ミクノポップ!!   作:YoShoki

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初音ミク誕生日・5周年おめでとう!!!
…というわけで初めましての方は初めまして、そうでない方はお久しぶりです。
今までは「小説家になろう!」さんにて連載させていただいていたのですが、今日からはここで活動させていただきます!
とりあえずは週に一回更新で更新していく予定なので、どうぞよろしくお願いします!


第01話 眠れる歌姫

-VOCALOID(ボーカロイド)-

ボーカロイドとはリアルな歌を歌う事が可能な、人工知能を搭載したアンドロイドである。元々はリアルな歌声を合成する事ができるソフトウェアであり、「実際に収録した人の声を音声ライブラリとして合成するため、より自然な歌声を合成できるほか、ビブラートやこぶしなど歌声に必要な音程変化や抑揚を指定でき、表情豊かな楽曲を手軽に作ることが可能」を売りに発売され、後(のち)に技術が向上するにあたり、声は人口声帯によって独特の聞きやすい声に、さらにはロボット技術の急激な進歩により人間と見分けがつかないほどに精巧なロボットに人工知能と共にインストールされ、「歌って踊れるあなたのアイドルロボット」として人気が高まっている。ちなみに人口声帯を搭載したボーカロイドは全く違和感のない会話が可能だが、歌う時だけは元々のプログラムを使用するためボーカロイドらしいリアルな、しかし人間のそれとは明らかに違った特徴的な歌声を披露する。 -VIKIPEDIAより抜粋-

 

♪ ♫ ♬

 

「悪いな(かなで)、引越しの手伝いなんかさせちまって」

「何言ってんだ、10年の付き合いだろ?んな事気にすんなって、幼馴染として当然だ」

 

クローゼットの中身をダンボールに移しながら、同じく隣で机の上のものを片付けている幼馴染の(ひびき)に言う。

 

「ま、もう少し余裕を持って教えてくれると助かったけどな。朝っぱらから人の家のドアベル鳴らしまくって、開口一番『エジプトに引っ越すから手伝ってくれ』なんて言われるとはなぁ…」

「へへっ、これでまた一つ夢が叶ったぜ!」

 

俺のツッコミには微塵も反応せず、響がこちらを振り返りガッツポーズを取る。全く悪びれた様子の無いその笑顔に、俺は軽くため息をつく。

こいつは昔から「世界中を旅していろんな世界を見ること」という曖昧な、夢と呼べるのかどうかも微妙な目標が夢で、中学生の頃から長期の休みを利用して色んな国へ行っている。この前はニューヨーク、その前は…確かニューギニアだったっけか。とにかくホントに色んな場所に行ってる。

 

「そういえば聞き忘れてたけど、何で今回は今までみたいに旅行じゃなくて引越しなんだ?」

「親の仕事がエジプトになったから着いてくことにしたんだよ。で、面白そうだからついてくか~って」

「…後先考えないなぁ」

「だ~いじょうぶだって、なるようになるさ」

 

この豪放磊落(ごうほうらいらく)…というか、単純に難しい事を考えないで行動できるのはこいつの長所でもあり短所でもある。…いや、長所なのかどうかは分からないが、少なくとも俺には真似できない。その点いとも簡単にこういう大きな決断を下せるのは羨ましくもあるのだが…やはりこうはなりたくもない気もする。

 

「…で?いつ帰って来るんだよ?」

「さぁな~。少なくとも高校が終わるまではあっちだろうな、もしかしたら大学終わるまでかも」

「ふ~ん…」

 

「寂しくなるな」とは思ったけど、別にあえてこいつの前で言う必要もないので、代わりに「これで少しは静かになるな」とナチュラルに毒を吐いておく。そんな他愛の無い会話をしていると、

 

「…ん?」

 

クローゼットを漁っている手に、何か奇妙なものが触れた気がした。こう、なんていうか…クローゼットにあるはずのない、人の肌のような感触が…。しかも何これ、人肌にしては随分冷たいような…?

一瞬非常に嫌な光景が頭をよぎったが、それを振り払い意を決して自分とその何かの間にある荷物を強引にどける。するとそこにあった…いや、いたのは、

 

 

 

「…女の子?」

 

緑色の女の子が、クローゼットの奥で眠っていた。

 

 

 

 

「奏?どうした?」

 

静かになったこちらを妙に思ったのか響がこちらを見たので、「クローゼットに女の子が寝てる」と正直に報告してみた。というか別に報告しようと思ったわけではないのだが、混乱していたのでただ何となく報告してしまった。案の定、響は「はぁ?」と実に間抜けな声をあげ、俺の横まで来てクローゼットの中を覗き見る。

 

「…あぁ、何の事かと思ったらミクのことか。そういえばここにしまってあったなぁ…。っていうか奏、お前ミク知らないのか?」

「ミクって…初音ミク?あの歌うアンドロイドの?」

「なんだ、知ってるじゃん。そうだよ、その初音ミク。何年前だったかな…デパートの前で福引やったんだけど、そん時の1等がサイパン旅行でさ。『これはやるっきゃない!』と思って試してみたんだけど、残念ながら3等しか当たらなくてな…。その賞品が初音ミクだったわけ」

「…3等でも十分凄いけどな。でも何でこんなところに押し込んであるんだ?起動させりゃ良いじゃん」

「だって俺歌作れないし。ボーカロイドって自分で歌作れなきゃあんま持ってても意味ないし、興味もなかったからそのままそこに片付けたまま忘れちまったんだな」

「…起動すらしてねぇのかよ」

「イヤだって使い道ねぇし」

 

もう一度眠るように置いてあるロボットを見る。

襟付きノースリーブの上着にネクタイ、ミニスカートにローヒールのサイハイブーツを着ていて、両腕には肘の少し上の位置から袖口の広い電子機器のようなものの付いているディタッチャブルスリーブ(取り外し可能な袖)みたいな物を身につけている。頭にはヘッドホンをしていて、何か色々ゴチャゴチャとボタンやらスライダーやらが付いている。

先ほどは緑という印象を受けたが、よく見ると青緑色で、瑠璃色っぽいような気がする。そんな絶妙な色をしたツインテールの髪は尋常じゃないほど長く、座っているので確かではないが、もしかしたらくるぶしあたりまであるかもしれない。

…てか、これホントに機械か?どうみても普通の女の子にしか見えないんだけど…いや、まぁこの一般人は到底着ることが無いであろう服装以外。

 

「…なんだ、もしかして欲しいのか?」

「へ?」

 

ついまじまじと観察していると、背後から響にそう尋ねられた。

 

「そっか、そういえばお前音楽できる人だったな。ギターやらピアノやら楽器色々出来るし」

「あ、いや、別に欲しいとかそういうわけじゃなくて、ただホントにこれ機械なのかなって思って」

「ふ~ん…ま、どっちにしても、お前にやるよ」

「え?」

「ほら、俺はこれ使い道ないし引っ越すからさ。ここにずっと放置してるのも何かもったいないし。そんなに熱心に視姦してるくらいなんだから、興味はあるんだろ?」

 

ニヤニヤとそういう響に鉄拳制裁を加えつつ、頭の片隅で考える。

興味は…確かにある。いや、もちろん響が言うような下衆(ゲス)い方向の話ではなく。

こんなに人間っぽいのに本当に機械なのかどうかって言うのもあるが、それ以上に「歌を歌ってくれる」という部分に強く惹かれた。

響が言ったように俺はギターやピアノ、他にも数種類の楽器を扱う事は出来るが、残念な事に俺には「歌を歌う」という才能は皆無と言っていい。いや、「皆無」ならまだいいのが、周りの人間によると俺の歌はむしろマイナスらしい。ゼロじゃなくマイナスである。楽器が出来て歌が下手というのは珍しいらしいのだが、どうにもうまくいかないのだ。音程はめちゃくちゃだしリズムは取れないし…泣きたくなってきた。

とにかく、そういう理由もあって、俺が作った曲をこれが歌ってくれると思うと確かに面白そうだし、やってみたいと思う。

 

「…そうだな。お前がいいって言うなら、ありがたく貰われてやるよ」

「人を殴り飛ばしておいてなんで上から目線なんだよ!?ったく…まぁいいけどよ」

「ははっ、サンキュ」

 

こうして俺こと千歳(ちとせ)奏は、響からボーカロイド・初音ミクを貰い受けた。

 

♪ ♫ ♬

 

その後、片付けが予想以上に早く…と言っても軽く5時間は掛かったのだが、とにかく終わったので響と共に我が家に戻り、早速パソコンにボーカロイドのソフトウェアをインストール中である。

 

「インストールが終わったらパソコンにミクのヘッドホンから伸びるUSBケーブルを繋いで、パソコンからデータをミクにもインストールすれば準備は完了らしい」

「了解」

 

響が読み上げてくれている説明書の指示に従って、テキパキと作業を進めていく。疲れているだろうから手伝いは要らないと言ったのだが、半ば強引に家に上がりこんで手伝ってくれている。引越しの手伝いをした礼のつもりなのだろうか?相変わらず大雑把なのか律儀なのかわからん奴だ。

そしてインストールを開始してから約3分後、ミクにもデータのインストールが完了したところで次の指示を仰ぐ。

 

「次は…ヘッドホンの赤いボタンを正面から3秒間押し続ける。両方一緒にだ」

「赤いボタン…この半円の奴か。両方一緒に…っと」

 

言われたとおりに、左右のヘッドホンに手を伸ばし手前のほうにある半円型の赤いボタンを同時にホールドする。するときっかり3秒後、

 

 

 

今まで閉じていた目が、パチリと開いた。

 

 

 

目が合った。

 

「…」

「…」

「…」

 

沈黙。俺も、響も、こいつも、瞬きを繰り返すだけで一言も言葉を発さない。

…あの、えっと…響さん?俺はここからどうすれば…。

 

「…ええと…あなたが私のマスターさん、ですか?」

 

心の中で説明書を持つ響に助けを求めると、不意に目の前のこいつが口を開いた。

開いた口から出てくる声は透き通るようなような、綺麗で透明な声だった。極々自然に耳に飛び込んできた声は、人間のそれと全く区別が付かない。

その声に聞き惚れてしまい、体が反応する事を忘れてしまっている。

 

「…あの、マスター?」

 

困惑したような声色で呼びかけられてようやく、現実に引き戻された。

 

「…え?あ、ゴメン、何?」

「あなたが私のマスターさんですよね?」

「ま、マスターって…でもまぁ、そうなるのかな」

「それじゃあ、その…マスター?」

「ん?」

「もう手を離しても大丈夫ですよ?」

「手?」

 

そう言われて初めて、自分の両手が未だにボタンを押し続けていることに気づいた。

 

「あ、悪い、ちょっとボーっとしてた…」

 

慌てて手を離す。

 

「いえいえ、大丈夫ですよ」

 

彼女は少しばつが悪そうに笑ってそう言うと一つ小さく咳払いをして、

 

「初めまして、マスター。私はキャラクター・ボーカル・シリーズ01(ゼロイチ) - 初音ミクです。得意ジャンルはアイドルポップスとダンス系ポップス、得意なテンポは70から150BPM、得意な音域はA3からE5です。モチロンそれ以外もばっちり歌いこなして見せますよ!と言うわけで、これからどうぞよろしくお願いします!」

 

最後に小さく一礼し、今度はとびっきりの笑顔で彼女は自己紹介を終えた。対して俺達は、

 

「…スゲェ」

「科学の進歩って凄いんだな」

 

そのとても機械とは思えない動きや喋りに呆然としていた。

 

これが俺と彼女、初音ミクとの出会いだった。




さてさて、前書きにも書きましたが、今後は今まで書き上げていた物をちょこちょこ修正・加筆しながら、週に一回投稿していく予定です。とりあえず今後の目標は…ペースを崩さずに投稿、ですかね;;
あ、ちなみに更新は毎週日曜日の予定です。今回はミクさんの誕生日と言うことで例外的に金曜日ですが、基本的には日曜日です。今週末も上げる予定なので、もしお時間があれば覗いてみてください。
それでは、今後もどうぞよろしくお願いします!
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