僕たちのいたアカデミア   作:香枝ゆき

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高校生活初日

「ねえねえ、今年もあると思う?相澤先生の個性把握テスト!」

並んで歩いていた2年のヒーロー科男子二人は振り返る。1年前の入学式。ヒーロー科は、20名だけの出席だった。

「俺らのときもあったし、今年もあるとも思うよね」

「やっぱり!通形もそう思うー?だよねー」

「俺は、本当に、あの人が担任じゃなくてよかったと思う……」

うなだれた男子生徒を、ねじれた髪の女子生徒がつついた。

「ねー!あたしたちのときもかなりの数が除籍になったもん!なにそれ入学と同時に除籍って!」

「笑い事じゃないよ波動さん……。当人たちにとっては大問題だ」

どこまでもマイペースなヒーロー科女子、波動ねじれを、黒髪の男子がたしなめる。

「だよねー環!でも、入学式の時間にやるってことは、除籍になっても最初からいなかったことにできる。ある種の優しさなのかなあとも思うんだよね。無理やりポジティブだけど!」

「ミリオの考え方は、やっぱりすごいな……でも」

環が廊下の窓からグラウンドをみやる。

「やっぱり、きついよ」

眼下では真新しい体操服姿の生徒が20人、ぞろぞろと出ていくところだった。

 

 

「今日は何人減らしたの?」

相澤が振り返ると、18禁ヒーロー、ミッドナイトが仁王立ちをしている。

周囲に人はいなかった。

「……関係ない」

鞭が振るわれた。

「あるわよ。ヒーローの卵を暖めて孵化させるどころか、割っていくんだから」

「ヒーロー科教育に物申したいんならと教職をすすめたのはそちらだが」

「だれが片っ端から除籍すると思う?」

「雄英は自由が売りだろう」

「そうね。だからイレイザーが、生徒の持つ個性で入学初日に除籍を告げるのは、個性の能力で足切りせず、将来性も鑑みて合否を決める入試システムに真っ向から対立しているわ」

「合理的じゃない、俺はあの入試システムも反対だ」

にらみ合いを続ける二人。

議論は平行線だった。

力を持って正しい側を決めるか。

そんな空気が醸し出された時だった。

「いよーう!ミッドナイト、イレイザー!お楽しみ中のところ悪いなあ!」

ツンとたった髪の毛に、無駄にテンションが高い声。

「本気でそう見えるのか?」

「そのサングラス外してからもう一度言って?マイク」

雄英高校教師でもある、プロヒーロー「プレゼントマイク」がふてぶてしそうにやってきたのだ。

「なんだよお、つれねえなあ」

「お前まで説教か?」

ため息の1つでもつきたくなった相澤は、しかし予想を裏切られることになる。

「いいや?俺はただの使いっぱしりさ。校長がお呼びだぜ、イレイザー」

 

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