ミクノポップ!!   作:YoShoki

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さてさて、今回も書下ろしです。って言うか、今後しばらくは書き下ろしと言うか新展開が続くと思いますので、そのつもりでよろしくお願いします。久々にミクさんの出番だー!そして今回はメタとかネタとか、色々と暴走してます。何かいつも以上に酷い感じです。

…って言うか相変わらず文字数がインフレを起こしてて凄いです、今回も前編後編分けるつもりは無かったんですが、分けないと10000文字超える勢いだったので(ちなみに今回は約6500文字)…あと、分けないと普通に更新日に間に合わなかったので、少し切り方が雑ですが分けさせて頂きます。ご了承ください><;


第22話 オーバーヒート《前編》

どうも皆さん、こんにち…いえ、『お久しぶりです』、初音ミクです。

…ええ、お久しぶりですよ。なんと言ってもここ数週間、まともに喋るどころか出演すらろくにしてませんからね。多分一話辺り平均十行分も喋ってないんじゃないですかね?

…今頭の片隅で誰かが「メタ発言は程々に…」って囁いたような気がします…が、そんなの知ったことじゃないですよ!私今実は結構怒ってるんですから、何かを自重する気なんてまったくありませんよ!

そもそもですね、皆さん一度初心に戻って考え直してみてください。この小説のタイトル、『ミクノポップ!!』なんです。…これ以上に無いくらいわかりやすく私の名前入ってるじゃないですか!つまり、言わば私は主人公ですよ!メインキャラクターですよ、って言うかタイトルだけ見たら確実にマスターよりも重要な登場人物ですよ!

それなのに、どうしてここ最近ずっと私以上に里香さんがフィーチャーされてるんですか!?納得いかないですよ、私主人公なのに!このままじゃいずれ私以上に里香さんが人気になっちゃって、最終的に私は「初なんとかさん」とか呼ばれてしまうかも知れないじゃないですか!嫌ですよそんなどこかのシスターさんみたいになるの!

そりゃまぁ、確かに義理の妹が出来た以上、マスターが里香さんを優先してしまう気持ちはわかりますよ?これから一緒に生活するわけだからお互いのことを知っておかなきゃいけないだろうし、里香さんただでさえ放っておけない雰囲気を醸し出しているから私ですら心配になっちゃうし…。何も私は、里香さんのことなんて無視をしろ、なんて言ってるわけじゃないんですよ。そんなことをする人を私はマスターだなんて絶対認めませんしね。

ただ、最近マスターはマスターで色々やりすぎてる気がします。さっきの変な「性格ごっこ」の時だけでも少なからずセクハラチックな事をしてたし…と言う事は普段からあんなことをやっているんでしょうか…?あんなにベタベタして…私にはそんな事してくれないくせに…。

…って、あれ!?何か思考が変な方向にシフトしていってませんか!?違う違う、今はマスターの話じゃなくて、里香さんが私の出番をどんどん横取りしてしまっているという由々しき事態の改善策を考えてるんです!決して、「マスターが里香さんばっかりに構ってて寂しい」とか、「私にもアレくらい優しくして欲しい」とか、「セクハラ紛いでもいいからアレくらい接近してみたい」とか、そういうことを考えたいわけではなくて…ってほらまた!

バタバタと暴れてしまったせいで荒くなった息を、深呼吸をして整ようと試みる。お、落ち着かなきゃ、素数を数えて落ち着くのよ…素数は1と自分の数でしか割ることの出来ない孤独な数字…私に勇気を与えてくれる…。1、2、3、5、7、11、13…って1は素数じゃないしっ!ダメですよ神父様、この方法全然役に立ちません!素数数えても全然落ち着けないです、オーバーヒート直前です!

再び深呼吸。今度は変な事を考えないで、とにかく息を落ち着けることに集中する。一分ほど深呼吸を繰り返してようやく呼吸を落ち着けてから、少しでも熱が冷めたことを期待して再び思考回路を接続する。とにかく、何とかして里香さんから少しでも出番を取り返さなくては…じゃないと、本当にマスターを取られて…ってだから違うんだって!

 

…そんな感じでヒートアップしては落ち着いて、またまたヒートアップしては落ち着いてを、約30分後にようやく眠気が訪れるまで延々ベッドの上でのた打ち回っていた私でした。…翌日、あんな事件が訪れることも知らずに…。

 

♪ ♫ ♬

 

「ふぁ~ぁ…。…ねむぃ」

 

フラフラとした足取りで、昨日の影響で痛む後頭部をさすりながら、誰にともなく呟きつつ顔を洗うために洗面所に向かう。

現在時刻は午前6時15分ちょっと過ぎ。ここ連日里香絡みの事件…というか騒動?が色々あって疲れたせいかぐっすり眠ってしまったらしく、いつもより15分ほど起きるのが遅れてしまった。おまけに眠気普段以上に残ってる。いつもより少し遅い時間だがとりあえず顔を洗おうと洗面所に行く事にして、現在に至る。

起きて間もないにもかかわらず、本日何度目になるかわからない欠伸をしたところで洗面所に到達、ノブを回して中に入る。

 

「ふぁれ?」

「…んぁ?」

 

予想外にも誰かの声がしたので下に向けていた顔を上げると、数日前俺の義妹としてうちに来た少女、千歳里香が歯を磨いていた。

 

「あ、ふぉふぃいふぁ…んぐっ!?けほっ、えほっ!」

「ちょ、大丈夫か!?とりあえず歯磨いてから喋れ!」

 

…なんか挨拶をしようとしてむせていた。相変わらず落ち着きない奴だなぁ…。

まぁそんな一悶着あった後、無事に歯磨きを終え、場所は変わってキッチン。俺は朝飯兼弁当の用意をしつつ、里香はそんな俺の事を観察しつつ、それぞれ今日一日に備えて準備をする。…いや、観察してるだけの里香はボーっとしてるだけなんだけどさ。相変わらずあいつはまだ学校に行けないから特に身支度をする必要もないし。

 

「そういえば今日までいっつもお兄ちゃんのほうが先に起きてたけど、ひょっとしていつもこんな時間に起きてるの?」

「まぁな~、っつっても今日は遅いほうだけど」

「え、この時間で遅いの?私的には今日はかなり早く目が覚めちゃったんだけど…」

「いつもは今日の15分から30分くらい前には起きてるよ、早起きは三文の徳って言うし」

「…え、それだけの理由で?」

「そういうわけじゃないけどさ、昔からそうだったから習慣になってるんだよ」

「そうなんだ…。あれ、でもじゃあ何で今日はこんな時間に?」

「知らね。普通にここ連日の騒ぎで疲れてたってだけじゃね?」

「…大体お兄ちゃんのせいじゃん。特に昨日のは8割お兄ちゃんのせいだよね」

「ナンノコトヤラー」

「…その棒読み結構頻繁に使ってるけど、何かの呪文?」

「良く気づいたな、実はこれ召喚魔法なんだよ」

「召喚魔法!?いったいこの状況で何を召喚する必要があるの!?」

「ナン」

「ナン!?ナンってあのインド料理の定番のナン!?パンを召還ってどういうこと!?」

「いや、今日の昼飯はインドカレーにしようと思って」

「何でそんな唐突にインドカレー!?お昼ご飯にインドカレーってどんなチョイス!?」

「いや、たまたま棚に『バーモン○カレー』のパックがあったから」

「カレーじゃん!…いや、元々カレーだったけど、インドカレーじゃないじゃん!」

「…わかったよ、『とろ○るカレー』にすればいいんだろ?」

「根本的にそういう問題じゃない!」

 

まぁそんなアホみたいなやり取りを繰り広げつつ、チラリとリビングの壁に掛かっている時計に目をやる。…ふむ、普段ならそろそろミクが降りてきてもいい時間なんだが…これ以上ミクが起きるの遅れると俺が朝飯食う時間なくなるし…仕方がない、起こしに行くか。朝飯も普通にトースト焼くだけで済ますつもりだから手間が掛かるわけでもないし。

 

「里香、パンとトースター出しといて。俺ちょっとミク起こしに行ってくるから」

「あ、はーい」

 

その落ち着きの無い性格のせいでどこか抜けているように感じる里香だが、意外と要領がいい奴だということに最近ようやく気づいてきた。少し前に一回家の中の主要設備等を説明しただけなのにそれ以降どこに何があるか9割以上把握しているようだし、今だって俺の指示に従ってトーストを焼く準備をテキパキと…

 

パタタタタタッ…。

「ぁ…」

 

…って言おうとした途端にこれだ。いったい何をどうしたのかわからんが、盛大に床にパンをばら撒いている。「…さ、三秒ルール」と小声で呟いてから急いでパンをかき集める里香を見ていると、たった数秒で前言撤回したくなる、って言うか前言撤回。頭は悪くないのかもしれないが、やっぱり抜けてるわこいつ。

軽くため息をついてから二階の自室に足を向ける。…「自室」とは名ばかりで現在はミクの部屋のように扱われているのだが。「元・自室」と言ったほうが的確な気がする。

部屋の前に立って、2,3度軽くノックをすると、中からほんの微かにうめき声が聞こえた気がする。毎朝の俺のように起きるのを渋っているのだと思い、今度は少し強めに扉を叩く。それと一緒に「ミクー、起きろー」と呼びかけてみたのだが、相変わらず起きてくる様子は無い。…仕方がない。朝のミクは無防備度が半端じゃなくて色々と困るんだけど…この際直接入る以外に選択肢が無い。正直眼福だし。

 

「と言うわけで、お邪魔しまーすっと…ミクー?」

 

少し恐る恐ると言った具合にドアをゆっくり開けて、部屋の中を覗き見る。案の定、部屋の中には目を覚ましている人物は居らず、代わりに鮮やかな色の髪を扇状に広げて横たわっている人物が一人。言わずもがな、この部屋の元主を追放して新しい部屋主に君臨した、初音ミクその人である。…色々ボロクソ言ってはいるが、ぶっちゃけ大して気にしてないんだけどね。

 

「…まーた布団蹴っ飛ばしてるし…風邪引くぞ?」

 

…まぁボーカロイドが風邪引くことがあるのかどうかなんて全然知らないんだけど。俺の声に反応してか「…ん、んぅ…」と小さく身じろぎをする。…体全体が壁側を向いているので確認できないが、おそらくまだ起きているわけではないのだろう。声をかけるだけでは埒が明かないので、壁を向いているミクの肩に手を掛けて軽く揺する。間接的にやっても効果が無いなら、もう物理に頼るしかない。

 

「んっ…」

 

…毎度のことなんですけど、いちいちそうやってエロい声出すのやめてもらっていいですかね?凄い気が散る上にいけない感情を生み出してしまうそうになるんですけど…。煩悩を振り払うために頭を数度左右に振り、再びミクの体を揺する。今度は少し力が強かったのか、向こうを向いていたミクの体がこっちを向いた。…そして、信じられないものを目にしてしまった。

…今までは、パジャマがどれだけ肌蹴ていると言っても、せいぜいボタンが二個ほど外れて片方の肩が少し露出している程度だった。

 

しかしまぁ…言ってしまえば今回は、外れているボタンの数が普段の4倍ほど多くて…要するに全部外れているわけで…つまりはおへそやらその上の二つの膨らみも全部見えてしまってるわけで…。

 

事態を完全に理解するまで、たっぷり3秒ほどは目の前の光景を凝視してしまっていたと思う。そしてようやく自分の置かれた状況を全て理解すると、一気に顔の血液が沸騰したような感覚が俺を襲った。鏡は無いが、確実に顔が真っ赤になっているのであろう。

…頭の片隅に残った豆粒ほどの冷静さを総動員して、ミクの足元に飛ばされて丸まっている布団をかけてやり…そこで完全に冷静さを失った俺は、家の中で出すことは滅多に無い移動速度で部屋を後にした。マッハで階段を降り、リビングのソファーにダイブして、備え付けのクッションに顔を埋める。…普段の俺からは考えられない行動だった。

 

「…お、お兄ちゃん、どうしたの?何かあった?」

「…里香、ミク起こしてきて」

「え?…はっ、これはもしかして、面白可笑しなイベントの予感!」

 

葵みたいな事を言いながら、やや上機嫌で階段をとんとんと上がっていく里香。一方の俺は、テンションがほぼ最低まで低下していた。

…そこのお前。あぁそうだよ、「普通女の子の胸見えたならテンション上がるだろ」とか言ってるお前だよ。お前な、実際寝ている女の子の胸をやや事故気味に目撃してみ!?眼福とかラッキーとかそんなの以上に、罪悪感が凄いから!相手に無許可で、しかもあんな状況で目撃なんて状況が現実で起こったら、ラッキーとか思える前に普通に落ち込むからっ!

…なんて未だ冷静さを半分も取り戻せていない頭で誰にともなく訴えていると、行く時とは打って変わって焦っているように荒々しい足音を鳴らして降りてくる…誰か。なんとなく、ミクじゃないことを願ってしまう。

 

「面白可笑しなイベントどころじゃなかった、色々大変なことになってた!」

 

俺の寝そべっているソファーに直行してきて、いきなり大声を上げる里香。ミクが怒りに来たわけじゃない事に若干安堵しつつも、里香の口ぶりから改めて自分のしてしまったことの重大さを理解する。

 

「…俺は何てことを…」

「…え、お兄ちゃん?…お兄ちゃんが何かしたの?」

「…パジャマがな、肌蹴てたんだよ…事故なんだよ…」

「…あぁ、うん。確かにいきなりアレはビックリだよね…で、でも、それだけだったら単純に面白可笑しなイベントで済むんだよ!でも、それどころじゃないんだって!」

 

里香のうろたえっぷりに不審なものを感じて、ソファーから顔を上げる。見ると、里香の顔は真っ青になっていた。

 

「ど、どうした!?何だ、やっぱり女子同士でもあぁいうのって罪悪感感じるものなのか!?」

「そこから離れてってば!だからそれどころじゃないんだって!」

 

本気で怒っているような里香の声色に押されて、思わず黙り込んでしまう。里香もそれを確認した上で…確かに、さっきの事件以上に衝撃的なことを口にした。

 

「何か苦しそうだったからおでこ触ってみたら、すっごい熱かった!ボーカロイドなのにこんなことあるのかわからないんだけど…た、多分ミクさんが熱出してる!」

 

♪ ♫ ♬

 

「…はい、はい…ありがとうございます、それじゃ」

 

電話を切ってから、少し緊張していた体を解すために小さく息をつく。「義妹が日本に来たばっかりで溜まった疲労が今襲ってきたのか体調を崩してしまったので、看病するために今日は欠席したい」と言ったような内容を担任に伝えると、まるで自分のことのように心配をしてくれた上に快く許可してくれた。…7割ほど嘘のこの話であそこまで心配させてしまったと思うと少し心苦しいが、やってしまったことは仕方がない。ここは素直に感謝して、残りの3割を事実にしなくては。

残りの3割と言うのはもちろん、「体調を崩してしまったので、看病する」という部分である。今朝里香が教えてくれたように、ミクは体調を崩していた。普段なら考えられないように体温が上がり、人間用の体温計で計ったところ41度という高温を記録した。これが人間なら普通に少し高めの熱を出した、で済むのだが…実際の所彼女は人間ではないわけで。アンドロイドが体調を崩すなんてことが起こるかどうかすらよく知らない俺と里香は若干パニックに陥りあたふたと家中を駆け回って人間を看病する時の道具を一式揃え、ようやく冷静になった頭で学校に今日は欠席と言う旨を伝え、今に至る。

 

「…お兄ちゃん、どうだった?」

 

ドアを開けて部屋に入ると、ミクの横たわっているベッドの脇にある椅子に座った里香が少し心配そうな目をこちらに向けて聞いてくる。以前ミクは少し頬を紅潮させて、わずかに息苦しそうに呼吸を続けている。

 

「一応許可は貰ったよ。悪いな、ミクじゃなくてお前がダウンしたって嘘ついちまった」

「ううん、多分その方が許可も取りやすかっただろうし、気にしてないよ」

「サンキュ」

 

里香に礼を言って、彼女の隣に備えてあるもう一つの椅子に腰を下ろし、改めてミクの様子を見る。…正直さっきの出来事が衝撃的すぎてまだ顔を直接見るのは気が引けるのだが、そんなことを言っている場合ではない。

起こしに来た時は動転してて気付かなかったのだが、確かに呼吸が乱れているし顔も少し上気しているように見える。触って確認したわけじゃないが、41度もあるのだからきっと里香が言った通り体も熱いのだろう。

…うん、やっぱり症状は人間で言う所の熱で間違いないとは思うんだけど…問題は彼女は人間じゃないわけで。ボーカロイドにこんな症状が現れるって言うのはおかしいんじゃないか?…大丈夫だよな、このまま二度と動かないなんて事は無い…よな?

 

「…お兄ちゃん、大丈夫?何か凄い怖い顔してるけど…」

「え?…あぁ、大丈夫だ」

 

そう答えたものの、心中は正直あまり穏やかではない。今もこうやって見てるだけで、彼女に何もでいないのがもどかしくてしょうがなかった。

 

「…里香、ちょっとここ頼む。俺ちょっと一階片付けてくるから」

「え?あ、うん…わかった」

 

里香にそれだけ告げると、気持ち早足に一階に降りる。…これが終わったら、パソコンで少し調べて見るか…。




今週は…何があっただろうか。とりあえず風邪が流行してルームメイト二人がかなりダメージを受けてましたが、それ以外は特に…あ、ちなみに私はまったく問題ありませんでした。「何とかは風邪を引かない」って言いますしねw

そして、ちょっと格ゲーに思いっきりハマってしまいました。おかげで執筆時間やら勉強時間やらが目に見えて減って…完全に自業自得ですね、申し訳ありません…;
まぁでも、何とか格ゲー特訓を続けつつちゃんと更新時間も出来るだけ守って、成績も下げないように、と言うことを目標にここしばらくはやっていこうと思います。ではでは次週、後編もお楽しみに!
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