魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語   作:ソーナ

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相反する者

 

〜零夜side〜

 

「はあアッ!」

 

「おおぉっ!」

 

既に戦闘が始まって五分も経ってない。

にも関わらず、周囲には僕らの戦いの余波が造られていた。

 

「ふっ!」

 

「せあっ!」

 

双剣と槍がぶつかり衝撃波が起こる。

身体にかかる衝撃を上手く体勢を整えて緩和し、

 

「くらいなさい!」

 

「───雷の暴風(ヨウィス・テンペスタース・フルグリエンス)!」

 

竜巻と暴風をぶつける。

 

「蒼雷!」

 

「っ!」

 

さらに上空から蒼い雷を落とすがそれは避けられる。

 

「なら!───冥府の支柱!」

 

下。地面から細長い支柱を飛び出させ、上空に押しやる。

 

「なっ・・・・・・!」

 

驚愕の表情を浮かべるクルト。

そこに。

 

「咲き誇れ!───氷華の牢獄(ウニヴェルソ・カルチェーレ)!!」

 

大気中の魔力残滓に干渉し、空間範囲捕縛魔法を放つ。

 

「これは───!」

 

周囲に目を見開くクルト。クルトはそのまま逃げるように空を駆ける。

 

「逃がさない!───咲け(ブルーム)!」

 

最後の一言により、一気に花々が満開のように咲き誇る。

牢獄のように花どうしで結合し閉じていく。

本来ならこれで終わり(チェクメイト)なんだけど。

 

「───さすがですね、天ノ宮君」

 

「そっちこそ」

 

空に上がった僕の目の前に空間の裂け目が現れそこから息も絶え絶えのクルトが出てきた。

まさかそんなやり方で氷華の牢獄から逃げるとは思わなかった。

 

「では今度はこちらから」

 

「っ!」

 

空間の裂け目から絶え間なく刃のような風や魔法を放つクルト。

僕はその全てを五感だけでなく、第六感まで全てをフル活用して避ける。

 

「では全方位からは」

 

「なにっ!?」

 

僕を取り囲むように全方位囲む空間の裂け目に翔ぶのを止める。

 

「(ヤバい・・・・・・!)」

 

そう思うのと同時に。

 

「ノドゥス・インドゥエレ!」

 

空間の裂け目から漆黒の槍が矢のように次々と飛び出してきた。

 

「くっ!」

 

黒聖と白庭で迫り来る漆黒の槍を斬り破壊していくが数が多い。

いくら自身の周り、半径1メートルは自分の絶対領域とはいえこのままでは押し切られる。

 

時空の揺籃(クロノ・プレジディム)逆刻の反戟(リフレクトタイム)!」

 

時空間魔法の反撃(カウンター)で迫り来る漆黒の槍を跳ね返す。

 

「ほう・・・・・・!」

 

淡々と驚きの声を漏らすクルト。恐らくこれを防がれたのは初めてなのだろう。まあ、確かにこの全方位からの多重魔法攻撃は並大抵の魔導師では回避、防御不可だ。

可能性があるとすれば、空間転移か結界による防御とかだろう。ま、それを踏まえてもこれはかなり高難易度の魔法だ。

けど、

 

「やられっぱなしは・・・・・・!」

 

《私たちの性にあわないわ!》

 

僕とミリアはこのままやられっぱなしというのは好きじゃない!

 

「《くらえ(いなさい)!───流精群(ミーティア・スピリット・レイン)!!》」

 

ミリアと同時に放つ宇宙からの槍。流星群為らぬ、流精群。精霊魔法とムンドゥス・マギクス式を合わせた魔法。

威力は上級クラスを超える。

 

「りゅ、流星・・・・・・!?」

 

「受けてみなさい、宇宙からの槍を!」

 

右手を上げてて言い、勢いよく右手を振り下ろす。

 

「な・・・・・・!」

 

振り下ろされると、流精群はさらに数を増し、重力に引かれるように堕ちてきた。

 

「この数を捌ききれるかな?!」

 

「ぬぅ・・・・・・!」

 

「術式解放!千刃黒曜剣!」

 

流精群を捌くクルトに周囲に展開した黒曜石の刃と共に接近する。

 

「小癪な・・・・・・!」

 

宇宙からの流精に、僕の攻撃。さすがのクルトもこれには顔を顰める。

 

「行けっ!」

 

僕の声とともに黒曜石の刃が空を翔び、自由自在に駆ける。

 

「ノドゥス・インドゥエレ!」

 

その刃をクルトは漆黒の槍で迎撃する。

 

「僕が居て余所見するとはね!」

 

「なにっ!?」

 

流精群と共に接近した僕はクルトに黒聖と白庭による斬撃。二刀流ソードスキル《インフェルノ・レイド》を放つ。

 

「ぐはっ!」

 

「まだだ!」

 

《インフェルノ・レイド》九連撃をたたきこむや、次の攻撃に入る。

 

「《疾く在れ・吹き荒れ・穿ちてよ》!!」

 

疾風と暴風。そして閃光のような魔法を即席呪文で発動させる。

 

「ぐおっ・・・・・・!」

 

クルトはその三種の魔法と流精を受け、地面に叩き付けられる。

 

「術式解放!精霊の霊槍(スピリット・ランス)!」

 

追い討ちを掛けるように、幾多ものの《精霊の槍霊》を展開。

 

「装填!」

 

右の黒聖に《精霊の霊槍》を装填し、魔力を一気に爆発させクルトに突っ込む。そのまま地面にいるクルトに当たろうとしたその瞬間。

 

「っ!?」

 

突然クルトの前に巨大な光の柱が現れ、地を震わすほどの衝撃を与えた。

 

「この魔法は・・・・・・!」

 

突然のことに急停止して大きく後ろに飛びずり目を見開く僕。

 

《な、なに。この魔法の威力!こんなの常人に出せるレベルじゃないわよ・・・・・・!》

 

僕の中にいるミリアも驚いている。

その僕たちの目の前に。

 

『──────』

 

一人の人間が降り立った。

いや、人間かどうかも分からない。何故なら、何かの魔法を行使しているのか、その輪郭が分からないのだ。性別も容姿体型すらも不明だ。

その何かはゆっくりとクルトの方に降りて行き。

 

『苦戦してるね』

 

ノイズ混じりの声を発した。

その言葉にクルトは。

 

「申し訳ありません」

 

その場に膝を着いて頭を伏していた。

 

『原因はあれ?』

 

「っ・・・・・・!??!」

 

視線を向けられたのだろう。その何かに見られた僕は一瞬心臓を握られたような錯覚を感じた。

 

「左様です」

 

『キミが苦戦するなんて久しぶりじゃない?』

 

「はい。申し訳ありません」

 

『ふふ。別に怒ってないよ。驚いてるのさ。キミにそこまでの手傷を追わせるなんてね』

 

「はい」

 

『それで、あれは一体何者?』

 

「はい。時空管理局の魔導師。以前報告した際に話しました、《星戦の魔王(メイガス・オブ・ロスティライズ)》です」

 

『へぇ。あの子が・・・・・・』

 

「はい。御身と同じく『王』の名を保持する者です」

 

『そう・・・・・・。ついに来たんだ。ボクと同じ者が』

 

「ええ」

 

『長かったねー。あの日から・・・・・・』

 

「ええ。長い年月でした・・・・・・」

 

彼らの言っていることが理解出来ない。

僕はゆっくりと空から地面に降り立ち警戒心をMAXにして様子を見る。

 

「(今動いたら殺られる・・・・・・!何なのあれ・・・・・・本当に人間・・・・・・?有り得ないとしか言えない・・・・・・!)」

 

僕の頭の中で危険信号が桁増しく鳴っているのだ。

 

『それじゃあ帰ろうか』

 

「宜しいのですか?」

 

『うん。目的の物はメイラが持って帰ってきたしね。それにデータは取れたから』

 

「御意」

 

恭しく頭を下げるクルト。そのままクルトは転移魔法陣を構築しだした。

 

「ま、まてっ!」

 

『ああ。動かない方がいいよ』

 

「っ!」

 

『今のキミじゃ、ボクには勝てない』

 

「───!」

 

『それに、キミはボクたちが長年待っていた人物だ。今ここで摘むのは惜しい』

 

「ど、どういう意味?!」

 

『ボクとキミはいずれ戦う。それは決して逃れられない運命だ。ボクは、ボクの目的の為。そしてキミは、自分の目的の為』

 

「何を言って・・・・・・」

 

『待ってるよ。キミがキミ自身のチカラを完全に扱え、全てを超越してボクの所に来るのを!』

 

僕と何かが話している間も、クルトの発動させた転移魔法陣は光を増していく。

 

『さぁ!始めよう!これからの、ボクたちとキミたちの聖戦を!!ボクは研究会の序列0、(デュークス)

 

「なっ!?」

 

『ボクたちは必ず悲願を達成させる・・・・・・!その邪魔をするなら───!』

 

そう言うとその何かはクルトとともに消え去って行った。

後には戦闘の余波と、今ここで戦闘があったとは思えないほどの静寂が漂った。

 

「あれが研究会のトップ、『神』の地位・・・・・・」

 

彼らが立ち去った今でも僕はその場を動けずに居た。全身を鳥肌が立ち、背筋に冷たい汗が流れる。

 

「一体研究会は何をしようとしてるんだ・・・・・・」

 

呟きは風に流されるように消え、僕の問いに答えるものは誰一人と居なかった。

 

「兎に角今はここの後始末をしないと・・・・・・」

 

術式兵装を解いて言うと。

 

『『『───』』』

 

「えぇぇ・・・・・・」

 

僕の周囲にいきなり荒魂が数体現れた。

サイズは中型から小型。

 

《疲れてるところに現れるって・・・・・・》

 

ミリアの意見にはもっともである。

 

「はぁ」

 

僕は溜め息を吐き。

 

「《邪魔(・・)》」

 

と一言言った。

すると、現れた荒魂はすべてその存在が抉られたように消え、この空間から消えていった。

その光景を一別し。

 

「フラクシナス。こちら天ノ宮零夜。フラクシナス、応答願います」

 

上空に居るであろうフラクシナスに連絡をとったのだった。

そしてその背後に。

 

「───もう終わった、って感じかな?」

 

空間を広げて、右手に大きな錫杖の鍵を持った夜月が現れた。

 

〜零夜side out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜なのはside〜

 

「───そう。わかったわ。そっちの『私』たちはそのまま各地に散開して研究会の残存を確保、無力化して。で、そっちの『私』たちは、ロストロギアの捜索。て、残りの『私』たちははやてちゃん達の所にいる私と合流して、合流しだい全員帰還よ」

 

『『『『『了解!』』』』』

 

今私の目の前には、夜月ちゃんが複数人いる。

みんな、過去の夜月ちゃんらしいけど。なんていうか───

 

「こうして見ると、夜月もバケモノレベルよね」

 

「いえ、バケモノ、というのを遥かに超えていると思いますが」

 

アリサちゃんと皐月さんが声に出して言う。

 

「アハっ!今度夜月ちゃんとも戦ってみたいな」

 

「おお!?すげぇな。夜月の強さは零夜に匹敵するレベルだっつのに」

 

さらに結芽ちゃんとソラさんが言う。

 

「はぁ。結芽、夜見。もう少し緊張感を持て。今の状況は今までの荒魂討伐の比ではないのだぞ」

 

「はぁーい」

 

「わかってます」

 

うーん。さすが獅童さん。威厳があるなぁ。

結芽ちゃんと皐月さんに忠告する獅童さんに私はそう思った。

 

「ねぇ、夜月ちゃん」

 

「なに、なのはちゃん?」

 

「零夜くんたちは大丈夫なのかな」

 

私は未だに連絡が取れない零夜くんの事を尋ねた。

その言葉にアリサちゃんたちもこっちを見てきた。

 

「私の分身からだと、接触は成功したけど向こうも色々面倒なことが起こってるみたいだからね・・・・・・まあ、大丈夫だと思うよ」

 

「思うよ、って」

 

「だって、あのレイくんだよ?そう簡単に殺られるなんてありえないよ」

 

夜月ちゃんの言葉に私たちは確かにと感じた。

私の初めて出来た友達にして幼なじみ、そして魔法の師である零夜くんのチカラは今の私たちより遥かに上だ。現に、何時もトレーニングの最後にやる模擬戦では私たちが束になっても、零夜くんを倒せない。二年前からランクSSSの零夜くん。そこからさらに修練して、もうランクはEXと、未定な領域。憧れでもあり、情景。羨ましい面もあり。と、様々な感情が入り乱れる。

ああ。私にもっとチカラがあれば、って。

出来ることなら、私は零夜くんに守られるだけじゃなくて、守ってあげたい。もしくは、対等に。傍で並んでいたい。

そういつも感情が溢れる。それは私だけじゃなくて、フェイトちゃんやはやてちゃん。アリサちゃんにすずかちゃん、アリシアちゃん。私たち全員が思っていることだ。

 

「あのぉ、ちょっと聞いてもいいかな?」

 

「ん?なに衛藤さん」

 

「どうして零夜くんがそう簡単に殺られるわけないって思うの?」

 

突然の可奈美さんの質問に私たちは動きを止めた。

 

「確かに・・・・・・彼は結芽に勝ち、現刀使の中で最強と言われる衛藤と引き分けた。だが、彼はまだ11歳なのだろう?」

 

当然と言えば当然な質問が獅童さんからも来た。

事情を知らない人からしたら、零夜くんの魔法や剣技のレベルや戦闘技術は異様だ。魔法は得一級。ミッド式にベルカ式も使え、ムンドゥス・マギクス式は基本魔法。更に精霊魔法や時空間魔法などというものも編み出している。これだけ見ると、零夜くんは五種類の魔法を使っている事になる。さらに剣技もシグナムさんに引けを取らない。シグナムさん曰く、『二年前の当初は互角だったが、今零夜と純粋な剣での勝負となったら恐らく私は負けるだろう。それは魔法も加えたら尚更だ。あいつの剣技は既に私たちの届かない極地にまで到達しているのかもしれないな』と言っていた。

確かに、零夜くんの師匠とも言える人があの女神さん達だから仕方ないけど。

それは別にしても、零夜くんの能力のスペックは未だに底が見えない。

 

「あなた達の疑問や不安はもっとも。だけど、彼は・・・・・・レイくんはそんじょそこらの人に比べたら遥かに高い位置にいる。それに、レイくんが本気で殲滅しようとしたなら、最初からそれを使って、跡形も残らずにこの世界から消し去ってるからね」

 

夜月ちゃんの言葉に刀使組はみんな息を飲んでいた。

その瞬間。

 

 

ドンっ!!

 

 

「「「「「「っ!!?」」」」」」

 

何かが落ちたような、地鳴りと衝撃音が襲ってきた。

 

「おいおい!なんだよあの光の柱は!」

 

ソラさんの指さす先には、衝撃音が聞こえて方角だった。そしてそこには巨大な光の柱が。まるで聖域を護る守護結界のような純白の光の柱がそこに顕現していた。

 

「なんだ・・・・・・あれは・・・・・・」

 

「位置的に鎌府女学院の方ですね」

 

「ちょっと・・・・・・!あそこって今零夜が戦闘してる場所じゃ・・・・・・!」

 

「───封解主(ミカエル)(ラータイプ)!」

 

驚いている私らを他所に夜月ちゃんは再び、右手に錫杖の鍵を顕現させ、その先を何も無い空間へと突き刺し、鍵を回すように右に回した。

するとそこから。

 

「───なんや、一体」

 

「あの光の柱は一体なんなの」

 

「はやてちゃん!すずかちゃん!」

 

はやてちゃんとすずかちゃんたちが出てきた。

 

「お疲れ様『私』」

 

「いえいえ。それじゃあ私はこの辺で」

 

夜月ちゃんは年の割には落ち着いていて、さらに同じ行動を2回取った。

そしてその2回で私たちは全員揃った。というか、あれって空間転移じゃなくて、空間と空間を繋げてるんじゃ・・・・・・。私はそう思うのと同時に、タラりと冷や汗が背中を流れた。零夜くんもだけど、夜月ちゃんも恐ろしいよね。

 

「みんな揃ったわね。今からレイくんのいる所に空間を繋げるから着いてきて」

 

そんな夜月ちゃんの言葉に驚く私たち。

そんな私たちを他所に夜月ちゃんは再び手に持つ錫杖の鍵を目の前の何も無い空間に突き刺して。

 

「───開」

 

と言った。

そのまま夜月ちゃんは自分で開けた空間に入り、私たちもあとに続く。すると一瞬で、私たちはこの世界の刀使の人たちの学校の一つである鎌府女学院へと来ていた。そして、すぐ近くには両手に黒と白の長剣を携えた零夜くんがいた。周囲は戦闘の余波らしきものでボロボロだけど。それは零夜くんもで、展開しているバリアジャケットはあちこちが切り裂かれ、ジャケットのコートの裾には霜や氷などが付着していた。

そんな状態に驚いている中、夜月ちゃんはいつも通りに零夜くんに、話しかけていたのだった。

 

 

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