魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語 作:ソーナ
〜零夜side〜
「───
上空からの流星。いや、流精が次々と辺りの機械群を貫き、穿き、破壊していく。
上位精霊魔法が一つ。
全ての機械群を破壊したのを見て、地上に降りると。
《さすがね零夜。もう私の力をものにしてるなんて》
頭の中に声が響き渡った。
「いや。まだまだだよ───ミリア」
声を掛けてきたのは、僕と契約している精霊。いや、正確には、新たに仲間になった、始源の精霊にして、あらゆる属性の精霊の頂点に立つ精霊の女王が一人、ミリアだ。
彼女との出会いはエルトリア事変が終わって一週間も経ってない頃に出逢った。まあ、彼女と出逢い、仲間になった経緯に関してはまた今度話そう。
「───派手にやったねレイくん」
「夜月」
僕の影の中から霊魔装を見に纏った夜月が姿を現した。
その夜月を見た僕はすぐに苦笑し。
「夜月、キミ刻々帝での分身でしょ」
「あ、分かっちゃった?」
「そりゃ分かるよ」
「ふふふ」
互いに軽口を叩き、小さく笑う。
「さて。マジな話をしようか」
「ええ」
僕と分身隊の夜月は表情を引き締め会話に入る。
「そっちの状況は?」
「研究会の交戦員と各自戦闘中。序列六位の能天使、リエル・スリアズラはすでに撃破して『私』の本体が確保しているわ。それと、各地に『私』を出してるわね」
「そう」
夜月の持つ能力はある意味僕より優れている。
僕が『個』とするならば、夜月は『群』だ。
個人能力では勝っていても、夜月は『個』ではなく『群』。圧倒的な物量攻撃が高い。
以前一対一で本気に近い戦いをした際は、展開したフィールドの大半・・・・・・九割近くが崩壊したのだ。勝負は明莉お姉ちゃんと弓月さんの制止により決まらなかったけど。
「それで、こっちの方は?」
「さっきから来るのはあの機械群だけ。魔導士がどこにいるのかはわかんないよ」
「そう。敵の目的に予想は?」
「アイツらがロストロギアのことを知ってるのかわからないけど、ここにコイツらを送り込んできたってことは・・・・・・」
「っ!まさか、研究会の目的は───ノロ」
「恐らく。刀使に投与してスペックが跳ね上がったなら、それを魔導士に投与したら・・・・・・」
「しかも、実験サンプルにもなる・・・・・・」
「ああ」
夜月と会話を重ねていると。
「っ!この気配、まさか・・・・・・!」
突然機械群のひとつから荒々しい魔力が吹き荒れたのを感じた。
「まずい!」
「くっ!」
「夜月!」
「わかってる!」
すぐさま分身体の夜月が周囲に障壁を張る。
「───ミリア!」
《わかってるわ!》
「
時空間魔法、時空の揺籃・時縳の停りを発動させ、対象の時間を止めた。そして。
「
無防備な機械群に元素崩壊術式を叩き込み、その物質の構成を元素へと還し崩壊させた。
叩き込まれた機械群は一瞬の内に砂のようになり、その巨体を無くした。
「ふぅ。危ない危ない。こんな所で魔力爆発なんか起きたら周囲にどれだけ被害が行くか」
時縳の停りで機械群を停止させたのは、そのまま元素崩壊術式を叩き込むと、連鎖して魔力暴発が起こる可能性があったからだ。元素崩壊術式はその名の通り、元素の構成を崩壊させる術式だ。
簡単に言うなら、一種の破壊魔法だ。あれ、端折りすぎたかな?
あ、ちなみに時縳の停りは対象の時間を止める術式だ。刻々帝の《
「ミリア、他に反応はある?」
《ないわ。どうやら、あの機械群だけトラップが仕掛けられていたようね。まったく。ここにあなたが居なかったら被害は尋常じゃなかったでしょうね》
「たぶんね」
残りの機械群の幾つかを異空間に仕舞い、残りはすべて元素崩壊術式で分解した。
仕舞ったのは局のマリーさんたちへの手土産兼研究物として。分解した理由は、この世界の人があれを作ったりする可能性があるからと、他世界の物を手に入れさせない為。
「夜月」
「なに?」
「『本体』に連絡って出来る?」
「『私』なら出来るわ」
「ならお願い。そっちはそっちで判断を任せるって」
「了解よ」
そう言うと夜月は再び影の中に潜りこの場から立ち去った。
指揮官としては落第点かもしれない。そう、自分に言うように思いながら、負傷した刀使たちの元に向かった。
「すまない。負傷した刀使は?」
近くにいた美濃関学院の服を着た女生徒に声を掛け訊ねる。
「え、えっと、それならあっちで手当を受けてるよ」
「ありがとう。あなたたちは怪我はしてない?」
「ええ、私は大丈夫」
女生徒がそう言うと。
「おまえ何者だ?」
突如首元に一振の御刀が当てられた。
当ててきたのは、あの時声を掛けてきた平城学館の服を着た生徒だ。目付きを鋭くし警戒して僕を見ている。
「じゅ、十条さん!?」
「離れていろ舞衣。・・・・・・質問に答えろ。おまえは何者だ。何故あの機械を破壊出来た?それにあの力はなんだ」
「十条・・・・・・?」
舞衣と言われた女生徒の言った言葉に眉を小さく上げ、御刀を首元に当てる生徒を視る。
「十条・・・・・・ああ、あなたが十条姫和ですか。柊篝の娘。可奈美とともに大荒魂タギツヒメを討滅した、英雄の一人」
「なっ・・・・・・!何故私のことを・・・・・・!それに、何故母さんの事まで知ってる?!」
「紫から聞いたので」
「紫・・・・・・折神紫か!」
「ええ」
「紫様を呼び捨てって・・・・・・」
目の前にいる舞衣・・・・・・さん?でいいのかな?舞衣さんは唖然としている。のは、いいんだけど。
「あの〜、見てないで十条さんをどうにかしてくれます?」
「え!あ!はい!十条さん、こんな小さな子にいきなり御刀を向けたらダメだよ!」
「しかしだな舞衣」
舞衣さんに宥められてる十条さん。そこに。
『あー、聞こえるだろうか?』
僕の持つ通信機から声が響いてきた。
すぐに通信機を持ち。
「はい。その声は真庭さんですか?」
『ああ。ようやく繋がったか』
「ええ。今、学院に侵入した機械をすべて討滅したところです。刀使の方にも十数名負傷者が出たとの事です」
『了解した。今医療チームを向かわせてる』
真庭さんと会話をしていると。
「本部長、コイツは一体何者なんです」
『ん?その声は十条か?』
「はい。あと、舞衣も近くにいます」
『柳瀬もか。そう言えばおまえたちは任務で出ていて知らなかったな。・・・・・・彼の名前は天ノ宮零夜。アタシらの世界とは別の世界にいる、魔導士だよ』
「ま、魔導士!?」
「本部長、冗談を言ってる場合ではないんですが」
『冗談ではない。すでに彼の力は目にしただろう。それに、彼はあの燕結芽に勝ち、衛藤とも引き分けたんだぞ』
「なにっ!?」
「可奈美ちゃんと引き分け!?」
信じられないものを見たような眼差しを向ける二人。
「可奈美ちゃんと引き分けたなんて・・・・・・」
「あの剣術バカや燕と同等の剣技の持ち主・・・・・・にわかには信じられん」
『事実だぞ。それに、紫様や朱音様も彼を認めてるからな』
「一体何があったんですか、私たちがいない間に!?」
『色々あったんだ柳瀬』
そんな会話をしている中。
「ん?」
妙な魔力反応を検知した。
「(なんだ、この魔力?場所は───鎌府女学院の中?)」
検知したその瞬間。
ドガンッ!!
「「「っ!?」」」
地面が揺れたような衝撃音が響いた。
「なんだ今の音は!?」
十条さんが視線を衝撃音が響いた方向。学院を見て言う。
通信機からは。
『おい、今の音はなんだ!』
『わ、わかりません!』
『当内部で爆発が発生!場所は・・・・・・っ!え、エリアE─Ⅴ。ノロの貯蔵施設扉からです!!』
『なんだと!爆発の原因は!』
『わかりません!人為的かと思われます!』
『っ!エリアE─Ⅲ~Ⅴまでのシステムダウン!防災システムがダウンしています!』
そんな切羽詰まった、オペレーターたちの声が響く。
『監視カメラの映像を確認しろ!』
『ダメです!E区画のカメラがすべて破壊されています!』
『なぁ・・・・・っ!』
『貯蔵施設内部の映像を映します!』
『し、侵入者は一人!・・・・・・え。ひ、人・・・・・・?』
『大至急無人機をE─Ⅰに向かわせるんだ!侵入者を捕縛!』
『了解!』
『刀使はD─Ⅷに集結させろ!』
『はい!』
通信機からの音はアラートが鳴り響き、目まぐるしく声が飛び交っている。
「このタイミングで爆発・・・・・・まさか!二人とも、すみませんが僕の手を掴んでください!」
「え、え?!」
「な、なんだと?」
「時間が無いのでちょっと強引に行きます!」
柳瀬さんと十条さんの手を掴み、僕はすぐさま転移術式を発動して指令本部に転移した。
転移して本部に着くと。
「システムの復旧はまだか!」
「ダメです!システムが受付ません!」
「侵入者、E─ⅤからE─Ⅱ区画に移動!まっすぐ外に向かっています!」
あちこちで人が慌ただしく動いていた。
「真庭さん!」
「っ!おまえ達か」
「本部長、これは一体なんなんですか?!」
「わからん。だが、言えることは何者かがノロを奪いに来たという事だ」
「まさか、大荒魂・・・・・・!」
「そんな・・・・・・!」
動揺を隠せずにいる二人。
しかし僕は。
「いや、大荒魂じゃない」
と真剣な眼差しでモニターを見ていた。
「はは。まさか単身でこの中に来るとはね」
「おまえ?」
「天ノ宮?」
乾いた声で笑う僕を怪訝に見る真庭さんと十条さん。
「真庭さん、すぐに刀使たちを下がらせてください」
「なに?何故だ?」
「刀使では相手にならないからですよ。いや、正確には一握り、結芽や可奈美クラスの剣術の腕が無いと相手にならないかと。まあ、それも相手によりますけどね・・・・・・」
僕の背中に冷たい汗が流れる。視線はあるモニターに集中していた。そして、そのモニターには一人の人間が映っていた。両手に短剣を二刀構えた姿が。
「(ヤバい。相手の実力、実際対峙してるわけじゃないのにすごい圧を感じる・・・・・・!研究会の中位の上か上位メンバー・・・・・・!)」
実際にその人は向かってきた警備ロボを瞬く間に切り、行動不能にした。
「む、向わせた無人機、全十五機行動不能!侵入者、一直線にE─Ⅱ区画からD─Ⅸ区画に移動!」
オペレーターの震えた声が耳に入る。
「急いで刀使を全員下がらせてください。じゃないと、死にますよ。ヤツの相手は僕がやります」
そう言うやいなやオペレーターの一人に声を掛け。
「D─Ⅲ区画までの最短ルートをお願い」
という。
「で、D─Ⅲ区画ですか?」
「そう。あと、C─ⅤからD─Ⅱまで進入禁止にして」
「本部長・・・・・・」
「・・・・・・はぁ。わあった。直ちにD─Ⅷ区画に向かっている刀使全員を避難させろ!C─ⅤからD─Ⅱまでの区画を侵入禁止だ!急げ!」
「「「「「はっ!」」」」」
真庭さんの指示にすぐさまオペレーターは行動に入る。
「こちら本部!D─Ⅷ区画に向かっている全刀使に通達!直ちにその場から避難してください!繰り返します!全刀使は直ちにその場から避難してください!」
「刀使の避難が完了次第、進入禁止をします!」
「やれるんだな?」
「ええ。みんながやってる中、部隊長である僕がやらない訳ありませんから」
そう真庭さんに言って、僕は指令本部から出て目的地のD─Ⅲ区画へと向かった。
《いけるの?》
向かってる最中、ミリアが問うようにして聞いてきた。
ミリアの問いに。
「わかんない」
と応える。
見る限り、相手の力量はシグナムに迫る程だった。しかも、モニターから見るに恐らく身体強化の魔法しか使ってない。情報が少ない。
つまり、僕が勝つには───
「全力でやる・・・・・・!」
最初から手加減無しでやるしかない。
しかし、
身体強化魔法をさらに積み重ねしながら、僕は相手と向かう場所に移動して行った。
〜零夜side out〜
〜凛華side〜
『〈ミストルティン〉、敵艦の障壁を貫通!敵艦中央下部に被弾!』
鞠亜ちゃんの言葉に私たちはモニターを確認する。
モニターには艦船下部から白煙が出ている姿が映し出されていた。
「敵艦、戦闘区域を離脱。追撃を仕掛けますか?」
「いえ、追撃はしません。引き続き警戒態勢を・・・・・・」
『待って!敵艦からなにか来るわ!』
クライドさんの言葉を遮り、鞠奈ちゃんの鋭い声が貫いた。
画面を見ると、敵艦から何かがこっちに向かってくるのが見えた。
「ロボット・・・・・・?」
『その数、十・・・・・・三十・・・・・・八十・・・・・・ひゃ、百!?いえ、総数二百五十!!』
「不味いですね・・・・・・コッチに戦力はあまり・・・・・・」
クライドさんが顔を顰めて言う。
こっちに居るのは私とクライドさん、聖良ちゃん、星夜ちゃん、イリアちゃんだけ。鞠亜ちゃんと鞠奈ちゃんはこの艦を操縦して、クライドさんは指揮を。星夜ちゃんは
「私が出ます」
「「「「っ!」」」」
『凛華!?』
『ちょっと!あんた一人で出来るの!?』
「大丈夫です。それに、零夜くんから
そう言って懐から二枚のカードを取り出す。
「凛華ちゃん、そのカード」
「ええ。だから、大丈夫です」
そう言って私はフラクシナスの中から外へと転移した。
「さあてと。始めますか」
口角をキッと上げて、二枚のカード全てを。
「
武装全てを展開した。
まずは。
「冥道へ墜ちなさい!───冥道残月波!!」
一つ目の武装。『鉄砕牙』を使う。
予め零夜くんから渡されていた『鉄砕牙』。さすがの威力ですね。
三十多くが冥道へと送られて行く。
「次は───
周囲に滞空していた十六の刃が次々と自在に空を舞い、迫ってくるロボットを切り裂いて行く。
そして、私自身の武器、銃剣可変一体型武装《フォールクヴァング》を銃盾形態にして、右手に『鉄砕牙』左手に《フォールクヴァング》、周囲に
「はああああっ!!」
風の傷を放ち、幾つかのロボットを破壊。《フォールクヴァング》で的確にロボットを狙い撃ち、匕首・十六串呂で切り裂く。
空を高速で翔け、エネルギー弾を撃ってくるロボットの攻撃を避ける。
「金剛槍破!」
《フォールクヴァング》を上に投げ、両手で『鉄砕牙』を握り締めて
射つなり《フォールクヴァング》を掴み取り、魔力弾を放つ。
「消えなさい!───マテリアルバスター!」
零夜くんのマテリアルブラスターを元にした
一騎当千。私たちは全員が、零夜くんの力になりたいため、それぞれの長所を伸ばし、澪奈ちゃんは近接戦闘、星夜ちゃんは遠距離戦闘、紅葉ちゃんは魔法戦、聖良ちゃんはあらゆる分野(主にサポート系)を。そして私は───。
「私のスペックは、他の姉妹の子たちよりも、上なんですよ」
辺りにいた十機近くのロボットを《フォールクヴァング》の盾剣の剣と『鉄砕牙』で薙ぎ払い、私はさらに破壊して行った。
数分後、その場にいたのは私ただ一人だけだった。