〜Aへの扉〜/兵器達に心という名の花束を   作:電波少年

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読者の皆様本当にありがとうございます!


第14話 Mの視察/はっやーい2人

「なにィ?視察だぁ?」

 

「はい。視察です」

 

執務机でタイプライターをうつ翔太郎と彼のお手製コーヒーを入れたカップを持った大淀が事務所で会話を交わしていた。

 

 

「視察ってここの鎮守府をか?」

 

「そうです。隣町にもう1つの鎮守府があるのはご存知ですか?」

 

「何?この規模の鎮守府が1つ隣の街にあるってのか?」

 

「はい。実はこの風都と隣町は海に面していて人口が多く、防衛に重点を置くために2つの鎮守府が設置されているんです」

 

「なるほどな。で、何を見に来るってんだ?ここは出撃も何も無いし別に見せるものなんざ何もねぇだろ」

 

「視察のねらいについては知らされていませんが...恐らく提督が左さんになってからこの鎮守府がどう変わったかを見るためかと。

 

つまり左提督がキチンと大本営から課されたメンタルケアなどの司令をきちんと行っているかどうかだと思います」

 

 

「にしても隣町の鎮守府から来るって...

普通そういうのって本社とかから派遣されるもんじゃないのか?」

 

「私にはなんとも...

 

この視察通告書にも久溜間鎮守府から『詩島剛』という人が来るとしか...」

 

「そうか。ならとりあえず食堂にみんなを集めてくれ」

 

 

 

 

〜食堂〜

 

「よーし。みんな集まったな?とはいってもいつもの5人は欠席か...」

 

「はい、司令官!質問があるわ!」

 

「よし、暁。喋る前にちゃんと手を挙げるのはデキるレディの証拠だ!」

 

暁は「とーぜんよ!」と嬉しそうに胸を張る。翔太郎に褒められた暁をある者は微笑ましそうに、ある者は羨ましそうに眺める。

 

「それでどうして暁たちを集めたのかしら?」

 

暁が席に座ったまま質問する。

 

「それなんだがな。今日この鎮守府に隣町の久溜間鎮守府から視察が来るらしい」

 

するとにわかに食堂がザワつく。

 

 

「視察って?」

 

「この鎮守府のことを見に来るんだよ」

 

「待ってください。確か視察が来る場合は大抵何かしらの裏があると思われます...」

 

「ま、まさか大本営は翔ちゃんが提督に相応しい人間か改めて確認しに来るんじゃ...」

 

「そ、そんなのダメぴょん!半熟卵の翔ちゃんが提督に相応しいなんて思われる訳がないぴょん!」

 

「それじゃ提督辞めさせられちゃうんじゃ...」

 

「Oh my God!!テイトクが辞めるなんで絶対にいやネー!!!」

 

 

 

勝手な憶測を始めて騒ぎ出す艦娘たち。そんな彼女たちを見て翔太郎は焦りながらもその騒ぎを収めようとする。

 

「おい落ち着けお前ら!別にいつも通り過ごしてて構わねぇよ。こっちは隠すことなんざ何もねぇんだ、どんと両手を組んで待ち構えてりゃいい。

 

あと卯月。お前はおやつ抜きだ」

 

「ぴょん?!」

 

 

「まぁ翔ちゃんが辞めさせられることなんてないと思うけどねぇ...」

 

 

相変わらず騒ぐ皆を尻目に陸奥は手元のコーヒーを1口啜った。

 

 

 

 

〜工廠〜

 

「それじゃあ提督!私と夕張の最高傑作、ご覧に入れましょう!」

 

「きっと提督も気に入るはずです!」

 

 

翔太郎は食堂で視察のことを話したあと、明石と夕張に連れられて工廠へと向かった。

 

 

そして明石が『何か』を隠している大きな布を取り払った。

 

 

 

「おお!すげぇ、注文の通りだぜ!」

 

 

 

そこにあったのは翔太郎が明石に作ってくれと注文したバイク、『ハードボイルダー』が鎮座していた。

 

 

緑と黒のカラーリングが特徴の翔太郎の愛車である。

 

 

「最高時速580km/h。高性能CPU内蔵にバルカン砲も装備。そして6基のブースターを装備することにより爆発的な加速も可能です!

 

提督の注文も考えて斜め後ろ半分は換装式にしました!」

 

「大変だったんですよ...これ作るのにかなりかかりましたからね」

 

 

 

「お前ら〜!」

 

 

 

すると翔太郎はいきなり明石と夕張を抱きしめる。

 

 

「ちょっ、ちょっと提督!」

 

「あ、あわわわ...」

 

 

顔を真っ赤にした2人に気づき、翔太郎はすぐに手を離す。

 

 

「おっと悪ぃな。いきなり抱きつくだなんてハードボイルドの風上にもおけねぇ行為だ。

 

すまねぇな」

 

頭を下げる翔太郎に2人はハッとする。

 

「い、い、いいんです!別に気にしてませんから!」

 

「そそそそうですよ!むしろこの方が提督らしいです!」

 

「そうか。まぁ何はともあれありがとな。まさかここまで完璧に仕上げてくれるとは思わなかったぜ」

 

 

翔太郎は2人の頭を撫でる。明石と夕張はまだかおを赤らめながらも、とても嬉しそうにしている。

 

「そうだ、提督!テスト走行はどうするんですか?

 

この鎮守府の敷地内なら充分にマシンの性能を発揮できると思います!」

 

「よし!ならすぐに...

 

 

 

「ご、ご主人様ー!!」

 

 

テスト走行をしようとバイクを工廠から出そうとしたところに漣が走ってきた。

 

 

「どうした漣。こんなに焦るなんてお前らしくもねぇ」

 

「大変なんですよ!鎮守府に変なバイクが侵入してきたんです!」

 

「なにィ?分かった、すぐ行く!」

 

 

翔太郎はテスト走行を諦めすぐにその侵入者の元に向かうことにした。

 

 

 

 

〜鎮守府正門〜

 

 

 

翔太郎が正門に着くと、そこに人だかりができている。

 

人だかりといってもいるのは風都鎮守府の艦娘だけだが。

 

 

「おい!何事だ!」

 

 

「あっ、司令!」

 

そう狐色の髪のツインテールを揺らして答えるのは駆逐艦の陽炎である。

 

 

「陽炎か。この人だかりはなんだ?」

 

「何って...そこに変なバイクが来てるの!2人も乗ってる!」

 

 

翔太郎が艦娘たちの人混みを駆け抜けると、そこにはバイクに跨るヘルメットを被った男と後部座席にこれまたヘルメットを被りスカートを履いた女が座っている。

 

 

「誰だお前?」

 

 

「あんたがこの鎮守府の提督かい?」

 

 

「そうだが...ってまさかお前が視察の...」

 

 

 

すると2人はいきなりバイクから飛び降り、ヘルメットを取り、息を合わせて口を開く。

 

 

 

「抜錨!」

 

 

 

「撃沈!!」

 

 

 

「いずれも〜マッハァ!!!」

 

 

 

 

「くちくか〜ん...しまかぜ!!!!」

 

 

 

腕をぶんぶんと振り回し、決めポーズに決めゼリフを決めドヤ顔を決める2人。

 

 

 

「てことで俺が視察に来た久溜間鎮守府の提督代理の『詩島剛』と」

 

 

「駆逐艦の島風だよ!」

 

 

またもビシッと翔太郎を指さしポーズを決める剛と島風。

 

 

「そ、そうか。わざわざご苦労さん...」

 

 

余りにも予想外の登場に顔を引き攣らせる翔太郎。そんな翔太郎の視線にも気にとめず、

 

 

「じゃあ勝手に見させてもらうから、ゆっくりしててくれ」

 

 

と言い、剛と島風は鎮守府の建物へ向かっていく。そこに急いで大淀が説明のためについて行った。

 

 

剛と島風がいなくなった正門ではみんなが口をポカンとさせている。

 

 

そんな空気の中翔太郎がようやく口を開いた。

 

 

「にしても恐ろしいくらいキャラが濃いな...

あれだけ自分に酔えるだなんてある意味大したもんだぜ...」

 

 

 

ここにいる誰もが声には出さず

 

 

 

『お前もだよ!!!』

 

 

と心の中で叫んでいた。

 

 

 

 

 

〜食堂〜

 

翔太郎と大淀は鎮守府の案内をしたあと、剛と島風の2人を食堂に招いた。お互いに昼ごはんをまだとっていなかったらしくうちの鎮守府でよければと誘うと、二人とも快くご馳走に預かった。

 

ちなみに剛と翔太郎が話すことが気になったのか、風都鎮守府のほとんどの艦も先程のように食堂に集まっている。

 

 

 

「ご馳走様!いや〜悪いな、視察に来て昼ごはんまでご馳走になっちゃうだなんて」

 

「ここのアイスすっごい美味しかったよ!また食べたいな〜」

 

「まぁ家の食堂のも負けちゃいないけどな!帰ったらまたいっぱい手柄をあげて純さんから間宮券を貰うぞ!」

 

「手柄を上げるのも私が1番だよ!」

 

 

剛と島風は恐ろしい早さで昼食を平らげると、食後のデザートであるアイスもすぐに食べてしまった。

 

そのせいで二人とも頭を抑えていたが。

 

 

「にしても詩島さん...だったか?」

 

「剛でいいぜ。その代わりあんたのことも翔太郎と呼ばせてもらっていいか?」

 

「もちろんさ、なら剛。さっき提督の代理だって言ってたけどお前は提督じゃないのか?」

 

 

「その通りさ。なら提督代理ってのも今回の視察のための役職だ。久溜間鎮守府には『本願寺純』さんっていう本物の提督もいるのさ」

 

 

「なるほどな。」

 

 

「一応視察っていう名目で来たけど...特に報告しなきゃいけないこともなさそうだし、少なくともここの艦娘は俺が見た限りみんな楽しそうにしているから、今回はこれで終わりで良さそうだな」

 

 

ホッと胸を撫で下ろす艦娘たち。

 

 

 

 

「そうだね。ここの艦娘たち、みーんな遅そうだしもう帰ろうよ。

 

ね、剛」

 

 

 

 

 

するとその言葉を聞いていた風都鎮守府の艦娘達がピクリと眉を顰める。

 

そして気性の荒い天龍と摩耶が島風に突っかかっていく。

 

 

「おいおい。どーゆうこったァ?世界水準軽く超えてる俺が遅そうだって?」

 

「この鎮守府の艦娘を1人でも馬鹿にするなら...この摩耶さまが黙っちゃいねぇぞ」

 

 

 

「だってみーんな遅そうなんだもん。ここの鎮守府の艦娘って出撃もしなくていいんでしょ?」

 

「てめぇ!」

 

 

 

「ちょっと摩耶!やめなさい!」

 

「あら〜、いいんじゃない。鳥海さん」

 

摩耶を止めようとした鳥海を龍田が笑顔で窘める。だがその目は決して笑ってはいなかった。

 

 

「おいおいお前ら...」

 

 

「すまないな、うちの島風が...

本当はとってもいい子なんだが...少し子供っぽいところがあってな」

 

 

「もう!なんで剛が謝るの!

 

...そうだ!風都のてーとくさん!この2人と演習させてよ!」

 

 

「演習?」

 

 

「おもしれぇ...やってやる!」

 

 

「おい、提督!やらせてくれ!ウォーミングアップついでに倒してやる!」

 

 

翔太郎に頼み込む天龍と摩耶。

 

 

「翔太郎。やらせてやってくれないか?

 

このままだと島風もその2人も引っ込みつかなそうだしさ」

 

 

そう言う剛の後ろでは、島風と天龍、摩耶が睨み合いをしている。

 

 

「分かったよ。でも俺は出撃とか演習に関してはさっぱりなんだ」

 

 

「指揮はなくていいさ。戦っている各々が考えて行動すればいい」

 

 

 

「なら決まりだね!島風には誰も追いつけないよ!」

 

「へっ、おもしれぇ!負けても吠え面かくなよ」

 

「この摩耶さまが一瞬で捻ってやるぜ!」

 

 

 

 

そう意気込む3人は鎮守府近海へと抜錨していった。

 

 

 

 

 

 

〜鎮守府近海〜

 

 

「悪いな、天龍。この中で1番射程が長いのがアタシだ。お前に出番はないかもな」

 

 

「へん。そう言って全部避けられたりしてな」

 

 

「そんなことあるわけねぇ!

 

アイツ...アタシたちが出撃してないことまで馬鹿にしやがって...今まで散々道具のように扱われてきたアタシたちの気持ちも知らないで...!」

 

 

 

『マイクテス、マイクテス。審判は私、霧島が務めます。

 

それでは久溜間鎮守府の島風 対 風都鎮守府の天龍、摩耶の演習を開始します。

 

 

それでは総員...抜錨!』

 

 

母港にいる翔太郎たちは上空の艦載機を通してライブ中継されている映像を見ている。

 

 

 

「いくぜ、先制攻撃だ!駆逐艦の射程外から沈めてやる!」

 

 

 

 

だが一気に加速する天龍と摩耶と違い、島風はまだ加速をかけていない。

 

 

すると島風は視界に映りこんだ摩耶と提督をビシッと指さす。

 

 

 

「抜錨!」

 

 

「撃沈!!」

 

 

「いずれも〜マッハァ!」

 

 

「くちくか〜ん...しまかぜ!」

 

 

 

島風は先程の鎮守府に現れた時のセリフとポーズをとると、ようやく加速を始めた。

 

 

唐突な行動に一瞬気を取られた摩耶達であったが、すぐに島風の射程外から砲撃を加えようとする。

 

 

だが

 

 

 

 

「な、何!」

 

 

 

島風に摩耶の砲撃はかすりもしなかった。

 

島風は摩耶の砲撃を圧倒的な速さで躱し、かつ接近していく。

 

 

「なんだありゃ...速すぎるだろ...」

 

 

 

「駆逐艦島風は40ノットを超える高速艦さ。捉えることは至難の業だ。

 

 

それもうちの島風は格が違う」

 

 

「く、くそ!」

 

 

あっという間に至近距離に接近してきた島風に天龍も砲撃を加えたが、砲撃は海中に沈んでいく。

 

それならばと魚雷を放つ。

 

 

島風の移動ルートを予測してはなったものであり、かなりのスピードが出ている島風が避けることは不可能だ。スピードを上げても下げても、必ずどれかに当たる。

 

 

だが島風の動きは普通の艦娘ではなかった。

 

 

 

 

「ほいっ!」

 

 

 

島風はその華奢な足で力いっぱい海面を蹴った。

 

 

 

「なっ!」

 

 

驚きの声を上げる天龍。無理もない。

 

島風は見事な空中一回転を披露したのだった。魚雷は無常にも島風の下を通り過ぎて行った。

 

 

その様子を母港で見ていた艦娘たちも天龍たちと同様に驚きの声を上げる。

 

「な、何あれ...あんなの艦娘の動きじゃない...」

 

「空を飛ぶ艦なんて...」

 

 

「おいおいジャンプなんてできるのか?」

 

 

そう尋ねる翔太郎に剛は自信満々に答える。

 

 

「いいや、普通はできないさ。うちの島風は艦娘が人型である利点を最大限に活かしているからな。それに島風の装備の連装砲ちゃんは自律して勝手に動くから重量もかなり軽い。

 

何よりあの動きを体得するのに軽く一年以上は修行したからな」

 

 

 

そしてモニターでは島風が接触ギリギリまで摩耶たちに接近してはそのままスルーするという動きを繰り返している。

 

 

「あはははは!おっそーい!」

 

 

「この!この!なんで当たらねぇんだ!」

 

 

摩耶も天龍も必死に迎撃するのだが、その砲撃は全て島風が元いた場所に着弾し、沈んでいく。

 

 

 

「二人とも遅すぎ、もう飽きちゃった」

 

 

 

そう言うと島風は2人を囲むように回り出す。

 

島風は5方向から魚雷を順々に発射し、離脱する。

 

 

「なに!うわぁ!」

 

 

回避しようとした天龍だったが、余りにも距離が近すぎることもあって回避しきれず被弾してしまった。

 

魚雷を食らった天龍は一撃で大破してしまう。

 

 

「ちくしょう!速すぎる...!」

 

 

主砲副砲魚雷と使える武装の全てを使う摩耶であったが、島風には一切当たることはなかった。

 

 

だが面の動きしか出来ない通常の艦娘と、空中ジャンプをすることで180°の動きができる島風では剛の言う通り『格』が違った。

 

 

 

 

実際に海上で審判をして、3人の演習を間近に見ていた霧島は後にこう語った。

 

 

 

『摩耶が水上で溺れている』

 

 

と。

 

 

 

そして摩耶が装填のために攻撃の手を緩めた瞬間、

 

 

 

「はい、おしまい。」

 

 

 

摩耶は3基の連装砲ちゃんに囲まれていた。

 

 

そして後ろには魚雷をいつでも発射できる状況にある島風。

 

 

 

 

摩耶と天龍の完敗だった。

 

 

 

 




これからの回で翔太郎以外のアナザー世界に各ライダーに出てくる登場人物のそっくりさんが出る場合、変身させようか迷っています。

変身したほうがいいか、しない方がいいかのアンケートを取りたいので活動報告にてコメントを待っています。

尚活動報告でのアンケートの回答が少ない場合、通常のアンケートを使うかもしれません。


※感想欄にはアンケートの回答を送らないでください!!!


ちなみにもしかしたらこの世界を通りすがるかもしれない『世界の破壊者』は当然アンケートの結果に関わらず変身させます。

この作品は『五等分の運命』とは違って、お祭り的な作風にするつもりなのでご了承ください。
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