HAHAHA、ここで多少出さないと出せそうな場所がないんです(´・ω・`)
基本ここで出てくるカルデアはうちのカルデアとなります。
そして、次回ようやくハジメ君sideになります……ダイジェストですけど。
「痛い……」
神父によって案内された部屋に仕掛けられていた罠によって落ちたリッカは……何とか生き残る事が出来ていた。ただそれは奇跡が起きたという訳ではなく、何者かの手によって……。
「ここは……」
地下に存在していた地中湖から出たリッカは、周囲を確認しようとして、気がついた。
「……服が乾いている?」
地下の地面に叩きつけられたのならば、彼は決して生き残ってなどいないだろう。かといって、湖に叩きつけられていたとしても死んでいただろうが……生き残るには湖に落ちていなければおかしい。だが彼は迷宮?と思われる地下の床で横たえられていた。
「誰かが……いるのか?」
何処とも知れぬ迷宮の奥底にて、リッカは再び過去を思い出しながら行動を開始する。
「……どちらにしろ、安全地帯を確保しないと」
その場を離れ、移動を開始した彼は後ろからの視線に気がつくことは無かった。
「ふぅ……どうにか見つからずにここまで移動できたか」
仮称地下迷宮を探索し始めたリッカだったが、歩いても歩いても魔物の1匹すら見つけることが出来なかった。
「ここまで探索し続けて、魔物の1匹も見ないとなるとかえって不安になるな……」
実際、リッカは約2時間程休憩を挟みながら探索をしていた。だが魔物と接触することは無く、まさか魔物はこの階には居ないのかと思い始めると……。
「きゅ?」
迷宮の角からソレは姿を現した。姿形は正しく兎、だが大きさは軽く1mは超え、地上の魔物とは違い身体中に赤い線を浮かび上がらせていた。
即座に警戒態勢にはいり、後方確認をするが……行き止まり。後ろへの警戒をしないですむという理由で隅を選んだのは愚策であった。
静寂が訪れる。無音の中で初めに動いたのは……兎であった。
「」
一瞬、一瞬であった。即座に詰めてきた兎に対して、経験と直感が即座に警報を鳴らし、それに反応できたのは彼が潜って来ていた場所が場所ゆえだろう。普段通りなら、何時も通りならば彼は対処できたであろう。実際、1度目は対応ができた。
(やばっ、剣が折れたっ!)
だが、武器が折れた。対応するための手段の1つが失われたという事だ。そして悪い事は、一つだけ起こるとは限らない。
ウヲォォォン……
追加の魔物。今まで見つからなかった分が押し寄せてきたかのごとく、狼型の魔物が現れた。それも、複数匹。
(ヤバイヤバイヤバイ!)
リッカは仮にも最後のマスターときて生き残らねばならなかったため、様々なサーヴァント達によって鍛えられていた。肉体は当時よりも下ではあるだろうが、染み付いた技術などはそのままだ。
だがしかし、その技術は対単体である。相手が1人であれば、周囲環境がここまで最低な場合は中々におきない。
周囲は壁に囲まれ、逃げるにも敵がいる1箇所を通らねばならず、敵もこちらを認識し、敵の方が格上。さらに複数となると、これはもう諦めた方がはやいぐらいだ……だが。
(ここで諦めてたまるかっ)
確かに過去最低クラスと言ってもいいぐらいには追い詰められているが、これ以上なんて既に経験済みだ。そしてこの場合は逃げるのは愚策。敵が目の前にいるが、恐らく敵対的関係な2種。ならばどちらかが倒れるか、両方が疲弊するまで耐え忍ぶしかない。
……そう決意した途端、互いに威嚇し合っていた狼と兎は萎縮した。
この階には3種類の魔物がいる。2種は目の前の兎と狼。この2種は気がつけば増えており、互いに戦う間柄だ。だが最後にこの階でたったの1匹しか存在しない唯一の存在がいる。
グルゥォォォォォォォ!!!
それは、いずれ地下の怪物の生誕の切っ掛けともなる怪物。地下1階層の始まりの試練。--名称爪熊が現れた。
現れた爪熊が手を振るうと、避けたにもかかわらず一瞬で固まっていた狼達が切り裂かれた。そして、手を振った隙を突いた形の兎による蹴りも……その口で喰われ、意味をなさなかった。
グチャッバキボリベキッ
今リッカの目の前では、正しく食物連鎖の形が示された。狼と兎は熊のただの食料であり……リッカを見た熊の目は語っていた。
【貴様も私の食い物だ】
「ッッ!アアァァァァァァァ!!」
人間や動物が叫ぶのは、自身を大きく見せたり強く見せるため、自身を鼓舞するためというのが理由らしい。リッカは立ち止まるのが愚策だと考えた。進むのも愚策だと考えた……打つ手がないと理解した。
ただ、何もせずに死ぬよりも足掻き活路を見出すために動いた。
だが、差は歴然であった。
「ぐぁっ?!」
当たらないはず、当たるわけがないのに、その爪は当たる。深く、深く抉るように。
「ぁ……ぅ……」
血が流れ、臓腑が一部覗き、正しく瀕死。死ぬ間際。動けば肉が裂けそのまま命を落とすだろう。
ゆっくりと、熊が近くによる。勝者として勝鬨を上げるではなく、ただ当たり前の食事をするために。
彼が記憶がなくとも歩んだカルデアでは、何時も共に歩いていたサーヴァントが居た。過去には敵であったが、死線をくぐり抜ける度に距離が狭まり、最後の直前では互いがいなければもう1人は語れないと言わんばかりの存在だった。
彼のカルデアには、英雄であるサーヴァントの中では珍しく、マスターの影法師とも呼べるサーヴァントが居た。彼は卑屈であり皮肉屋であり、自身が最弱であると述べた。事実、彼は最弱であったのだろう。だが、彼はリッカの影で何時も見ていた。自身の危機を背負ってまでも、正しく“悪”であろう自身の過去に望んで飛び込む愚か者が救いを求める時を待っていた。
彼は、リッカは弱音が吐けなかった。意味が分からないままに世界を救う事となり、自身を理解出来ず、周りに負担をかけさせまいという歪な形をとっていたが故に。
しかし、彼は知ってしまった。旅を経て様々な事を知ってしまった。無色透明なにも持たなかった彼は、死にたくない理由を、世界を見たい理由が出来てしまった。だからこそ求める。彼は初めて、誰かに縋る。
「だれか……たす……けて……」
「ふん、遅いのよ、マスター」
「ほいほいっと、そんじゃま、片付けますか!」
その者達は正しく悪、人類に弓を引く悪である。そして唯一のマスターのためならば世界すら破壊する……絶対的な悪である。
「マスターもどき、さっさとマスターを助けなさい。あんたはどうせ戦闘で役にたたないのだから」
「まったく、後輩は口が悪いったらありゃしないぜ」
「煩いわね、燃やすわよ?」
熊は困惑する。誰だこいつらは。なんなんだコイツらは。何なんだこいつらは!
熊の認識では、目の前の見た事もない既に死にかけの存在はただの食料であった。貧弱であり、軟弱な存在にしか見えなかった。だが、その近くに現れた2匹は何だ!方や余りの嫌悪感に喰らう気もおきず、方や……余りに理解が出来てしまう力の圧倒的な差を持った存在。
なんだ、なんだ、なんなんだ!
「この熊畜生が私達の……私のマスターを……」
「おおっと〜、後輩ブチ切れかぁ」
熊はもう、逃げられない。
「--これは憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮」
竜の魔女と名乗った贋作による、怒りの一撃が放たれる。
「
熊の四方八方から火の手が上がり、熊を槍で、剣で刺し貫く。
逃げる事も、ましてや生き残る事も許さぬ様に燃やしてゆく。理解をするまもなく、熊は燃やされ灰となる……。
「おお〜、さっすが後輩。頼りになるねぇ」
「そんな事よりも、マスターは!」
竜の魔女は焦る。またなのかと、またマスターを失うのかと。
「ん〜……これは無理だな!」
「ッ! 無理じゃないのよ、どうにかするのよっ!」
涙が、頬を垂れる。目の前で虚ろな目で血を流し死にかけるマスターをみて、自身が何をしていたのだと叱咤する。
「おいおい、無理とは言ったが、対処法が無いとは言ってないぜ?」
希望がそこにはあった。だが、その希望を垂らしたのは……必要悪である。
「俺がマスターと1つになる。そうすればまず助かるだろ」
「そんな事っ!」
例外が……ない訳では無い。彼は即ち忠実における第四次、第五次聖杯戦争にてその片鱗を見せた深淵の泥……その元なのだ。事実、それで生き延びたものもいる。
「--」
「--」
結論としては、必要悪はリッカと1つになった。
竜の魔女はそれを見守り、眠るリッカの傍で寄り添う。彼女がその剣を、炎を振るうのはリッカの為だけなのだから……リッカを傷つけるものは、尽く彼女の敵である。
リッカが目を覚ますその時は、その運命は暫く現れない。邪ンヌの脅威を測れず、眠るリッカに手を出そうとした愚か者はすべて焼かれる。
さぁ、再び求められた時彼は目を覚ます。何故ならば彼は、世界を救う者なのだから。早く……早く現れろ、迷宮の怪物よ。
藤丸リッカ。
過去不明、前世不明、現世高校生。
一般人であるのだろう。
考察するには、情報が足りない。
そして--彼を見ていると思わしき視線、あれは誰の視線なのだろうか?