魔法少女リリカルなのは 魔法と未来を繋げる者たちの物語   作:ソーナ

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トヨタマヒメ

 

~零夜side~

 

「ふっ!」

 

「はっ!」

 

最初はお互いに小手調べ。軽く打ち合い(と言いうが、その剣速は尋常じゃないが。並の人なら着いていけずに終わってるレベルである)互いの力量を識る。

 

「なるほど。その若さでこの剣。さすが、イレギュラーね」

 

「そっちこそ。今まで戦った中で一二を争うよ」

 

ガキンッ!と甲高い音を鳴らして僕の『黒聖』と『白庭』。トヨタマヒメの『天羽々斬』と『天叢雲剣』は次々とぶつかり合う。

トヨタマヒメの初手の左薙ぎからの回転して右斜め切りには驚いた。今まで色んな剣技を見てきたけど、そんな剣技は見たことないからだ。しかも、左薙ぎはブラフ。本命は右斜め切り、と普通の人だったらこの一撃で終わっていただろう。僕は咄嗟に変則クロスガードして防いだが、あれはヤバかった。知智お姉ちゃんとのぶつかりでも初手からそんな剣技はしないからだ。

僕のアインクラッド流二刀流ソードスキル《ダブルサーキュラー》に少し似ている気はするけど。

 

「はああっ!」

 

右下ろしから左突き。足払いしてから右回転して薙ぎ。それに追撃で右薙ぎ。クロスして切り裂く。

しかし僕の剣をトヨタマヒメは見切っているように最短で的確に反らしたり防いだりする。

 

「重い・・・・・・。なるほど。君は既にその極地にまで到達しているのか。余程、師が良かったのかしら?」

 

カウンターで『天叢雲剣』を振るってきたトヨタマヒメの攻撃をバックステップで避ける。宙返りしてさらに距離をとり、地面に脚が着くと同時に瞬動でトヨタマヒメとの距離を詰める。それは短時間最速にする技法、超縮地。

 

「っ!」

 

一瞬の刹那。ギリギリトヨタマヒメは避けるがトヨタマヒメの戦闘装束の裾に一筋の切り傷が描かれる。

 

「驚いた。今のは視えなかったわ」

 

淡々と驚いたように切れた一筋の傷を見る。

 

「なら、私も少しギアを上げるわよ」

 

そういうやいなや、トヨタマヒメはさらに速度を上げ無数の連撃を繰り出してきた。

 

「ぐっ!!」

 

その攻撃を僕は半ば勘で捌く。

僕の展開しているバリアジャケットにも僅かに傷が付けられる。

 

「ふむ。今のを防ぐか・・・・・・」

 

少し驚いたように眉を上げ呟くトヨタマヒメ。

 

「なら、もっと行くわよ!」

 

「こちらこそ!」

 

さらにお互いにギアを上げていく。

 

「はあっ!」

 

「せあっ!」

 

互いに息付く暇も無い剣戟が舞う。

実際、僕とトヨタマヒメによって周囲には放射状にひび割れた地面が少しある。小手調べの内からいつの間にか真剣になっていた。

だが、僕もトヨタマヒメも互いに全力を出してはいない。

 

「りゃアッ!」

 

「ふっ!」

 

僕の右突きからの左回転逆切りをトヨタマヒメは突きを『天羽々斬』の刀身で受け止め、その勢いを利用して後ろに下がる。

左回転逆切りは空を切り、そこにトヨタマヒメによるカウンターが迫る。

 

「っぅ!!」

 

瞬時にカウンターで迫り来る『天叢雲剣』を左回転逆切りの回転の勢いを利用して右の『黒聖』で受け止める。

ガキンッ!と甲高い金属音が鳴り、鍔迫り合いになる。

 

「く・・・・・・ぅ!」

 

「っ・・・・・・ぅ!」

 

鍔迫り合いから離れ、さらにその場で双剣を振るい互いに切り刻む。

 

「(もっとだ・・・・・・・。もっと速く・・・・・・っ!今ここで・・・・・・限界を超えるっ!)」

 

自分に言い聞かせるように頭に反響させさらに速度を上げていく。

 

「っ!?さらに速くなった・・・・・・?!」

 

「はああぁっ!!」

 

「なっ!?」

 

何十にも及ぶ切り合いの元、僕がトヨタマヒメの剣を弾き身体を開けた。

そこに右肘を喰らわせ。そこかは左の『白庭』で逆薙ぎ払い、『黒聖』を上に投げ上げ右手で掌底。『白庭』で突き、ラストに上に投げ上げた『黒聖』を右手に握り振り下ろす。

 

「アインクラッド流。片手剣・体術複合スキル!【メテオ・ブレイク】!!」

 

『黒聖』を振り下ろしたのと同時に技名を言う。

ドガンッ!と重低音の音が響き土煙が上がる。

結構なダメージを与えたと思うが。

 

「(最後の攻撃、当たった感じがしなかった!避けられた?!)」

 

そんなことが脳裏に過ぎるや。

 

「───っっ!!」

 

一気に土煙が晴れ、目の前から『天叢雲剣』と『天羽々斬』を握ったトヨタマヒメが現れた。

 

「っ!?」

 

「やぁっ!!」

 

「(マズイ!この体勢だと・・・!)

 

剣を振り下ろした体勢からとなると・・・・・・・。迫り来るトヨタマヒメの二刀の横薙ぎを思考を加速して検見しすぐ様今できることをする。

右手の『黒聖』を逆手に握り変え、左手の『白庭』をトヨタマヒメの双剣の軌道上に添える。

 

「?」

 

疑問顔のトヨタマヒメに僕はそのまま迎え撃つ。

右から来る双剣に『白庭』をぶつけて受け止め、ぶつかった勢いを利用する。そしてそのまま回転し、逆手に握った『黒聖』をトヨタマヒメにぶつける。

 

「なるほど・・・・・・!」

 

トヨタマヒメは迫り来る『黒聖』をしゃがんで避ける。

そして僕はそのまま足の軸を使い距離を取る。

 

「・・・・・・!」

 

距離を取り、構えをし直す。

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・やっぱり、強い・・・・・・!」

 

息を整えつつトヨタマヒメを見る。結構なダメージを与えたはずなのだけど、衣服が少し汚れたり切れたりしているだけで、肉体にはダメージがあまりいってないようだった。

 

「さっきの技。【メテオ・ブレイク】だったかしら?まさか剣術と体術の複合技とはね。ちょっと驚いたわ」

 

「はは」

 

トヨタマヒメの賛辞に僕は乾いた笑みを洩らす。

 

「とっさに迅移で下がらなかったら危なかったわ」

 

トヨタマヒメの言葉に僕はやはり、と心に出す。

最後の一撃。あれはトヨタマヒメに当たらなかったのだ。迅移を使って後ろに移動したのなら道理だ。

さすが原初の大荒魂。なんの予備動作なく実行した。

ヒトは何かを行う際、必ず実行する前に何らかの予備動作をする。

しかしそれは極めれば動作(プロセス)は必要無くなる。術式で言うなら、詠唱してから位置固定、予備動作、発動という一連の流れを、詠唱発動という一つの括りで締められるということである。もっとも、そんな芸当武術を極めた人でなければ出来ないのだが、さすが原初の大荒魂。ちゃっかり極めている。僕も魔法なら略式詠唱などできるけど、まだ武術に関しては知智お姉ちゃんたちには及ばない。

 

「なら───!!」

 

トヨタマヒメとの距離は約十メートル。剣の間合いでは届かない。しかし。

 

「はあぁぁ!!」

 

『黒聖』を右肩に担ぎ、ライトブルーのライトエフェクトを輝かせる。

 

「───【バーチカル・スクエア】!!」

 

縦切り四連続の正方形(スクエア)がトヨタマヒメに向かって飛ぶ。

 

「喰らわないわ!」

 

一直線に来る正方形の斬撃(バーチカル・スクエア)をトヨタマヒメは少し横に逸れるだけで躱す。

が。

 

「それは予測していた!」

 

「っ!」

 

トヨタマヒメが避けた場所に僕の『白庭』が迫る。

しかし、ガキンッ!とトヨタマヒメが咄嗟に『天羽々斬』で受け止める。

 

「さっきのは囮だったのね」

 

「ええ」

 

互いに硬直状態が続く中、僕とトヨタマヒメは会話をする。

 

「私の思考でも読んだの?」

 

「いや、ただの勘さ」

 

「第六感・・・・・・・超感覚(ハイパーセンス)とでも言うのかしら?君にそこまでの能力があるなんてね」

 

「ただの偶然だよ」

 

そうこれはただの偶然に過ぎない。トヨタマヒメが左右どちらに避けるのか分からない。二分の一の確率。けど、僕は自分の直感を信じた。結果トヨタマヒメとこうして剣を結んでる。

 

「でも、その勘がどこまで通じるかしら?」

 

「さあね。やれるだけのことをやるだけ、さ・・・・っ!」

 

切り結んでる剣をはね上げ、僕はトヨタマヒメから距離を取った。

 

「(ふぅ・・・・・・。これだけやっても大きなダメージは与えられてない・・・・・・か)」

 

声には出さず、息を整えつつ脳裏に言葉を走らせる。

チラリと視線を両手の双剣。『黒聖』と『白庭』に移す。

 

「(二振りとも最大値だった耐久値が六割にまで減ってる。トヨタマヒメの双剣・・・・・・『天叢雲剣』と『天羽々斬』がロストロギア級なら、能力が何かしらあるはずだ。現状、あの二振りのランクはわかんないけど、トヨタマヒメが使う以上、ランクはSSかそれより上のランク相当とカテゴリーする)」

 

視線を良く凝らすも、トヨタマヒメの構えは全く持って先読みが出来ない。僕と同じ独特な構えに臨機応変な対応の剣技。そして二刀流。型は違えど、僕と対象的な感じだ。

トヨタマヒメは魔法が使えない。剣一筋でここまでやってる。身体強化魔法を常に使用している僕では素のままでは勝てない。

 

「(マズイなぁ。双剣の耐久値はせめて一割以下にまで減らしたくはない)」

 

耐久値が0になった剣は刃が鈍り、切れ味も無くなり、崩壊する。

この二剣は『剣』という訳ではなく正確には『魔導剣』に酷似する。断罪の剣(エンシス・エクセクエンス)精霊の剣(スピリット・ソード)といった剣は不可実剣に類するため魔法剣に値する。が、『黒聖』と『白庭』に関しては実際に物質化しているため実剣となり、それに魔法を使っているため魔導剣になる。

 

「・・・・・・・・・・」

 

静かに佇むトヨタマヒメ。目を瞑り、精神を集中させているのだろう。

 

もう少し段階を上げようかしら?今は二段階までだけど、もう一段階上げようかしらね?

 

トヨタマヒメと僕の間に沈黙が走る。

先に動いたのはトヨタマヒメの方だった。

 

「ふっ!」

 

「っく!」

 

トヨタマヒメの突きを紙一重で避け、トヨタマヒメの背後に回る。

そのまま『白庭』で切りつけるが、トヨタマヒメには当たらず、当のトヨタマヒメはその先にいた。

 

「(さらに速度を上げた?!)」

 

剣の握り手を直し、トヨタマヒメを観る。

 

「(今の、【迅移】の三段階速目?それをノーモーションでだなんて・・・・・・・!)」

 

「次行くよ」

 

「くぅ・・・・・・っ!!」

 

閃光。

まさにそう言わんばかりの速度で剣を突き出してきたトヨタマヒメの突きを今度は『黒聖』を車線上に置き起動を反らす。

が。

 

「(危なかった・・・・・・。油断してたらやられてたよ)」

 

バリアジャケットのコートの裾にチラリと視線をやる。

コートの裾には幾つかの斬り痕が入っていた。

僕のバリアジャケットは自身の魔力で構築された物だ。まあ、最初はなのはたちと同じようにデバイスである凛華たちによって纏っていたけど、今となっては凛華たちの補助無くても構築展開が可能。僕のバリアジャケットを展開している周りは僕の絶対領域だ。

黒衣のコートを見やりトヨタマヒメに視線を移す。

 

「どうしたの?君のチカラはそんなモノ?魔法は使わないのかしら?それとも私に遠慮してる?」

 

「それは・・・・・・」

 

事実今使ってる魔法は常時掛けている身体強化だけだ。

 

「遠慮なんか要らないわよ?君の全てを見せなさい。これは私からの君への試練(・・)なんだから。だから──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      今の君のすべてを私に見せなさい、天ノ宮零夜!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!!」

 

トヨタマヒメの言葉に僕は目を見開く。

ああ、そうだ。彼女は僕の今の全力を知りたいんだ。そんな彼女に手加減は、最大級の侮蔑だ。なら。

 

「───術式解放(エーミッタム)

 

『黒聖』と『白庭』を一度背中の鞘に納め、目を閉じ、意識を集中させる。

 

「───術式固定(スタグネット)掌握(コンプレクシオー)!」

 

トヨタマヒメと言う最強の存在に僕の今出せるチカラを全て発揮する。これはその一つ目。

 

「───(ヘー・アストラペー・)(ヒューペル・ウーラヌー)大壮(・メガ・デュナメネー)!!」

 

雷系統の魔法で最大級の威力を誇る魔法。【千の雷(キーリプル・アストラペー)】を体内へと取り込む。

闇の魔法(マギア・エレベア)、術式兵装が一つ【雷天大壮】。

明るく光り輝くスパークを少し迸らせ目を開く。

 

「トヨタマヒメ。ますはこれで行く」

 

「ふふっ。面白いね・・・・・・。いいよ・・・・・・、キミの全力を全てこの私に見せて!そして、キミの輝きを私に魅せなさい!」

 

「ああ。そうするっ!」

 

言葉が終わると同時に背中の剣の柄に手を掛け、勢いよく抜刀し何時もの戦闘スタイルを取ったのだった。

 

 

 

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