満足行くまでです。
ゲームじゃ出来ない動きは多いですが、きっと出来るだろうと思って書いてます。
ストームルーラーを構える。
その剣の刀身は彼が手にする時には既に折れていたが、今も力を宿している。
槍男は言う。
「刀身が折れちゃいるが、いい武器だ。名は。」
「私はカタリナの騎士、ジークバルト。」
そう名乗る。
「俺はクーフーリンだ。」
そう言い、槍を構える。
しかしここでは分が悪い。下に降りなければ。
壁を伝いながら飛び降りれば何とかなるだろうか。
「ではやるなら下にしよう。ここではろくに戦えんだろう。」
クーフーリンも同意する。
そして壁を伝い、飛び降りる。
一方クーフーリンはそんなことをすることも無く、平然と降りる。
降りると素早い攻撃が自分を襲う。
それをなんとか対応し、剣で受け流す。
剣に嵐の力を纏い、彼ごと薙ぎ払う。
だが、彼には剣は当たらない。
「風…そういう類いの力か。」
そのわずかな間に「固い誓い」を使っておく。
これで僅かだが、力は上がる。
クーフーリンはこれだけでは怯まず、槍で攻撃を続ける。
それを剣で受け流しつつ、攻撃を続ける。
だが、両者とも大きな傷も受けない。
「はぁ……決着が着かねぇ。なら…」
彼の槍に尋常ではないほどの力が宿る。
それは魔力なのか、それとも全く違うものなのか、それは分からない。
だが、当たったらタダでは済まないのは確かだ。
私もストームルーラーに力を込める。
剣に嵐の力が纏う。
「
その槍の突きは防いだつもりだった。
しかし次の瞬間には心臓を前に槍がある。
しかし直感なのか、それとも幸運なのか、その矛先を何とか逸らすことが出来た。
そして鎧のおかげか、傷は負ったが耐えれるものであった。
私はストームルーラーの力を放ち、その斬撃をモロにクーフーリンに食らわせる。
「ぐ…は、…避けただと……!?」
「この鎧は攻撃を受け流せるように作られている。
とはいえ、貴公の技は見事であった…。」
クーフーリンは傷は負ったがそれでも足りないようであった。
「これを出しても勝てなかったんだ。
それにお前はその力で俺を斬った。俺の負けだ。」
クーフーリンは潔く負けを認めた。
「なら、貴公よ。戦いの後だ。この酒で乾杯でもしないか?せっかくの出会いだ。」
「は?……まぁ、悪かねぇな。」
そして私はジークの酒をクーフーリンに渡す。
「かんぱーー」
そんなふうにクーフーリンが言おうとすると、それを遮るように言う。
「太陽あれ!!」
呆気に取られた表情でクーフーリンが質問する。
「なんだその乾杯は。俺が間違ってるみたいじゃねぇか。」
「違うのか?私はずっとこうしてきたのだが…」
何が違うのがさっぱりだ。
火の無い灰のあの者も何の違和感もなく、乾杯してくれたのだが。
「まぁ、いいんだが。」
そう言ってその酒を飲む。
クーフーリンの傷がジワリと回復していく。
「なんだこれ、うめぇな!しかも傷が治っていくのか?本当に俺に渡してよかったのか?」
そう思うのは仕方がないだろう。
先程まで死闘をしていたのだから。
「一度剣を交え、分かちあったのだ。貴公とはもう友の様なものだ。ハハハ。」
「敵が皆、お前みたいなのだったら戦いやすいんだがな。ハハハ」
2人で笑う。
そこで何とか上から駆けつけた士郎と凛。
戦いに行ったと思ったら、酒を飲んでいる。
2人からしたら奇妙な光景だっただろう。
「ジークバルト!大丈夫か?」
「あんたなにやってんの!?」
とにかく何とかなったと伝えた。
凛は特に納得いかない様子だったが、仕方ない。
「じゃあな、酒の借りはしっかりと返すぜ。」
そう言うとクーフーリンは去る。
彼はいい者であったとしみじみしながら今日は帰る。
ジークバルトさんならこうなるかもね。
という妄想でこうなりました。
兄貴はジークバルトさんみたいな人好きそうですし。
折れた刀身でもこの力……。
折れていない時の物だったらどんなに強いか…。