楽しんで頂けたら幸いです。
「はぁ、はぁ。」
彼から逃げてしばらく時間がたった。
途中で足を挫いたのか、ジンジンと痛む。
もう、空は真っ暗で前も良く見えない。
まるで今の私を表しているかのようだ。
これからどうするべきなのか、分からない。
このまま仲直りすらできずすれちがったまま別れるのか
もう、彼の顔を正面から堂々と見れる日は来ないのか
美味しいご飯も、何もかも無くなってしまうのか・・・。
やっぱり、胸が締め付けられる。痛い、痛い、痛い・・・。
痛いよ・・・。会いたいよ・・・。愛してほしいよ・・・。
そんなの叶うはずないのに、思わずにいられなかった。
(っいけない。もっと上に行かないと。)
そしてその場を離れようとしたとき、
「痛ッ!?」
挫いた足が痛みを増していた。
こんなときに・・・。
幸い木があるから掴まってこの丘を登ることは出来るだろう。
「うっ・・・っ・・・。」
心も体もボロボロ・・・。お似合いだ、私に。
彼に散々冷たくして、傷つけて、無視して、わがままいって・・・。
ああ、嫌いだな・・・。私自身もこの世界も、背負って生きるべき運命さえも。
彼と出会わなければよかった・・・こんな思いをするくらいなら。
こんな切なくて苦しくて辛くて痛くて悲しくて寂しくて・・・何やってるんだろう・・・私。
重い体を必死に動かす。
あ、頂上が見えてきた・・・。
そして目に映ったのは、
「綺麗・・・。」
夜空にまんべんなく広がる星と、
「綺麗だろ、こっから見る星。」
なんで・・・
「どうしたんだよ、いきなり走り出すなんて。」
どうして。
「ほら座れよ。星、一緒に見ようぜ。」
なんで貴方が、いるの。
はて、何であいつはいきなり走り出したんだろうか?
生憎あの森・・・というか丘は小さい頃、良く遊んだので頂上までの近道も把握済みだ。
しっかし分かんないな、何で今日突然走り出したのか。
何か今日あったか・・・?
考えて、ある結論に辿り着く。
あっ!そういえば今日は星が綺麗だってニュースでやってたな!
そして運が良ければ流れ星が見れるって話だったはずだ。
なるほどな、つまり・・・
一緒に星を見に行きたいと誘うはずだったけど恥ずかしくて誘えず
自ら走って追いかけさせるという考えか・・・賢いな・・・やっぱ。
よし、ならば待ち伏せするために急ぐかぁ!
呆然とした。
何で、いるのか。あの女の人はどうしたのか。
聞きたいことで頭が溢れかえった。
体が熱くなるのを感じた。胸が一層締め付けられた。
いつもは素敵に思えた笑顔が、今はとても残酷にみえる。
私の心をズタズタに抉る。
来ないで・・・お願い・・・。醜い私を・・・見ないで・・・。
ドクン!
・・・あっ鎌がっ・・・ダメ・・・それだけは・・・ダメ・・・なのに・・・制御が・・・。
「お、おい、お前泣いて・・・ってお前怪我してるじゃん。大丈夫か?今そっち行くから・・・。」
ダメっ!今来たら・・・私っ・・・!
「っ・・・来ないでっ!!」
咄嗟に鎌を振るう。
振ってしまった・・・最愛の人に。
危ないから鎌は持つなよ?彼と交わした最初の約束。
自分はそんな約束も守れないのかと落胆もしたがそれ以上に
私は・・・それ以上に自分の意志で最愛の人に刃を向けてしまったという事実を受け止めきれなかった。
・・・もういっそ、嫌って。こんな私みたいなのは、嫌いだって、言ってよ。
お願いだから、嫌って。私を、嫌って!!
彼に向かって鎌を振り続ける。
でも、傷ついていくのは私の心だけ・・・。彼を傷つけたくはない・・・。
これは贖罪だ。彼を傷つけようとした私はその分傷つかなくちゃいけない。
「っ!おっおい危ないだろ!とりあえず鎌下ろせ!!怪我の治療を・・・。」
なんで
「もういいのっ!ほっといてよ!!」
なんで
「うおっ!?あぶねぇ!!どこがいいんだ!明らかに足首腫れてんじゃねーか!!」
なんで
「いいからほっといっ!?」
あまりの痛みに地面にうずくまる。そして鎌も維持しきれなくなったのか粒子になって消える
「おっおい!無理すんな!!」
どうして
「うるさいっ・・・。」
・・・どうしてっ
「いいから大人しくしろ、暴れて悪化したら大変だ。まあ、動けないと思うが。」
「動けるもんっ・・・。」
「強がんなくていいから。しばらく休んでいこう。・・・ほら、星綺麗だぞ。」
涙目で空を見上げる。確かに綺麗だ。・・・彼の強がんなくていいから、という発言と相まって
思わず目から涙が流れてしまった。
・・・そういえば今日は流れ星がたくさん落ちる日らしい。
・・・流れ星に祈ったら・・・ずっと一緒にいれるかな?
「んじゃ遅いしそろそろ帰るぞー。」
・・・そんな訳、ないよね。
でも・・・今だけは・・・いたいな、隣に。
そして彼の隣に・・・隣に・・・隣・・・に・・・
「・・・なんで距離とるの?」
彼は言いずらそうにそっぽを向きながら、
「・・・いや、うん。鎌持って暴れんじゃないかと思って・・・。」
「あっ・・・。」
過去最大に自分の行いを悔やんだ。
「そして家に帰ってきたけど・・・。」
やっぱりいい気はしないし・・・モヤモヤする・・・。
「なんかお前も手伝えや寝てばっかでねぇでよ。」
「じゃあ卵割るね!」
・・・いいなぁ。ああいうのを夫婦円満っていうのかな?
「うんうん白那ちゃん卵割れてえらいねぇー。」
「ごめん、お兄殴ってもいい?」
・・・ん?
「お兄・・・?」
そしてその人は私の目の前に来て、こう言った。
「私白那!お兄の妹やってます!!よろしくねカルマちゃん!!」
「」
頭が、フリーズした。
仲直り・・・なのか・・・?これ・・・?
・・・うん!仲直りは次回だ次回!!(やけくそ)
次回もお楽しみに!