん!聞こえますか桜坂さん!こちらフラクシナスのクライドです!」
クライドさんが呼びかけると、ノイズだらけの音が段々クリアになっていき。
『───こちら桜坂夜月です!現在、地上では研究会と遭遇。戦闘に入ってます!』
「「「「「っ!?」」」」」
『高町班は研究会の攻撃を受け刀使とともに避難してると思います!他の班は不明です!強力なジャミングのせいで通信が繋がりません!今私は研究会の序列六位のリエル・スリアズラと交戦。他研究会四名は捕縛し獅童さんたちとともにソラが預かってます!』
「わかりました!通信回線はここに集約します!」
クライドさんが夜月ちゃんにそう言ったその瞬間。
ドガンッ!!
「きゃあっ!」
「っ!?」
「な、なにごと!?」
「今のは一体!」
艦に突然衝撃が走った。
「鞠亜ちゃん、なにごと!?」
『右舷
『二時方向、距離、当艦から10,000メートル先!・・・・・・識別反応は無し・・・・・・管理局に登録されてない戦艦・・・・・・敵艦よ!』
「なっ・・・・・・・!すぐに生成魔力の配分を
『もうやってるわ!!』
『
「了解です。桜坂さん、地上の指揮をお願いしてもいいですか」
『わかりました!刀使の方は獅童さんと協力して執ります』
「お願いします。すぐに天ノ宮君を向かわせます!」
通信を切り、モニターに敵艦が映る。
敵艦の形は管理局の次元航行艦に酷似していて、艦のカラーリングは黒銀。管理局の艦のカラーリングが白や白銀に対して対極的な黒。サイズはXL級であるフラクシナスより一回り大きく、管理局の艦に酷似しているが、所々が違っています。
その間にクライドさんは地上に居る零夜くんと通信を取り───。
「鞠亜さん、鞠奈さん、反撃に入りますよ!」
『わかってます』
『そのつもりよ!』
指示を受け、すぐに行動に入った。
星夜ちゃんも椅子に座りヘッドホンのような端末機を付け、意識を集中させる。
「
「「「「了解!!」」」」
『『了解!!』』
クライドさんの、零夜くんからの指示の復唱に私たちは声を上げて、気を引き締めて取り掛かる。
「っ!二時方向より魔力砲撃!当艦到達まで残り八秒!」
『防御領域の強度を強化します!』
「二・・・一・・・来ます!」
星夜ちゃんの忠告声と同時に、艦に地震のような揺れが軽く訪れた。今度は防御領域がはたらき、振動と衝撃があまり来なかった。
「領域強度、以前87%に変わりありません!」
「地上の通信の集約を完了しました!すべての指示を夜月ちゃんから出せるようにします!」
「では、こちらからも攻撃に入りましょう!収束魔力砲〈ミストルティン〉、用意!」
『了解しました。魔力収束を開始します』
『
「了解。敵艦の位置を転送します!」
『───位置情報を確認。照準補正・・・・・・完了。魔力充電完了。〈ミストルティン〉、発射できます』
「収束魔力砲〈ミストルティン〉、発射!!」
『〈ミストルティン〉、発射します』
次々とやり取りをし、フラクシナスから敵艦へ収束魔力砲ミストルティンが放たれました。
放たれた魔力砲は一直線に敵艦へと向かい───。
『〈ミストルティン〉の直撃を確認』
「油断できません。続いてミストルティンの第二射の準備を」
『分かったわ。再発射まで残り百秒』
慌ただしく。しかし冷静に次の一手へと組み立てていく。
「っ!同方向、防御領域範囲指定147・159!」
『了解しました。防御領域範囲指定147・159、展開!』
星夜ちゃんの指定した位置に防御領域が展開されると、そこに敵艦からの砲撃が炸裂した。けど、その砲撃による衝撃や振動は全くせず、無傷だった。
「今の砲撃、先の砲撃よりも強力でした・・・・・・」
「ピンポイントで防御領域を展開して防いだ・・・・・・さすがですね星夜ちゃん」
イリアちゃんと私が星夜ちゃんを、さすがと見ていると。
「次が来ます!同じく同方向、範囲指定96・104。多重防御領域を追加!」
『わかったわ。範囲指定96・104。さらに多重防御領域を展開』
続けてきた言葉に鞠奈ちゃんが反応して、艦の外にピンポイントで防御領域の多重防御領域が展開された。
展開されてすぐさま、多重防御領域に敵艦からの砲撃が直撃した。
威力は多重防御領域が無ければ貫かれていたほどだ。恐らく、一点に集中して、凝縮した砲撃なのでしょう。けど、こちらの多重防御領域は一点に多重領域したため貫かれることなく、敵艦の砲撃を受け止めた。
「クライドさん、〈ミストルティン〉発射出来ます!」
端末を操作していた聖良ちゃんがクライドさんにそう告げる。
「わかりました。主砲〈ミストルティン〉、第二射発射用意!敵艦の中央部!」
「了解。・・・・・・〈ミストルティン〉の座標指定を完了」
「〈ミストルティン〉発射できます!」
「───〈ミストルティン〉、発射!!」
クライドさんの号令で放たれた〈ミストルティン〉は一直線に。膨大な魔力を纏った砲撃は吸い込まれるように敵艦へと到達し、張られていた防御障壁を穿いたのだった。
〜凛華side out〜
上空、フラクシナスと所属不明の敵艦が交戦をしていた頃───
〜零夜side〜
「っ!ったく!急がないといけない時に・・・っ!」
「───!!」
「
外に出た僕は今、エルトリア事変の時に戦った研究会の機械と交戦していた。サイズは一回り小さく、人型のようだが・・・・・・。今も、雷の暴風で五体を纏めて吹き飛ばしたところだ。
場所は鎌府女学院の敷地内のため辺りには刀使の生徒達がいる。
「無関係の星の人にまで危害を加えて!」
恐らく今回研究会の交戦員を率いているの序列はそこまで高くない。五位くらいまでの人間だろう。まさかここに来るとは思ってもみなかった。
けど、思ってもみなかっただけで、
《───そろそろ私の出番ですね》
突然頭の中に声が響いた。
「(うん。お願いね、───)」
その声に僕は動じることなく、いつも通りに返した。
《はい》
そしてそれは相手もで。
「──────『
両手に握られてる剣、『黒聖』と『白庭』に。そして僕を包み込むようにバリアジャケットの上から白銀に光り輝く外套を羽織る。白銀に光り輝く外套は明るいも、キラキラしていてハデというわけでなく、落ち着いていてバリアジャケットにマッチしている。
「いくよ、───」
《はい!》
閉じていた眼を開け、双剣を構えて僕は飛び出した。
新たな能力を発動させて。そして、新しい仲間───とともに。