団長は恋愛禁止です。   作:袋小路実篤

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前回の投稿からひじょーーーーーーに時間が空いての投稿となります。待ってくださっていた方々、誠に申し訳ありません。私生活が忙しくなったのと、『このままこんな拙い作品を書き続けていいのだろうか?』という自責の念から、つい筆が止まりがちになってしまいました。つまらなかったら申し訳ありません。


団長、目覚める。

「うぅ・・・・」

 

 痛い。頭が割れるように痛い。なにこれ、マジ勘弁。

 

 朦朧とする意識の中、頭を抑えるために手を動かそうとすると……

 

「――――!」

 

 ジャラジャラと重たい鎖の音がした。ついでに、手首には冷たい感覚。

 

 はっとして見てみると、俺の両手には、鉛色に鈍く光る手枷がしっかりと掛けられていた。

 

 枷から伸びる鎖は、ご丁寧にも背後の壁に鎖でつながれている。

 

 が、そこまで拘束力は強くないな。鎖は割と長めだ。頭も自分で掻けるし、もしかしたら立ちあがって5、6メートルは動けるかも。

 

 いや、っていうかその前に……

 

「………ここどこッ!?」

 

 俺の一声が、むき出しの石壁に反響する。

 

 目の前に広がるのは、薄暗い、牢獄のような部屋……っていうか普通に牢屋だ。後方と左右は分厚そうな石の壁に囲まれていて、目の前の一面だけ鉄格子がはめられている。

 

 余計に頭が痛くなった気がして、俺はこめかみの辺りを左手で抑えた。

 

 うん、とりあえず落ち着こう。解決しなきゃいけないことは山ほどあるが、ひとまず考えなきゃいけないのが……

 

 ――――なんでこうなった?

 

 全く意味が分からん。おかしいな、俺さっきまでリーシャの部屋にいたはずなんだけど……そこから、何がどうなってこうなったのか……全然覚えてない。

 

 最後に何してたっけな?

 

 確か、リーシャに出された紅茶を飲んで、そこから先の記憶がないような……

 

 ――――もしかして、あの紅茶が何か関係してるのか?

 

「はっ!まさか!!」

 

 ――――俺はその瞬間、この状況の全てを悟った。すべての謎を解くカギは、刹那の内に、俺の中に舞い降りてきたのだ。

 

「……ククク、そうかそうか。全く、俺としたことが全然気づかなかったぜ。情けねえ。」

 

 それに気づいた途端、自分の馬鹿さ加減に、笑いが込み上げてくる。

 

 ――――そう、悩むまでもない。全ての答えは、至極単純な物だったのだ。

 

 真相を解く鍵は、あの紅茶が握っている。

 

「なぜ今まで気づかなかったんだろうな……自分の新たな可能性に。俺が紅茶を飲むことで瞬間移動できる体質だということに。」

 

 この状況を完璧に説明する答え――――それは、こんなにも単純なことだったのだ。

 

 おそらく俺は、彼女の淹れた紅茶のせいで無意識のうちに瞬間移動をし、何処かの牢屋の中に来てしまったんだろう。まったく、運の悪いこともあるもんだ。

 

「団長さん、お目覚めのようですね。」

 

 と、そこで不意にリーシャの声が。

 

 コツコツと石の床をヒールが叩く音が次第に近くなる。

 

「気分はどうですか?」

 

 廊下の奥から歩いてきた彼女は俺の牢屋の前で立ち止まり、にやりと微笑んだ。

 

「うんまあ、それなりに絶好調だな。」

 

「そうですか。それは良かったです。」

 

「それより……悪かったなリーシャ。急に瞬間移動しちまって。俺、自分の特殊能力に気づかなくてさ。いやほんと、迷惑かけて申し訳ない!」

 

「そうですね、団長さんは扱いやすくて助かります。」

 

「ヤダなぁ。そんなに褒めるなよ~。」

 

 照れちゃうだろっ?へへっ。

 

「褒めてないですよ?」

 

「……えっ?なんか言った?」

 

「……いえ、何でもありません。」

 

「そっか、まあいいや。それより、とりあえずここから出してくれないか?探しに来てくれたんだろ?なんか俺、上手い感じに手が枷にはまっちゃったみたいでさ。」

 

 俺は鎖をジャラジャラやりながら、両手首にはまった手枷をリーシャに見せる。純粋に金属でできてるからか、マジでシャレにならないくらい重い。絶対肩凝るヤツだよこれ。

 

 リーシャは優しいから、きっとそういうのすぐに察して外してくれるだろう。

 

「……フッ、ふふふ……」

 

 ――――だが、俺の予想はこの時、最悪の形で裏切られた。

 

「リーシャ?」

 

「あはははは!」

 

 突然大笑いし始めた彼女を見て、俺は後ずさりをする。彼女の姿に恐怖を感じたのだ。

 

 今のリーシャはいつものリーシャじゃない。一言で言うなら『狂気』。底知れない、黒々とした狂気だ―――背筋に悪寒が走る。それと同時に、俺の背は硬い石壁にぶつかった。

 

「団長さん、申し訳ありませんけど、その手枷は外せません。せっかく団長さんが私の物になったのに、そんなことしたら逃げちゃうじゃないですか。」

 

「リーシャ、まさかお前……」

 

 信じたくはない。でも、俺は自分の内で湧き上がる疑いの念を否定することが出来なかった。

 

「ヤンデレ……なのか?」

 

 彼女は答えなかった。ただ俺の全身を撫でまわすように見て、狂気じみた笑みを浮かべながら、一度舌なめずりをする。

 

 ――――確定じゃん。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 俺は、ただただ叫びをあげることしかできなかった。

 

 

 

 

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