だが彼は、前世の業に囚われる。
次の日、戦争に参加するかは兎も角にも戦う、いや生きる為にも戦闘する手段を覚えた方がいいとイシュタルが口にし、畑山先生を含めた全員がそれに同意した。
そして早朝、この王国の城--ハイリヒ王国と言うらしい--の訓練所にて、生徒全員が出揃っていた。
「まず挨拶をさせてもらおう! 俺の名前はメルド・ロンギヌス、この王国の騎士団長をしている! 宜しく頼む!」
彼、メルド騎士団長は明るい声でそう名乗り、その明るさに引かれたのか暗い雰囲気を纏っていたクラスメイト達が多少なりとも笑ったのを見て、メルド騎士団長は姿勢を正して頭を下げた。
「まず、君達に言わせてもらいたい。すまん! 謝って何ともなる事ではないが、昨晩改めて考えて君達のような未来ある若者をこちらの事情で呼んでしまった事を謝罪したい!」
軽く緩み始めた空気が今度は騒然とする。ハッキリとは分からないが、全員王国騎士団長と名乗った彼が頭を下げて謝罪をする事がどれほど大きな事なのかを個人差はあれど理解ができた。
「謝っておきながら戦う方法を教えるというのは、おかしい事だろう。だからこそ、俺は誰かを傷つけるような技は教えない。君達が自分の身を護れるだけの力を得られる方法を教えるつもりだ」
全員、メルド騎士団長をじっと見ていた。唖然として、驚愕の表情を浮かべて、憎しみの目で見て、憧れの目で見て。各々思うことは違えど、理解出来た事があった。
『この人は、とても優しい人だ』
そして、メルド騎士団長は12cm×7cm程の銀色のプレートを取り出した。
「教えるにしても、適正を調べなければならない。このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書としても扱われている。これがあれば迷子になったとしても、ある程度は平気だ。無くさないようにしてくれ!」
全員がマジマジとステータスプレートを見ているのを確認して、メルド騎士団長は説明を再開した
「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。原理などは分からない。神代の技術で作られたアーティファクトの類だ」
「アーティファクト?」
「アーティファクトって言うのは、現代では再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。まだ神やその眷属達が地上にいた神代に創られたと言われている。そのステータスプレートもその一つで複製するアーティファクトと一緒に、昔からこの世界に普及しているものとしては唯一のアーティファクトだ。普通は、アーティファクトと言えば国宝になるもんなんだが、これは一般市民にも流通している。身分証に便利だからな」
その説明を聞き、各々一緒に渡された針で指に少しだけ刺し、浮かび上がった血を魔法陣の描かれた面に擦り付けていった。それに続いて、後ろの方で見ていた南雲ハジメも続いていった。
結果は錬成師。様々なステータスは軒並み10と表示されており、技能と書かれた欄には『錬成』『言語理解』の2つが表示されていた。
「まず、レベルは個人の成長限界を示すものだ。そして天職。これはそれぞれに向いた職であり、技能もこの天職にあった技能を取得している事だろう」
ハジメは自分がゲームの主人公になったかのように感じたが、昨日召喚された時に藤丸リッカが話していた内容が頭の中をよぎり、浮かれるのはダメだと考えてなおした。
「この世界の住人の平均は10くらいだが、君達は一応勇者一行だ。恐らくは平均以上のステータスが表示されていることだろう!」
そして、全員のステータスを確認するという事となり、まず1番前にいた天乃河光輝のステータスプレートを確認した瞬間、メルド団長は息を飲んだ。
天乃河の天職は勇者。ステータスは軒並み100であり、技能数も10を軽く超えていた。
「そうか、お前が勇者か……」
影の落ちたメルド団長に対して、天乃河の表情は明るい。
「これで皆を守ることが出来ます!」
渋い顔をするメルド団長が何かを言おうとするが、力があると理解した天乃河は止まらなかった。
「どうだ藤丸君!俺は見ての通り皆を守れるだけの力がある!」
自分のステータスプレートを近くにいた藤丸リッカに見せつけながら、彼はそう宣言した。そして、ステータスプレートに向けられていた藤丸リッカの眼を見た天乃河は……恐怖した。
有り得るはずがない。
ステータスプレートと言われたものを使って、自分自身のステータスを確認したら、ありえないものが出てきた。
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藤丸リッカ 17歳 男 レベル:1
天職:渡航者
筋力:10
体力:120
耐性:50
敏捷:150
魔力:250
魔耐:250
技能:召喚[+縁憑依][+■■■■][+■■■■]・礼装魔術・聖杯・毒耐性・呪耐性・物理耐性・高速魔力回復・魔力感知・言語理解
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何故ならば、それは有り得ないものだったからだ。殆どの技能も天職も、まだ理解ができる。ただしたった1つ、『聖杯』だけは理解ができなかった。そして、それらはあの旅では必ず縁があるものだ。故に思い出す。命を削って戦ったあの時を。
だからこそ、再び慢心し傲慢にも力があると名乗った天乃河に対して、絶対零度の様相の眼を向ける。
彼は知っていた。
--燃え盛り骸骨が闊歩する都市を
--竜が飛び呪いあれと叫んだ復讐者の叫びを
--己こそが唯一の皇帝であると神に誓った皇帝を
--海は無限だと言う女海賊と平和な国を作ると願う不器用な王を
--故郷を穢すのは己だけで充分だといい守護する反逆の騎士を
--己が理想であれと願う少女と国は永遠だと言う科学者を
--人を救う為に選定せんとする哀れな神に近づきすぎた王を
--この地こそが原初であると断言する英雄の王を
他にも様々な場所を旅して、彼はその地その地で話を聞かされてきた。人とは、英雄とは、王とは。
故にそれだけは許さない。傲慢にも力を持つと思い、仲間を犠牲にしかねないその浅はかさだけは。
「……メルド団長。すみませんが、少々彼と模擬戦をさせて貰えませんか?」
はい、期間があいてしまってすみませんm(_ _)m
ちょっとリアルで色々あったり……FGOで大奥やってたりしましたw
結局カーマは当たらず(パールさんは宝具3に)
そして今度は帝都聖杯奇譚?運営さんや、えっちゃんと沖田オルタのダブルはやめてください( ´ཫ` )
ちょっと駆け足なこの回ですが、次回は天乃河vs藤丸の予定です
ではでは〜(イベント回ろ)