洞窟を抜けると、今度は燃えていない廃墟が立ち並ぶ場所に出た。
「ちと、あそこで休まねえか?」
そう言ってキャスターがある建物を指差す。
「学校か...けど、俺はあっちの方が良いと思うな〜」
「ん?」
大山が見ている方には、もう一つ大きな廃墟が立っている。
全員でその廃墟に入っていった。
「先輩、ここは...?」
「ここね、多分ヤクザ屋さんの本拠地。」
「やくざ...?ってなんでしょうか?」
「ヤクザってのはね、要するに銃や刀持った怖ーいおじさん達。なんか問題起こしたり失敗したら指チョンパしないといけなかったりそうじゃなかったり...」
「えぇ⁉︎」
「彼女をからかわないで!...それで、なんで学校じゃなくてそんな物騒なところを休憩所に選んだ訳?」
「それはね...」
大山は部屋の中を何かを探すように歩き始め、しばらくすると大きいロッカーの前で止まった。
「ちょっと、早くここに来た理由を...」
「こういうワケ。」 ガバッ
「「「⁉︎」」」
「フォーゥ⁉︎」
ロッカーを開けると、中には大量の銃器が入っていた。
「お前が持ってる奴に似たのがめちゃくちゃあるな...」
「先輩、この為にここへ来たんですか?」
「まーね。武器はいっぱいあるに越した事ァないからね。...それにしても思った以上に蓄えてたな......トカレフ、マカロフ...M49ボディーガード...セキュリティシックスと...おっ⁉︎」
大山はロッカーの中の一丁を取り出す。
「CZ75‼︎ コンバットロード※ は...してないか。ま、でもスペアマグ2本あるから良しと。あ、そうだ。ほい所長。」
そう言って大山はロッカーからもう一丁銃を出してオルガマリーに投げる。
「きゃっ 何よこれ!」
「何って、セキュリティシックス。」
「そんな事じゃなくて! なんで私に渡すの⁉︎」
「だって所長だけ丸腰でしょ?所長よ銃を取れ〜...なんちって。」
「何よそれ‼︎」
そんな会話をしながら安全な建物内で休息のひと時を過ごしていた彼らだが...
ザッ...
「! おいキャスター。」
「ああ。」
大山とキャスターの顔色が変わる。
「先輩?キャスターさん?」
「どうしたのよ」
「伏せろ‼︎」
ドォォォォォンッ
キャスターが叫んだ直後、建物の天井の一部が轟音を立てて崩れ去った。
「お前ら無事か?」
「ゲホ ゲホ...はい。」
「もうっ...一体なんなのよ!」
「そろそろデカブツのご登場かな?」
「あぁ...あれはアーチャーの野郎だな。」
煙が去ると、崩れた天井の上に弓を持った白髪の男が立っていた。
「い、いやああ‼︎」 ドォン!
オルガマリーはパニックになり、思わず大山から渡されたセキュリティシックスのトリガーを引いてしまう。
ピキンッ
「わっ」
ガンッ
「きゃっ」
オルガマリーが撃った弾はあちこちに跳ね返る。
「や、やっぱ所長は丸腰で良いっすよ...」
大山は恐る恐るオルガマリーから銃を取り上げた。
「仕方ねえ、移動するぞ!」
「いやあぁちょっと⁉︎」
キャスターはオルガマリーを抱えて窓から飛び降りる。
「先輩、しっかり掴まって下さい!」
マシュは大山を抱える。
「おっ おおぉっ⁉︎」
そのまま窓からキャスター達に続いた。
「ふぅ。お、重くなかった?最近ダイエットしてねえからさ...」
「大丈夫です。特に重くは...」
すると...
敵のアーチャーも飛び降りて、そのまま攻撃態勢に入る。
「‼︎」
ガアァンッ
マシュが盾で防ぐ。
「全く次から次へと...ホントゲーセンじゃねんだぞ!」
ドン!ドンッ!
CZ75をぶっ放す大山。銃声の後に薬莢が落ちる音が鳴り響く。
「珍しく表に出てきたな。セイバーの側に居なくていいのかい?」
「...つまらん来客を追い返す程度の仕事はするさ。」
「い、いまの内に...行こうぜ?」
大山はマシュの手を引いていこうとする。
「逃がさん!」 ビュンッ
アーチャーは大山達に向かって弓を放つ。
「のわっ...危ねえじゃねえか‼︎」 ドンッ
ピキンッ
「っ!」
大山の撃った弾がアーチャーの構えていた矢に当たる。
「やったァ!9パラ※だからって舐めんなよ!」
「...貴様...!」ギロ...
アーチャーは大山を睨みつけ、また次の矢を用意する。
「げっ」
アーチャーが弓を引こうとするが...
「!」
彼の前にキャスターが立ち塞がる。
「殿のつもりか...?何故漂流者の肩を持つ。」
「永遠に終わらないゲームなんざ退屈だ。駒を先に進めないとな?」
「貴様とは相容れん‼︎」
キャスターが応戦している頃、大山達は廃墟をどんどん突き進んでいた。
「貴方何逃げてるのよ!キャスターは⁉︎」
「あいつなら大丈夫っすよ。むしろあそこで指くわえて見てた方があいつは怒るだろうし。」カチャ...
大山はCZ75の空のマガジンを捨て、15発びっしり入った次のマガジンにチェンジする。
「‼︎ ...先輩、あれ!」
突然マシュがハッとしたように前を見る。
「ん?」
見ると、巨大なクレーターのような場所が広がっていた。
「これが...大聖杯...? 超抜級の魔術炉心じゃない!なんでこんな島国に...」
「おっとちょい待ち! 」
「「え?」」
「あそこ。」
大山が指差したのは、クレーターの淵。
そこに誰かが立っている。金髪で黒い鎧を纏った少女。片手に巨大な剣を持っている。
「あれがセイバーって奴じゃねえの?」
セイバーは大山達に気づき、睨むように見る。
「なんて魔力放出なの...」
※ コンバットロード: オートマチック銃の弾の装填方法の一つ。マガジンを挿してスライドを引き、チャンバーに弾を装填した後、もう一度マガジンを取り出し弾を1発込め、本来の装弾数よりも多く装填する方法。作中で大山が使用したCZ75の装弾数は15発の為、コンバットロードを行えば16発の装填が可能。
※9パラ: 9ミリパラベラム弾の略。オートマチック銃専用の弾丸で、世界中に広く普及している。
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