ミクノポップ!!   作:YoShoki

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さて後編。今回は実家に帰省中なのであまり修正・加筆に時間をかけられず少しボリュームが少ないかもしれませんが、文字数自体は結構あるのでご容赦ください;;


第14話 ウェルカムパーティー《後編》

ミクが支度を終えて10分ほどすると、軽快なチャイムが来客の存在を知らせた。ミクが小さく安堵のため息をついているのを横目で苦笑交じりに見つつ玄関を開けると、そこには予想通りの二人が立っていた。

 

「こんにちは~」

「カナ~…。早く開けて、料理が重いんだって…」

 

相変わらず簡単な挨拶すらしない葵に一言突っ込みつつ、二人の友人を招き入れそれぞれから料理を受け取る。それを全てテーブルの上に並べ、全員が俺が先ほど準備したパーティー会場に集まってから、二人がクラッカーを鳴らしつつ歓迎の言葉を口にした。

 

パパァンッ!

「ようこそミクちゃん!これからもよろしく~!」

「ミクちゃんお誕生日おめでと~!これからもよろしくね~!」

 

一瞬笑顔を浮かべたミクの顔が、すぐに困惑の表情に変わる。俺と海翔も責めるように、これでもかと言うくらいのジト目で葵を睨む。…どうやら今回のパーティーの趣旨をまったく理解してないバカがいるらしい。バカこと葵は、俺達3人の白い目を見ても頭に?マークを浮かべて首をかしげている。そうしてからやっと自分が何かおかしいことを言ったという事に気付いたのか、居心地が悪そうに苦笑いを浮かべる。

 

「…えっと、あれ?今日のこれって誕生日パーティーじゃなかったっけ?」

「…葵ちゃんは一体水曜日に何を聞いてたの?」

「…ちなみに言っておくと、私の誕生日は8月31日です」

 

再び重っ苦しい沈黙がリビングを支配する。…何で楽しいはずの歓迎パーティーがいきなりこんなテンションで始まってんだよ。

 

「と、とにかく!何でも良いのよ、祝う気持ちがあれば!」

「言い訳できないと踏んで強引に誤魔化そうとしてるね、全然成功してないけど」

「黙れそこの海翔!」

 

その慌てふためく葵を見て、俺は思わず吹き出してしまった。それを見たミクもつられて笑い出し、さらにそれを見て海翔も、さらにさらに葵も「もうなんでもいいや」とか何とか呟いてから盛大に笑い出した。

そんな感じで白けた様な妙な空気は消え去り、あっという間にいつもの面白おかしな空間が戻ってきた。こんなに簡単に変な空気を無くせるのは、まぁそれなりに良いことなんじゃないかと思う。まぁそもそもそんな重大な間違いでもなかったし、そこまで変な空気になる必要も無かったのだが。

 

「さて、それじゃあさっさと始めましょうか!」

「うん。じゃあカナ、音頭とってよ」

「…何故俺が」

「ミクちゃんのマスターだからに決まってるじゃん」

「なんだか微妙に理由になってない様な気もするが…まぁいいか」

 

…ここはある意味主催者のお前が音頭とってもいいんじゃないのか、なんて反論しようとも思ったりしたのだが、そもそも俺やミクのために企画してくれた事を思い出して思い直した。

ため息を一つついてから横にいるミクの方を向く。それに気付いたミクもこちらに向き直る。その表情には、期待以外の感情はまったく浮かんでない様に見えた。

…いかん、何か気の利いた事を言おうと思ったのだがとっさには何も思いつかん。…ま、オーソドックスでいっか。

 

「…ようこそ、ミク」

 

一瞬キョトンとしたミクだったが、すぐに満面の笑みを浮かべ、

 

「…はい。お邪魔します、マスター」

 

なんともいまさら感が拭えない可笑しな挨拶だったが、何故だかしっくりくる気がした。

 

♪ ♫ ♬

 

その後は…まぁ正直特筆するようなことも無い。だってぶっちゃけ「歓迎会」ってのは三人集まって遊ぶための口実みたいなもんだったし。もちろんミクを歓迎しようって意味もあるが、歓迎会って言っても何すりゃいいのかもよく分からんし、こういうのは開くってだけで意味があるもんなんだよ、多分。

…まぁそんな風にもっともらしく語ってみたが、要約すると「やったことなんて皆で集まってバカ騒ぎしただけで、特に説明するような事も無い」ってことである。

そんなパーティも後半に差し掛かった頃、葵が思い出したように言った。

 

「そうだ、あたしプレゼント持ってきたんだった」

「プレゼント?」

「うん、ミクちゃんに」

「わ、私にですか!?」

「あそっか、葵は今日が誕生日パーティーだと思ってたんだっけ」

「ゲ、ゲフンゲフンッ!と、とにかくはいこれ!」

 

半ば強引に葵がミクに綺麗にラッピングされた箱を渡す。…包装紙にでかでかと「HAPPY BIRTHDAY!!」って書いてあるのは…まぁこれ以上はさすがにかわいそうだからスルーしてやるか。

 

「見事に『HAPPY BIRTHDAY!!』って書いてあるけどね」

「うっさいわ!はいはい私が悪かったです、ごめんなさいでしたー!これでいいかコノヤロー!」

「だ、大丈夫ですよ、すごく嬉しいですから!だから泣かないでください!」

 

…と思ったら海翔が許さなかったらしい。最近よくそう思うんだけど、あいつは言葉遣いとか見た目とかとは裏腹に結構ドSなのかも知れない。もしくは自分が提案した企画のことを完全に勘違いされてて腹が立ったかのどっちかだろう。まぁ、海翔に限って後者は無いのでほぼ確実に前者だろうが。

 

「ま、実を言うと僕も一応プレゼント持ってきてたんだけどね。はい、どうぞ」

 

そう言って海翔が取り出したのは、葵のでっかいのとは対照的な小さな紙袋だった。ピンク色の小さな紙袋で、ところどころに白いハートマークが書いてある。

 

「ふ、二人ともありがとうございます!開けてみてもいいですか?」

「もちろん、どうぞ」

「あんまり期待しないでね、大した物じゃないから」

 

そんな葵の言葉は聞こえていないのか、ミクは目をキラキラと輝かせながらまずは葵に貰ったプレゼントの包装紙を丁寧に剥がしていく。その中に入っていたのは、一着のワンピースだった。

 

「わぁ…!」

 

それを見たミクは感嘆の声を上げていた。俺はというと、ちょっとした違和感を感じていた。いや、違和感というよりは…既視感、って言ったほうがしっくりくるかも。

 

「あれ?カナ、どうしたの?」

 

そんな俺のボーっとした様子に気づいた海翔が心配するように俺に聞く。

 

「ん?いや、大したことじゃないんだけど…。あのワンピースどっかで見たことあるような気がするんだけど、どこで見たのかいまいち思い出せないんだよ」

 

俺の言葉を聞いて、「そういえば…」とミクもうなり始めた。どっかで…しかも結構最近見たことがある気が…。

 

「…あっ!思い出した!」

「え、どこですか?」

「ほら、お前にこないだ見せてもらった『ワールドイズマイン』って曲のPVあったろ?あれの中でお前が着てたワンピースにそっくりなんだよ」

 

そう。葵がミクに渡したワンピースは、前に「私のことを勉強してもらいます」とか何とか言って半ば強制的にボーかロイド関連のものをいろいろ見させられた時に見たワールドイズマインのPVの中でミクが着てた服にそっくりだったんだ。

 

「あ、確かに。言われてみれば似てますね」

「気に入ってもらえたかしら?」

「はい、すごい素敵です!ありがとうございます!」

 

ミクは葵にお礼を言って丁寧にワンピースを(たた)むと、今度は海翔から渡された袋を手に取った。先ほども言ったように小さくピンクで、白いハートが水玉模様のように散りばめられている感じの可愛らしい袋だ。ミクがさっきと同じように丁寧に袋をとじているテープをはがし、中身を取り出した。

 

「あっ…!」

「お、それは見覚えあるな」

 

プレゼントを見た瞬間またちょっとしたデジャブを感じたが、今度のはすぐにわかった。ミクの手の上に載っているのは「お花の髪飾り」、さっきのワンピースと同じく、こないだの勉強会(?)でミクが俺に聞かせた「メルト」の歌詞に出てきた物だった。

 

「うん、まぁ『ミクちゃんにプレゼント』って考えたときに一番最初に出てきたのがこれでね。『歌詞から抜粋』、なんて安直だとは思うけど、一度思いついちゃったらこれ以外思いつかなくなっちゃって…」

「安直だなんてとんでもないです、私のことちゃんと知ってくれてるみたいですっごくうれしいです!どこかのだれかさんとは大違いですね」

 

そう言ってジトーっとした目でこっちをちらりと見るミク。…なんだよ、まだ根に持ってんのか。

 

「そう?それならよかった、喜んでもらえたみたいで何よりだよ」

「そうね、こんなに喜んでもらえるならプレゼントした方もうれしいわ」

「はい、ありがとうございます!大事にします!マスターマスター!着替えてきていいですか?」

「後にしろ後に。今はお前の歓迎会なんだから、面白おかしく歓迎されてろ」

「う~ん…そうですね、着るのはいつでもできますもんね。わかりました、今は歓迎されます。というわけでマスターの餃子もらい!」

「あっ!お前こっから盗むな!まだ山ほどあんだから皿から自分の分取って食え!」

「知らないんですか?人から()った物ほど美味しく感じるんですよ?」

「ならないから!迷信だから!」

 

その後も歓迎会は賑やかに続き、日が落ちて辺りが暗くなるまで4人で騒ぎまくった。

 

-その夜。

 

「ミク、風呂あいたぞ~」

 

リビングに下りて、そこでテレビを見ているはずの人物の名前を呼ぶ。…が、返事がない。

 

「ミク?…って、あいつ…」

 

ソファーで横になって寝ているミクを発見。…ま、あんだけはしゃげば疲れるわな。

ゆっくりと近づいて、鮮やかな緑色の髪をそっとなでる。くすぐったかったのか、触れた瞬間彼女が少しだけ身じろぎをした。

 

「…楽しかったか?」

 

返事を期待していったわけじゃない。だから…

 

「えぇ、楽しかったですよ」

「んなっ!?」

 

返事が返ってきたときは、死ぬほどビックリした。

 

「えへへ、おはようございます、マスター」

「お、おお、お前、起きてた、のか?」

「寝てましたよ?マスターが私の頭なでてくれるまでは」

 

そう言ってミクは自分の右手でさっきまで俺の手があった所をそっと触る。…何故かわからんが妙に恥ずかしかった。多分、今俺の顔は結構赤くなってるだろう。

 

「それじゃ、私はお風呂入ってきますね」

「あ、あぁ。俺は先に寝てるから」

「わかりました、おやすみなさい、マスター」

 

静かに挨拶をして去っていくミクの後ろ姿から、俺は何故か目を離すことが出来なかった。




さてさて、前書きにも書きましたが現在大学が長期休日(と言っても5日ほどですが)なので、水曜日から実家に帰省中です。なので今回も特に大学エピソードがまったく無いですはい、二週連続で申し訳ない…;;
来週は…どうだろう?多分来週からクラスによっては期末テストが始まるので、また大学らしいエピソードが無い可能性もありますが、その時はどうかお許しください…;
さてさて、それではまた次週お会いしましょう、ではでは~♪
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