魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語 作:ソーナ
〜零夜side〜
この世界に来て数日が経ち、目的のロストロギアを確保し帰還したいのだが、現在帰還は不可能(転移による帰還は可能)というわけで、帰還までの間僕たちは彼女たち刀使のお手伝いをすることにした。あ、ちなみに捕獲した研究会の連中はまとめて本局の警備部に転送して引渡してある。
そして───。
「───すずか、氷で荒魂の動きを止めろ!」
「了解!!」
「なのは、魔力のチャージ!はやてはすずかと共に石化で動きを止めろ!」
「「了解!!」」
「零夜くん、五時方向と八時方向から荒魂の増援!」
「了解。可奈美!」
「うん!」
僕たちは荒魂が突如大量発生した場所で戦闘をしていた。
「左!糸見さん!柳瀬さん!」
「はいっ!」
「まかせて!」
「っ!天ノ宮、後ろだ!」
「───
「────」
背後から来る荒魂をその存在を
「その程度で後ろを取ったと思うなら甘いね。可奈美や、結芽の方が強いよ」
それと同時にその後ろにいたもう一体の荒魂を
「合わせろ結芽!行くぞ!ハアあぁぁぁぁっ!」
「オッケ〜零夜くん!」
瞬動を行使し、結芽とともに残りの荒魂を片付ける。
結芽とのこういう戦闘はやりやすい。僕も結芽もスピード特化というのもあるけどね。まあ、僕は攻撃、速度、防御も高いんだけど。いうなら万能型だね。
ま、それは置いといて。
「零夜くん、チャージ完了だよ!」
「了解!全員その場から離脱!」
なのはの声に僕ははやてたちに指示を出し、その場から離れたはやてたちを見て。
「凍てつけ!!───氷華!」
荒魂を全て凍り付かせる。
「撃てなのは!」
「うん!・・・・・・いくよ!───ソウルブレイカーッ!」
なのはの放った純粋魔力砲撃。荒魂に効果のある、特攻魔砲ソウルブレイカー。なのはのソウルブレイカーは荒魂たちを飲み込み。
「───荒魂の討滅を確認」
「了解。周囲に荒魂の反応は無し。任務完了です」
索敵をし、周囲に反応が無いのを確認してみんなに報告する。
「こちら天ノ宮。荒魂の討滅を完了しました。被害はゼロ。ノロの回収班をお願いします」
『こちら司令部。了解しました。天ノ宮さんたち、御協力ありがとうございます』
通信を終え、僕らは回収班が来るのを待つ。
ちなみにここに居るのは僕を含め、なのは、はやて、すずかの魔導師四人と、可奈美、結芽、十条さん、柳瀬さん、糸見さんの刀使五人、計九人だ。夜月たちは別の場所で獅童さんたちとともに分かれて荒魂の対処をしている。
「夜月、そっちは終わった?」
『終わったよ〜。獅童さんの指揮のお陰で早く終わっちゃたよ。あ、七之里さんまだ物足りなさそうにしてる・・・・・・』
どうやら向こうの方はかなり曲者揃いらしい。
いや、それはこっちもかぁ〜。
視線をそぉーっと動かすと。
「・・・・・・舞衣、クッキーある?」
「あるよ沙耶香ちゃん。戻ったら持ってくるね」
「・・・・・・うん!」
「ねぇねぇ結芽ちゃん。戻ったら手合わせしてくれないかな」
「いいよぉ〜!私も千鳥のお姉さんとやりたかったんだ!」
「私たちも帰ったらお茶にしよっか」
「賛成!」
「ウチもや。丁度なのはちゃんのトコのケーキがあるしなぁ」
「うふふ。いっぱい持ってきたから大丈夫だよ」
「翠屋にはいつもお世話になってます」
みんなもうのんびりモードになっていた。
柳瀬さんまで・・・・・・・。
その光景に苦笑しつつ夜月と通信をして切る。
「さて・・・・・・本局に帰れるまであと二、三日掛かるし・・・・・・全く夏休みだったから良かったけど学校ある日だったら大変だったよ。いや、
そんな独り言を漏らしていると。
【───なるほど。君か。この世の理から外れた存在】
「え」
突如何処からか不思議な声が聞こえてきた。
なのはたちを見るが、なのはたちは今の声が聞こえてないのかさっきと変わってなかった。
【ふふふ。無駄よ。この声は君にしか聞こえない。いえ、君の頭に直接語り掛けているのだから」
その声に僕はすぐさま声に出すのではなく、念話をするのと同じように声の主へ問い返す。
「(誰。何処から声を掛けているの)」
【ふふ。辺りを見渡しても意味無いわ。言ったでしょ、君の頭に直接語りかけているって】
問い掛けるが尚もその声の主は笑うように、面白そうに答える。
【私の名前を言ってもいいけど、それは直接会った時にしましょう?】
「(どういうこと)」
【ふふっ。戻ったら、折神の家がある山の山頂へ向かいなさい。そこでまた会いましょう】
そう告げるとその声は聞こえなくなった。
「(折神家の山の山頂?何故・・・・・・)」
疑問に思いながらも、後で行くことにし、僕たちは回収班と護衛の刀使にあとを任せその場を後にした。
戻ってから事後処理等をし、僕は声のあったように折神家の山の山頂へと向かっていた。
「(聖良たちは置いて来たけど・・・・・・なんとかなるかな)」
事前に紫に許可を貰い僕は一人でその道を歩いていた。
しばらくして山頂に着くと。
「ここが山頂か・・・・・・結構いい眺めだなぁ」
少し開けた場所に出、目下の鎌倉市域が見渡せた。
「山頂に来たはいいけど・・・・・・誰もいない・・・・・・?」
辺りを見渡しても何も無く、誰もいない。
気配感知を使っても何も無かった────
【───来たね】
「っ!」
はずなのだが、突然後ろの方から声と気配が感じた。
バッ!と後ろを向くとそこにはさっきまで何も無かったはずなのだが、そこには大きくはないが紅い。赤というより朱色。紅色に近い鳥居が存在していた。
僕は何となくその鳥居がなんなのか分かり、警戒を高めながらも鳥居を潜った。
鳥居を潜ると、景色が一変した。
「(結界・・・・・・いや、異空間か。なんか僕の絶界の領域空間に似ている気がする)」
恐らくあの鳥居が入口だったのだろう。鳥居を跨いだ時感じた何かがぶれた感覚は、結界に囚われる感じだった。
そう思いながら周りを見渡すと。
「はじめまして、ね」
視界の奥から紅と白の混じった着物のような戦闘衣装を来た、少し黒の交じった白髪の女性が現れた。
その女性の姿を見て僕は警戒を高める。なぜなら。
「───っ!まさかこんな所で出会えるなんて・・・・・・!」
「へぇ。私の正体にもう気づいたの?」
「ええ。あなた・・・・・・・・・・『大荒魂』・・・・・・ですよね」
「正解」
目の前の女性は大荒魂だからだ。しかも、気配が濃密だ。とてつもない年月を生きていることが分かる。
「我が名はトヨタマヒメ。君の言う通り大荒魂よ」
「っ!」
冷や汗の流れるのを感じていると。
「そして、原初の大荒魂でもあるわ」
「原初・・・・・・!?」
とてつもないことを聞いた。
原初ということは、一番初めの大荒魂ということになる。
「まあ、私自身人の営みや繁栄に興味が有るから一度も相対した事は無いのだけど。記録でもないんじゃないかしら?」
確かに彼女の言う通り、彼女からは殺気のようなものは全く感じず。他の荒魂立ちと同じような穢れた気配は無く。むしろ、ネネに近い・・・・・・というより、酷似したような気配を感じる。
「ま、大荒魂というのは人が付けた名称なんだけど・・・・・・・私は気に入ってるから大荒魂でいいわ。なんかその方がカッコイイわ」
「あ、そ、そうですか」
なんだろう。彼女、とてつもない天然な気がする。
そう感じつつ引き攣り笑いを浮かべる僕。
「ええ。ああ、私のことはトヨタマヒメと呼び捨てで構わないわ」
「わかった」
「ふふ。それじゃあ、今度は君のことを教えて貰えるかしら」
「───僕は天ノ宮零夜。時空管理局本局所属、特務0課に属してる」
「ふうん。天ノ宮零夜、いい名前ね。零夜と呼ばせてもらうわ」
「どうぞ」
「ありがとう。さてと、何故私が零夜。君を呼んだのかと言うと、単純に君にある剣を渡したいの」
「剣?」
「ええ。この二振りよ」
そう言ってトヨタマヒメは着物の裾から二振りの剣。いや、刀を現出させた。片や流麗な銀の光を放つ刀。片や神々しいとも言えるような輝きを纏わせる黒銀の刀。
「その二振りは・・・・・・」
「片や『
「なっ・・・・・・・!」
その銘は日本人ならほぼ全ての人が知っている名前だ。
どちらも日本神話やゲームなどに出てくる有名な剣だからだ。
「もっとも、この二振りは現世ではなく幽世に。私が保持していたのだけど」
サラリと。なんでもないようにいうトヨタマヒメ。
僕は彼女にとある質問をした。
「・・・・・・二十年前の【相模湾大災厄】の時や【年の瀬の災厄】では手を出さなかったの?」
「私は基本的には手を出さないの。もちろん、私のこの世界にまで影響が来るのなら対処はするわ。けど、それ以外のことは基本傍観するだけよ」
「何故・・・・・・・」
「言ったでしょ。基本傍観するだけって。まぁ、タギツヒメの件は万が一のことがあったら対処する予定だったけど」
クスクスと笑って言うトヨタマヒメ。少し寒気のような物を感じたが、それはタギツヒメについてだけで、それ以外は温かみを感じる。
「さて。私は君に他所の世界へと持ち出された荒魂の残り。ノロでいいのだったかしら?ノロを回収。もしくは完全消滅をして欲しいの」
「・・・・・・それは僕の中でも最大級の優先事項だよ。僕のせいでヤツらに渡ったんだから」
「別に君のせいじゃないわよ?君は元々この世界の人間じゃない。この世界の人間じゃない君に責任を押し付けるなんて烏滸がましいわ」
肩を竦めて呆れたように告げるトヨタマヒメ。
「別に私自身がノロを持ち去った人間からノロを取り返せばいいのだけど、生憎だけど私は出来ないのよね。もう既にこの世界に持ち去られて、此処に無いものは、この世界の住人たる私には手出しが出来ないし。けど、君たちは違う。この世界の住人ではなく、別の世界から来た人間なら出来る。いえ、寧ろ君たちに頼まなければダメね」
トヨタマヒメは歯痒そうな表情を浮かべつつ腕組みをする。
「さてと。君にこの二振りを渡す前に───」
トヨタマヒメはそう言うと、天羽々斬と天叢雲剣の柄を握りしめ。
「一つ、私と手合わせ願おうか」
と切っ先を向けて言った。
それに並ぶように僕も背中に、二本の長剣。『黒聖』と『白庭』を現出させ吊す。
「いいよ。僕もあなたの力量を知りたかったから」
言い終えると同時に背中の長剣の柄を握り勢いよく抜き放つ。
「(なんだあのトヨタマヒメの構え・・・・・・。紫の二天一流のように見えるけど違う。僕と同じ我流?天陽流は僕だけのだし・・・・・・・。とにかく、今の自分のやれることを全力でやるだけだ)」
トヨタマヒメの構えは、右手の『天叢雲剣』を逆手に握り、左手の『天羽々斬』はそれに追ずるように刃先を右下に向けていた。
対する僕は何時ものスタイルである、身体の重心を少し落とし左手の『白庭』を前に右手の『黒聖』を交差するように下にする。
やがてどちらも音が無くなり、辺りを静寂が包み込む。
ほんの数秒が数分にも引き伸ばされたような感覚の中、僕とトヨタマヒメは合図もなしに同時にその場を蹴り動き出した。