団長は恋愛禁止です。   作:袋小路実篤

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 すみません。三か月半ぶりの投稿です。前回の話を投稿した後に、『二か月半眠っていた団長がついに目を覚ました!』というコメントを頂いたので、総計半年でたった二話しか話が進まなかったことになります。

 許してください、本当に忙しかったんです。

 え?『何がそんなに忙しかったのか』だって?そりゃもちろんゲー……あヤベッ、ゲフンゲフン!!芸を磨くのにです。

 すみませんウソです。めっちゃ遊んでました。でも、土下座しながら投稿ボタン押したので許してください。ついでにつまらなくっても許してください。


ジータ、動く。

 ところ変わって、ここはグランサイファーの副団長室。

 

 部屋の中央に向かい合わせて置かれているソファには、二つの人影があった。

 

「じゃあ、状況を確認しよう。」

 

 そのうちの一人が口を開く――――ジータだ。

 

「団長が行方不明になったのが三日前。そして同日、なぜかリーシャも失踪してる。……団の士気低下を避けるために、今のところ二人の失踪は皆に伏せてるけど……」

 

 その向かいで相槌を打つのはヴィーラ。

 

「バレるのも時間の問題ですね。団長さんの身の安全も心配ですし、早く探し出さないと。…………はぁ、前々からあの人の阿保さ加減にはほとほと困っていましたが、まさかこんなことになるなんて……秘書としてあるまじき失態です。」

 

 彼女はそう言って肩を落とした。

 

 無理もない。秘書に任命されてからというもの、ヴィーラは他の誰よりも、グランを支えることに責任を感じて来たのだ。

 

「気に病まないでヴィーラ。しょうがないよ、お兄ちゃんは知能がイモムシな上に童貞だから。」

 

 そんな彼女を心配したジータが、すぐにフォローに回る。

 

「ジータさん……そうですね、団長さんは知能がイモムシな上に童貞ですもんね。ありがとうございます。」

 

 かけがえのない仲間の温かさに触れ、ヴィーラはすぐに元気を取り戻した。そして気づく。世界はこんなにも、優しさで溢れているのだと。

 

「でも、どうやってお二人を探したら良いのでしょうか?」

 

 訝るヴィーラ。だが一方のジータは得意げな笑顔を浮かべた。

 

「安心して、実は、二人を探すために強力な助っ人を呼んだの。入ってきて!」

 

 彼女がドアの方に向かってそう言うと、二人の団員がそそくさと部屋に入ってきた。

 

 一人は色の白い、糸目をした優男――――シャオ。

 

 そしてもう一人は、背の低い、紫色の髪の女――――ナルメアだ。

 

「ジータさん、ご要望通り、ナルメアさんを連れてきましたよ。」

 

 シャオはジータの顔を見るなりそう言って、ナルメアの手をそっと引いた。

 

「うん、ありがとうシャオ。ナルメアの容体はどう?」

 

「見ていただいた方が早いかと。」

 

 ジータは彼の傍で俯いているナルメアに目をやる。

 

「団長ちゃん団長ちゃん団長ちゃん団長ちゃん団長ちゃん団長ちゃん団長ちゃん団長ちゃん団長ちゃん団長ちゃん団長ちゃん団長ちゃん」

 

「うん、絶好調みたいだねっ!」

 

「どこが?」

 

 ヴィーラが冷静に突っ込みを入れた。

 

「では私はこの辺で。ナルメアさんにはまだ団長欠乏症の禁断症状が出ていますから、取り扱いには十分注意してくださいね。」

 

「分かった。ありがとう、シャオ。」

 

「いえいえ。」

 

 役目を終えたシャオは、そう言って足早に立ち去った。

 

 閉まるドア――――部屋に残されたナルメアを見て、ヴィーラは怪訝(けげん)な顔をする。

 

「えぇと、ジータさん。質問なんですが、お二方の捜索とナルメアさんに、一体何の関係があるんですか?」

 

 当然の疑問であった。

 

「うーん、そうだなぁ。どこから説明したらいいかな?とりあえず、ヴィーラは"ヤンデレ"って知ってる?」

 

彼女の問いかけに、ヴィーラは(うなず)いた。

 

「はい、わたくしも一応ヤンデレですから。」

 

「そっか。じゃあ話が早いね。実を言うと私、今回の失踪にはヤンデレが絡んでいるんじゃないかと思うの。」

 

「ヤンデレが……ですか?」

 

「わたしの予想はこう。お兄ちゃんの恋愛解禁でヤンデレの本性をあらわしたリーシャが、何らかの方法で彼を連れ去った――――そして現在、どこかの島に二人で潜伏している。リーシャはもともとお兄ちゃんに脈ありな感じだったし、それにこの仮説なら、二人がほとんど同時に失踪した説明がつくでしょ?」

 

「なるほど……確かにそうですね。」

 

 ヴィーラは(あご)に手を添え、すっかり感心した様子だ。

 

「で、そこにナルメアさんがどう関係してくるのですか?」

 

「それはちょっと見ててもらえばわかるよ。」

 

 そう言うと、ジータはポケットから白いハンカチを取り出した。

 

「これはお兄ちゃんの部屋にあったハンカチ。これをナルメアの前に出すとね……」

 

 彼女は摘まみ上げたハンカチを、そっとナルメアに近づける。すると……

 

「はッ、団長ちゃん!!団長ちゃんを感じるっ!!」

 

 ナルメアが覚醒した。

 

「ハンカチをナルメアから離すと……」

 

「……」

 

 今度は一転、ナルメアは沈黙。

 

「また近づけると……」

 

「団長ちゃんッ!!」

 

「離すと……」

 

「……」

 

「近づけると……」

 

「団長ちゃんッ!!」

 

「離すと……」

 

「……」

 

「……近づける、離す。近づける離す……近づける離す近づける離す近づける離す」

 

「ジータさん、ナルメアさんで遊ばないでください。」

 

「あっ、ごめん、つい。」

 

 ジータはハンカチをポケットにしまった。

 

「今見てもらった通り、ナルメアはお兄ちゃんの『気』を探知できる『団長ちゃんレーダー』を搭載してるの。」

 

「なるほど……つまり、今回はそのレーダーを使って団長さんを探し出すというわけですね?」

 

「うん。そしておそらく、お兄ちゃんの傍にはリーシャがいるだろうから、ついでに彼女を見つけることもできるはず……」

 

 二人は顔を見合わせる。

 

「完璧ですね。」

 

「でしょ?」

 

 そして、高らかな笑い声をあげた――――


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