マスター刑事(デカ)   作:くらっか〜

9 / 9
※今更ですが、本作ではオルガマリーはレイシフト適正アリという設定です。


#9 夢魔(最終回)

『レフ教授だって⁉︎ 彼がそこに居るのか⁉︎』

 

「その声はロマニくんかい?君も生き残ってしまったのか...」

 

「レフ! レフ‼︎」

 

突如姿を現したレフに抱きつくオルガマリー 。

 

「良かった...! 貴方がいなかったら私...」

 

「やあオルガ。元気そうでなによりだ。大変だったろう?」

 

「そうなのよレフ!予想外の事ばかりで頭がどうにかなりそう...でも貴方がいればもう大丈夫よね⁉︎」

 

 

「ああ...」

 

「...!」

 

大山はその瞬間レフの口元がにやけたのを見逃さなかった。

 

 

「本当に...予想外の事ばかりで頭に来る。特に......君が生き残っていた事がね‼︎」

 

レフは普段の細く暖かいような目を見開き、歯をむき出しにして笑う。

 

「...⁉︎」

 

 

「はは〜ん...その口ぶりじゃ、あんたが黒幕か。」

 

 

「先輩、下がってください...!」

 

マシュが大山の前に出て、盾を構える。

 

 

「全くどいつもこいつも生き残って...統率のとれてないクズばかりだな。どうして人間というのは定められた運命から逃れようとするんだい?」

 

「レ、レフ...何言って...」

 

「...まぁ、イライラして仕方がないが、折角だ...」

 

「な...何よ?」

 

 

「生涯をカルデアに捧げた君の為、今のカルデアがどうなっているか見せてあげよう...」

 

 

するとレフが手にしていた小さな八面体の水晶体が輝き出し、空中にカルデア施設内にあるカルデアスの様子が映し出される。

 

 

「...‼︎...何...これ...」

 

映し出されているのは、真っ赤に燃え盛るカルデアスの姿。

 

「よく見たまえ、アニムスフィアの末裔...あれが貴様らの愚行の末路なのだ!」

 

 

「そんな... う、嘘でしょ? ...っ⁉︎ 」

 

その時、突然オルガマリー の身体が宙に浮く。

 

「全く哀れな小娘だ...最後に望みを叶えてやろう。君の宝物とやらに触れるがいい!」

 

オルガマリーの身体はどんどん上昇していく。

 

「や、やめて...嘘でしょ⁉︎ 高密度の情報体よ⁉︎ 次元が違う領域なのよ⁉︎」

 

「...遠慮なく無限の死を味わいたまえ。」

 

オルガマリーの身体は段々とカルデアスに近づいていく。

 

「い、いやっ! 助けて!...誰か助けて‼︎ ...だってまだ誰にも褒められてない!...誰も私を認めてくれてないのに...! こんなところで死にたくない‼︎ 助けてぇ‼︎」

 

オルガマリーはヒステリックになり泣き叫ぶ。

 

 

その様子にレフはさぞかし満足そうに笑う。

 

そのまま彼女はカルデアスに触れ、無限の死を体験した。

 

 

 

 

 

 

 

......はずだった。

 

 

 

ドォン!

 

 

パリィン‼︎

 

「っ⁉︎ ぐぅっ⁉︎」

 

突如レフの持っていた水晶体が粉々に砕け、彼の親指が吹き飛び、血が吹き出す。

 

 

 

「死なせてたまるかってんだ...!」

 

 

大山がレフの手元を撃ち抜いたのだ。

 

 

「っ!あっ‼︎...きゃああぁ‼︎」

 

水晶が破壊されたと同時に宙に浮いていたオルガマリーが落下してきた。

 

 

「オルガマリー所長‼︎」

 

「フォゥ!」

 

「今助けるぞぉぉ!」

 

 

大山は猛ダッシュでオルガマリーに向かう。

 

 

 

ドサッ...

 

 

「ぐへっ」

 

オルガマリーは見事に大山の上に降ってきた。

 

「あ、わ...私...生きてる...!」

 

「あ、あぁ...良かった...ってか...重ぃ...!」

 

 

「く、くそっ‼︎」

 

するとレフが足元からナイフを取り出し、オルガマリーに向かって投げようとしていた。

 

 

「‼︎ なんだァ、まだ懲りねえのかよ‼︎」 ドォン‼︎

 

 

「...‼︎ あぁあ、ああぁああ‼︎」

 

大山は再度発砲し、弾が命中した彼の腕は大量の血液を吹き出す。いくら魔術師とはいえど、強力で尚且つ内部破壊が激しいホローポイントのマグナム弾をモロに受けては立っていられず、絶叫を上げながら倒れこむ。

 

 

倒れ込んだレフの元に大山は歩いていく。

 

「...立て。」

 

大山が言ってもレフは立たない。

 

「立てっつってんだろ!」

 

大山は強引にレフの胸ぐらを掴み、持ち上げる。

 

「歯ァ食いしばらなくて良いからな?」

 

ボコォッ!

 

「ぶっ...」

 

彼はレフの顔面に思い切り拳をぶち込む。

 

「全く良い性格してるじゃねえか‼︎」 ドゴッ...

 

「...ぐふっ! ...」

 

バコンッ... ドムッ...

 

レフの外道っぷりに怒り心頭の大山はボコスカ彼を殴り、蹴りまくる。

 

「せ、先輩!少し落ち着いてください!」

 

大山のあまりのヒートアップの様子にマシュが止めに入った。

 

「ハァ... ハァ...ハァ...」

 

レフの顔は目元が腫れ上がり、口は切れて血を垂らしており、半分失神したような状態だった。

 

 

「...レフ・ライノール!殺人及び建造物破壊等の容疑でタイホ。」

 

カチャン!

 

大山はレフの両手に手錠をかけ、立ち上がらせる。

 

 

「変な気は起こすなよ?ハンマーの起きたローマンが後頭部に当たってんだぜ?」

 

『っ! 皆!聞いてくれ!』

 

「ん?どうしたロマニ?」

 

『特異点の崩壊が始まっている!』

 

ロマニが慌てた様子で言う。

 

「へ?」

 

『このままじゃ時空の歪みに飲み込まれるぞ!急いでレイシフトだ!』

 

「先輩、掴まっていてください!」

 

マシュが大山の腕を掴む。

 

「お、おう!おら、テメエも来るんだよ!」

 

大山は拘束したレフを引っ張る。

 

「所長も、早く!」

 

「そ、そうね!」

 

『行くぞ!』

 

 

 

そうして大山達はレイシフトを行い、荒廃した冬木の街を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

カルデア内部

 

 

「...おえぇ...」

 

「大丈夫ですか? 先輩...」

 

「まぁね...俺レイシフトに酔う体質みたい...」

 

レイシフトの後、大山は吐き気を催して、苦しそうにしていた。

 

 

「大丈夫かい? ...きっと慣れない体験に身体がついていけなかったんだね...」

 

ロマニはマシュの手当をしながら言う。

 

「あ、そうだ!マリーちゃんの容態は?」

 

「所長なら大丈夫だよ。眠ってるだけだ。 色々大変だったしね、疲れが出たんだろう。」

 

「良かったです。」

 

「とりあえず一安心だな。...レフのチンピラ野郎は?」

 

 

「ああ、...彼なら今ある部屋に閉じ込めてあるよ。...外部との接触ができない以上、今はカルデアに置いておくしかないからね...」

 

 

「だよなぁ...」

 

大山はため息をついてタバコに火をつける。

 

「一応、君がつけた手錠はそのままにしてるし、多分大丈夫だよ。」

 

「そだな。.....」

 

「じゃあ、僕はこれで。」

 

ロマニは部屋から出る。

 

 

「...ふぅ。」

 

「あの、先輩...」

 

「ん?どったの?」

 

「あ、いえ、やっぱりなんでも...!」

 

「なんだよォ、気になるじゃないの」

 

「は、はい...ただ、先輩が無事で、本当に良かったと。」

 

「マシュ...サンキュー。」

 

 

 

その時。

 

「お邪魔するよ〜」

 

「!」

 

「ん?」

 

部屋に見知らぬ女性が入ってきた。

 

「おはよう、こんにちは...初めましてかな?大山 健次くん。」

 

「おぉ、こりゃまたべっぴんさんだこと!」

 

「流石、分かってるね! 私は ダ・ヴィンチちゃん。カルデアの協力者だよ。 というか、英霊第3号みたいな?」

 

「英霊、というと君もサーヴァント?」

 

「そう。これから宜しくね?」

 

 

 

 

 

カルデア管制室

 

 

「まずは、生還おめでとうマシュ、大山くん。君は突然のこの事態に挑み、乗り越えてくれた。感謝してる。」

 

「気にすんなって。俺ァただいつもみたいに銃をぶっ放しただけだよ。」

 

「だが、君はそれで特異点Fを消滅させてくれた。...けど、まだ終わってない。大山くん。」

 

「ほいほい。」

 

ロマニの顔が深刻になる。

 

「君に人類の未来を背負い戦う覚悟はあるかい?」

 

 

「...しょうがねえ、やりまひょ!」

 

 

「あ、相変わらず軽いな君は...ハハ...」

 

「ま、俺に言わせりゃこんぐらいの根性がなけりゃ刑事は務まらんさ。」

 

「フフフ...」

 

「まぁ、ありがとう。その言葉で僕達の運命は決定した。」

 

 

 

 

 

 

そうして人類の未来を取り戻すための戦いが始まった。何度もレイシフトし、特異点を消滅させていった大山。その過程で沢山のサーヴァントに出会い、そうこうして遂に最終特異点を乗り越え、人類の脅威は消え去ったのであった...

 

 

 

 

 

「ま、犠牲もあったけどよ。」

 

 

「...はい。」

 

「とりあえず、平和は戻ったと。やったな!」

 

「はい!」

 

「...じゃ、俺も本職に戻るとしますか。」

 

「もう...帰られるんですね...」

 

マシュが少し寂しそうな顔で言う。

 

「ああ...まぁ、ギャラも貰ったしね。」

 

「そうですか......これで、お別れですね...」

 

 

「...だな。これまで色々、サンキュな?」

 

「いえいえ!私はただ、サーヴァントとして当然の事をしたまでで...私こそ、今までありがとうございました!」

 

「おう!じゃ、元気でな。... ん?」

 

その時、大山のスマートフォンが鳴り始める。

 

「もしもーし? お⁉︎ 課長! いや〜、ご無沙汰っすねぇ!はい、もう明日にはそっちに帰りますよ。...え? はい、はい、え?上の決定? はい了解!じゃ、また明日。」

 

大山は電話を切る。

 

 

「えっと...課長さんですか?」

 

「ん、まあね。...警視庁が、サーヴァントを日本に寄越すように要求して、許可が降りたらしいね。日本でも治安維持にサーヴァントの力を借りたいんだと。」

 

「え...⁉︎ じゃあ、私も?」

 

「当たり前だろ?なんでお前だけハブらねえといけねんだ?」

 

そう言って大山はサングラスを外してウィンクする。

 

「!マイ・マスター! どこまでもお供します!」

 

「デカの道は辛いぞ?」

 

 

「はい! どーんと来いです! 頑張ります!」

 

 

 

THE END




いや〜、終わりました。というか終わらせました。いや、分かってるんですよ。なんで途中の内容飛ばしたって皆さん思ってる事でしょう。すみません。申し訳ありません。でも、無理なんです...書けないんです!特にラストのマシュのシーンなんか書いたらノイローゼなっちまいますよ...! まあ、これまで見て下さった方々には感謝申し上げます!ありがとうございました! また、続編を出す予定です。宜しければ、そちらもお願い致します!

今作の主人公である大山のイメージ。いかがですか?

  • かっこいい
  • 面白い
  • 渋い

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。