色々と事情がありましてですね…。
まず3月の中旬から下旬にかけて、期末のための猛勉強に集中していて小説の更新という余裕が一切無く、そこで約二週間の投稿サボり。で、その後ようやく試験地獄から開放されて実家に一時帰省して気が抜けての一週間サボり。そして今週やっと学校に戻ってきて、ようやくやる気も一新してついに一ヶ月ぶりに更新でございます。…前半はともかく後半は完全にサボりですよね、ごめんなさい;;
さ、さてさて!今週は4月最初の投稿ということで、前になろうでもあったエイプリルフールネタです!ちょっと、というかかなりボリューム増えてますが、久々の更新、楽しんで頂ければ幸いです!
ピロンッ♪
「ぅ…?」
耳元で鳴り響いたメールの着信音で目が覚める。…せっかくの休日だから目覚ましも切ってたのに、こんな朝早くから起こされてしまった…。
一瞬気付かない振りをしてしまおうかとも思ったのだが、気付いてしまったものは仕方ない。重い
差出人を確認したことで余計に見て見ぬ振りをしてやろうかもと思ったのだが、ここまで来て無視するのも馬鹿馬鹿しい気がしてメールを開く。そしてその内容をしっかり3秒凝視してから、一気に目が覚めた。
メールの文面はいたってシンプル。簡潔に、ただ一言。
『たすけて』
ただそれだけが、携帯の画面に映し出されていた。ガバッと体をソファから起こし、慌てて連絡先リストから葵の携帯番号に電話する。たっぷり5コールほど待たされてから、ようやく電話が繋がった。
『…ぅ…カ、ナ…?』
「葵!?どうした、おい!大丈夫か!?」
『…』
「葵?葵、返事を…!」
『…ぷっ』
「…葵?」
『あっはっはっははははっ!やった、大成功っ!』
「…は?」
…絶句してしまった。
いや、だって考えてもみろ?幼馴染から深刻そうな、って言うか切羽詰った感じのメールが来て心配して電話したら爆笑されたらどうするよ?どんなリアクションしろと?
「…おい」
『あはは、ごめんごめん!でも面白かったよ、カ~ナ♪』
「『カ~ナ♪』じゃねぇよ!笑えない冗談言いやがって!何だってんだよ!?」
『…あれ、わかんない?』
「わかるわけあるか!」
『あ~、さては今起きたわね。まったく、いくら休日だとは言え…起きるの遅すぎない?』
「俺の質問に答えろって!」
『じゃあヒント。今日の日付を考えて見なさい、じゃあね~♪』
「あ、ちょ、待て!…切りやがった」
なんだったんだ?何の嫌がらせでこんな手の込んだ嫌がらせを?今日の日付って…。
「4月1日…あ」
…なるほどね、エイプリルフールか。…それにしても、タチの悪い嘘だな。
「…全然笑えねぇ」
目も完全に覚めてしまったので、二度寝も諦めて素直に起きる。ここ最近でもダントツで気分の悪い朝だった。
♪ ♫ ♬
「あ、お兄ちゃんおはよー」
「マスター、おはようございます。さっきはどうしたんですか?随分怒鳴ってたみたいですけど」
「別に、朝っぱらから葵のタチの悪い冗談に騙されただけだよ」
「…朝の10時を『朝っぱら』って表現するのはどうかと思いますけど」
「起きたばっかりの状態を朝っぱらって言うんだよ」
「何かまた微妙に説得力ありそうな事言って…それより、今日は朝ごはんどうします?」
「あー…今食べると昼食えなくなるから、朝はいいや」
「わかりました」
そんな何てこと無いいつもの会話を交わしていると、居間に置いてある電話が高らかに着信音を鳴り響かせた。休日のこんな時間から家の電話に着信があるなんて不思議なこともあるんだな、と訝しがりながらも受話器を耳に当てる。
「もしもし?」
『あぁ、もしもし?久しぶり、俺俺』
「…通報しました」
『ちょ!?何で!?』
「オレオレ詐欺は犯罪です」
『いや、軽い冗談じゃん!?勘弁してくれよ…』
「ま、冗談はさておき…なんの用だよ、響」
電話をかけてきた主は、他でもない親友にして幼馴染の響だった。現在はエジプトに行ってるのであまり電話で連絡することは無いのだが、まったく無いということはないので特に驚きはしなかった…が、それにしても何故こんな時間に?
「いや、別に大した用事じゃないんだが…」
「じゃあこんな朝っぱらから電話なんか寄越すなよ…」
「何言ってんだ、気を使ってわざわざこんな時間まで待ってやったんじゃねぇか。いいから聞けよ」
「朝から電話かけてきて偉そうな…。で、何だよ?」
「俺来週日本に帰国するから。一時帰国とかじゃなくて、本当に」
「え、マジで!?」
「嘘だ」
「随分急に、何でそんな…って嘘かよ!?」
「やーい、エイプリルフールー♪」
「うぜぇ!ひたすらにうぜぇ!って言うか雑なんだよ嘘が、せめてもう少し貫き通せよ!」
「うるせぇなぁ、俺だって眠いんだよ。今何時だと思ってやがる、夜中の4時だぞ4時。せっかく気を使ってわざわざ夜更かししてやったってのに…」
「ありがた迷惑だよくそったれ!」
「はっはっは。まぁ…あれだ。俺も眠いから最後に一言だけ…。奏、ざまぁ!」
「死ねぇっ!」
腹の底からそう叫び、受話器を半ば叩きつけるように電話に戻した。肩で息をしながらキッチンに戻ると、ミクと里香が引き攣った顔でこちらを見ているの気が付いた。
「…ど、どうしたんですかマスター?」
「…響がわざわざ夜更かしして、国際電話かけてきてまで嘘ついてきて、その嘘があまりにもクオリティ低すぎてげんなりしてるとこだよ…」
「お、お兄ちゃん、その響って…?」
「ん?あ、そっかお前は響にあったことないのか。えっと…放浪癖のある俺の幼馴染。今はエジプトの学校行ってる」
「ほ、放浪癖って…」
「まぁ、要するに変わった奴だよ。ちなみにミクの元々の所有者な」
「ん?って事はミクさんってその響って人のお下がり?」
「お、お下がりって…」
「…なんでか知らんがミクが落ち込んでるけど、まぁそんなようなもんだ。ただ、あいつは一回も起動させたこと無かったらしいから、新古品みたいなもんかな」
「ふ~ん…」
会話が一区切り付いたところで、再び携帯に電話が入る。若干ウンザリしながら画面を見ると、海翔の名前が映し出されている。
「…もしもし?」
『あ、カナ?おはよう…って言うのは時間的には若干微妙かな?こんにちは』
「ん、こんにちは。で、どうした?」
『うん、ボクの秘密を伝えようと思って』
「…何だよ?」
もう騙されんよ。流石にあんなことが二回あった後だからな、警戒もするさ。これは嘘のパターンだ。
『実はボクね…女の子なんだ』
「…は?」
『それで、もう随分前から、会った時からカナのことが好きで…だからお願いだよカナ、ボクと付き合って!』
「嘘をつけええぇぇ!!」
いくら俺でも流石にそれは嘘だとわかるわ!って言うかなんだその嘘、バカしか騙されねぇよ!って事はそれは何か、俺はバカだからこんな嘘でも騙されるだろ、とかそういうことかこの野郎!?
『あはは、流石にばれちゃうか』
「お前どれほど俺を甘く見てるんだよ…」
『ごめんごめん、ボク嘘つくの苦手だからさ、こんなのしか思いつかなかったんだよ』
「…まぁいいや。で、用はそれだけか?」
『うん、まぁ一応礼儀としてね』
「何の礼儀だよ…。じゃあ切るぞ」
「あ、ちょっと待って、シャンプは今週土曜発売だから忘れないようにね」
「あれ、そうだっけ?わかった、サンキュ」
『どう致しまして、じゃあまた学校でね』
「おう、んじゃな」
携帯の電源を切り、一息つく。相変わらずミクと里香が奇異の視線でこちらを見ているが、そんなものが気にならないくらいには疲弊していた。嘘付かれ続けたのもそうだけど、最後の『男に告白される』っていうのもなかなか堪えた…。
とりあえず気晴らしに、さっき言われた通りシャンプを買いに行く旨をミクと里香に伝えてから自転車に乗って最寄の本屋まで走る。そして途中で、気付く。
「…って、シャンプ今週もう買ったじゃん!」
やられた!海翔の野郎、何が「ボク嘘つくの苦手」だよ、超狡猾じゃねぇか!最初にバレバレの嘘ついて警戒心を薄れさせてから本命のちょっとホントっぽい嘘で騙すとは…策士だ、あいつ策士だ!
そんなわけですっかり意気消沈して家に戻る。ただいまも言わずに家に上がり、フラフラと自室に向かってドアを開ける。
「あれ、お兄ちゃんお帰り。早かったね」
「…騙された」
「…騙されすぎだよ、いくらなんでも」
「…ピュアなんだよ」
「いや自分で言わないでくださいよ…とりあえず、そろそろお昼にしましょ」
ミクが突っ込みと共にそう提案してきたので時計を見ると、確かに俺が一人でドタバタしているうちにいつの間にか時刻は正午を回っていた。
「そうするか。…ちなみに誰が作るんだ?」
「え、マスターじゃないんですか?」
「…へいへい」
…苦労した分ちょっと優しくしてくれるかもと思ったのだが、世の中そんなに甘くは無かったらしい。
♪ ♫ ♬
「マスターマスター、ちょっと部屋に来てください」
「ん?別にいいけど何だ?」
「ちょっと面白いもの見つけたので、是非マスターにも見せてみたくて」
「ふーん?」
その日の夜。結局その後は誰に騙されるわけでもなく比較的平和な夜を迎えると、ミクが二回から降りてきてソファーでゴロゴロしている俺に声をかけてきた。いつに無く活き活きしたミクを少しだけ不審に思いつつも、素直についていく。
「で、見せたいのって何だよ?」
「お笑い系のフラッシュです。冒頭はちょっと怖いんですけど、オチが秀逸で結構面白いんですよ」
「へぇ」
そんな会話を交えつつ部屋に入る。机の上に置かれたノートパソコンには、すでにそれと思わしきページが表示されていた。フラッシュのタイトルは、『真っ赤な部屋』。
「コレ読み進めていけばいいのか?」
「そうです、やってみてください」
「おーぅ」
言われた通り、画面をクリックしていって話を進める。確かに冒頭は普通にホラーっぽい。内容は…詳しいことは言わないで置こう、ネタバレはしたくない。
しかし、いくら読み進めていってもお笑い系には見えない。いつまで経っても気味の悪い雰囲気が続き、お笑いの「お」の字も見当たらない。しかし、背後ではミクがずっと笑いを堪えているので、きっと言われたみたいに、最後に面白いオチがあるのだろう。
…そして、最後。フラッシュの終わり方に、俺は戦慄した。全身の毛穴から汗が吹き出るような、とてつもなく嫌な感じ。勢い良く背後を振り向くと、そこにはとうとう笑いを堪えきれなくなったのか大笑いするミクの姿。…そこでようやく、コレがミクのエイプリルフールなのだと気付いた。
「…お前なぁ…」
「ご、ごめんなさい…あ、あっはははっ!ぁ痛っ!?」
相変わらず笑い続けるミクの頭に軽くチョップを喰らわせて、俺は部屋を出る。閉じたドアの向こうから「面白かったですよ、マスター!」とか聞こえてきたが、無視。…明日辺り何かしら復讐してやる。
♪ ♫ ♬
(…しかし、怖かった。マジでゾクッと来た。ヤバイな、今夜寝れるかな…?)
リビングに戻ってテレビを見ながらもそんなことを考えていたせいで、後ろから接近しつつある誰かの気配を感じ取れなかった。
「ねぇ、お兄ちゃ…」
「ぎゃあああぁぁぁっ!?」
「きゃあぁ!?え、何々っ!?」
慌てて後ろを振り向くと、そこには大声を出した俺に驚いた里香の姿が。…ビックリさせてわるいとは思うけど、それ以上に俺も驚いたからお互い様って事で。
「な、何だ?どうした?」
「そ、それはこっちの台詞だよ、どうしたの?」
「い、いや、何でもない…で?」
「うん、ちょっと相談なんだけど…」
そこまで言って、何かを迷うように言葉を切る里香。
「何だよ、何か言いにくい事か?」
「う、ううん、そういうわけじゃないんだけど…やっぱ迷惑かなって、ちょっと思って」
「…」
ちゃんと里香のほうに向き直って…久しぶりに、里香にデコピンをお見舞いする。急だったので避ける暇も無かったのか、「イタッ!?」と声を上げて仰け反った。
「…で?どうしたんだ?」
「むー、相変わらずこのシステム納得いかないなぁ…まぁもう諦めたけどさー」
ため息をついてから、改めて俺のほうに向き直る。まだ少しだけ迷っているようにも見えたが、ようやく話をし始めた。
「さっきね、学校の子から電話が来たんだけど…」
「…あ、そっかお前ももう学校行ってるんだっけ」
「忘れてたの!?」
「忘れてた、すまん」
「何で忘れてたの!?っていうかどうして忘れられるの!?結構私の学校の様子気にしてくれたりとかしてたじゃん!?」
「いや、随分お前の学校の話とか聞いてなかったからすっかり…」
「…そっか、お兄ちゃんにとって私ってその程度の存在なんだね、学校に言ってる事も忘れるほどどうでもいい存在なんだね…」
あ、拗ねた。最近すっかり敬語は抜けたけど、やっぱネガティブは未だに時々発動するな…。まぁ敬語がなくなっただけでも相当な進歩だとは思うけど。
さて、からかうのはほどほどにして、何とかして里香を励まして話を進めよう。デコピンも今やるとちょっと逆効果になりそうだし。
「冗談だって、冗談。さすがにそこまで薄情じゃないって。…まぁ、コレが俺のエイプリルフールって事で」
「…ホントに?」
「ホントだって」
「…私どうでも良くない?」
「良くない良くない」
「…えへへ、ありがと」
…目に涙を浮かべながら頬を染めて喜んでる。…なにこの可愛い生物。
「それで?」
「あ、うん。それでしばらくその友達と話してたらさ、今度うちに来たいって言ってくれたの。だから今度うちにご招待してもいいかな?」
「…嘘だ!そうか、コレがお前のエイプリルフールなんだな!?騙されない、騙されないぞ俺はっ!」
「…お、お兄ちゃんなんか嫌いだああぁぁぁ!!」
…いかん、心の底から疑って掛かっちまった、里香がマジ泣きし始めた…。
い、いやいやだって里香だし!だって俺の第一印象だって、基本的にテンションは低くて、すぐに自己嫌悪に陥って、要するに凄いめんどくさい女の子って印象だったし!そりゃ確かにここ最近すっかり明るくなってクラスにも馴染めてきてたっぽかったけど、てっきりまだ友達って呼べる人は少ないのかと…。
「わ、悪かったって!いいよ!明日でも明後日でもいつでも呼んでいいから!」
その後の俺の必死の謝罪によって、里香はようやく泣き止み、機嫌も直してくれた。その友達というのも、明日の昼過ぎに来ることになったのだが…里香と短時間でここまで仲良くなれるなんて、どんな奴なんだろうか?
ミクのエイプリルフールで奏が見たフラッシュは、実在する「赤い部屋」というフラッシュのパロディです。
「検索してはいけない言葉」にも載っている本当にゾクッとする素晴らしく恐ろしいフラッシュなので、調べる時は覚悟して調べてください。それでも見てみたい、という方は、見る時はなるべく、ポップアップブロックをオフにしてご覧ください!